ゆにおん・ネタ帳

ゆにおん・ネタ帳はリニューアルいたしました。

以降の記事は新ページでご覧ください。

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全国3700ほどの労働組合とのお付き合いの中で、記憶に残るエピソードや、これは使えるといったネタをご紹介していくコーナーです。

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2011年

「組織力強化」?
大川 守
2011/12/25
今年も早いものであと1週間。本当に激動の1年であり、これほどまでに大きな環境変化、そして私たちの
価値観が大きく変化した1年は近年ないのではないだろうか。

東日本大震災では甚大な被害に直面し、福島原発事故では未だ収束とはいえない状況にある。これからも
長い期間にわたって汚染処理などの対応が求められるであろう。
-被災者および被災地域の皆さまには改めてお見舞い申し上げます

一方で支援の輪も広がった。「絆」の大切さを実感し、コミュニティの活動や交流が盛んになったという報告も多い。

多くの労働組合も義援金を送った。また、連合は各産別を通じて組合員を募り、継続的に被災地支援を行っている。
-地道な活動は尊敬に値するが、もう少し報道でアピールしてほしい

私たちの中にある「支え合いたい、助け合いたい」という潜在的な意識が、未曾有の災害を経て自発的行動に
つながったのだろう。 -危機感は協力意識を育む

「組織力強化」を標榜する労働組合は多いが、こちらは一向に強化されたという話を聞かないままだ。

そのような中、12月に入り大手メーカーの組合幹部からお聞きした次の言葉が今年一番印象に残った。
「『組織力強化』は『職場力』の強化なんですよね」 -なるほど!

「組織力強化」を声高に叫ぶほど組合員は引いてしまう感じもする。動員をかけられる印象だからだろう。
そして個人としてのメリットは感じられず、組織の方針に合わせるだけ、合わせるふりをするだけになってしまう。

それに対して「職場力強化」はまったくニュアンスが違って感じられる。「上から」協力や団結を求められるというより
「縦横で連携を取って支えあい・助け合う」イメージがするのは私だけだろうか?

-「職場力」の高い企業組織は「組織力」が高いといえるであろう

2012年こそ職場力(=組織力)の高い労働組合をもっともっと増やす支援を行っていきたい。

みなさま、よい年をお迎えください。

ユニオンビジョンに欠かせない「バリュー」とは
吉川政信
2011/12/15
最近、多く相談を受けるのが組合組織のビジョン策定である。その際に必ず説明を求められるのがミッション・ビジョン・バリュー・ドメインいった用語の説明である。そこで、私が理解している各用語の定義を説明したい。

《ミッション》とは
何のためにこの世の中に存在しているのか存在理由を示したもの。
利己的な目的ではなく社会・地域・国家といった組織を超えたレベルでの普遍的な価値を提供する存在理由。理念・綱領と同じ位置づけで使われることがある

《ビジョン》とは
ミッションを追求したときの「状態」を示すもの。
ミッションを追求したときの組織や組織を取り巻くステークホルダーなどへこうなって欲しいという願いを込めたありたい姿。
いつの状態を示すか定めはないが、一般的に3年~10年

《バリュー》とは
ビジョン達成に向けの組織構成員の行動基準を示したもの。
行動規範・行動指針・信条など、ビジョンを達成する上での守るべき行動や迷ったときの価値判断基準として位置づけるもの。
(例)「法令順守」:法律をも破ってビジョン達成はならない
   「安全」:顧客・従業員の安全を確保しなければならない

《ドメイン》とは
ミッション・ビジョンの活動範囲・領域を示すもの
組織が属する場、活動の場を独自の目線で細分化して示すもの。
「地域社会」「家族」「会社」「組合員」などのように示すことが多く、組織を取り巻く環境  
や価値を与える属性を分かり易く示すもの。

上記用語の中でも、特に注目して欲しいのが「バリュー」である。
バリューは、組織ビジョンを達成する上で組合員一人ひとりがとるべきすべての行動への価値判断基準で「バリュー」で求められる行動と思考法がその組織特有の組織文化として現れる。
具体的に「バリュー」とはどのようなものなのかを事例で説明したい。

【医療・化学品メーカーにおける;タイレノール事件】
●1982年に頭痛薬タイレノールにシアン化合物が混入され8人が死亡。 直ちに7500万ドルを投じてタイレノールを回収。短期的には莫大な出費となったが、長期的には当面の危機を乗り切るだけでなく、業績が事件前をしのぐ水準にまで回復。
●タイレノール事件で経営陣が迅速に判断を下せたのはバリューズ(価値観)を基準にしていたことや、価値観に優先順位をつけ、「顧客に対する責任」を一番にあげていたことと評価されている。
 
《バリューズ》
「顧客に対する責任」「社員に対する責任」「地域社会に対する責任」「株主に対する責任」

「バリュー」とは組織の中で、業種、業態、働き方の異なる様々な人たちが属する組織においても、これだけは皆が共通して守っている考え方や思考法として浸透していることが理想である。

今、私が携わる労組でも、ビジョン達成には欠かせない組合役員・組合員の人材育成プログラムを策定し展開しているが、そのプログラムの基底となるのは新たな「バリュー」である。教育方法もセミナーに限らず地域住民への貢献活動や異業種交流、組合役員が集まる場でのディスカッションなど多岐に渡る。

ミッション・ビジョン構築と人材育成計画は表裏一体といわれるが、その基底となるものが組合員一人ひとりのあこがれる明確な「バリュー」といえる。
対立を止揚する
淺野 淳
2011/12/11
労働組合マーケティングの実践において、新たなアイデアを創出するためには、
活動現場で対立を止揚するという発想が欠かせません。

私たちは、従順にリーダーに賛同するフォロワーだけを集めたチームからは、
大胆な発想が生まれないことを知っています。

しかし現実には、自分とは反対の視座・視点の意見を、どのようにコンセプトに組み込み、
調整し一致点を見出すのか、そこに技術的な不安を感じ、理想とするグループ編成や会議、
コミュニケーションを阻害してしまいます。

「止揚」するとは、捨てる・否定するという意味と、保存する・高めるという両面の意味があります。
この矛盾する言葉の意味を組合活動に活かせないでしょうか。組合活動はそもそも、組織内で起こる矛盾に対峙し、
その矛盾の中から価値を見出す組織と言えます。

更に「止揚」するとは、
古いものが否定され新しいものを生み出す際、古いものが全面的に捨て去られるのではなく、
古いものが持っている内容のうち積極的な要素が新しい段階として保存される。

あるものを、そのものとしては否定するが、契機として保存し、より高い段階で生かすこと。

対立を如何に発展的な契機と捉えて、変化への反対意見を保存しつつも、
組織のエネルギーに変換していけるような活動がイメージできます。

しかし、現状の組合活動で多く見られる問題点は、

そもそも、意見が聞こえてこない!反対意見なんて、そもそも挙がってこない!
あらゆるニーズに対応するのが組合じゃないのか?といった依存型思想。
また、その逆もあり、そもそも組織に期待していない!

その背景には、議論することに対する諦め、敗北、時間の浪費などのマイナスイメージが根底にあります。

また、世代間によって議論スタイルのギャップ、
この問題は組合活動によって解消できる原因だと思います。

それでは、私たち労組リーダーが持つべき視点は何か

①活動コンセプトを明確に持つこと。
すなわち、具体的な諸活動が、そのコンセプトによって貫かれているか?
②議論スタイルの新たなモデルを組織に提案すること。
すなわち、公平感をもって活動が推進されている自負があるか?
③反対意見の良い点を見出し、コンセプトに結びつけること。
すなわち、従来の視点から労組を再点検し、強みを分析しているか?

これらのことを、日常活動に取り入れる準備を進めてみてはどうでしょうか。
具体的なやり方はまた別途、ご一緒に考える機会があれば幸いです。

先日、各単組織の委員長が集まる懇親会の席で、あるベテラン委員長が、アンチ労組の組合員に、
執行部へ誘い一緒に活動をすることを敢えて伝えるという話を聴いて今回のテーマがひらめきました。

まだまだ、組合活動への支援は尽きないと、お客様のニーズが鮮明になった瞬間でした。

引き受け
服部 恵祐
2011/12/04
7、8年前になるだろうか、年12回の研修を若造の私に依頼してくれた組合(その業界ではリーディングカンパニー)の委員長がいた。

毎月その研修には、何故か、ライバル企業の組合役員が参加していた。

委員長はいつも、「ライバルの前に、同じ業界で働く仲間なんだよ」とおっしゃっていた。

先日弊社主催の現場知フォーラム(無料の研究会)をしていたら、その12回全部参加してくれたライバル企業の組合役員が書記長になって参加していた。

「あの委員長どうなった?」と伺った。

「親会社の経営破綻の危機に際し、ローパフォーマーかつ高賃金の中高年組合員20名を引き連れて、自分もろとも会社を去りました。今は、成田市で代行タクシーの仕事をしておられます」
とのこと。


自分のことはいつも後回し。


誇り高き、委員長であった。


組合役員の修行
小野
2011/11/27
組合の幹部の方が、誰かにお話されるネタを紹介したいと思います。
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やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。

(山本 五十六 の名言ですが、続きがあります。)

話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。

やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。.

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■つまりは

人を動かすには、
 1.まずやってみせて、色々と言って聞かせる。
 2.次に失敗したとしても、思い切ってやらせてみせる。
 3.そして、ほめること。

人を育てるには
 4.よく話し合って、耳を傾けてよく話しを聴いてあげる。
 5.その人のことを認めてあげて、任せてあげること。

人が実るには
 6.その人がやっている姿を感謝の心で見守ってあげること。
 7.その人を信頼してあげること。

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<労働組合の役員の皆さんに通ずる修行の言葉>

 苦しいこともあるだろう

 言いたいこともあるだろう

 不満なこともあるだろう
 
 腹の立つこともあるだろう
 
 泣きたいこともあるだろう
 
 これらをじっとこらえてゆくのが
 
 組合役員の修行である.

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 組合員のために、会社のために、ぐっと腹に飲み込んで、
 じっとこらえてゆく、組合役員の方へピッタリの名言です。

以上、何かのネタになれば幸いです。


「うつ病」と「怠け病」の見分け方
中岡 祐子
2011/11/20
タイトルにはっとした方、どのような思いでこの記事を読もうと思いましたか?
「そうなんだ!それについて困っているんだ!見分ける方法を知りたいよ」と思った方もいるでしょう。


うつ病は特別な病気ではありません。
そのことについて、多くの人が理解するようになってきましたが、新しい問題も生まれています。


先日、セミナーである地銀労組の委員長にこんな話を伺いました。
その労組では、数年前に1人の新人が精神系の疾患で休職することになったのです。
すると、それをきっかけに他の新人も次から次へと病院へ行き、
診断書をもらってきて休職することになったのです。
会社としては、きちんとした診断書があるので受け入れざるをえませんが、
当時、委員長の心の中には納得のいかないものあったようです。
しかし数年たって「本当は自分たちの職場に何か問題があったのではないかと思うようになった」というのです。


「うつ病」の診断書を伝家の宝刀のように差しだし、
堂々と長期休暇に入る社員が増えている!と訴える企業が多くあります。
確かに、うつ病をスピーディーに判断するための基準として、
アメリカ経由でDSM-Ⅳという診断基準が採用されるようになって、
診断書自体は比較的もらいやすくなっているようです。
少し病気について知識を得れば、診断書を入手できることも可能かもしれません。


でも、うつ病と怠け病を見分けたとしても、そこには何の意味もありません。
本当に労使で考えなければならないのは、

もし本当に偽りの診断書をもらう社員がいたとしたら
「そうまでして会社に来ることを拒む社員がいる」
というこの現実なのです。

仕事はいつも順調とは限りません。
ちょっと苦手な人間関係だって少しはあるでしょう。
そうだとしても、多くの人は普通に会社にいけるのです。
それなのに、病気をよそおってまでそれを拒みたい気持ちや思いがある。


おそらく、上司との面談などがあっても、その気持ちを正直に話すのは難しいのでしょう。
偽りの診断書をもらうという行為は、追い詰められた社員の気持ちや行動の一面でしかありません。


大切なのは、そこにいたる経緯も含めて、本人の思いや気持ちを受け止めることです。
もしかしたら、職場環境などについて耳の痛い話を聴くかもしれません。
だとしても、そういった自分の考えを脇に置き、真摯に相手の話を受け止めることが必要なのです。
なぜなら、本人がそれは無理だと思っているから、会社や上司と話し合うという選択を諦め、
偽りの診断書を手に入れるという行動をとっているのです。
言い換えれば、会社がそうさせているともいえるのです。


くだんの地銀労組のセミナーをさせてもらった感想は、受講者がとても明るく素直だということでした。
委員長の内省が良い方向で、組合活動に反映されているのだと思いました。




目から入る情報の強み
渡邉 秀一
2011/11/13
久しぶりに、あるお客様の動画作成をお手伝いしました。

少し特殊な方法でセミナーの模様を動画として切り取り、DVD用のメニューなどを作
成するといった内容でした。
その過程で、音声がちゃんと録音できているかをチェックすべく、画面を見ないで「音だ
け」をヘッドホンを通して聴く作業をしておりました。
編集の段階で飽きるほど画面は見ているはずなのに、理解しやすさという点では、画面
がある場合のほうがあたり前ですが、数段高くなります。
実際の画面上には講義で使用したパワーポイントの映像が中心になっているだけでした
が、たったそれだけでも「音だけ」よりも比べ物にならないくらい説得力が増します。

このようなツールで学習された組合の方は、意識しなくとも内容の理解が非常に容易に
なったのではないかと思われます。

今後の組合活動においても、目から入る情報(動画や画像、グラフなど)の強みである説
得力を大いに活かす必要があると実感しました。



ギリシャ危機と民主主義とリーダーシップ
佐々木 務
2011/11/06
最近のニュースで私がもっとも注目しているのはギリシャの問題です。
この問題は、今後の世界経済の行方を大きく左右する大変な経済問題なのですが、
それ以外に、先週のEUの包括策受け入れの是非を問う国民投票を実施するか否か
という動きにおいて、組織のリーダーシップと民主主義のあり方について、
とても考えさせられる事がありました。

今回の件でとても感じた事は、リーダーシップと独裁、民主主義とポピュリズムは、
ある意味、紙一重であるということ。また、その時代や組織の状況、局面、環境によって
受ける印象が大きく違ってくるということです。

ギリシャのパパンドレウ首相が、包括策受け入れの是非を問う国民投票を実施しようとし、
国民の理解を得ようとしたことは、民主主義の論理から言えば決して責められるものでは
ないのでしょう。
しかし、今の危機的状況における一国のリーダーとしては、強いリーダーシップも求めら
れるわけで、リーダーとしての政治的重要な決断責任を、安易に民主主義の名のもとに、
国民投票という多数決に責任を押し付けたようにしか思えません。

世界中がその結果を悲観していた国民投票は、結局一旦は回避されることとなりましたが、
この件を通して、この国のリーダーシップの欠如と、大局観を持てない民意に安易に追従
するポピュリズムの怖さを思い知りました。

「みんながこうしたいというからこうします。」では、何のためのリーダーなのか?
民主的リーダーシップというものは、まず大局観を持って組織の進むべき道を強く示し、
メンバーを説得しつづけていく事をあきらめない事が重要なのだと思います。
「みんなはこうしたいかも知れないが、今はこうしないといけないんだ。」と説得し、
民主的に合意を得ていく努力を怠らないこと。

より民主的な意思決定が求められる労働組合であっても、安易な多数意見に逃げずに、
組織の進むべき道を示し、組合員の理解を深めていく。
変化の激しいこんな時代だからこそ、そんなリーダーシップを発揮することが、様々な
組織に求められているのではないかと思います。

そういえば「日本の政治には独裁が必要」と声高にアピールする何かと話題の前知事も
いますが、彼の行動が「独裁」なのか、「リーダーシップ」なのか?
こちらも注目していきたいと思います。

働き方を改革する
伊東 隆太郎
2011/10/30
「ワーク・ライフ・バランス」という考えが浸透すると共に、
その対策活動として「働き方改革(改善)」という言葉を良く聞くようになりました。
組合の議案書を拝見しても、多くの場合それを見ることができます。

では「働き方を改革する」とは、どういう活動を指すのか?という話になると、
業種・組合役員構成(専従の有無)・組織体制(一ヶ所集中または広域分散)など、
さまざまな要因に影響され、取り組み方は非常に多様なようです。

ある組合では「働き方が改革された状態ではどういう職場になっているのか?また、改革して何を目指すのか?」
といったゴールイメージを組合として持つため、議論をするところから始まりました。

またある組合では「組合員に“自身の働き方に問題があると認識し、それを自らが改善すべきだ”と
感じてもらう事が全ての始まり」と考え、組合員に対し、働き方改革の意義や狙いを周知させました。


そのような中でも、非常に多いのが「長時間労働対策」の取り組みです。
さまざまな組合役員の方々に話を聞いた結果、以下のような考え方が浮かび上がってきました。
具体的な進め方については千差万別あるかと思いますが、何かの参考になれば幸いです。


長時間労働が実態としてあるが、単に労働時間を減らそうとするだけでは不十分である。
なぜなら会社から求められるアウトプットは変わらない(もしくは増える)から。

ここでいう仕事におけるアウトプットとは
【要員マンパワー(人数×スキルレベル)×労働時間】と表すことができる。
(つまり人さえ多ければ良い、というわけではない)

人数を増やすことができず、かつ労働時間を減らすのであれば、スキルレベルを向上させることが求められる。
そのためには職場全体での取り組みが必要になるのだが、ポイントは2点ある。


①職場における互いに助け合う風土の醸成
②上司の部下支援

個人の仕事の範囲が明確で仕事の進め方に裁量性があり、上司や職場の雰囲気が支援的で
かつ協力しあう状況で労働時間の削減に取り組むことがWLB満足度を高める、
という調査結果も出ている。

①②共に実施していくには管理職の力は欠かせないが、是非一度職場集会などで
「自分たちに何が出来るか?」を議論してもらいたい。

特に①は「職場の雰囲気」「職務互換力の向上」に対する取り組みであり、
可視化し難いが「パートナーシップ」でアウトプットの質・量の向上につなげることができる。

また②において、管理職の働き方には懸念があり、一般社員以上の長時間労働となっており
マネジメントに注力できていない場合がある。その場合には上司のマネジメントを
サポートするという意味で「フォロワーシップ(部下力)強化」が求められる。
未来への礎「夢」
細越
2011/10/23
2011年10月5日、スティーブ・ジョブズが56歳の若さでこの世を去った。
アップル社の創業者であり、最近話題のiPhoneやiPad、Macといった斬新で個性のある製品を
世の中に送り出してきたカリスマ経営者である。同業同世代を歩んできたものにとっては、
デジタル社会の先駆者であり、本来、仕事で使う目的の系譜をたどった計算機を、日常生活で
使える家電製品へと当初から位置づけたイノベーターとしてご存知の方も多いと思う。
回りくどい言い回しになってしまったが、要はIBM系パソコンに対して、アップル系パソコン
の違いを社会に問い続けてきた人だ。

ジョブズ氏の言葉に「製品を売るな。夢を売れ!」という言葉がある。社会に変革を与えた
商品にはこの言葉の意図を汲んだヒット商品が実に多い。
そんな夢を与えてくれた商品として引き合いに出されるのが、ソニーのウォークマンである。
ウォークマンが流行った当時、私もジーンズのポケットにウォークマンを忍ばせ学校に通った
ものである。カセットテープに録音した自分の好きな音楽や新譜レコードから録音した曲を、
いつでも好きな場所で聞くことができるというのは刺激的なことだった。中高年を迎えた世代
なら、当時の懐かしい「わくわく・どきどき」シーンを連想される方も多いと思う。

今年は3.11の東日本大震災があり、それに関連して福島原発の問題など何かと悪いニュース
が続く。そんな中で、女子サッカーなでしこジャパンの優勝は明るい話題として大きく取り
上げられた。多くの人がこの明るい話題の中に、これからの日本社会の復興に向けて
一縷の光を感じたのではないだろうか。不思議なもので事物は悪く捉えれば、ますます
悪い方向に心が向かい、良い捕らえ方をすれば、良い方向に向かうという。だから、物事を
良い方向で捕らえ、肯定的にに捕らえるようにすることが良い結果につながるという。この
考え方が、プラス思考とかポジティブシンキングというらしい。

では、自分の思考はどうなのかと改めて考えてみた。どちらかというとマイナス思考より
である。常にプラス思考で事物を捉えるには、まだまだ自己鍛錬が必要なようだ。そこで
先のジョブズ氏。たぶん途轍もないプラス思考だったと思う。なぜなら、彼は事業を通して
、彼の人生をかけるにたる「夢」を常に持ち続けることができたからだ。偉人のような
壮大な「夢」にはまるで及ばないが、私なりのプラス思考の礎となる「夢」を育んでいきた
いと考えている。