西尾 力の「BEST主義の組合活動のススメ」

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アベノミクスで正規・非正規の格差は縮まったか?(下)
2018/01/05

図1(※)は正規・非正規の格差を女性だけで見たものです。



平成25年度の格差212.8万円から26年度は211.8万円と、1.0万円縮まったものの、27年度は220.0万円と対前年度差8.2万円拡大しました。
さらに、28年度は225.2万円となり、5.2万円拡大してしまった。結局25年度と28年度の間で格差は12.4万円広がってしまいました。

図2は正規と非正規の給与所得者数の時系列の変化と、非正規の構成割合の変化を見たものです。



非正規給与所得者数は平成25年度が1039・7万人、26年度が1090・2万人、27年度が1128・8万人。
そして28年度が115..6万人と年々増加し、その構成割合も25年度22.4%、26年度22.9%、27年度23.4%、28年度は23.7%と増加しているのです。

図3は、同じく正規と非正規の給与所得者数の時系列の変化と、非正規の構成割合の推移を男性で見た場合の変化です。



非正規給与者数は平成25年度が313.7万人、26年度が324.9万人、27年度が333.5万人。
そして28年度が347.7万人と年々増加し、その構成割合も25年度11.4%、26年度11.6%、27年度11.8%、28年度は12.1%と増加しています。


図4は女性の場合です。



非正規給与所得者数は平成25年度が726・0万人、26年度が765・3万人、27年度が789・3万人。
そして28年度が806・9万人と年々増加し、その構成割合も25年度38.4%、26年度39.2%、27年度40.2%と増加し、
28年度は40.2%と構成比は同じで推移したものの、格差は広がったままです。
以上のことから、安倍政権下の4年間で、正規と非正規の格差は広がる一方であり、是正になっていないことは明らかです。
また、このことは「底上げ・底支え、格差是正」のスローガンを掲げた春闘の結果が、実際には格差拡大にしかなっていないことを示しています。
2018春闘に向けて連合はベア2%(定昇分を含めると4%)を基準に、賃上げを求めていく方針とのことですが、
賃上げを「%」だけで行っていくと、正規と非正規の賃金格差は広がるだけであることに注意が必要です。

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