西尾 力の「BEST主義の組合活動のススメ」

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アベノミクスで正規・非正規の格差は縮まったか(上)
2017/12/01
平成28年7月27日、安倍首相が福岡市内で開かれた一億総活躍・地方創生全国大会で講演。次のように述べました。

「正規か非正規かという雇用形態にかかわらない均等待遇を確保する必要がある」
「同一労働同一賃金を実現し、『非正規』という言葉を、この国から一掃したい。そう決意をしている」
「一億総活躍社会実現のための最大のチャレンジが働き方改革」
「多様な事情を抱えた人たちが、生きがいを感じて活躍できる。そのためには、高度成長時代のモーレツ社員のような、
長時間働いたことを自慢するような社会は根本から改めなければならない。長時間労働を是正していく」

第二次安倍政権が平成24年12月26日にスタート。今日までの5年間で、前記講演で述べたとおり、
正規雇用労働者と非正規雇用労働者間の格差は縮まっているのか、国税庁の民間給与実態統計調査で検証してみました。
図1は平成28年12月31日現在の源泉徴収義務者(民間の事業所に限る)に勤務している給与所得者(所得税の納税を問わない)の正規と非正規の平均給与を示したものである。


1年間を通じて勤務した給与所得者1人当たりの平均給与は421・6万円。内訳は正規が486・9万円、非正規が172・1万円で、その格差は314・8万円です。
男女別にみると正規・非正規の平均給与は、男性正規は539・7万円に対して男性非正規は227・8万円で、その格差は311・9万円。女性正規は373・3万円に対して女性非正規は225・2万円となっています。
民間給与実態統計調査で正規と非正規の区分を示し始めた平成25年度の分から時系列に見たのが図2と図3です。

図2は、正規・非正規計の時系列比較です。


平成25年度の正規・非正規の平均給与格差は305・2万円だったものが、26年度では308・0万円と格差は2・8万円広がり、
27年度では314・4万円で格差は6・4万円広がり、28年度では314・8万円で格差は0・4万円と拡大しています。
 図3は正規・非正規の格差を男性だけで見たものです。


平成25年度の格差302・1万円から26年度は310・3万円と8・2万円に広がり、27年度は312・7万円で格差は2・4万円と拡大しました。
しかし、28年度では対前年度差はマイナス8千円と縮まったものの、25年度の302・1万円の格差を9・8万円上回っています。
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