西尾 力の「BEST主義の組合活動のススメ」

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新任組合役員のみなさんへ
2017/11/01
■組合役員になったことを楽しんでいますか?

今期、組合役員を担うことになった皆さん。組合活動デビューは無事はたせましたか。
いまだ、本意でない役回りゆえに、組合活動に戸惑っておられる方も多いのではないかと思います。
なぜなら大半の方が「順番だから」等の理由で頼まれて、断り切れずに引き受けた方々でしょうから。
私は、この想定外のあなたの身に降りかかった偶発的出来事を、前向きに受け止めて組合役員を楽しんで担うことをお勧めします。
ご心配なく。騙そうとしているのではありません。
その根拠は、代表的なキャリア理論の一つにスタンフォード大学ジョン・D・クランボルツ教授の
計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)があるからです。
クランボルツが全米で、成功していると一般的にも認識されている著名人500人に「あなたはなぜ成功したのですか?」という質問をしたところ
8割の人が「偶然ですよ」と回答した、という調査データから導き出された理論で「キャリアの8割が予期しない出来事や偶然の出会いによって決定される」とされます。
そこからクランボルツは、偶然の出来事に対して積極的に行動することで、すなわち予期せぬ出来事が個人のキャリアを左右する、と言うのです。
だから、予期せぬ出来事(組合役員に選ばれたこと)を嫌がるのではなく、この出来事を最大限に活用することがあなたのキャリア形成につながるのです。
偶然の出来事を活かしていきましょう
私も自分のことを振り返ってみますと、十分に計算・計画して選んだと思っても、いつも想定外のことが起こり、
とはいえそれも自分の選択した人生だと前向きにとらえて今日までやってきました。
だから自信をもって皆さんにもお勧めできるのです。
そしてクランボルツは、偶然を必然化する行動として次の5つを挙げています。
①好奇心→たえず新たな学習機会を模索する。好奇心を持ち広げる。
②持続性→すぐにはあきらめずにやり尽くしてみる。たとえ失敗しても努力し続ける。
③楽観性→大半の悲観的なコメントよりも、たった一人の前向きなコメントに心を置いてみる。新たな機会を実現可能ととらえる。
④冒険心→失敗はするものだと考え、今ある何かを失う可能性よりも、新しく得られる何かにかけてみる。
⑤柔軟性→一度意志決定したことでも状況に応じて変化させればよいと考えてみる。

■組合員のキャリア形成にも取り組みましょう

今日の組合活動で力を入れていただきたいのは組合員の人材育成です。
組合員のキャリア形成支援という言い方にもなります。
組合員一人ひとりが仕事にやりがい感を持ち、また一方で仕事と生活との調和、
つまりワーク・ライフ・バランスにも満足できる職場・会社にしていくことが、付加価値の高い仕事を生み出し、生産性を高めます。
なによりもこのことが、グローバル化する経済の中で組合員の雇用と賃金を守ることになる一番の要素です。
組合員の人材育成(キャリア形成)に取り組んでほしい理由はそれだけではありません。
連合総合生活開発研究所『非正規労働者の“発言”とキャリアアップ』 (2011)の報告書によると、
将来の仕事の安定性についての不安を(「とても感じる」+「やや感じる」)人が、正規・非正規を問わず7割を超えており、
将来の仕事についての不安は総じてとても高いことが示されているからです。
では、組合活動として具体的にどんな取り組みをしたらいいのかについては、紙面の都合上書ききれませんので、当社社員にお問い合わせください。

■組合役員の経験は今後の人生に必ず役に立ちます

今回は、組合役員を積極的に担うことが、あなたをいち人材としても成長させる(キャリア形成になる)ことだけをお伝えしたいと思います。
キャリア形成のきっかけで、一番多い契機は「重要な仕事を任されたこと」と「リーダーを任され、
一定の裁量権や権限を与えられたこと」だと言われているからです。
現代の経営では、人的資源の錬磨が競争優位の源泉である、とも言われています。
会社もあなたがそうなることを期待しているはずです。
なぜなら、組合役員を担うことで、あなたのマネジメント能力やリーダーシップは確実に磨かれるからです。
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