ゆにおん・ネタ帳

ゆにおん・ネタ帳はリニューアルいたしました。

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全国3700ほどの労働組合とのお付き合いの中で、記憶に残るエピソードや、これは使えるといったネタをご紹介していくコーナーです。

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2010年

職場での労使協議のススメ
淺野 淳
2010/12/26
これからの組合活動の評価軸は、職場での労使協議の有効性だと考えます。

企業のビジョン・方針が職場で理解され、実際の行動として根付いているか
否かが良い会社であることの一つの指標です。

しかし実際に管理職をはじめ多くの働く人々は、短期利益の追求に没頭せざる
を得ない現状にあります。

その結果、誰もがありたい姿とする目的志向型ではなく、目標志向型あるいは
逃避型・先送り型人材を輩出することになっています。

一部の仕事が出来る組合員は、孤立型フォロワーとして成果のみを追及します。
多くの組合員は、順応型フォロワーとして組織への不平・不満を生み出します。

職場で起こっているこれらの現状を上司は、従来の経験から得た知識を基に
独自のスキーマで職場の状態を判断し、独自の思考の枠組み(フレーム)に
よってマネジメントを実践することになります。

そして、管理偏重型マネジメントあるいは、目標管理を逆手にとった放任型
マネジメントを実践することになり、リーダーシップが感じられない職場
となります。

これらの状態を本来のありたい姿に導く場として、労使協議会が活かされる
べきです。そして、その原点が職場討議・集会です。

わたしたち組合員は、常に組織や上司、そして顧客からのメッセージを受止め、
両面思考しながら矛盾の中でバランスすることが求められています。

従って、建設的な批判力と誠実な貢献力を上手く調整しながら行動します。
そのためには、仲間の意見・考え方を参考に自分に取入れ、組織・上司からの
協力を引き出すことが欠かせません。

某地方銀行従業員組合では、支店単位での職場集会を進めるために、支部長は、
部長や支店長に交渉して職場集会の開催支援を促します。

某損害保険労働組合では、労働組合が安全衛生委員会へ提案して、共催と
いう形式で職場のストレスマネジメント対策に取組んでいます。

某工業製品メーカー労組では、支部執行委員が支部単位の労使協議会の
開催に向けてトレーニングを行なっています。

某大手スーパーマーケット労働組合では、調査結果のフィードバックを
職場のリーダーに行い、改善策を職場単位の労使で話し合います。

これらの活動は全て、理想の職場・働きがいを感じられる職場・強い職場
を目指すために、それぞれの組合が職場単位の労使協議の有効性を高める
取組みの一環です。

私は、労使協議の場で、組合員を代表したリーダー(役員)が、逞しく
協議を行なっていけるサポートし続けたいと思います。

事実に基づき、論理的且つ心理的にも充実した主張をします。
一方、経営者の考え・意見にも真摯に耳を傾けます。
お互いの共通目的を確認しながら一致点を見出していく力強い交渉です。

職場での労使協議の有用性を高めていく第一歩として、これから始まる
春季交渉や事前折衝の場で、労働組合が良い会社を実現するために集団的
フォロワーシップ力を発揮する組織であることをアピール・主張できるか
が鍵を握っているのではないでしょうか。




2つの使命感
服部
2010/12/19
あるメーカー子会社の組合役員研修に呼んでもらってもう10年弱になる。

毎年、委員長も顔を出していたが、ここ数年間、顔を出さなくなった。

若手の組合役員が一生懸命、教育担当者として場を仕切っている。


昼どき、委員長がわざわざ「お昼をご一緒しましょう」と研修会場まで来てくれた。

久しぶりに会うと、小皺と白髪が増えている。


2年前に他の会社に売却され、上場廃止。

組合員の雇用を守るために、賃金カットや他社への応援派遣など、矢面に立って奮闘してきた。

出合ったときは、30代前半の好青年。

いつも柔和な表情の奥に、組合のアンカー役として覚悟のある方だ。

「もうそろそろ、退任しようかと思っています」

「前任の委員長も45歳で退任したんですよ・・・。この前、前委員長に逢ってきましてね・・・」

「(役員やって)いつの間にか15年にもなるんです」


おそらく、委員長もこんなに長く役員をやるつもりはなかった筈である。

已むに已まれぬ「使命感」だけで専従役員を続けてきたのだ。



別れ際に、自分に言い聞かせるように、ひとこと呟いた。

「残りの15年、もうひと花、咲かせなきゃ」

大きく開いたその瞳の奥に、もう一つの、職業人としての「使命感」を垣間見た。



「もう、委員長にお逢いできるのは、これが最後かもしれない」と思った。




われわれの成果は何か?
小野
2010/12/12
■ 四、 われわれの成果は何か? ~成果は常に自分たちの外にある~
(ドラッカー 生涯問い続ける5つの問い)
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われわれの成果は何なのでしょうか?

企業では、利益とか生産性の向上だとか、シェアの拡大だとか、様々な指標が存在したり
しますが、労働組合や個人にとって、成果とは何か?という問いは、日ごろあまり意識を
していない問いだと思います。

しかし、ドラッカーは非営利組織も、個々人も自分たちの成果は何か?をはっきりさせな
ければ、評価もされないし、成長もしないし、モチベーションも上がらないと指摘してい
ます。

◆ 真の成果とは何かを探るために、どうしたらよいのか?

 労働組合をはじめとする、非営利組織の成果は、つねに自分たちの外にあります。

 つまり、【人々の行動、境遇、健康、希望、そして彼らの適性と能力】の向上に成果は
 みることができます。

 例えば、『 あなた自身の成果は何ですか? 』

 ⇒ a.高い給与と処遇を勝ち取る ⇒ × これは成果を上げた結果の評価です。

 ⇒ b.課せられた目標売上の達成 ⇒ × これも成果を上げた結果の数値です。

 ⇒ c.よい製品を提供すること  ⇒ × これも成果を上げるための手段です。

 ⇒ d.よい提案やよい運営の提供 ⇒ × これも成果を上げるための方法です。
 
 ⇒ e.お客様に効果が出て値が向上⇒ ○ これが成果です。

 つまり自分たちの側ではなく、自分たちの外(相手・顧客)の効果・効用・向上こそが
 真の成果といえます。
 (自分たちの成長は成果とはいえません。成果を生むための質が向上したのです。)

ということは、成果を規定するためには、自分たち側(つまり内側)と、顧客・相手側
(つまり外側)を定義しておく必要があります。
以前おつたえした、「われわれの顧客は誰か?」が重要な問いであるわけです。

とりわけ、非営利組織である労働組合では、使命を達成するため、何が価値あることかを
判断して、成果を得るためにわずかな資源を集中させ、成果を上げ続けることが、その組
織自体の存在を左右します。
 (非営利組織である労働組合では、企業と違い、金銭的にも人的にもリソースは限られ
  ています。)

従って、労働組合では

1) 自らの外側・相手側(効果・効用を提供する相手)を定義する。

2) 彼らが何を価値あるものと考えてるかを学び(調べる)。

3) それを満たすための手段・方法を考えて実行(提供)する。

4) そして、相手の【行動、境遇、健康、希望、適性、能力】が向上(改善)されたか
   を、正しく把握(分析)して改善策を考え実行するサイクルをまわす。

ということが、その存在価値を規定することになるといっても過言ではありません。

見方をかえると、『われわれの成果はなにか?』を探るためには

上記の 1)から4)を繰り返す中で見えてくるのです。
とりわけ

 1)外側(相手・顧客)の定義
 2)外側(相手・顧客)に価値調査

によって、今われわれが考える成果を定義することからはじめることになります。

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長文になりそうなので、この成果に対する問いは、次回以降にわけてお届けしたいと思い
ます。

『われわれの成果はなにか?』
労働組合はもちろん、会社や個人において、自分たちに(真剣に)問いかけてみてください。

以上、何かのネタになれば幸いです。

コンフォート・ゾーンに安住するな!
大川 守
2010/12/04
久しぶりに衝撃的な文章を読んだ。梅田望夫(うめだもちお)氏が産経新聞に執筆している論評である。あまりにも完璧に、かつ簡潔に現代日本社会の風潮を示唆しているので、今回は産経新聞の掲載許可をいただき、ほぼ全文を紹介させていただく。

(以下、掲載記事より)
今年のノーベル化学賞を受賞した、米パデュー大特別教授の根岸英一さんは、受賞決定後の記者会見でこう語ったという。「日本はすごく居心地のいい社会なんでしょうけれど、若者よ、海外に出よ、と言いたい。たとえ海外で成功しなくとも、一定期間、日本を外側からみるという経験は何にもまして重要なはず」
 「居心地のいい」はカンファタブル(comfortable)であるが、米国ビジネス社会ではよく、「コンフォート・ゾーン(comfort zone)を超えよ」という表現が使われる。コンフォート・ゾーンとは、そこにいれば安心できる慣れ親しんだ場所のことである。
 すでにやり方がわかっている分野の通常の仕事において、目標を定め、ひたすら努力を重ね、ギリギリいっぱいまで成果を出すという営みは、たとえそれがどんなに忙しかろうとも「コンフォート・ゾーンを超える」とは言わない。既知の分野、今いる場所から、新しい分野、未知の世界に向けて、自ら飛び出す、チームを、組織を引っ張っていく。そんな果敢な挑戦を促す言葉が「コンフォート・ゾーンを超えよ」なのである。根岸教授の日本の若者たちに向けた言葉には、こういう意味が含まれている。
 10月13日のニューヨーク株式市場で、米アップルの株価が300ドルの大台に乗った。時価総額はこの1年で約1000億ドル増え、2700億ドルを突破した。斬新で画期的な2つの製品「iPhone(アイフォーン)」と「iPad(アイパッド)」の爆発的ヒットゆえである。その躍進の背後に、創業者兼CEO(最高経営責任者)スティーブ・ジョブズのカリスマ的なリーダーシップがあることは、周知の事実である。その彼が、かつてこう語ったことがある。
 「より革命的な変化に、私は魅了され続けてきた。自分でもなぜだかわからない。なぜなら、それを選べば、もっと困難になってしまうからだ。より多くのストレスを心にかかえこむことになる。みんなに、おまえは完全に失敗した、といわれる時期もおそらくあるだろう」
 この短い言葉には、「コンフォート・ゾーンを超える」挑戦の苦しさが凝縮されている。先が見えない困難ゆえのストレスを抱えながら、慣れ親しんだ世界に留まる人々からの批判を受ける中、成功の保証など何もない世界を疾走してはじめて、大きな果実を得るのである。
 むろんすべての人がそんな過酷なことに挑戦する必要はない。しかし「コンフォート・ゾーン」を超えようとする志の高い若者が一人でも多く生まれてほしいと望み、未知の世界に挑戦する彼ら彼女らの足を引っ張るのではなく、皆で応援する社会でありたい。しかし…。
 同じ記者会見の中で根岸教授は、「いざ博士号を取得して日本に帰ってみると、日本には私を受け入れる余地はまったくなかった」とも語った。「すごく居心地のいい社会」と、この閉鎖性は表裏一体の関係にある。根岸さんが本格的に日本を離れてから四十余年が経過したが、その間にどれだけ日本は変わっただろうか。いま日本を覆う閉塞(へいそく)感を払拭(ふっしょく)するために、私たちが問わなければならないのは「すごく居心地のいい社会」の意味なのではないだろうか。
(以上、 2010年10月25日付 産経新聞東京朝刊 より)

民間企業の経営であれば、多くの従業員がコンフォート(居心地の良さ)を感じられるビジネスモデルを生み出し、新たな研究開発による製品・サービスで新たなコンフォートを拡大していくことが優れたマネジメントであろう。

労働組合の活動はどうか? 現在も十数年前までの成功体験(モデル)から抜け出せず、組合員の無関心や批判などに耐えながらがんばっていないだろうか? 辛い思いをして「がんばっている」ことを、アピールして自分たちの存在感を示していないだろうか?

組合員はどうか? 長時間労働や休日出勤で「がんばっている自分たち」は被害者で、組織や仲間に対してさえ批判の目を向け、無関心を装い、こぢんまりとしたコミュニティだけに埋没してはいないだろうか?

常にコンフォート・ゾーンを求めながらも、そこに安住したい誘惑とも闘い続けることがあらゆる人と組織に求められているのであろう。
これからのライフデザインの考え方
吉川政信
2010/11/28
現在、ある労組で組合員へのライフデザインを支援するプログラム開発を行っています。プログラムは執行委員をライフデザイントレーナーとして養成し、トレーナーとなった執行委員は組合員を対象にライフデザインの考え方を教える仕組みです。
7.8年前にもライフデザインのプログラム開発を数回行いましたが、当時のプログラムの中心は、資産形成を中心としたプログラムが主でした。
しかしながら、昨今の職場環境の変化、組合員の価値観の変化においては、資産形成以外にも、メンタルヘルス、モチベーションアップ、キャリア形成の要素も自律(立)した正しい人生のグランドデザインを描く上で必要な知識と考えられ、当プログラムにも欠かせない内容として取り入れています。

また、組合員の価値観の変化を考えるのであれば、新入社員を例にすれば、彼らは学生時代にマズローの欲求五段階説でいうところの第三階層(集団への欲求)が満たされている状態。つまり、学生時代にすでに第一階層(生理的欲求)と第二階層(安全の欲求)は満たさせた状態であります。つまり、生活する場所とアルバイトなどを含めた一定の収入を確保できる状況にあった訳です。
その中で、社会人となれば当然次のステップに進みたくなる人も出てくるわけです。
マズローで言えば、第四階層(自我・地位への欲求)や第五階層(自己実現の欲求)に向かうということです。つまり、自分の仕事を認められたい、自分の描いたキャリアを実現することに集中したいといった段階にある訳です。
余談ではありますが、自分にとってプラスになること、それ以外はあまり必要がないと思っているから、会社で無理にコミュニケーションをとろうとしない若手社員が増えていると最近よく聞きます。昨今の日本企業における帰属意識の低下にも影響しているとも感じます。

つまり、これからは、キャリア形成やモチベーションを高めるための考え方へのニーズはますます高まると考えられます。

これからの労働組合におけるライフデザイン教育おいて、資産形成の知識以外にも、組織人として組織の中で直面するメンタルヘルスの問題や仕事におけるモチベーションの低下を防ぐ考え方、組織人としての大切なチームワークの必要性を正しく理解し、その中で自分自身の未来を創造し行動することを一人ひとりの組合員が理解できる取り組みが必要であり、組織にとっても帰属意識の高い「良い会社」づくりに繋がると考えられます。



職場委員のリーダーシップ発揮
淺野 淳
2010/11/21
ここ数日間で、同一研修プログラムを同一労組へ7回実施する機会があった。
内容は、職場委員としてどのようにリーダーシップを発揮するか、5時間で実施した。

リーダーシップ発揮に欠かせないエッセンスが詰まったこれからの組合リーダーにお勧めのプログラムとして紹介したい。

ポイントは5点

①リーダーは、メンバーにとって、よき理解者であること。
そのために傾聴力(リスニング力)を身につけること。
メンバーに起こっている具体的内容と情緒的内容の双方を理解してメンバーの方向性や
アクションを引き出すこと。

②リーダーは、メンバーに対してリフレーミングを行い勇気付ける。
リーダーは、メンバー自身がコンプレックスと捉えている弱みや短所に対して、枠組み(フレーム)を変えて見ることで、メンバーのメンタルモデルを打破する可能性を見出す役割がある。

③リーダーは、組織を巻き込むために全身を使って表現する。
そのためには、リーダー自身が持っている想いや考え方を全身で表現すること。
身振り手振りを使って表現し、言語で表現できる論理的整合性だけでメンバーの納得感が高まらないことを知る。

④リーダーは、ビジョンを常に周囲のメンバーに働きかける。
リーダーは、メンバーの働くことの意味(働きがい)を引き出す役割を担っている。
そのために、リーダー自身が働くことで得たもの、これから得たいもの(ありたい姿・ビジョン)を自己理解して、常に周囲のメンバーに問いかけ、フィードバックを貰うこと。

⑤リーダーは、リーダーと同時に優秀なフォロワーであること。
優秀なフォロワーであり続けようとすることが、真のリーダーと成りえる一歩になる。
そのためには、リーダー同士のコミュニケーションが重要なポイントとなる。
リーダーとしてのありたい姿(ビジョン)への進捗状況を仲間のリーダーと共有し、
常に組織としての価値を高めようと努力する行為が、フォロワーシップの第一歩となる。

これらのエッセンスを体感型プログラムで実施した。
理論を先行させるのではなく、体感した後に答えを伝える形式のため、腹に落ちる。

リーダーとしてのありたい姿を自ら仲間と描くので、自己決定感の高いアクションプラン
の設定が可能となる。

ただし、実際に成果を生むためには、実行と振返りそして再目標設定をリーダー同士が
主体的協力の中で行うかが鍵を握っている。



人が本なり
服部
2010/11/14
自動車の労連会長と飲む機会があった。

「リーマンショックから回復しかけたらと思ったら、エコカー補助金も打ち切られ、大変ですね」と言ったら、

「いや~、昔の希望退職の時に比べたら、(雇い止めの問題はあったとしても)雇用問題が発生しないので、大変さが全然違うよ」

「あの時は、本当に辛かったな」

「・・・うん」

「その時の辛さに比べたら、今回のリーマンショックなんて・・・」


組合にとって、一番、大切なこと。

それは、今も、昔も、そしてこれからも変わらない。

「雇用の確保」

みんなが働ける職場を創ること。


そのために、組合自身ができること。

それは、プロフェッショナルな人材を組合自身が養成できる場となること。


「急がば、今すぐ、廻れ!!」

「人材育成」にも、「雇用確保」にも特効薬はない。

組合自身が今からプロフェッショナルな集団を目指すことが近道となる。


こんなに狭苦しくなった地球で、「資本主義」という「お金が本となる経営(社会)」の限界の彼方に、「人本主義※」という「人が本となる経営(社会)」が垣間見える。

人が本となれば、雇用の不安も多少は減る。

「賃金」の向こうにある「ゆとり」や「豊かさ」が感じられる社会が訪れる。

それを世界に先駆けられるのは、高度に成熟した日本社会の労働組合。

その困難の果てには、真に「ゆとり」や「豊かさ」を味わえる社会の実現が待っているはずである。


※「人本主義」・・・伊丹 敬之氏(一橋大学名誉教授)が「資本主義」に対する提唱した造語。「資本主義」は、カネを経済活動のもっとも重要な資源と考え、その資源(カネ)の提供者のネットワークをどのように作るかを中心原理として企業システムであり、「人本主義」とは、ヒトが経済活動の最も重要な資源であることを強調し、その資源の提供者たちのネットワーク、つまり人材を提供し、取引をしている人々のネットワークを安定的に作り、それを維持・発展させることこそ大切、と考える原理のこと。

顧客は何を価値あるものと考えるか?
小野
2010/11/07
■ 三、 顧客は何を価値あるものと考えるか? ~顧客は何を買うか~
(ドラッカー 生涯問い続ける5つの問い)
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顧客は何を価値あるものと考えお金(対価)を払ってもよいと考えるのでしょうか。

顧客のニーズ、欲求、希望を満たすものはなにか、という質問は、非常に複雑で、顧客自身に答えてもらうしかないありません。時には顧客自身も何を本当に価値あるものとして欲しているのかを自覚できていないことも案外多いのです。

決してこの質問をせずに、自分勝手に憶測してはいけません。常に顧客に問いかけて共感する必要があります。

●自分の憶測を認識しよう

人は自らが正しいことを行っているとあまりにも強く信じて、顧客への問いかけを忘れて目標達成にまい進すよるようになっていることが多いのです。

たとえば「顧客の役に立っているのか」と問いかけずに「この活動は我々の計画やルールにあっているのか」と問いかけているようなことはありませんか。
この態度は成果を得ることを難しくするだけでなく、組織のビジョンと活動をも台無しにしてしまいます


●ノースウェスタン大学教授のフィリップ・コトラーは、

「多くの組織は自分たちの価値観については明確に理解しているが、顧客の視点や価値観については自分達の解釈や憶測に基づいて仮説を立てて決め付けているだけで、事実をよく理解していない。

そのような憶測や仮説をやめて顧客が何を価値あるものと考えているのかを問いかけなさい。
あなたは自分の憶測と顧客が答えることとを比較し、その違いに気づくだろう。

この違いこそが、自らの成果を判断する材料なのである。」と説いています。

●高級車を購入する客は何を買っているのか?

 例えば、1930年代の大恐慌のころに、米国の自動車メーカーGMで高級車キャデラックの事業部を
 経営を任されたニコラス・ドレイシュタットは調査結果より
 「キャデラックは、ダイヤモンドやミンクのコートと競合している。顧客は輸送手段としての車ではなくステータスを買っている」と考えて破産寸前の事業部を救いました。

●当初狙った利用価値と顧客が実際に認める価値とは異なる

 ある教会の例
  ある牧師が新婚カップル向けの男女の結婚カウンセリング プログラムを作成した
  ところが 利用者応募者には新婚は一組もいなかった。参加者は全て 同棲中で
  結婚するか悩んでいるカップルだったそうです。
 
 価値はあくまでも、顧客から見た価値で判断しなければいけません、本来以外の使い方や
 価値基準であることは以外に多いものなのです。

 また時代によっても価値基準は変化します。
 レコードもレコードのターンテーブルもDJによってスクラッチに使われるように変化するとは思いもよらなかったでしょう。

●また 支援してくれる人の価値も把握すること

 組織の活動によって生活が改善する顧客の価値把握とともに、もう一つ把握すべきことがああります
 「支援してくれる顧客」、つまり 組合役員や経営陣や管理職など、組織の活動に参加することで
 満足感や達成感を味わいたいと思っている人の価値把握です。

 活動を支援してくれる人々が何を価値あるものと考えるかも理解しないと、成果を上げるための環境は整いません。これらの人々の、自己成長や仕事そのものを報酬として高めることによって、支援してくれる人々が第一の顧客に良いサービスを実現してくれるのです。

 顧客価値に商品サービスと価格をマッチさせれば、おのずから売れるようにすることは容易くなります。

 「顧客は何を価値あるものと考えるか?(顧客は何を買うか)」
 この問いは、マーケティングの中で最も重要な問いであるといえます。

 以上、何かのネタになれば幸いです。


「費用対効果」を高めるオルグ活動へ
大川 守
2010/10/30
労働組合でも新しい期がスタートし、新たな顔ぶれも含めて新しい活動がスタートしている。
年内は教育・情宣活動や運動方針に沿った具体的な活動の組立てなどが多いが、年を明けるとメインイベントの一つ
春闘(春の取組み)が始まる。広域展開している企業の組合では、執行部にとっても最も移動が多くて大変な時期でも
あろう。
日々お会いする組合幹部の皆さまからも、「年明けからは春闘(春取り)が忙しくなるので・・・」という声をよくお聞きする。
実際にこの季節は1週間またはそれ以上の長期出張続きで事務所に戻ら(れ)ないという役員も多く、頭が下がる。

一方で多くの組合員から見ると、「年中行事」のような「春闘説明会」になってはいないだろうか?
正しく会社の情勢と組合員の総意を確認できているであろうか。経営や組合執行部の考え方に心の底から納得と共感が
得られているのだろうか。

情報化社会の昨今では、ITインフラの整備もあり「情報伝達」だけであれば瞬時に、広域に発信することができる。
貴重な時間と高額な旅費交通費を使いながらオルグを繰り返す必要はない。
それでは、「なぜ直接の対話が必要なのか?」
テキストデータや定量データだけでは伝わらず、受取れない双方向のコミュニケーションがあるからだ。

人があることについて「理解すること」と「納得・共感すること」は明らかに違う。そこには事実や結果だけではなく、
事実に対する考え方や解釈があり、納得や共感はむしろ「考え方」や「解釈」について起きる感情的なものだからであろう。
そしてこの部分はなかなか伝わりにくいものだ。「内容」、「伝え方」、「組合員への接し方」などあらゆる要因が影響する。

組合役員の皆さまには、組合員からの納得と共感が高まる「費用対効果」の高いオルグを心掛けてほしいと願っています。
労組活動による社会への貢献
吉川政信
2010/10/23
現在、ある大手労働組合の社会貢献活動に携わっております。
その労組の母体企業は、誰もが認める地域リーディングカンパニーです。当然、労組も同じく地域労組を牽引する立場にあります。
当労組は、地域清掃活動やエコキャップキャンペーンなどの活動も進めていますが、この取り組みはボランティア活動と位置づけ、社会貢献活動とは別の取り組みとして位置づけています。

当労組が社会貢献活動として考えているが、自労組の組合員の育成と共に、地域労組、OB、地域に住む人へも育成の場を提供することです。また、専門知識のある自労組の組合役員が中心となり、地域のコミュニティーなどに出向き、知識や技術を提供する活動も進めようとしています。

なぜ、そのような活動をするかというと、当労組では様々な専門家とのネットワークを活かし組合員を中心とした各種研修を実施しています。当然、一定の資金力があることも実施できる理由です。その中で、今後は、このような研修を自分たちの育成だけに活用するのではなく、研修を実施したくても資金的にも実施困難な小規模労組や地域の人たちが積極的に参加できる教育機会の場を提供し、自分たちの活動を通して、地域の人たちが成長や豊かさを感じことができれば、必ず地域の活性化に貢献すると考えたからです。

地域の雇用や労働条件向上への取り組み、更に、政治活動もリーディングユニオンとし担っていくべき取り組みです。しかしながら、自分たちの活動を通して、地域の人たちが豊かさや成長を感じることへの貢献活動にも目を向け、より多くの人たちが成長を感じることができる社会貢献活動に力をいれることが必要だと感じています。