ゆにおん・ネタ帳

ゆにおん・ネタ帳はリニューアルいたしました。

以降の記事は新ページでご覧ください。

https://www.j-union.com/idea/

全国3700ほどの労働組合とのお付き合いの中で、記憶に残るエピソードや、これは使えるといったネタをご紹介していくコーナーです。

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2015年

組合員に想いは伝わってますか?
三橋 秀郎
2015/12/27
組合役員の皆さん! 組合活動の想いや考え方は伝わってますか?

よく職場集会や研修会の場などで報告している、伝えていると伺いますが、
「伝えている」けど、「伝わっていない」と感じることがあるかと思います。

今回は、私が学んだ『伝わる話し方』の一部をご紹介させていただきます。


話し方の三原則 (1)わかりやすく(2)簡潔に(3)印象深く


(1)わかりやすく
 相手の身になる。つまり、相手がどのような気持ちで参加しているのか
 理解した上で話し方を工夫する

①適度な大きさ、ハッキリした口調
 小さな声や早口、大きすぎる声は聞き取りにくい、威圧的に感じます
 当然のことですが自分ではわからない場合が多いので他人に一度聞いてもらうのがおすすめ

②テンポよく、メリハリをつけて話す
 話すスピードが遅すぎると、テンポが悪く眠くなるので、抑揚をつけて熱意を持って話す

③整理して話す
 前置きが長いと結論が見えてこず、飽きてしまいます
 話したいことの内容構成を「起承転結」や「主題 → 内容 → 結論」など整理しておく


(2)簡潔に
 つまり、短く話すということです。簡潔に話すことにより「聞く負担が減る」「とっつきやすい」
 「ポイントがわかりやすい」「印象に残る」という効果があります

そのためのポイント
・1分間で300~350文字程度を目安に話すと聴きやすい
・事前準備をしっかりする(思いつくまま話すから長くなる)
・PREP法を活用する(P:結論 → R:理由 → E:具体例 → P:結論 の順番で話す)



(3)印象深く
 「視線」「ジェスチャー」「声の出し方」の3つを意識する

①視線
 一人ひとりと話しかけるように目線を合わせる

②ジェスチャー
 手を上げたり下げたり、または広げたりしながら感情を表現する
 人は目からの印象に強く影響を受けるので、相手を引きつけるのに有効

③声の出し方
 相手の状況によって声のトーンや強弱を変える
 説得力を持たせたいときは低い声で、元気を出させたい時は高い声でなど、
 その場の状況に応じて使い分ける



すでにご存じで実践されている方もいらっしゃるかと思いますが、今後の活動の参考になればと思います。
ワークって?ライフって?
三浦 卓也
2015/12/20
仕事と生活のバランスが、最近どうもうまくないです。

だからなのか、そもそも「わーく・らいふ・ばらんす」ってどういうこと?
と、ふと考えてみました。

仕事も自分の生活、人生の一部分なので、、、
そうすると仕事と生活のバランスを取る、というよりも、仕事を生活全体の中でどこに位置づけるか、
という見方のほうが、自分的にはイメージとしては近いかなと。

じゃぁ、その仕事って?

いま、この会社で自分が日中行っていることは、会社が行う事業に対して労働力を提供し、
対価として賃金をもらっているので、たぶんそれは仕事と言われるものだと思います(笑)

が、仕事って、そういうものだけなのか?

世の中のお母さんが子供を育てていく、24時間365日休みのない「労働」も「仕事」と
言えると思いますが、対価としてもらっているのは賃金ではなく、かけがえのない「何か」だったり。

逆に親の介護で、やはり24時間365日休みのない「労働」をしている方も、それは「仕事」を
している、と自分は思います。対価として「何か」をもらっている方もいれば「義務」として
果たしている方もいますよね、きっと。

広辞苑では「仕事とは(経済学)人間が自然に働きかけて、生活手段や生産手段などを
つくり出す活動のこと」と書かれている(ようです)。

この定義からすると自然相手かどうかはともかくとして、生活したり、何かを生み出したり
する活動のことは「仕事」と言えそうです。そうすると「家事」も衣食住の
維持ですし、「家族サービス」も家庭環境の維持だ、とも(多少こじつけ感ありますが)。

本を読むことも、テレビや映画を見ることも、それが「明日の意気込みややる気」に繋がる
のであれば「仕事」と言えなくもないですよね。
先日テレビで、新人の女子アナウンサーが天気予報番組での冒頭の15秒コメントのために、
下町の商店街を散策しているシーンを見かけました。それは、彼女にとって業務時間外で
あり、プライベートの帰り道なわけだけですが、彼女にとっては十分に仕事でした。

WikiPediaによると、

ーーーーー
ワーク・ライフ・バランス(英: work–life balance)とは、「仕事と生活の調和」と訳され、
「国民一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、
家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な
生き方が選択・実現できる」ことを指す[1]。
ーーーーー

だそうです。

そうか、人が生きていくうえで日々過ごしていくことが、ある意味全て仕事だと見れば、
ワーク・ライフ・バランスは、

「仕事」と「生活」の調和というよりは、
「日々自分が生活している中での全てのコト」の調和と見ればいいのか。

と、なんとなくの結論。

24時間*7日間 いま、自分が毎日やっていること一つ一つについて、
ストレスを抱えずに充実させていけるよう、出来ることはやって、、、いきたいと思います(笑)
「一番思い通りにならないもの」と「一番大切にしたいもの」
檜垣 沢男
2015/12/13
先週のある日。
私は、陣痛を訴える妻の声で目が覚めた。


その日妻は、妊娠39週を迎えていた。
上司には1日休みをもらうことを伝え、妻を病院へ送り届けた。


5分に一度めぐる痛みに、もだえる妻。
その隣で、突っ立っている私。


この無力感にいたたまれなくなった私は、
病院のそばにある古い喫茶店に入り、
ピザトーストを食べ、カフェラテなんかを飲んでみた。

がしかし。
いてもたってもいられなくなった。

すぐに、陣痛室へ舞い戻る。


妻のうめき声は、ますます強くなっている。


その時間は、まるで永久に続くかのようだった。

・・・・・


今年は、本当にいろんなことのある一年だった。

そう思うのは、妻の妊娠だけが理由ではない。
たくさんの種類の仕事に挑戦させてもらったからでもある。


組合活動の企画提案、意識調査の設問設計や分析、そして部下の支援。
さらには、当社内の組合の執行委員長まで。


中でも今年は、組合役員向けのマネジメント研修や、
組合員向けのキャリア開発研修の講師を務める機会が多かった。

自分の仕事も満足にできないのに...と、悩みと反省の毎日だが、
一緒に研修を企画した役員の方や参加者の方からもらえる言葉に、救われる。


中でも私が一番うれしかったのは、参加者のこんな感想だった。

「檜垣さんの研修を通じて、自分の軸を定めることができました」


私たちは、自分の思い通りに他人や環境を動かすことができない。
偶然の出来事や、気の進まない仕事、思いもよらない問題に、流される毎日である。

だからこそ、そんな毎日の荒波を進む「羅針盤」が、私たちには必要なのだ。


言い換えればそれは、
一日の中で「一番大事にしたい仕事」は何かを常に問うことであり、
一年の中で「一番大事にしたい時間」をどう過ごすかを常に考えることであり、
一生の中で「一番実現したい目標」に向かって、常に努力を続けることだと思う。


その感想を読みながら、
研修講師の立場で自分が伝えたかったのは、
結局「そういうこと」だったんだということに、改めて気が付いた。


・・・・・


16時間にわたる格闘の末、
妻は無事に子どもをこの世へ送り出してくれた。

子どものほうも、
本当に一生懸命、この世に生まれ出てきてくれた。


あれから一週間。

子どもは今、私の後ろで変な鼻息を立てて眠っている。

口が半開き。
ということは、もうそろそろあの叫び声を上げる時間と見た。


妻は疲れ果てて眠ってしまったので、
こいつと格闘できるのは、私しかいない。


「この世で最も思い通りにならないもの」との格闘が始まる。

「“自分が一番大切にしたい時間”を、どのように過ごす?」という問いを、
もう一度、今問い直してみよう。


・・・・・


そう身構えてから早1時間。夜中の1時30分を回った。

彼は、まだ気持ちよさそうに眠っている。
私だって、眠りたい。


「一番大切にしたい時間」はどうやら、
「一番思い通りにならない時間」でもあるらしい。
組織力を高める3つの「鍵」 ーユニオン・リノベーションのススメー
淺野 淳
2015/12/06
■組織力の低下

労組にとって2015年は、どのような年でしたか。
経営陣との労使関係上でのプレッシャー、組合員との労労関係上でのやるせなさ。
会社はサービスや商品を作り社会に貢献する組織ですが、労組は人を作り、会社や社会に貢献する組織です。
それゆえ労組は明確な活動指標を持てないため、周囲から評価を得にくいものです。

一年を振り返り、組合役員の皆様から聴こえてきた声「最近の職場は不満の声すら聞こえてこない」
「組合役員の、やらされ感が益々高まってきている」「経営者や現場管理職からも頼られていない」。
組織力が年々低下しているという実感の声の数々。これでは、リーダーとして腰が引けてしまうのも無理ありません。

会社があり続ける限り労組は存在する。あくまでも会社にとって労組は非公式組織。そんな考えに逃げ出したくなる。
組合役員として自らを奮い立たせる軸は、会社が存続するために労組がある。これが労組の来の目的であるはず。
わかっているけど実際に何から手を点けていいのやら。


■ユニオン・リノベーション

この数年間で労組の組織力は低下しています。組織力低下の原因はずばり「リノベーション」にあります。
リノベーションとは、古い建物などの良さを生かしながら新築以上の性能を向上させるなど、
新たな付加価値を生み出すことを示す言葉です。
組合活動をリフォームし現状回復するレベルで捉えていては、益々労組の組織力は逆風の元にさらされることになります。

労組の組織力は組合員数や参加率、回収率、役員のなり手などなどをバロメーターにするのが一般的ですが、
組合活動をリノベーションし、新たな価値を創造するためには「組織力」を再定義することがお勧めです。


■「組織力」を再定義しよう

「労組の組織力」
 =組合員の活動ほれ込み度(労組から経営への提案内容に組合員がほれぼれしている)
 ×組合役員の活動楽しみ度(組合役員がいきいきと活動にチャレンジしている)
 ×組合員の仕事デザイン度(組合員が組合活動に参加することで自ら働きがいを感じている状態)
と定義されます。

再定義された「組織力」に基づいて活動計画を立案することが大事です。


■3つのリノベーションで組織力UPを!

1.「組合員の活動ほれ込み度」を上げる活動はズバリ、春闘です。
 お勧めは、全員参加の呪縛を解き、執行部による長期的視点にトコトンこだわった議論展開から、
 組合員が刺激されるような経営提言を創造することです。
 もちろん提言することが目的ではありません。春闘後の組合員へのフィードバックからが
 本当の議論のスタートになります。
 結果的に組合員を巻き込んだ組織展開が可能となるでしょう。

2.「組合役員の活動楽しみ度」を上げる活動はなんと、政治活動です。
 短期的な結果にトコトンこだわった計画を立てます。職場委員の数々の「できない理由」を受け止めつつも、
 組合役員が問題点を徹底的にシンプルかつ具体化し、本質的に人が持っている純粋なチャレンジ精神に火をつけます。
 組合活動とはチャレンジすることに意味があることを実践から学びます。結果を追いかけるが故に、
 結果に関係なく得られるものがあることを実感できます。組合活動で人が育ち、組織力がアップします。

3.「組合員の仕事デザイン度」を上げる活動はもちろん、評価制度での被考課者支援です。
 ジェネレーションギャップを組織不活性の理由にせず、若手中心に上司マネジメントを学び実践する支援を労組が行います。
 仕事をデザインするのは部下の仕事です。個別労使関係で発揮される部下のマネジメント力を磨かなければ優秀な上司は育ちません。
 勇敢なフォロワーが育つ風土づくりに着手するからこそ、組織力が現場からよみがえります。


2016年のスタートダッシュに向けた師走の議論の参考になれば幸いです。
あなたはありたい姿を他者へ語れていますか?
丸山 由紀夫
2015/11/22
『(あなたは)ありたい姿をメンバーに語れていますか?』

今、必要とされるリーダー像(組合役員)について述べていきたい。

先日、ある労組で研修を実施したときに、その前説で担当の組合役員が語った言葉が
とても印象的であった。


 ~前説の言葉~

今回のセミナーの開催目的は「悩みを抱えているときは、いつでも私に相談してきて
ほしい。組合に相談してきてほしい。私は(組合は)全力で組合員をサポートする。
今日は“上司・部下や同僚など”周りとの人間関係が少しでもより良くなるためにはと
考え、今回セミナーを企画しました”だから一緒に勉強していこう!」

組合員に“もっと元気になってもらいたい”“もっと自分らしく仕事(人)を楽しんでもらいたい”と
切に思う熱い担当の組合役員の強い気持ちが伝わる前説であった。


筆者は、組合の現場で研修を行う機会もあるが、近年、研修目的や開催意図を参加者が
知らない(伝えていない?伝えているが伝わっていない?)で、ただ席に座って待たされて
いるような研修会が増えてきているように感じる。また、主催者に代わって講師から
研修意図そのものを伝えてもらいたいとお願いされる研修会もある。


皆さんはこのような実態をどう考えるだろうか?

このケースからリーダーシップのあり方の違いについて考えてみたい。組織のリーダーの
あり方には大きく2つのタイプがある。

 1.Do型リーダ
  人に対して、目標を示し「あれをしろ、これをしろ」といった“すること”を
  指示命令し組織を統卒していくタイプ
   ・・・このタイプのリーダーは、何をすべきか、メンバーに何をさせるか
     を重点に考えメンバーへ常に接している

 2.Be型リーダー
  組織ビジョンや自らの思いを伝え、メンバーの価値観を共有し、周りとの関係性や
  情熱を高めることを最も重視し、組織の成長を支援していく(つなげていく)、
  リーダーとしての『生き方』『生き様』に力点をおいているタイプ


本稿を読んでいるユニオンリーダーはどう感じるだろうか。
もちろん、どちらかが良い悪いというわけではない。しかしながら、近年多くの組織では、
“マネジメントの過剰とリーダーシップの欠如”に悩んでいると言われている。
Do型リーダーは、ややもすると人と人との相互作用を生み出すことができず、あらゆる
ことが一方通行になりがちである。

Be型リーダーは、自らのビジョンを生き(そこを目指し誰よりも自らが努力している姿を
周りに示す)、日常メンバーへ言っていることと実際にやっていることが一致している
タイプである。極端なことを言えば、自らの人生を通じて、社会に対してどんな貢献(奉仕)が
できるかをありたい姿に置き換え、普段の行動に投射しているタイプである。

リーダーとしてのさまざまな要素から、Do(やること)を引き算して残ったものが
Be(ありたい姿や切なる思い)である。もし何も残らなければ、オートメーション化された
現代において、リーダーシップを果たせる力としては、あまりに寂しいものになるであろう。


冒頭に述べた研修会の前説で語った組合役員は、極めて高いレベルでBe型リーダーを
実践している役員であった。そして、その研修会は参加者全員が自らのありたい姿を語り、
相互の思いや価値観を行動レベルで共有し合える、極上の時間を過ごせたと感じた研修会に
なったことは言うまでもない。

「いつまでも変わらない本質」と「時代時代に応じた変化」
室橋
2015/11/15
山形県にある山寺・立石寺は、俳人 松尾芭蕉が訪れたことで歴史ある場所。「閑さや岩にしみ入る蝉の声」は山寺で詠んだ有名な句です。紅葉シーズンで混みあう前に、念願叶って山寺に行ってきました。

ご存じのとおり、松尾芭蕉は弟子の河合曽良と奥州への旅に出ます。そして、北陸を経て、美濃大垣に着くまでの約150日間にわたる旅の紀行文が『おくのほそ道』です。松尾芭蕉は旅の中で、俳諧の本質について「不易流行」という言葉を残しています。「不易」とは、いつまでも変わらない本質的なこと、「流行」とは、時代時代に応じて変化すること。

「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」。不変の真理を知らなければ基礎が確立せず、時代の変化を知らなければ新たな変化がない。つまり、松尾芭蕉から学ぶことは、変わらないものを変わらないまま伝え続けることではなく、変わらないものを時代の流れに合わせて、新たな価値を加えてあらためていくということでしょうか。

人と組織が成長するためには、「変わるものと変わらないもの」「変えないものと変えるもの」を見極める。時代に合わせて変化する、「流行」も必要ではありますが、やみくもに改革すればいいというものでもないようです。変わらない本質、「不易」をきちんと追求することも重要です。最近、組合ビジョン策定や見直しのお手伝いが増えています。お客様の組織や活動にとっての「不易」と「流行」とは何かをしっかり議論していきたいと思いました。
組合リーダーのモチベーションは高まっているか?
松山 晃久
2015/11/06
 最近、組合リーダーに向けて、学習会を進行させていただく中で変化を感じることがある。
それは、特に新任の組合リーダーの方の組合活動に対するモチベーションが全体的に高まって
いると感じることだ。組合役員を引き受け、組合活動をやることへの意識が高まっているのだ。
 現在の若手役員対象に実施された「次代のユニオンリーダー調査(第4回)※労働調査協議会実施」
の結果も参考にしながら考えてみたい。

 学習会におけるグループでの対話の中で、組合役員をやることのメリットやデメリットに
ついて話してもらうと、モチベーションの高い組合リーダーが多い組合ほどデメリットよりも
メリットのほうが数多く出る傾向にある。最も多いデメリットは、休日や時間外に活動する
ことが多いというもので自分の時間がとられるというものだ。そのことで、仕事のやりくりに
困ったり、家族の理解が必要だったりする。
(組合活動で感じる不満や悩みの1位は「自分の時間や家庭生活が犠牲になる」45.7%)

「自分から手を挙げて組合役員になられた方いますか?」セミナー中に質問すると、
ほぼ手が上がらない。50人参加者がいるとして、多くても2人いるかどうか。
調査結果では自ら率先して役員になる方は、3.1%。おおよそ100人中3人しかいない。ほぼ
このデータと実態が合致している。

では、なぜ組合役員を引き受けようと決断するのか?

「組合役員を引き受けた理由」の第1位は、情報が広がり視野が開けるというものだ。
つまり、とりかかりは自分視点で、自分にとってどんなメリットがあるかが大きいといえる。
しかしながら、実際に活動に関わる中で、職場や会社全体の状況を俯瞰的にとらえることが
できるようになり、経営層や管理職層との対話や、組合活動を通じた社内外の人脈の広がり
の中で、視野が開けていくという道をたどる。

 実際に退任される方にときどき聴いてみる。「組合活動やってみていかがでしたか?」すると、
100人中98人くらいは「やってよかったと思っています」と実感のこもった返事が返ってくる。
理由としては、視野が広がるだけでなく、経営者の視点で会社をとらえることができ、経営者の
会社運営の苦労がわかった。さらに労務知識を得たり、職場集会でどう組合員の声を集めるか、
ファシリテーターの能力や、労使間の交渉を通じて折衝力、交渉力が身につく。そのことが、
会社業務に戻ってもリーダーとして役に立ち、仕事以外での交流や、地域活動にも生かされていく。

 組合活動における充実感も2001年(前々回調査)と比較して、20ポイント近く上昇している。
(充実感を持てている層が、45.9%から64.8%に上昇)


 調査概要によると、賃金も労働時間もむしろ悪化し、組合幹部が何も取れない、要求できないと
嘆いている時期に、なぜ充実感が増大したのか、大いなる謎だとしている。

この謎に組合リーダーはどのようにお答えになるだろうか?

 労働組合のあり方についてという質問の中で、「労働条件の取り組みは賃上げ中心にすべき」に
賛成する割合が半数以下になっている、とある。
このことは、現在の組合活動においては、賃上げ中心の要求型の活動に固執していては、結果的に
望んだ成果をあげづらいことを、若手の役員も感覚的に理解していることが想像できる。職場からの
声を起点に組み立て、職場委員を含めた、組合リーダーの組織づくりのアイデア、工夫と行動が
活動の質を左右する。仮にサッカーに例えるなら、縦パス1本の単純な攻撃だけでは、ディフェンス
に跳ね返されてカウンターを食らう。後方からの組み立てと、中盤や前線でのアイデア、工夫が
得点をもたらす。

「組合員に組合に何を求めていますか?」と質問すると100組合あれば、100の組合で賃金一時金が
1位になる。一方「働きがいを感じる要因」の1位に賃金・一時金は決してならない。むしろ自分が
その組織で成長を感じたり、何かを成し遂げたという感覚が働きがいの主な要因になる。

ここに一つの矛盾がある。

 ではどうすれば組合員の賃金・一時金の向上のニーズに応えられるか。
そのためには、組合リーダーが議案書に掲げている働きがいの向上や働き方改善(ワークライフ
バランスの実現)、人材育成の取り組みを通じて、付加価値を高め、要求根拠を転換する必要がある。
具体的には、賃金一時金の向上の取り組みとともに、以下、能力開発の3つの手法を組合活動に
当てはめて、そこをスタート地点に活動を広げていくことをお勧めする。

 ①OJT 働きがいのある職場づくり
  具体的には、モチベーション調査を実施し、働きがいの要因を把握し、
  どうすれば組合員の働きがいを高めることができるか、支部間や職場間で知恵を出し、
  自主改善の取り組みを行う活動である

 ②OFF-JT 労組主催の学習会
  アクションラーニング型(①目標設定 ②職場活動 ③振り返り④学習会)で、
  現場課題に基づき、目標を設定し、達成に必要なスキルを習得し、問題解決の実践と検証を繰り返す。
  そのことを通じて、組合リーダーも自己成長を感じながら活動への動機も高まっていく。

 ③SD(自己啓発)
  タイムマネジメントを中心とした働き方変革の取り組み

これらの活動を通じて、付加価値を高めることで賃金も向上させ、さらに働きがいも
高まっていくことを目指していくことが必要である。

以上具体的な活動の進め方についてご興味のある方は、ご一報ください。
成功の秘訣『ど根性・運命! Fall In Love』
小野 晋
2015/11/01
人生の成功者には、共通する人としての資質や秘訣があると感じ、私なりに漢字で次のようにまとめてみた。

【鈍(どん)・根(こん)・運(うん)・明(めい)・奉(ほう)・倫(りん)・愛(あい)】

これを覚えやすいように『ど根性・運命!Fall In Love』と語呂にして、未熟者の私自身の心がけとしている。
今回、恥を承知で、人としての大切な資質を表す漢字として紹介させていただきたい。

【鈍】 = 鈍感の鈍
まず、鈍であるべきだ。金に屯(たむろ)しない人の方が人に信用される。また、なまじっか小賢しい人は、大成しない。
常に自分が鈍感で馬鹿であると思っていれば、素直に人のアドバイスや忠告に耳を傾けるし、周りの人も色々なことを教えてくれる。さらに自分への悪口や人の悪い面に鈍感であることも重要な資質である。

【根】 = 根っこ(志)と 根性
考え方・志など、人としての根本がしっかりしていないと、太い幹もできなければ、多彩な枝や葉っぱも果実も実らない。さらに仲間(同志)を増やせない。
さらに根性が欠かせない。信念に基づく“ど根性”で、苦難に粘り強く何度でもチャレンジし続ける“ど根性”があれば、いつか道は開ける。

【運】 = 運・運命
どちらに転ぶか、わからないものが運である。しかし、時流に乗る、運命の人との出会い、偶然の大発見など、成功した人の多くが運に恵まれている。運が強いことは、何より強みであり、成功には欠かせない重要な要素だ。
では、いかにして運を強めるか? まず何事にも「(たとえ不運さえも)これも運命である」と前向きに受け止め、前向きに命を運ぶことである。そして【鈍・根・運・明・奉・倫・愛】の実践こそが運気を呼びこむ秘訣に違いない。

【明】 = 明るい、前向き(ポジティブ)
マイナス思考ではなくポジティブ思考が重要である。(調子の悪いときにこそ明るさが必要なのだ)
周りの人まで明るくする人、常に前向きで明るい未来を期待させる人、そうした人は、人を呼び寄せる。すると、良い情報、良い技術などが自然と集まってくる。ポジティブで根明であることが、明るい人と未来を引き寄せるのである。

【奉】 = 奉仕、奉公
まず、自分が周りから沢山の奉仕を受けていることに、深い感謝の念を感じている人でなければならない。
家族・友・職場の仲間・先輩・後輩・組織・地域社会は、もとより大自然があってこそ我々は生きている。このありえない恩恵を得て自分が存在することを認知し、常に感謝できる人でなければならない。
そして、その御恩返しに世の中に奉公する。自らの職務を天職であるとして奉職するという気概がない人は大成しない。

【倫】 = 倫理、摂理、ご利益
法令(コンプライアンス)を遵守すれば、それでいいというレベルのことではない。
以前訪問した伊那工業食品の塚越会長が良い例えをされていた。「“この金網を越えて池に入るべからず。入った者は罰金10万円”という法律があったとして、子供が遊びたくてその池に入り溺れているのを発見したとき。人の道として法律を破ってでも、目の前で溺れている子供を助けなければならない。また、助けた人に対して罰金10万円を科すなどということもあってはいけない。そんなことをしては次から誰も助けなくなるからである。」
守るべきは、法律ではなく、人としての道であり倫理である。
人としての道=倫理がしっかりと心に確立されていなければならない。
その行いが自然の摂理、世の摂理や人の道と道理にかなうときに、世の利益となり自らもその利の恩恵にあずかることができるのだ。

【愛】 = 慈愛
愛はプラス(慈愛)にもマイナス(愛欲)にも作用する。成功するためには、当然プラスの愛(慈愛)が必要である。人は、「人からの愛を感じ、自分自身を無条件に愛し、他者を無条件に愛する」この3つの愛が満たされることで、人生をいきいきと幸せに感じられるのである。(宗像恒次 筑波大学名誉教授のSAT理論)
究極の愛は、神や仏の『慈悲深い心』、孔子の説く慈悲の心『仁』などである。例えばキリスト教の『汝らの敵を愛し、汝らを迫害する人のために祈れ』は究極の慈愛であろう。神仏の愛には及ばないとしても、人生の成功者は慈愛に満ち満ちている。
平和を愛し、自分を愛し人を愛し(愛され)、家族を愛し(愛され)、仕事を愛し(愛され)、組織や社会を愛し(愛され)。そうしたプラスの愛(慈愛)を持った生き方が、人生をいきいきとさせるのである。

以上、何かのネタになれば幸いである。


新年度、今年は何をする人ぞ
小林 薫
2015/10/25

19世紀のフランスの心理学者・ピエール・ジャネという人が、主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象を著書に書いています。これは「ジュネ―の法則」と呼ばれるもので、50歳の人にとっては、1年は50分の1になるけれど、10歳なら1年は10分の1の感覚になるので、年齢が若いほど1年間が長く感じるそうです。日常でも、往路は長く感じるけれど、復路は短く感じるのと同じようなものでしょう。

同じ時間を過ごしても新たな刺激が少なければ、どうしてもマンネリになります。仕事でも新しい業務に取り組まなければ、振返った時に「今年は何をした1年だっただろう?」と印象に残らない年になることでしょう。

「今年はこれをやった」「あの年はあれにチャレンジした」、2016年を5年後・10年後に思い出せる1年にしたいものです。年度が変わって、環境を変えて新しい事にチャレンジする人も多いと思いますが、何かひとつでも今までの人生でやったことがないことに取り組んでみてはいかがでしょう(私は、大嫌いなジェットコースターにチャレンジしました)。

一人ひとりと向き合う
藤栄 麻理子
2015/10/18
組合活動の原点は組合員との対話にある。
自明のことかもしれませんが、最近この「対話の大切さ」を再認識する
エピソードに触れることが多々あります。
その中でも特に印象的だった、元組合役員の方のお話を紹介します。

私も営業担当として長きにわたってお世話になってきたその方が
役員退任後に担ったのは、ベテラン社員の活性化というお仕事。
年金支給開始年齢の引き上げやそれに伴う雇用延長などもあり、
ベテラン社員層にいかにモチベーション高く働き続けていただくか、ということは
日本の多くの企業が直面している壁なのではないかと思います。

その大きな課題を、なんとその方はおひとりで担当されていたのです。
そして、取り組まれたのがベテラン社員500名との1対1での対話。
1年間かけて延べ500名の社員との対話を実践されたのです。
曰く、「実際に話してみると、一人ひとり全然状況が違う。
こっちが紋切型で対応しても相手は心を開いてくれない。
もうこれは覚悟をきめて一人ひとりの話を聴くしかないと思った」。

一番大切だったのは、相手の話を徹底的に聴き、受け止めることだったそうです。
「ベテラン社員」と言っても、一人ひとりが歩んできたキャリアや
仕事や人生に対する思い、価値観は本当にさまざま。
それを「再雇用だから」とか「戦力になってもらわないと困るから」と
無理やりに鼓舞しようとしても意味がないのです。
また、実際にじっくりと話を聴いてみると、周囲(上司や経営層)が考えているよりも
ずっとモチベーション高く、自分の仕事に誇りを持っている方が多かったそうです。
私たちは意識的に、または無意識のうちに、ある属性(年齢や社員区分など)を
見ただけで「この層はきっとこう」という勝手な判断をしているのでしょう。
対話を通じて相手に集中して寄り添うことで、相手の本当の考えを理解し、
必要な支援をすることができる。
当たり前のことかもしれませんが、覚悟をきめて「一人ひとりに向き合うこと」を
実践されているその方のお話に胸が熱くなりました。

年齢だけでなく、性別や雇用形態、国籍……その他さまざまな背景を持つ人が増え、
「多様性の受容」が経営戦略としても重要なテーマとなっている現在。
多様だからこそ一人ひとりと向き合い、相手に寄り添って聴くこと、
心からわかりあおうとする姿勢が職場には求められるのではないでしょうか。
時間のかかることですが、それは組合活動が一番大切にしてきたことでもあると思います。
私もさまざまな組合様で「聴く力(リスニングスキル)」を身につけていただくための
研修のお手伝いをさせていただきますが、その力がこれからの職場、会社、
ひいては社会を元気にしていくものにつながると感じています。
「一人ひとりと向き合う」対話のお手伝いを、これからも続けていきたいと思います。