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2018年

中高年組合員の活性化
三橋 秀郎
2018/05/20

皆さんの組合では4050代組合員の活性化に取り組んでいますか?

 

最近、ある労働組合の役員から中高年組合員への対策を行いたいとの相談を受けた。
その相談内容は以下のようなものであった。

・若手は短期間での昇格の機会が多いが中高年になると昇格しずらい制度になっている

・色々と業務改善できる権限は持たせてもらえているがチャレンジしようとしない。
チャレンジしないと評価が下がる

・結果、くすぶっていてモチベーションが下がっている

「仕事や生活など人生を振り返り、生きる方向性を見出して充実した人生を送ってほしい」

という相談であった。

 

労政時報が201612月に「40代・50代社員の課題と役割に関するアンケート」を行った結果によると、
4050代社員への課題認識を、強く課題を感じる・やや課題を感じるで86%であった。

その具体的内容として一部抜粋であるが以下の内容が挙げられている。

・ポストが限られる中で、いかにモチベーションを維持し成果創出につなげるか

・管理職層が多忙で、かつ環境変化や人材の多様化により適切なマネジメントができない

・「スキルの変化に対応できない」「定年が見えてきてモチベーションが低下」
「若手社員との考え方・感じ方のギャップが起きている」

 

このような中で必要な対策として3点が考えられます。

①キャリアの目標をポストなどの「外的キャリア」ではなく自分にとっての仕事の意味や価値など
「内的キャリア」へシフトする

②上司がキャリアに関する理解を深め一人ひとりが多様な考え方があることを受け入れる

③役職に就かなくても上のステージを目指せるようにしてモチベーションを高める(匠制度など)

 

上記対策について既に会社や労使で実施しているのであれば問題ありませんが、
まだ未着手であるのであれば「全組合員の幸せ実現」のために、まずは組合として、
できることやれることを行っていく必要があるのではないでしょうか。

 

■組合でできる対策

①仕事だけでなくライフも含めたキャリアを考える機会を創出する

(キャリアマネジメント研修や気づきを促す記入式シートなど)

②多様な考え方を理解しあうための気楽でまじめなオフサイトミーティングの実施する

③お互いがどのような能力を有しているのか理解し合う現場の知恵フォーラムを開催する

などなど組合としてできることはあるかと思います。

 

上記対策も一例に過ぎませんので、もし中高年世代の対策にお困りの組合の方がいらっしゃいましたら
お気軽にご相談ください。

ホームページリニューアルの際に考えること。
三浦 卓也
2018/05/14
昨年後半から、組合ホームページをより活動に活かすべく、リニューアルのご相談を多くいただいています。
 
今回は、ホームページリニューアルを考えるにあたり、事前に整理しておくと良い点をお伝えしてみたいと思います。
 
 
1)コンセプト(ホームページに担わせたい役割)を決める
インターネットを使ったサービスはスマートフォンの普及もあり、いまや生活や仕事にはなくてはならない道具、インフラみたいなモノになっています。
 
その中でもホームページは、提供する側のコンセプトや作り方により、さまざまな役割を与えることができる、10徳ナイフみたいなツールであり、組合にとっては、年間のさまざまな組合活動を「サポート」してくれる「新しい手段のひとつ」と言えるでしょう。
ただ、なんでもできる反面、使いこなさないと、ただの飾りになってしまうのも、世の中の万能便利グッズと同じような側面があります。
 
そんなホームページを活用するためには、ホームページで担ってもらいたい役割が組合活動の「どのの部分」であるか? いわゆるホームページのコンセプトを決めることが大切になります。
全てのページが決めたコンセプトに向かっていればこそ、運用する側も閲覧する側も、迷わずにホームページを運用していくことができます。
 
なお、その役割をホームページに担わせたい、と考えるにいたった課題は何でしょうか?
その課題を解決したとき、組合や組合員は「どのようになっている」ことが望ましいですか?
ホームページに担わせたい役割=コンセプトを、一つでも、複数でも、まずは決めてください。
 
 
2) ホームページの役割を順位づけする
多くの労働組合様では、限られた時間の中で様々な活動を行っています。
そのため、さまざまな課題が、各分野で既に山積みされていることもよくお伺いします。
 
そのなかで、少しでもホームページに役割を担わせることで、より重要な活動に時間も人も注力するべきですが、ホームページを運用するのもまた人間です。一度にできることには限りがあるでしょう
大変難しくはありますが、1)で決めたホームページに担わせたい役割についても、順位づけをしてみてください。
多くの人に重要なもの、とか、短期的に重要なもの、あるいは組合の課題に直結するもの、みたいな区分け程度でも十分です。
最優先で大事なものを2〜3に絞り、それを中心に他の重要なものを配置していくことが、新しいホームページの構成を考えることにあたり大事になってきます。
 
 
3)目次と見出し、順番とまとめ方を考える
ホームページは1冊の本やカタログと一緒です。
初めてその本を目にする人が、知りたい、読んでみたいと思えるような見出しの付け方や、関連するページを近くにまとめて並べることで、見る方が欲しい情報に少ない手順で辿り着ける、あるいは作成側が見てもらいたい情報に簡単に辿り着けるよう中身を整理し、まとめることは大切です。
 
 
4)新しい素材を準備する
インターネットでの情報は、常に最新の情報であることが、現在では一般的になっています。
ホームページに掲載する(したい)情報や資料、数字は、リニューアルにあたっては最新のものを準備することを心がけてください。
常に新しい情報がそこにある事実が、見る方の信頼を得ることや、頻繁なホームページへの再訪につながっていきます。
 
また、将来その数値やデータが変わる可能性があるものは、その更新が誰にでも、簡単にできるように構築することも、ホームページ運営のハードルを下げるために必要です。
 
 
5)更新の手順、担当を確認する
ホームページの情報は4)で説明している通り、定期的に更新していくことが大変重要です。
誰が、いつ、どのような形でホームページ上の情報を更新していくかをホームページの構成に沿って決めていくと、リニューアル後の運営が大変ラクになります。
 
 
以上、当たり前のことばかりではありますが、改めて作業することで、いままで気づかなかった課題や良い部分なども浮かび上がるかもしれません。
また、リニューアルしたい中身が整理整頓され、可視化できることで、その後のリニューアル完了までの必要な時間が大幅に短縮されますので、ぜひお試しください。
「ユニオンガバナンス」とは何か?
浅野 淳
2018/05/06
「コーポレートガバナンス」から捉えると!?
2017年11月号の連合総研レポート(No.331)の特集「コーポレートガバナンスと従業員・労働組合のチェック機能」では、2015年に策定されたコーポレートガバナンスコードに労働組合が取り組むこととして「会社に説明を求める」「コーポレートガバナンス報告書を確認する」を2本柱として加盟労組に呼び掛けています。具体的には、「ESGをはじめとする企業の持続可能性を巡る諸課題について情報開示を会社に促す取り組みを進めることが重要である」と記載されています。
「コーポレートガバナンスコード」の基本原則によると、「企業のステークホルダーと適切な協働に努めるべきである」と記載されています。労働組合は、従業員代表として企業のステークホルダーの一部であり、企業経営を担う経営者に対して情報開示を求めていくことは確かに重要です。

否定できない重要なことから、肯定的に捉えて大事なことに置き換える!
そこで一歩踏み出すためには、労働組合が「コーポレートガバナンス」を受動的に受け止め、促進に向けて自らの活動課題を形成するレベルから、主体的に受け止め、新たな労働組合の価値創造に向かうための「ユニオンガバナンス」とは何かを確立し実践することが大事になります。
そもそも「ガバナンス」とは、一般的には「ガバメント」(政治・統治・行政・支配)」とほぼ同意であるとの認識から受動的印象を持つ言葉です。しかし、「ガバナンス」の本質は「組織や社会に関与するメンバーが主体的に関与を行う意思決定・合意形成のシステム」と意味づけされています。
とすると、ユニオンガバナンスとは労働組合に関与するメンバー(執行委員・職場委員/経営者/組合員/地域社会の人々)が、主体的にその組織内外の活動や運動に関与し、意思決定や合意形成に関わる行為、ということになります。

ガバナンスを通じて関係者が価値を生み出すことが目的!
活動リード役となる「執行委員・職場委員」、活動協働者である「経営者」、運動主体となる「組合員」、運動の相互関係にある「地域社会の人々」が、公正性や納得性・倫理性を実感しながら労働組合に関与するかが重要です。
例えば、労使協議会が、執行委員と職制代表者が共に納得のいく話し合いの場として開催されている、職場委員が主体的に組合員を巻き込みながら職場自治を行っている、組合員が労働組合の政治活動に参加することで受けた影響により地域社会で主体的に運動している。これらの場では、その活動の当事者や関係者が労働組合によって生み出される価値を実感する瞬間となっています。このような価値を生み出すことがガバナンスを通じて実現したい状態です。

ガバナンスの問題は、「活動」と「運動」のバランスにあり!
「活動」とは、関係者が組織を機能させ価値を生み出すために当事者意識を持って行動していること。
「運動」とは、関係者の自発的な行為により組織内外問わず価値を生み出していること。このように区別してみることで、ユニオンガバナンスのあり方が浮かび上がります。
これらの活動や運動が展開される状態を、できる限り多くの関係者との対話を通じて議論することで、これからの労働組合のあり方・やり方を模索することが第一歩となります。
(下図がそのバランスになります)



では、具体的に何をするのか?
まず、「活動」については、組織を機能させることによって生み出したい「提供価値」の基準を明確にすることです。例えば、労使協議会によって生み出す価値や、職場委員がその活動によってどのように成長するか、職場会の活動で生み出す成果、などを指標化することです。
次に、「運動」については、労働組合から生み出された「存在価値」(指標化しにくい価値)を何らかの方法で調査して把握することです。例えば、職場委員が年間を通じて活動することによって得たものを確認すること。労使協議に参加した職制代表者の気づきや学びとった内容を把握すること、などです。
最もしてはいけないことは、単に指標化して上位組織が管理すること。指標化せずに生まれている価値に着目しないことです。
ユニオンガバナンスとは、労働組合が生み出す提供価値を想定し、組織のリソース(人・モノ・場・情報)を最大限活かすために計画し実践すること。労働組合が存在することで生み出された価値を組織のリソースとしてこれからの計画に活かすこと。この2軸を調和させることから生まれるものです。
来期方針を策定する一助になれば幸いです。

組合役員経験をチャンスに!
丸山
2018/04/29
組合役員経験をチャンスに!

組合活動に対して
パターン①『仕事との両立が困難』『活動をしたいが予算がとれない』『組合員の関心が低い』
パターン②『毎日少しづつ出来ることをやっている』『今の予算の中で最大限出来る活動を模索している』『自分から組合員に興味を持って話すようにしている』
いずれも、労組役員とお会いしている中でよく聴く言葉である。

みなさんはどちらのパターンに当てはまるだろうか?もし①の方と感じているのなら、このままコラムを読み進めることをおすすめします。。
(パターン②と感じている方は、本コラムを読むことが時間浪費につながる可能性があります…)

~あることわざ~
昔、ある国境付近に住んでいた老人の飼っていた馬が逃げてしまいました。
しかし、数ヵ月後、その馬が1頭の名馬を連れて一緒に戻ってきました。
喜んだ老人の息子は、その名馬に乗り落馬してしまい、足を骨折してしまいました。
その後、まもなく戦争が起こり、たくさんの若い兵士たちが戦死しました。
しかし、足が悪かった息子は兵役を逃れることができました。

「人間万事塞翁が馬」という話ですが、この物語が示唆するものの一つに「物事は中立である」こと、そしてそこにどんな“意味づけを”するかが、私たちの認識に大きく影響を与え、
ひいては感情や気分、行動に影響しているのである。

【起こっている事柄(結果)のもうひとつの当事者は自分(原因)である】

冒頭お伝えした事例にあてはめると
パターン①の受け止め方=自分<外部(今の結果があるのは、周りに原因がある)
パターン②の受け止め方=自分>外部(その結果を得るために、自分が何をするか)

私たちは常にこのどちらかを無意識(または意識的に)に選択し行動しているのである。

ここまで述べると、既にみなさんは感じているだろう。その考え方は理解出来るが現実的に実行にうつすには…。

そこで、どのようにすればパターン②に近づけるか。基本的には、次の2つの質問を自らに投げかけることが重要である。

質問:①この事(この経験は)は、他のどんな時に(どこで)役に立つかだろうか?
例)仕事と組合活動で忙しい。大変だ
→両方をを体験することは、時間を有効に使う術を実践的に経験出来ている機会だ。もし将来、自身が部下を持つ立場に立った時や、多くの人と関わる仕事をした時に、この経験が役に立つかもしれない…。
★今のこの経験は、他のどんな場面で使える(役に立つか)問う質問方法

質問:②この事は、どんなプラスの価値があるだろうか?
例)仕事と組合活動で忙しい。大変だ
→自分の意見を会社に伝えられる機会、会社の考え方を誰よりも早く聴ける機会と捉えることも出来る…
★今の経験に対して、意図的に肯定的な意味づけを問う質問方法

偉人や発明家・世間から成功者と呼ばれる人は、人一倍の逆境や挫折や失敗を経験しているといいます。そして、その都度、そこから学べるものは何か、何をすればうまくいくかと、
成長するための学びの機会(常に自らに問うている)にしています。

人や物事は全て中立です。そこに私たち自身がどのような意味づけをするかで、感情や気分、その後の行動に大きく影響を与えます。

上手くいかない時や、悩んでいる時にこの2つの質問を自らに問うことで、新しい選択肢を探すヒントになることは想像に難くありません。

筆者自身、うまくいかないときは「うまくいかないことを知る機会」、悩みがある時は「一旦立ち止まって考える機会」として捉えるようにしています。
但し、毎日行っている運動を今日は気が乗らないな感じ「体が休息を求めているサインだ」と意味づけし、休まなければと考えることは、読者もお気づきの通り、単なるやりたくない方便であろう…。
ふとしたことがきっかけで。
室橋
2018/04/22

「おかあさん。わたし、おおきくなったら、おようふくやさんになりたいの!」
土曜日の午後、電車で向かい側に座った母娘の会話。5歳ぐらいの女の子がにこにこしながら母親に話しかけているのが印象的でした。そのあと、母親が「どうして、おようふくやさんになりたいの?」と聞いたときに私は電車を降りてしまったので、「どんな理由でお洋服屋さんになりたいんだろう」と気になってしまいました。と同時に、ずっーーと忘れていた35年以上前の幼稚園の先生になりたかったという私の夢を思い出しました。


すっかり忘れていたことを何かのきっかけで思い出すことがあります。過去を思い出す能力は人間特有のものだそうです。思い出す行為が脳を活性化することはよく知られていますが、最近の研究では懐かしいことを思い出すと温かい気持ちになって体も温まったり、懐かしい記憶は将来の展望も引き上げるということもわかってきたようです。思い出すことは脳力を鍛えるだけではなく、会話や記憶によって人生を豊かにしてくれる効果も期待できるということでしょうか。


最近、私は複数の組合さまの周年誌作成のお手伝いをしています。編集委員のみなさんと過去の写真を選んだり、活動年表を作成しながら、お一人おひとりの思い出話をお聞きするのが楽しい時間になっています。入社してやりたかったこと、組合役員になったきっかけなどをお聞きして、「今の組合活動への熱い想いは、こうした過去のご経験からなんだな」と納得することも。昔を懐かしむことで、将来に希望が持てるようなお手伝いができればと思っています。
仲間を迎える 2018
松山
2018/04/13
この時期になると、新入組合員を仲間として迎える準備をされている労組も多いことと思う。
組合の新しい仲間になってもらい、組合のファンを創るために多くの組合が試行錯誤しながら取り組んでいる。

 一部のデータにつき、過大視することは危険だが、新入社員「働くことの意識」(日本生産性本部 平成29年調査)から「働く目的」についての結果を見て頂きたい。
上から順に、楽しい生活がしたい(42.6%)、経済的に豊かになる(26.7%)、自分の能力をためす(10.9%)、社会に役立つ(9.2%)となっている。
「楽しい生活がしたい」が過去最高を更新しているとの結果である。皆さんが新社会人だとしたらどの順番になるだろうか。

 会社生活も個々のかけがえのない日々の生活の連なりにあるわけで、職場や会社が楽しく感じられなければ、やはり楽しい生活とはいかないだろう。
 そこで組合の存在価値を高めるチャンスである。 新入組合員が、職場でうまくいかないことが起きた時に、組合に相談できる人がいて、話を聴いてもらえた。
それだけで、組合への信頼が高まるのではないだろうか。組合役員の現場での対応こそが、組合の価値を高めるのである。
新入社員の頃、組合役員に親身に相談にのってもらったという経験が、近い将来において、組合役員の積極的なり手を増やすことにもつながるのである。

 そこで新入組合員説明会時に是非やってみて頂きたいことをお薦めする。
 一つ目は、説明会時の工夫である。目的は新入組合員を新しくファンにするために、組合イメージの転換を図ることである。
①現時点における組合に対するイメージをアンケートにて把握する
②組合説明会の実施 ※この際に、時間があれば、会社生活で楽しみな事や不安なことをグループワークなどで聴いておく
③組合イメージが説明会後にどのように変わったかを、話してもらい、自由に意見を書いてもらうそして、自分たちの説明によって組合のイメージが、自分たちが目指す組合のありたい姿に少しでも変わったらその説明会の成果だと言えるだろう。

 二つ目は、新入組合員のニーズを知ることである。可能な限り、正確につかむために定量的に組合員のニーズを把握する調査を行う。
更に調査結果を活用し、職場集会や対話活動で、支部役員や職場委員が組合員の声を集める力や、集めた課題に対して解決に結びつける力を養成していく。
具体的な活動についてご興味、関心を持たれた方はご一報ください。
内部からの外圧
小林 薫
2018/04/05

2018年4月3日、アメリカ・カリフォルニア州サンブルーノにあるYouTubeの本社で発砲事件がありました。214日にもフロリダ州パークランドの高校で17人が死亡した銃乱射事件があったばかりです。さらに前年は59人が亡くなったラスベガスでの事件もありました。またさかのぼること1992年、私たち日本人には忘れることのできない日本人留学生が射殺された事件もありました。なぜ、銃による事件が後を絶たないのでしょうか。

 「銃を規制したほうがいい」「これをやったほうがいい」多くの人がわかっていても人間社会のしがらみの中で、ルールを変えることは困難なものです。ルールを変えられると不都合な人が抵抗勢力となります。ひょっとしたら外圧でしか銃の規制は実現できないのかもしれません。

 戦後の日本は外圧により変わった社会です。財閥解体や農地改革など内部による働きかけでは、きっと実現しなかったことと思います。また戦後の五大改革指令のうちの一つといえば労働組合の結成奨励です。GHQは日本を戦争しない国にするために、内需の拡大が必要だと考えました。そのためには労働者が豊かにならないといけない。そのためには労働組合が必要だということで結成が認められることになりました。

 「これをやったほうがいい」は会社内でも実現が難しいことがあるでしょう。そんなときに組織を変化させていくためには、労働組合が内側から外圧役となって働きかけていくことが求められているのではないでしょうか。短期的ではなく中長期の目線に立ち、組合員の健康管理や働き方など、多くの「これをやったほうがいい」を労働組合の働きかけで実現してほしいと思います。

放課後
服部 恵祐
2018/04/02
もう30年以上も前のことになる。私は、都立高校に通うどこにでもいる高校3年生だった。
丙午の翌年生まれということもあり、同学年が多い受験戦争世代であった。

高校3年生ともなるとクラブ活動は卒業し、ほとんどの同級生は授業が終われば即帰宅して、塾や自宅で受験勉強に励んでいた。
放課後の誰もいない教室に残っていたのはわれわれのグループ8人衆だけだった。

夕焼けに赤く染まった教室で、われわれはたくさんの話をした。
好きな音楽の話、文化祭の出店企画、当時はやった「北斗の拳」というテレビ番組の話、体育祭のアトラクション(出し物)、好きな女子のこと(全員、彼女はいなかったが)、クラブの後輩のこと、まだ見ぬ将来への不安、社会の不条理について……。
時には星空の大公園で、好きな歌をみんなで大合唱した。
何ら生産的でもない時間。とりとめのないムダ話。
僕らは、来る日も来る日も暗くなるまで語り合い、ばか笑いを続けた。
12月を過ぎても高校3年生という特権で立ち止まり、「今、ここ」の幸せな時空間を共有した。
周囲の視線を尻目にして、夢中で楽しんだ。

そのおかげで仲良くなれた。
一生の友ができた。
本当に「幸せ」だった。

30年以上経った今、僕らはSNSでもつながっている。
毎日、「絵文字」や「いいね!」を交換している。
昨年は7回も会って、酒を酌み交わした。

おのおのの人生でそれぞれの重荷を背負っているが、各自楽しんで人生を送っている。
会うといつもばか話で笑い転げている。高校3年生へのタイムスリップ。

世は「働き方改革」の大合唱。
会社も、合目的・生産性向上・費用対効果・メリット追求が最優先となりわれわれの働く場が閉塞空間に陥ってはいないか。
働く時空間(職場)に「幸せ」はあるか。
最近のわれわれは、つながることを諦めていないか。
職場で心から笑い転げたことはあるのだろうか。
会社にも「放課後」ができないかな。
非効率で、ムダで、非生産的な時空間。
材も財も何も生まない。
でも、安全と安心で人と人とをつなげ、人生を豊かにしてくれる「最も濃密で幸せな時空間」。

組合活動は、会社の「放課後」であってもよいのではないかな。
「放課後」のおかげで僕らは仲良くなれた。30年以上もの掛け替えのないご縁をいただけた。

最近、「老後は、みんなで一緒に暮らせないか」とたくらんでいる。
「病院と山小屋と職業病と…」
横田直也
2018/03/25
先週の金曜日有給休暇をいただきとある病院に赴いた。病院名は伏せるがあることに気づいた。
待合室で待っている時に立て掛けられた張り紙であるが、私は労働組合を通した組織活性化の支援をしている職業病も患っておりぜひ紹介したいと思う。

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「当院の基本的な考え方・目的」

一、本診療所は苦しみ、道に迷った人が駆け込む山小屋と考える。
一、だから基本的に如何なる患者さんも断らない。
一、山小屋だからみんな進んで掃除。ごみは持ち帰り。
一、人生は使命であって仕事ではない。そして休暇でもない。私たちがここにいるのは他者に奉仕するため。幸福を長く続かせる鍵は奉仕である。   
奉仕こそ人生の真の成功を測る基準なのである。
一、他者の幸福のためにより高い、より良い貢献をしようと生きている限り努力する。   
これこそが人生において「なすべきこと」なのである。
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この文章を読んで斬新かつ、労働組合の考え方にとても近いと思ったのは私だけだろうか。
まず、この病院は「山小屋」である。山小屋なので誰でも受け入れる。 この文章のワンセンテンスだけでも病院の考え方が伝わりとても親しみを覚える。
組合に例えたら、どんな意見や不満も受け止めてくれる組合役員を想像させられる。

そして、3つめの文章には、「山小屋だからみんな進んで掃除、ごみは持ち帰り。」
これは「職場の問題は職場で解決する」という労働組合ならではの自主性を重んじる考え方にFITしている。

そして、最後の文章。
「幸福を長く続かせる鍵は奉仕である、最後に他者の幸福のためにより良い貢献をしようと生きている 努力することが人生においてなすべきこと」という言葉。
これもまさに、企業としての労働組合のありかたに近いとも思った。
私は、先生に許可を得てこのコラムに掲載しようと思ったが、 その後、この感動を妻に伝えた結果、思いもよらない反応だった。
「病院の張り紙はよくわかるけども、ふ~ん、それで?」 あまり理解されていないようであった。 まぁそうですよね…。
労働組合のことを良く知らない妻には よくわからなかったようだ。

その時私はあることに気づいた。 病院は基本、病気や体の異変を感じ先生に相談するところである。
一方、労働組合はどうだろうか、組合員が職場の運営や働き方に困った時、 そもそも相談に行こうとどれだけの人が思っているのだろうか。
そして、その結果、労働組合の存在で救われ、役に立ったりと本当に思えているのだろうか?
組合役員のほうも、組織の異変に違和感を持った組合員や 変化があった組合員を察知できているのだろうかと。
悲観的な見方かもしれないが、 きっと妻は労働組合が上記のような機能を担っていることを恐らく知らないのだと思ったのだ。

誰でも簡単に労働組合のことがわかる世の中であれば、 同じように共感できる状態になったのだろうと、そう思わされた瞬間であった。
みんなが「そうだ!」と共感してくれるような「価値」、「その価値を伝えれるわかりやすさ」と「行動」が 重要で、
組合員にとって「労働組合の活動によって職場や、組合員が成長を実感できる状態」を作り出す支援を していきたいと心から思ったのであった。
そうしていきたいと思ったのならば、そういう組合活動を生み出したり、生み出された活動を追いかけていきたいと。
※実はこの日は、体のあるところにできた良性の腫瘍を摘出する手術の日だったのですが、こんなことばかり考えている私の職業病に効く薬があれば教えてください(笑)

追伸: 弊社は平成元年に設立し今年2018年3月8日から30年目を迎えました。 私は大阪支店に赴任し早9年目を迎えましたが、
これからの弊社大阪支店が労働組合に貢献できることをこう考えています。
「労働組合の活動によって職場や、組合員が成長を実感できる状態」を目指すことだと思っています。
個別でのご相談以外にも、大阪支店で取り組んでいる「ゆにラボ」や「徳芯塾」「j.unionスクール」といった集合型の「場」を 今年もたくさん企画していますので、
お気軽にお問い合わせやご応募お待ちしています!
ある日の、ある後輩との会話
正道寺 博之
2018/03/18


ある日、資料づくりに集中していると、後輩から声をかけられた。

「人間にはいくつの脳があるか知っていますか?」

いやいやいや。

質問自体がおかくないか。
いくつの脳があるか、という聞き方はまるで複数の脳みそが人間にあることを前提としているようで、おかしいじゃないか。
まてよ、これはもしかして、なぞなぞなのか。
こっちは忙しいというのに、何だ、この後輩は。
なんてことが頭の中でぐるぐると駆け巡ったように思う。
脳は
1つに決まっているじゃないか、と言おうとした矢先に後輩が続けた。

「実は、人間には3つの脳があるそうですよ!」

いやいやいや。

実は、ってどういうことだよ。なぞなぞじゃなかったってことか。
自分の指導が行き過ぎてついにこの後輩はおかしくなってしまったのか。
それとも何かの比喩表現なのか。
そもそも、自分に
3つも脳みそがあったとしたら、今考えているこの「自分」は3人いるってことになるのか。
そんなことあるわけない。
説明を求めようと口を開きかけたところ、畳みかけるように後輩が続けた。


「ちなみに、人間に第二、第三の脳があることは、昔一度発見されていたにも関わらず、
なぜだか忘れ去られ、そして最近になって再発見されたらしいですよ!」


いやいやいや。ちょっと待て、そんな大事なことが忘れられるって、そんなことあるのか。
そもそも人間の脳を発見する、ってどんなシチュエーションなんだ。だんだんと頭がクラクラとしてきた。



その後、よくよく話を聞いてみると(インターネットでも調べてみたが)どうやら後輩の言うことは本当のことらしい。
私たちが脳と聞いてイメージする、頭蓋骨の中にあるクルミのような形をしたものとは異なるが、
完全に自律的な神経システムを持つ脳が、胸の中と、腸の中に、確かに存在するらしい。


今まで自分はこの頭蓋骨の中にある脳が、
「自分」という組織のあらゆる思考と身体の末端までを統御する司令塔のような存在であると思っていた。
しかし、どうやらそれは、勘違いだったわけだ。
「自分」という組織は、
3人の司令塔の協働統治されている。自分にとって、これは衝撃的な事実だ。

動物に備わっている脳は必ずしも1つとは限らない、ということを知らなかったわけではなかった。
小さいとき、ステゴサウルスには
2つの脳があるということを図鑑で読んだ記憶がある。
最初、「へぇー!いいなあ!」と子供心に関心したのを覚えている。

しかし、その解説を読んだとき、「人間てすごいんだな!人間で良かった!」と思った。
というのも、ステゴザウルスは肝心の頭にある脳みそがあまりにも小さく処理能力が限られたものだったため、
二つ目の脳を持たざるをえなかった、と書かれていたからだ。
これを読んで、自分はどういう風の吹き回しか、人間の脳は第二の脳を必要としない優れものである、と思い込んでしまった。
「人間にも第二の脳があるのではないか」という可能性について微塵も思い及ばなかった。


話をもとに戻そう。

自分は「組織に司令塔は一つ」という根拠のない思い込みに囚われていた。
しかし、考えてみれば、そうでない例はいくらでも挙げられる。
分かり易い身近な例は、野球やサッカーなど、チームスポーツが挙げられる。

そこでは、監督という司令塔の他に、選手間にキャプテンという司令塔がいるのが通常だ。
一見すると、監督はチーム構成から作戦の立案、そのための練習メニューなど、
すべての決定権を持つかのように見える(そして実際にその決定は絶対的な形で実行されることが多い)。

しかし、ひとたび試合が始まれば、選手たちは試合の中の状況に応じて、キャプテンを中心にまとまり、臨機応変に自律的な判断をくだしていく。
かつてサッカー日本代表の監督だったジーコ氏が苦言を呈したように、監督がどれだけ優れていようが、
選手たちの自律的な判断が無ければ、試合には勝てないことが多いのだ。組織において、
司令塔が一つでなければならず、構成員は厳密に階層化されてなければならない、なんてことはあり得ないことは一目瞭然だ。



企業組織に当てはめて考えてみよう。

企業においても司令塔は「経営陣」の一つだけである必要はなく、
実際の現場において厳格な階層化が行われていなければならない、という理由もない。
その例としては、京セラで稲盛氏が作り上げたアメーバ経営などが挙げられるが、もっと身近な例がある。

日本の労働組合だ。

日本の企業別労働組合は、組織の第二の脳として、
その存続と発展をこれまで支えてきた、と胸を張って言えるのではないだろうか。


営業である私は、日ごろ多くの組合様を回る中で、多くの組合役員の皆さまが、「働く人」にとって必要なことは何かを常に考え、
習慣に囚われることなく自律的に行動し、時には組合員を束ね上げ、会社をも動かすイニシアチブを発揮していることを知っている。
こうした行動の積み重ねが、必ずや企業の存続と発展に欠かせないものであり、働く人の安心につながることを確信している。

そして、こうした活動がもっと世に広く知られることとなれば、やがては労働組合という第二の脳も持たない企業の方が、
「組織」として「不自然」であり、労働組合を持つ企業の方が、その存続と発展に有利である、という意見の方が「自然」だと言える日が来るかもしれない。


(とても面倒くさい・・・)
後輩との何気ない会話によって、労働組合の役員の皆さまのお手伝いをできるこの仕事の価値について、改めて確信を深めることとなった。