ゆにおん・ネタ帳

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2010年

スタートダッシュ時期に感じた3つの出来事
淺野 淳
2010/10/17
10月は活動スタートダッシュの時期である。
お陰様で、多くの組合からお仕事を頂き全国を飛びまわる日々を送っている。

今週末の2日間で3つの出来事があった。

まずは、繊維メーカー労組「新任執行委員研修会」での出来事。
働きがいをキーワードに、組合の存在意義と機能についての考えるワークショップ型研修。

研修中にお話をしたキーワード
『個別の労使関係においてマネジメント力によって労使対等となり問題解決をする。』
『組合員の潜在的な問題解決力を支援する活動がこれからの労組には期待されている』
に対して休憩時間に参加者から質問を頂いた。

「具体的には、どのような活動をすればいいのですか?」非常に前向きな質問であった。
「後半に具体的な事例を交えてお伝えします。」とだけ応えた。

講義終了後
「腹に落ちました。ありがとうございます。」
「人が育つ環境創りをするのが組合のできることですね。」本質を理解して頂けた。

自分らしさ、自己実現といったメッセージを組織から受け、オリジナルな自分を
創り上げることに迷いを持つ組合員へ勇気を与える組合活動になればと感じた。

具体的には、職場の達人の働き方、その背景にある意識などを言語化・形式化し
組織に浸透を図る活動についてこれからの活動の方向性を見い出されたようだ。

次に、事務機器サービス企業の労組「全国執行委員合宿」で、
「労組の組織力強化が企業付加価値を高める」をテーマに講義中の出来事。

休憩時間に1人の支部執行委員が「今期、自ら手を挙げて役員になりました。」
なぜですか?と理由を訊ねてみると。
「最近、働かされていると感じることに危機感や疑問を持っていました。」
「組合の機関誌の『働きがい』というキーワードに感じるものがありました。」

講義終了後に再び対話することが出来た。
「労働組合が、会社に対してリーダーシップを発揮できるよう頑張りたい!」
「組織全体に感じている管理型マネジメントの過剰に対して、労働組合が組織的に
 フォロワーシップを発揮して組織力を高めたい」
「ダイバシティの問題に対してまずは、世代間のつながりを意識して活動したい!」

前向きなコメントを頂き、感動した。

最後に、外資系製薬メーカー労組「定期大会直後の代議員研修会」での出来事。
4,000人規模の組合で定期大会に200人が参加していることに、まず驚いた。
新旧の代議員がそれぞれ集まるのが恒例らしく、企業環境変化へ対応し、現場から
組織変革を起こすには20人に1人の割合が妥当だと確信をもって語られていた。

90分の講義後、質疑応答の時間に3名の方から質問を頂いた、いずれも具体的では
ないが熱意が感じられる主張を含んだ質問だったので、サクラではないと思えた。
(後ほど確認したが、やはりサクラではなかった。)

講義テーマが経営対策活動の進め方であったこともあり、質問の内容からは、
自分たちの会社を良い会社にしたい!という思いが伝わってきた。

組合活動そのものが、経営対策活動であることが理解してもらえた瞬間であり
嬉しく感じたが、その思いを形にして継続しなければと心引き締まる思いがした。



ありがとう
服部
2010/10/10
今年の夏は、暑かった。

この前、電力系の組合様にお伺いした際に、疑問に思っていたことを尋ねてみた。

「昨夏は、電力会社より節電協力のテレビコマーシャルが流れるくらい電力不足だったのに、それより暑い今夏は、なぜ、電気の供給が大丈夫だったのですか?」

「原子力発電が多少稼動したこともありますが、今年の夏は猛暑が予想されていたので、各電力会社が事前に総力をあげて体制づくりをしたからです」とおっしゃっていた。

電力に携わる人たちが、ライフラインとしての電力供給(酷暑時のエアコン利用は助かった)をし続けてくれたのだ。


私の知る限り、日本に住む者誰一人として、

「電気を安定供給してくれて、ありがとう」

というメッセージが発せられることはなかった。


当たり前のように感じるが、その「陰」には、多数の働く人の努力や矜持があったはずである。


「お陰さま」と感謝できる心。

それが「豊かさ」への第一歩である。


そう考えれば、当たり前に感じてしまっているが、「有り難い」ことはあくさんある。


日常に「ありがとう」は溢れている。



まずは、電力関係の会社で働くみなさま、

「いつも、電気の安定供給、ありがとう」と言いたい。



われわれの顧客は誰か?
小野
2010/10/03
■ 二、 われわれの顧客は誰か? (ドラッカー 生涯問い続ける5つの問い)
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 組織の目的の定義は一つしかありません、それは、顧客を創造することです。

 組織が世の中にある潜在的な欲求を有効需要に変えることによって、初めて顧客と市場が誕生します。

 組織の目的である顧客を創造するためには、マーケティングが必要です。

 販売活動中心のマーケティングは、つい製品やコストからくる販売価格から出発してしまいます。

 これに対して、真のマーケティングは、顧客から出発します。

 「我々は何を売りたいか」などと考えず、「顧客は何を買いたいか」を問います。

 組合でいえば
 「我々はどんな活動をしたいか」などと考えず、「組合員はどんなことを真に求めているのか」を問います。

 「我々の製品やサービスにできることは、これだ」ではなく「顧客が求め、価値ありとし、必要としている満足は、これだ」といいます。

  つまり販売と真のマーケティングは同じ意味ではありません、相反する関係です。

  真のマーケティングが目指すものは、『顧客を理解し、製品やサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにする』こと、つまり『販売行為を極力なくす』ことになるのです。

 そしてマーケティングにおける、出発点は常に一つしかありません、顧客です。
 
 労働組合の活動を定義する際も顧客からスタートしなければなりません。

 労働組合とはどんな組織でどんな事業や組織サービスを、提供しているのかを現実的に定義するのは顧客です。

 顧客にとっての関心は、自分にとっての価値、欲求、状況です。

 すなわち、顧客の実情(現実、状況、行動、期待、価値観など)からスタートしなければなりません。
  
 そこで重要な問いが「われわれの顧客は誰か?」となります。

●われわれの顧客は誰か?

 顧客は少なくとも二種類以上存在します。

 その顧客種類ごとに期待や価値観も違い、求めるものが異なります。

 例えば、生活用品のメーカーは、少なくとも主婦という消費者と、ドラックストアーなどのお店という二種類の顧客を持ちます。

 メーカーが直接販売するのはお店ですが、最終的な消費者は主婦です。
 主婦に買う気を起こさせても、お店が商品を並べてくれなければ何にもなりません。

 逆に、お店が目に付くように陳列してくれても、主婦が買ってくればければ、これもまた何にもなりません。

 お店と主婦とは期待や価値観も異なり、メーカーに対しての要求も異なります。
 
 労働組合における、顧客も複数存在します。
 
 第一に組合員
 第二に組合役員です。先ほどの例でいえばドラックストアーと同じく、組合役員がまず組合活動に動機づいていなければ何にもなりません。

 更に視野を広げれば、会社(経営者・管理職)、組合員の家族、地域社会も顧客として存在します。
 
 さらに、(企業内組合の場合)企業のお客様が組合の顧客であるとするところもあるでしょう。

 一方で、そうした立場で顧客を定義するのではなく、
 「人を大切にしたいと思って働く人」が労働組合の顧客と定義することもあるでしょう。

 同様に 
 「働きがいを通じて生きがいを感じたい人」
 「働く人と組織を明るく楽しく元気よくしたい人」
 
 など同じ価値観を持つ人を労働組合の顧客と定義してもよいと思います。

 いずれにせよ、顧客が誰かによって、期待も価値観も違います。

 それと同時に、最終的には組合員の満足に結びつくように考慮しなければいけません。

 期待と価値観が違えば、その組織がとるべき、活動も変わってきます。
 その上で成果を出すためには、自組織の強みと資源を考慮して、ある程度、ターゲットやセグメントを行った上で、顧客に資源を選択し集中する必要があるでしょう。
  
 以上、何かのネタになれば幸いです。


「会社が好き」という気持ち
大川 守
2010/09/26
心から尊敬する労働組合がある。
今年も新任支部執行委員研修にお招きいただき、その思いを強くした。

新任支部執行委員研修は1期2年の改選期ごとに実施されるが、ほとんどの人が2期4年の就任期間となるので、
総勢200名の支部執行委員のうち約半数の100名が新任であり、研修のカリキュラム上2回に分けて実施される。
1泊2日型で全国から集まる新任支部執行委員の皆さまは、研修開始時こそ初対面でやや緊張感があるものの、
すぐに打ち解けて「仲間意識」が醸成される。決して望んで執行委員になった方ばかりではないのだが、日頃の
組合活動については理解・共感があるため、「いつかはやるべき時が来る」と腹を決めて前向きに参集するのだ。

今年も約50名ずつ2週連続で研修を行ったが、初日の夜間は支部ごとに本部役員との対話があり、次いで懇親会となる。
懇親会では支部間交流などコミュニケーションの輪が広がり、お酒の勢いもあって本音がバンバン飛び出してくる。

私もお招きいただいた席で多くの新任執行委員の皆さんと言葉を交わすのだが、口々に「会社が好きだ」ということを
楽しく語られるのが印象に残る。もちろん昨今の景気低迷などで仕事面で厳しい部分は増えてきているそうだが、
自分たちが明るく楽しく元気よくやっていかなければ、会社全体が元気なくなってしまうことを皆が理解しているようだ。

大阪から帰りの新幹線で偶然にも同席することとなった研修参加者の女性執行委員は、名古屋までの車内で会社の様子を
さらに詳しく話された。彼女は2児の母でもあり、1年半の産休+育休を2回取得して復職しているとのことだ。
「今は仕事と家事・育児で忙しいけれど、独身時代は会社に行きたくてゴールデンウィークが嫌でした。」「会社に
行っているときのほうが充実していて楽しいと感じていた。」そうである。

理由を尋ねると、即座にこう答えたのだ。「営業事務の仕事をしながら自分が何をすれば周りの役に立てるかを考えて
仕事をしています。 その結果、人の役に立てたり喜んでもらえることが嬉しくて会社が大好きなんです。」

このような「思い」が会社をより良くしているのだろう。
忘れてならない三現主義の実践
吉川政信
2010/09/16
品質管理の世界では三現主義という言葉はあたり前の用語がと思います。
簡単に言えば、現場、現実、現物を調べて対策する。机上の空論、机の上で語っていてもしょうがない。という考え方です。まさに、事実を調べて情報を集め、適切な判断をして、適切な処置をすれば品質は上がるという基本が三現主義ですが、この考え方は、組合活動の基本と同じです。現物(方針理解度・働き方)、現場(職場環境)、現実(組合員の意識)をよく観察し組合活動を組み立てる必要があります。まさに、職場役員の三現主義の実践なくしては組合活動の活性化はありえない分けです。

我社で提供する商品には組合員調査や財務分析ソフトなど組織診断のための便利なツールが多々あります。私が商品を提供する際に役員の皆さんへ伝えているのは、我社の商品で今後の活動方針のヒントを十分に得ることは出来ますが、最終的に活動を決定する際は日々現場に出向いて感じる「感覚」とも照らし合わせ決定するようにと伝えています。

私は物事を決定したあと結果として成功か失敗かには限りなく偶然はないと考えています。様々な角度から情報を集め分析することは重要な行為ですが、成功する選択ができる要因の中には無意識に自分の体験とそのときに感じた「感覚」を踏まえた選択を行なっていると思うからです。

組合活動においては、職場役員の三現主義の実践が組合員の期待する活動を企画する源泉になるといえるでしょう。
3つの“self”
服部
2010/09/05
弊社では、職場の清掃は外注ではなく、社員の当番制で行っている。
そんな時、心がささやく。

「忙しいので、私一人ぐらいやらなくてもいいかな」

職場の仲間が転勤する「壮行会」
そんな時、また、頭をよぎる。

「忙しいので、私一人ぐらい遅れてもかまわないだろう」

そこにあるのは、「私一人ぐらい」という「利己主義(selfish)」


「みんなも忙しいだろうから、みんなのために掃除をしておこう」

「みんなも業務で遅れそうだ。せめて私だけでも、早めに行って幹事を手伝おう」

そこにあるのは、全く異なる“self”

「みんなのために」という「利他主義(unselfish)」

「自分のことは後回しにする」という「無私の心(selfless)」


いろいろな“self”

「過剰な自分のため(selfish)」は、職場や社会を自壊させる。

いつの間にか、行き詰まってしかめっ面の自分がいる。

「周りを配慮しつつ(unselfish)、時には自分ことを後回しにする(selfless)」生き方が、明るく、楽しく、元気な職場や社会をつくる。

いつの間にか、自分に笑顔と元気が戻っている。


まだまだいろいろな“self”で揺れ動いている自分がいる。

もう少し、“selfless”という生き方ができればと思う。



生涯問い続ける 5つの問い
小野
2010/08/29
組織において生涯問い続けなければならない、重要な次の5つの問いがあると、ドラッカーは
説いています。

一、 われわれの使命は何か?

二、 われわれの顧客は誰か?

三、 顧客は何を価値あるものと考えるか?

四、 われわれの成果は何か?

五、 われわれの計画は何か?

これらの質問につねに組織として組織人として目標管理を通じて問い続けていくことが

重要であるとドラッカーは説いています。

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■ 一、 われわれの使命は何か?

最も重要であるにもかかわらず、腹に落ちにくい使命について、説明します。

◇ドラッカーの言うところの<使命の定義>とは

 ● 現在の活動をなぜ行っているかという理由。

 ● 組織の存在理由や目的。

 ● 人々に”何を成した組織(人)”であるとして記憶されたいか。

 です。

組織は、目的ではなく目的を達成するための手段として存在します。

では、その組織はそもそも、何を成し遂げようとする組織なのか?

当然それが重要となります。

その組織に所属する理由も、その組織が何を成し遂げようとしているのか、
その使命感に共感・共鳴している必要があります。

強い組織ほど、所属する人々に共通する使命感が存在しています。

★ 美辞麗句 ではなく、行動を促す使命であること

 使命を考える際に、多くの人が過ちを犯します。

 たんに美辞麗句をならびたてて使命を作成して、行動や実行を伴わない
 飾りものの使命を作ってしまいがちです。

 そうではなく、心から思うただ一念。

 飾らない簡単なワンフレーズでよいのです。

 『安心をつくる』

 そのような、心から思うただ一念。飾らない簡単なワンフレーズでよいのです。

◇ 耳障りの良い言葉の美しさなどではなく、

  「今何をすべきか  具体的にわかりやすく、かつ行動に移せる」

  そうした使命でなければなりません。

  ある病院では、『安心させる』 として、使命を定め、患者にすぐさま安心させる
  ための様々な、行動としくみづくりを徹底して行い成果をあげているそうです。

  このように、使命は行動につながることが重要です。
  さらに、求められているのは成果につながる行動です。

  行動により成果が出て初めて使命感を果たせ、人々に記憶されるのです。
  
  何かのネタになれば幸いです。


調査の目的は何ですか?
大川 守
2010/08/22
調査の目的は何ですか?

労働組合において目的なく実施される調査は無いであろう。
しかしながら調査報告書を読んで、果たしてこれは「何のため」に行った調査なのか疑問に感じることがある。
最近もそのような調査報告書を目にする機会があった。属性の取り方から設問内容に至るまで実に多彩であり、
報告書も非常にボリュームがある。しかしながら、そこから読み取れるものは「いかに組合員が組合に関心が
低く、関与が少ないか」、反対に「会社には関心が高く、関与が多いか」といったことが鮮明に顕在化されている。

So what ? (つまり、何なのか?)

米国の有名コンサルティング会社Mでは、調査報告などをクライアントに行う前に担当以外の数名を含めた
社内メンバーに対してブリーフィングを行うことを基本ルールとしている。その場での参加者からの決まり文句が
“So what ?” (類訳)「つまり、何なの?」、「そこから何が言えるの?」、「それで?」であるらしい。これは
データを多面的な仮説から検証して結論を導き出す(片面思考に陥らない)ためのシステムとなっている。また、
データそのものの説明(現象面の報告)に終始してしまい、いかなる要因でそのような現象となっているのか
といった分析が不足して
クライアントに調査から分かったこと(考えられること)を示唆できないことへのチェック体制にもなっている。

現場主義(フィールドワーク)の重要性

いかに優秀なコンサルタントであっても、定量化されたデータだけを読み込んで結果に対する原因や環境要因などを
特定することはできない。仮にできたとしても、それは経験値による「解釈」の域を脱しないであろう。
その点で労働組合の調査は有用な活用方法があるという優位性がある。つまり、組合活動や組合員の意識について
定量化されたデータさえ揃えば、原因・要因分析に関しては現場を知り尽くした組合役員や組合員がいるからである。
外部調査業者が集計データをたくさん並べただけでは導き出せない領域を組織内の人材が特定し、改善策の立案もできる。

中部地方の某メーカーの有機的な取組み

実にシンプルな設問設計ではあるが、重要なポイントは押さえている。そして所属(ブロック)ごとのクロス集計とグラフで
職場単位の課題抽出(=課題解決)ワークショップを行い成果を上げている。ある職場(工場の1ブロック)では「いつでも
どこでも誰にでも」笑顔で挨拶するようにすることを職場決定し実行した。数ヵ月後の会社広報物には次のような報告が
あった。「工場見学のお客様より、『社員の皆さんの気持ちよい挨拶が好印象』という感想が増えている」、「工場からの
営業支援になっている」という喜ばしいものであった。

調査データは決算書と同じ性格

決算書(損益計算書・貸借対照表など)は企業にとって法的にも経営上にも必須のものであることは言うまでもない。
ただし、所詮特定の1日の財務状況を輪切りにして示しているに過ぎない。そのデータを見て「売上げが少ない」とか
「借入金が多すぎる」または「自己資本が脆弱すぎる」と指摘(ダメ出し)されても意味はない。誰でもわかることだ。
「どのようにすれば、売上げが伸びるのか?」、「どのように有利子負債を減らし、安全性・健全性を高めていくのか?」
これらの解決策は経営実態を熟知した中でデータを分析しなければ、単なる企業評価にしかならない。
前述の組合アンケートも同様に、どんなに膨大で詳細な報告書があっても現象面の反映だけでは「組合評価」に留まる。
一方でシンプルな調査分析であってもそこから課題を見つけ、原因分析と対策を組合員が共有できれば少しずつでも
着実に課題は解決していくことであろう。
調査の目的を見失い、調査そのものが目的化しては意味がないと改めて感じた。
経営対策活動で得たいもの
吉川政信
2010/08/15
先日、大手製造業労組の幹部役員と交流する機会がありました。そのとき印象に残ったのが、組合の経営対策活動について語ってくれた内容です。
人事制度の運用実態や経営方針の理解等を現場目線でチェックすることは経営対策活動にとって必須といえます。

しかしながら、それ以外に得られるものとして、職場集会や労使懇談会を通して、働く側にとっても自分たちの働き方が経営にとってどんな効果をもたらしたか、経営陣に対して自信をもって主張できる行動とアウトプットを残すことが出来たかを振り返る場になり、各種対話・協議の場がキャリア形成にも繋がるといた内容でした。当然、当労組のすべての職場でこのように状況になっている訳ではありません。

交流会のあと、当労組では、更なる経営対策活動の強化として今一度、各階層における対話活動と労使における協議の場の質を高めるプロジェクトを開始する予定です。

私も当プロジェクトの企画運営に携わることとなりました。
プロジェクトの終了後には、その成果と成功手法をこの掲示板を通して皆様にお伝えしたいと思っています。


経営労務監査という考え方
淺野 淳
2010/09/12
経営労務監査とは、適切な企業成長のために、コンプライアンスと
人材マネジメントの人的側面から経営を支える監査機能である。

企業の2大経営資源である「資本」と「人」の両面から監査を行い、
組織にとっても人にとっても健全な活動を促すものとして将来は会計監査と
同等あるいはそれ以上の重要な監査と位置づけられる可能性がある。

●具体的な柱は3つ
①労務コンプライアンス監査:監査対象基本規定等を評価基準に沿って評価する。
(これは従来の労務監査に近い)

②人材ポートフォリオ監査:「人材バランスシート」と「労務プロセスシート」
で構成されている。特徴的なのは、これら2つのシートが売上・付加価値・を
ベースに、人員・人件費・労働時間・生産性などを必要に応じて指標としてまとめ、
労務諸表を作成することによって、財務諸表と併せて経営諸表になると位置づけて
いることである。

③従業員意識調査:これは、従業員の意識調査の結果を雇用満足度として、業績と
の関係性を分析し「仕事の充実度」を推定するものである。

以上、3つの柱をかけ合わせて経営労務監査と位置づけている。

労使一体となって経営課題を解決する使命を担うこれからの組合リーダーが
労使関係においてリーダーシップを発揮する上で備えるべき、考え方ではないだろうか。

特に、従業員意識調査については、労働組合が主導権を握って実施することによって
データの優位性が担保できることは言うまでもない。

定期大会をおえて運動方針を経営に伝える機会が多くなるこの時期に、労使協議の
議題テーマとして参考にしてもらえればありがたい。