春闘シーズンを迎え、組合活動により注目が集まる時期です。
春闘に代表される集団的労使関係によるより良い会社づくりはもちろん大切ですが、
組合役員の皆さまとお話していると、職場や支部などの現場の声に根ざした取り組みの
重要性が増してきていることも感じます。
職場や支部での取り組みの鍵を握るのが、現場の役員の皆さま。
本部役員の皆さまからは、よくこんなお悩みを伺います。
「非専従だから、あまり負荷をかけるのは申し訳ない」
「業務も忙しいのに、活動をお願いすると嫌がられてしまうのではないか」
「現場役員にそこまで任せるのは荷が重いのでは…」
こんなお悩みへのヒントになりそうなお話を紹介します。
以前、こちらの記事でも紹介されたことがありますが、
北海道大学大学院 経済学研究科の松尾睦教授によると、
「経験から学ぶ」ためには以下の5つが鍵となるそうです。
①挑戦的な課題に取り組むこと(ストレッチ)
②経験、行動を振り返ること(リフレクション)
③仕事の中に関心・意義を見出すこと(エンジョイメント)
④自分なりの目標・思いをもつこと
⑤他者とのつながりをもつこと
これを組合活動に置き換えてみると、ただただ職場活動を行ってもらうだけでなく、
そこに「挑戦的なストレッチ目標」があるかどうか、
その取り組みの意義や目的をそれぞれの役員が理解し動機づいているか、
それを振り返り、高めあっていくための機会や仲間が確保されているかどうか、
ということがポイントと言えそうです。
この「経験から学ぶ」ことの効果が垣間見える出来事がありました。
弊社では、組合活動をイキイキと実行できる女性組合役員の育成を目的に
年1回「美脳塾Basic」という女性役員限定の勉強会を行っています。
全4回、5か月間にわたる研修講座ですが、参加者の皆さまには研修にお越しいただくだけでなく、
自組織での「女性組合員の声を聴く」イベントの企画と実施、その報告を課題として取組んでいただいています。
全国から参加される女性役員(中には組合員の方もいらっしゃいます)の皆さんは
非専従や新任の方も多く、最初は「組合活動のこと、実はあまりわかってないんです」という声も聞かれます。
自分でイベントを企画し、女性組合員の声を聴くという課題に対して、戸惑いや負担を感じる方もちらほら。
それでも、過去4回の開催に渡って、「実践できなかった」という方はいらっしゃいません。
全員が自分なりに目的を見出して、取り組みを行い、最後には「組合活動っておもしろい」という感想を持たれているのです。
実際に昨年度の参加者を対象に行ったアンケートでは以下のような結果が見られました。
●「組合役員として活動することにやりがいを感じる」という問いへの肯定的な回答の割合
研修1日目:72.7% ⇒ 研修最終日:100%
●「組合活動では、やり終えたあとに満足感を持つことが出来る」という問いへの肯定的な回答の割合
研修1日目:65.9% ⇒ 研修最終日:100%
参加者の声からは、難しい課題に対しても、自分自身の力で周囲と協力しながら取り組み、
完遂することができたという経験が、組合活動そのものへのさらなる動機づけにつながっていることが伺えます。
美脳塾は女性役員向けの講座ですが、こういった経験の大切さはいずれの方にも共通なのではないでしょうか。
現場のことを考えると遠慮してしまう、本部でもっとできないかと考えてしまうのは自然なことだとも思います。
しかし、一方でその「遠慮・配慮」が大きくなりすぎると、相手や組織の成長を阻んでしまう危険性もあるのではないでしょうか。
思い切って少しストレッチした目標を課し、その意義を一緒に考えていくこと、支援していくことが
相手や組織の大きな成長につながるのではないでしょうか。
業務でも組合活動でも「相手に任せる」ことが人材育成の大きな鍵を握っているようです。
★本文でご紹介した『美脳塾Basic』詳細はこちらから!★↓
http://j-union.com/-/pands/nlog/viewer/view.php?ID=154&CID=12281&AID=119353&T=kiji