ゆにおん・ネタ帳

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2009年

組合の『ミッションを考える』際のポイント
小野
2009/10/18
■お飾りの言葉になっていないか?

 ミッション・使命・理念・綱領に次のようなことがよくある。

 美しい内容に理想が並ぶが、気持ちが全くこもっていないし伝わってこない。

 本来ミッションは組合のリーダーが変わろうとも、その組合でずっと変わらず
 受け継がれていくものでなければならない。

 しかし、その言葉を誰も覚えていないし、語られもしてない。

 それでは、意味がない。

 単なるお飾りの言葉に過ぎない。

 本来、組織には組織の「皆が理解しているミッション」が必要である。

 なぜならば、ミッションこそが組織の存在理由を説明してくれる言葉だからである。

 この組織は何を成し遂げようとしているのか?

 なぜ、自分がこの組織に所属しているのか?

 その答えが、ミッションに語られている。

 しかし、そのためについつい、ミッションに多くの想いを詰め込みすぎる。

 結果、長文になり結果的に誰も覚えられない文章になってしまう。

 従って、ミッションを考える際に、次のポイントをおさえることをお勧めする。

■短い文章で表現されているか?

 ミッションは、極力短い方が良い、想いがいくつも詰め込みすぎると
 結局どれも達成できない。

 例:

 「皆で結集し皆を守る」
 
 「組合員とその家族の安心のために互いの力を」

 「精神的にも肉体的にも社会的にも経済的にも豊かに」

 「人と組織を、明るく、楽しく、元気よく」

■行動本位であるか?

  吉野家の「うまい・やすい・はやい」 に代表されるように

  どんな行動をとれば良いのかがイメージできることが望ましい。

  何のために、どんな行動をするのか?

  これが簡潔にわかれば、いうことなし。

■組合員にとって必要なものは何か?

 実現するべきもの、そのために行動するべきものは

 全ては、組合員の現状の課題やニーズ、そして将来に向けて
 必要なものは何か?

 そう考えることから、ミッションは生まれなければならない。

■我々ならば、よい仕事ができるか? 強みに合っているか?

 組合員にとって必要なものを実現するために、われわれが
 最もよい仕事ができるという確信がなければならない。

■必ずいつか実現するという熱い想いがあるか?

 コミットメントなしには、どんな目標も達成は難しい。
 ミッションに向けて、みんながコミットメントできること。
 心底価値を信じている必要がある。

以上 何かのネタになれば幸いである
煙たがられる政治活動
大川
2009/10/11
日本を代表する産別からのご依頼で政治活動に関するワークショップのお手伝いをさせていただいている。
今期で3年目、4回目のワークショップは先日開催され、加盟単組の政治担当執行委員が全国から参加された。
延べ4回にわたる政治活動勉強会の第1回目にワークショップ「労働者(労働組合)と政治」を常設プログラム
としてご採用いただいているものだが、2回目以降は国会見学や現職議員との懇談などが予定されている。
つまり勉強会のコンセプトは政治をもっと身近に感じることと、組織としての政治に対する影響力を実感すること
だと言える。 多くのユニオンリーダーが悩んでいるとおり、労組が政治活動(選挙応援活動)をすることが
組合役員にとって、組合員にとって最も煙たがられる活動であることがその背景にはあるのだ。

なぜ政治活動が煙たがれるのか? その理由は「そもそも論」だと考えている。
「そもそも投票行動は完全に個人の自由意志であり、何らかの組織力に拘束されるべきではない。」
「そもそも労働組合は賃金、労働条件をはじめ企業内の課題解決に特化するべきで、政治的思想性を組合員に
強制すべきではない。」 などといった考え方がそれである。 そして、確かに正論だと思う。

しかし、違う視点の発想も大切ではないだろうか。 つまり、私たち一人ひとりの発言力(=存在価値)を高める
ことに対する方法論としての労働組合の積極活用だ。 私たちはひとり一票という究極の公平性の中にある。
これは学生もニートも企業人も後期高齢者も成人であれば当然みんな一緒なのだ。
そのような中で、産業政策や社会政策などに共通の価値観を持った仲間が組織力を活用して影響力を発揮することは
当然のように考えられる有効な手段のひとつである。世の古今東西、昔も今も民主主義社会では同様の集団行為が行われてきた。

先のワークショップの中身は単純だ。「国・政治家・有権者」についてそれぞれの問題点を挙げ、「このままでいいのか?」を問う。
次に「では、どうしたら良くなるのか?」を考えるだけである。
結果的に参加者は投票行動の重要性を再認識すると同時に、いかに政策理解や組織内議員への意思伝達が大切かを実感して
終了する。

衆議院では労働組合の支持政党が圧勝し、政権交代が実現した。今や最大の関心事は来年7月の参院選に向かっているようだ。

選挙そのものは手段でしかない。くれぐれも目的化しないように意識してほしいと考えます。
理屈抜きで特定政党や候補者を「お願いします!」と連呼するから「ドン引き」される悪循環に陥るだけなのだろう。

組織活性化のためのマネジメントを考える
吉川政信
今回のネタ帳では、先日、某金融系労組にて依頼されたセミナーの一部を紹介し、皆様の企業におけるマネジメントが正しく行なわれているかを検証する上での参考になればと思い掲載しました。

<マネジメントとリーダーシップの違い>
一言でいえば、こんなところです。

○マネジメントは
    ・部下から始まる
○リーダーシップ
    ・自分の向かいたい未来イメージ(ビジョン)から始まる

マネジメントは部下ありきの考えなので、通常、役職に帰属します。
リーダーシップは、自分の描くビジョンを明確に持ち、周囲を巻き込むことが問われるものです。ですから、役職・年齢に帰属はしません。

<マネジメントとは>

マネジャーの役割
・部下が大きな成功を収める環境を整える。
・部下一人ひとりの特性を知り、一人ひとりに合った目標達成への方法を考える。

○凡庸なマネージャー
マネジメントを部下を型にはめる仕事、与えられた役割を完璧にこなすように部下一人ひとりを作りかえる仕事と信じている。

○優秀なマネージャー
部下の一人ひとりの違いや特性を見極めた上で、全体的な行動計画を考え、違いを効果的に活用すること。

つまり、マネジメントとは、極めて人間的なもので
部下を業績目標達成の手段と見なす「人を使って仕事をなす」と考えるのは誤りで  正解は「仕事を使って人をなす」ということです。

まだまだ説明したい内容もありますが、正しいマネジメントが行なわれるために重要なのが、上司が部下に期待する仕事の内容をはっきりと示していることです。これがなければ、部下はこんなふうに感じるはずです。
・自分が何に貢献すればいいのか分からないのに、どうやって貢献できるのか!
・何が成功か分からないのにどうやって成功を実感できるか!

このような現状への解決策が、目標管理を正しく運用することです。
目標管理で大切なのは、上司だけでなく、部下が制度について理解し、面談時において主体的に上司と目標について話し合う姿勢こそ大切であり、この両輪を上手にまわすことが最大のポイントです。
ここまで、説明すれば分かると思いますが、労組組合として組合員が正しく目標管理を運用しているかをチェックし、組合員が正しい目標面接に望むことが出来るように訓練することが必須といえます。
労働組合の経営チェック機能を高めるため、組合員の組合の必要性を高めるためにも、今一度、自組織における目標管理制度の運用について確認してみて下さい。


若手現場リーダーの活躍を祈る
淺野 淳
2009/09/28
地方銀行従業員組合の定期大会直後の代議員向け研修会に招かれたときのこと。

現場リーダーの選抜と育成について考えさせられた。

受講者は、ほぼ全てが入社二年目の人たち。
背広を着た執行部と、ラフなスタイルの代議員のコントラストが印象的だった。

もちろん信任選挙での選出である。しかし、実質的には現場任せとなっており、
若手が選出される傾向が年々顕著になっているとのこと。

その組合は、同業種他組合からも注目される現場主導の活動方針を
掲げているだけに正直、驚くと共に考えさせられた。

しかし、2時間の研修中に参加者の反応・表情を感じながら、
若手だから出来る可能性があることを確信した。

研修中は、テーマである職場集会の現状の問題点を的確に捉え整理し、
現場で活用できそうなネタを確実にメモする姿勢、最後には自信に溢れた表情へと
変化して行った。

自分たちの組織を良くするために、実に素直に研修に向き合ってくれたのである。

組合の価値を決めるのは組合員である。
その組合員に一番近い現場若手リーダーの活躍がいつの時代の組合活動にも欠かせない大切な要素である。

研修の最後に一言、学校のクラブ活動だと捉えてこの一年間の活躍してください、と伝えた。
それぞれの現場のクラブ活動で自分が一番価値を感じる課題に主体的に取り組んで欲しいと思ったからだ。
期待や役割も伝えられないまま選出されたリーダーに一番フィットしているのではと感じ伝えた。

果たしてどんな印象で受止めてくれただろうか。後は、活躍を祈るしかない。
出 張
服部
出張で飛行機に乗ることが多い。9月も出張続きだ。

この前、こんな体験をした。

朝、新幹線で仙台へ向かい、夕方、仕事を終え、翌朝の別府での仕事のために、まずは仙台空港行きの電車に飛び乗る。

最終便で伊丹空港を経由し、これまた最終便で福岡空港まで行くためだ。

福岡空港に到着後、国際線ターミナルにあるバスのりばへ一目散で移動し、最終便の高速バスで別府へと向かう綱渡りのスケジュールである。

大変な移動だが、楽しいこともある。

夕方の西方へのフライトは最高なのだ。

離陸し雲を抜けると、そこは、雲の海と太陽と月しかない世界。

雲海の上で、機体は沈む夕陽を追いかけ続ける。

窓の先は、一面の朱色のグラデーションに染まっている。

瀬には、迫り来る夕闇にまんまるの黄金の月。

しばらくすると、暗くなった雲海から天を突く頂。

日本の最高峰、富士山である。

眼下には大阪梅田の街あかり、今度は静かな瀬戸内海上空でのプラネタリウム。

着陸間際の福岡では湾から花火が上がっていた。

花火の脇を見下ろしながら、流れてくる煤を被りながら着陸する。


日本は本当に美しい。

明日は、どんな美しい日本が待っているのだろうか。

これだから、出張は止められない。


・・・あっ、急げ!!最終バス発車まで、あと3分だ。

もう、汗でびっしょりだ。



『組合費が高い』との声に対して
小野
2009/09/13
組合に対して組合員から

「組合費が高い!!」

 さらには

「組合費以上の賃上げが今年も実現できていない、これでは組合費を払う意味がない!!」

といった声がよく上がる。

今回は、この「組合費は高い」との声に対してひとつの反論を試みたい。

■( 【単年度の賃上げ額】 < 【組合費】 ) 理論の組合員

 個人的には賃上げ額と組合費を比べること自体に異論を唱えたいところだが、
 未だに、組合の役割が賃上げだけにあると思いこんでいる組合員が多いのも事実である。
 そこでそのように主張する組合員に対して反論してみたい。

 仮に次のような状況だった場合 

  組合費・・・4,917円/月額  (※連合総研による2008年度、正社員の平均組合費)
  基本給・・・300,000円/月額

  今春闘
  組合要求額・・・ 8,000円/月額(ベア定昇込み)
  会社回答額・・・ 3,500円/月額( 〃    )
  妥結額  ・・・ 4,500円/月額( 〃    )

組合員の主張は

  ( 妥結額4,500円 - 組合費4,917円 = -417円 )

これでは毎月の組合費の方が賃上げ額より417円高い!
    従って組合費が高いという主張である。

さらに要求に対してマイナス4,000円も減って損している。
    組合は何をやっているのだ!
    賃上げできない組合ならせめて組合費を減らせという主張である。
 

★これに対する反論として

■( 【過去勝ち取った賃金の上積み累計額】 > 【組合費】 ) の理論

 
  ( 妥結額4,500円 - 会社回答額3,500円 = 1,000円 )

 交渉して勝ち取った部分(回答額からの上積み額)は組合が交渉して勝ち取ったプラス

 額であり、仮に組合がなければ1,000円の加算ができていなかったとも言える。

 さらに忘れてはならないのは、組合の交渉によって基本給に1,000円分が加算されたと
 いうことは、【今後もずっと1000円分の恩恵を得られる】わけである。

 さらに、過去にも仮に1,000円以上の上積みを組合の交渉により少なくとも5回勝ち取って
 いた場合。

  ( 1000円×過去5回=5,000円 )
  (※組合がなければ、現在の基本給は今よりも5,000円低くなっていたことになる)

 組合があったおかげで、現在の基本給に加算されており既に毎月の組合費を超えている。

 今年だけでなく、過去も未来においても、同様のことが言える。

 従って過去累計で会社回答額から組合費以上の、加算を得ていれば、組合費分は既にペイ
 されており、組合費は安いくらいであるといえるのだ。

 仮に新入社員であったとしても、過去の組合が交渉により初任給の額を引き上げており
 (組合費を上回る累計加算額によって)組合費は入社と同時にペイされていると言える。


■掲示を推奨

 このことを組合員に認識してもらうために、各種情宣物などに過去に獲得した累計加算額
 を定期的に掲載することを推奨する。

 小さく、片隅に次のように掲載し続けてはどうだろうか
--------------------------------------------------------------------------------
【平均組合費:4,500円】で【過去10年累計で賃金交渉上積み額:15,500円/月額】を獲得!
 組合交渉があったから獲得できた額であり、今も賃金に加算され続けている額です。
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もちろん、組合の役割は賃上げだけにあるのではないことを組合員に認知

一日でも早く賃上げ主体の春闘から脱却し、賃上げ以外の活動や役割を組合員に認められ、
組合費が安いと思われる組合となることを願ってやまない。

以上 何かのネタになれば幸いである。


偉大なる組合OB
大川
準大手製薬会社の労組幹部OBからお聴きした話をご紹介したい。

今から二十数年前まで、その企業では労働組合が職種別で4つに分かれていた。
MR(営業職)、研究開発、工場、スタッフ(本社、間接)が内訳である。
それぞれの労働条件も違い、例えばMRは当時から週休2日で土日が休み。その他は土曜日半ドン(半日勤務)や
工場では隔週で土曜日終日勤務などである。就業規則は事業所単位なので、そのような企業はメーカーなどでは一般的
でもあった。

ところが4つの労働組合では主義主張も全く異なっていて、ある組合では闘争的に会社に要求することが多く、社内の
空気も非協力的な状況が長く続いていたらしい。
あまりに労使紛争が多かったため会社経営が円滑ではなく、組合員間での労労関係も劣悪だったそうだ。

昭和56年(1981年)当時、その組合OBは実は非専従役員だったが、会社側からの要請もあり組合の統合に取り組むこととなった。
自身は工場所属であったため、職場は周囲に任せるしかなかった。全国に点在する分会(営業所)に至るまでのオルグの日々は
年間200日に達することもあった。
「最初は全く話がかみ合わなかったけれど、相手の言い分をトコトン聴いて、腹を割って本音で話せば信頼関係が生まれる。」
そのようにして地道な活動をするものの、6000名の組織統一は容易ではなかった。いつしか正真正銘の専従役員となっていた。

結果的に7年の歳月を要したが、昭和63年にようやく組織統一が成就した。
彼が退任した後、労働組合のない外資系製薬会社の日本法人との合併に際してもユニオンショップ化に成功しているのは
7年にわたる組織としての経験が活かされたものであろう。

今現在、その組合OBは同企業の主力事業所のセンター長(所長)を務めている。また、後輩の元組合幹部たちもことごとく
上級管理職、一般管理職として職制でも活躍をしている。

ワークライフバランスをテーマにした労使勉強会に講師として招かれたが、これは年1回就業時間内を利用して管理職も
組合員も参加する労使共通課題に関する合同勉強会と懇親会で構成されている。

お招きいただいた懇親の場で組合員の方のお話を聴いても、「とても働きやすい職場です。」(工場勤務者)とか「もう少し
夜間勤務を大目に見てもらえればありがたい。」(研究開発担当者)・・・つまり、早帰りや時短名目で勤務時間制限があるが、
残業代が出なくてももっと仕事に没頭したいといったご意見もあった。

まさに価値観の多様性だが、お互いに率直に語れる協力的な雰囲気がすばらしいと思った。
労働組合が支える「労使関係の健全さ」が職場環境を良好にしていることを実感した。

組合OBであるセンター長の労使勉強会冒頭の挨拶が奮っていた。
「今日は『ワークライフバランス』について一緒に勉強するが、一方で当社は裁量労働制やフレックスタイム制などが
すでに導入されていて、環境整備は整っていると考えている。みなさんには、現在に至るまでの諸先輩方の取組みに
感謝の気持ちを忘れず、自分自身がどうやって充実した仕事や生活をするのかについて考えるきっかけにしてほしい。」

本質を捉えた偉大なリーダーの発言だと思った。

組合員の家族にとっての労働組合の役割には
吉川政信
2009/08/30
1週間程前に、A労働組合の局長に依頼され、組合員との座談会の進行を努めることになった。

当日は、中央執行委員長と一般組合員8名の計9名が出席した。

一般組合員には、支部執行委員経験者、女性組合員2名、年齢は20才~50代と幅広く、お互いの観点で意見を交わしていた。

参加者の自己紹介や職場紹介を終え、組合活動の思い出や、自分たちの会社の変遷について語っていた。

座談会も終盤に差し掛かったところで、今後、組合活動に期待することを参加者へ尋ねてみた。

その中で印象的だったのが、最年少の20歳の女性の言葉である。

「私の子供が就職するときに、この会社に入りたいといってくれる会社にして欲しい」といった内容であった。

実は、彼女も父親と同じ会社を希望し入社をしていた。

恐らく、彼女の父親は、自分の会社、自分の仕事に誇りを持ち、彼女へ会社のことを語っていたと思われる。

彼女自身が、今、会社や仕事に対してどう感じているのかを聞くことはなかったが、
今の会社や仕事に対する満足を自己認識する上で、自分の子供をこの会社へ入れたいと思えるか考えてみることが満足度を図る1つの指標であるように感じた。

労働組合が組合員の家族を支援する活動福利厚生制度や家族イベントの開催は、これからも重要な活動である。

しかしながら、家族のいる組合員が自分の仕事に満足し、自分の会社に誇りを持って働くことこそが、家族にとっての最も重要なことだと感じた。


活動モチベーション3つの視点
淺野 淳
2009/08/24
今年も新任役員研修の時期がやってきた。

先週土曜日、東北地方のA銀行職員組合の新任中央委員研修で
「組合リーダーとして主体的に活動を行うために」と題して、
中央委員の任務と役割を10の視点でお伝えした。

主催者の目的・ねらいは、組合リーダー(中央委員)が主体的に自らモチベーションを高く活動すること。
目標として、組合役員と組合員の繋がりを強化し、変化適応できる企業組織とすること。
手段として、人間関係の質を高めるべく地区単位のレクイベント開催を定例化すること。

一昨年のレクイベント開催率が50%、それが昨年の研修によって90%まで上がり、
今年度は100%の開催率と参加人数の大幅な向上、参加者満足度も高めてゆきたいという。

シンプルではあるが、主催者側に実に明解な目的・ねらいがあり、
具体的な目標と手段が存在していることに感心した。

組合活動は、企業内では中長期的な視点も持ち合わせるが一方で、
一年間で結果を出す活動が求められている。陸上の短距離走の如くスタートダッシュが明暗を分ける。

スタートダッシュには組合役員のモチベーションが必須だが、その源泉となるのは以下の3つの視点である。

一つ、組合活動を両側面から理解し、納得している
一つ、組合活動で得られる成果をイメージしている
一つ、組合活動のやり方・手段が鮮明になっている

これらの要素をわたし達リーダーが、組合員・経営者に顧客視点で伝えきれるかが
この一年の組合活動の成果に大きな影響を与えることを改めて実感した。

「GUH(=組合総幸福)のすすめ」
服部
地球温暖化の影響だろうか、毎年、蒸し暑くなっていく。

GNP(国民総生産)、GDP(国内総生産)を増やし「成長」することが、われわれの「幸せ」につながっているのだろうか?
成長とともに環境破壊や格差拡大、それによる温暖化、食料不足、犯罪や戦争などマイナス面も目立ち始めてきた。

1976年、21歳のブータン国王のジグメ・シンゲ・ワンチュク氏が「GNH(Gross National Happiness
=国民総幸福)はGNPよりもより大切である」と提唱した。
われわれが求めるものは「成長・拡大」より「幸せ」である、と。

それから約30年経った2005年、ブータンで初の国勢調査が実施された。
「あなたはいま、幸せですか?」
「すごく幸せ」・・・45.2%
「幸せ」・・・51.6%
合わせて96.8%の国民が「幸せ」と感じている。


組合は長年、運動方針に「豊かさ」「ゆとり」「生きがい」「働きがい」を掲げてきた。
ただ、常に運動の中心は「賃上げ」であり、活動成果の指標も「賃上げ」ではなかっただろうか。

いよいよ労働組合にも、GUH(Gross Union Happiness=組合総幸福)という指標が必要な時期に来たのではないか。
「幸せ」を指標にした労働運動への転換である。

たとえ30年かかったとしても、97%の組合員が「幸せ」と感じる職場・会社ができるって素敵なことではないか。

今すぐ、真剣に自問しよう。

メンタルダウン者がでる職場は「幸せ」か?
職場の仲間(派遣社員)が去ることを黙認する職場は「幸せ」か?
自分を押し殺してまで、上司の顔色を伺い、飛ばされないようビクビク働くことは「幸せ」か?
妊娠したら、辞めなければならない職場は「幸せ」か?
お客さまに嘘をつかなければならない仕事で本当に「幸せ」になれるのか?

組合員にとって、
自分にとって、
本当の「幸せ」って何だろうか。


※GUH(Gross Union Happiness=組合総幸福)に関心をもたれた方は、当研究所 服部(e-mail:k-hattori@j-union.com)までお気軽にメールください。