前略、待機児童です
前回は、育児休業中の現場からのレポートをお届けした。
次は職場からと思っていたのだが、平成28年度の認可保育園の不承諾通知を頂いてしまった。
ということで認証保育園※に預けようとしたのだが、16軒まわって、ただの1軒も空きがない。
空きがないどころか、未だに何十人も待っているというのだ。ならば一時保育でもと思ったが、
どこの保育園も一時保育の枠を潰してまで子供を預かっているというのである。
期の途中でも認証くらいなら入れるだろうと思っていたので、面喰らった。
それどころか、来年の戦いはもう始まっていた。7月の終わりにある認証保育園に見学にいったところ、
29年度入園分で60番目と言われた。見学者多数で、すでに見学を打ち切っている園もあった。
想像以上に待機児童の問題は深刻である。企業がこんなにも努力して両立できる術を整えてきたのに行政がこれではと、頭を抱えた。
※認証保育園:認可外ではあるが東京都の定める基準を満たしている園
家庭における支援者
保育園にはふられてしまったが、仕事はまったなし。
育児休業中でもいくつかのセミナーがある。実家が遠方であるため、頼れるのは夫しかいない。
平日にセミナーをするためには、夫が休まなければならず、平均して月に1~2回は休んでもらっている。
病気らしい病気もせず、ほとんど有給をとることのなかった夫にはこれが大変なようだ。
しかも最近は現場の責任者となり、会社の都合で部下の人数も減り、プレイヤーとしての負担も大きい。
それはもう毎回大変な交渉である。
多くの妻はこの交渉を避けているのではないかと思う。
子供のことで何かあると、無条件に妻側が休むケースのほうが多いのではないか。
仕事の責任の重さ、給与や勤務時間等を比較すると、妻側が折れることになるのだろうが、夫婦で話し合う癖をつけ、
夫を自分のキャリアの支援者にして欲しい。そうして職場を不在にする回数が少しでも減ることで、
任される仕事の責任も増し、キャリアは形成されていく。
最近のキャリアの研究家たちは、夫婦ともに自身のキャリアを考え、家事は分担することを理想として掲げている。
理想通りにはいかない日本の風土や職場慣行はあるが、時代は変わっている。配偶者控除も見直され、国からも女性に働けという強いメッセージが出ている。
妻達は夫に協力を要請して欲しいし、これを今読んでいる子育て中の夫達は、妻のキャリアについても考えてほしい。
夫の働き方改革
かくして、夫は月に1~2回休むことになったのだが、よくよく冷静に考えてみると、さほど問題があることだとは思えない。
むしろライフキャリア全体からみると良いことであり、有給を使えない会社や働き方のほうがまずい。
夫は、平日休みのときは、のんびり買い物に行って料理をしたり、子供と散歩したり、リフレッシュ出来ているようだ。
ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティを掲げながら、残業の実態は変わらないという組織は多い。
残業を減らすことを目的とするのではなく、育児や家族と過ごすことを目的にしてみてはどうだろうか。
今日も児童館で、赤ちゃんをどうやってお風呂にいれるかの話題になったのだが、夫が早く帰って入れてくれれば問題にならない。
夫が不在なのが前提になっているのが、とても気になった。これを当たり前にしてはいけない。
相手に期待をし、役割を与える
さて、夫に育児を頼むときに、やっかいな問題がある。妻が夫に育児を任しきれないということだ。
たまにしか育児に参加しない夫がやるより自分でやったほうが早い。夫のほうも妻ほど上手に出来ないので、家事は手伝うけど育児はちょっと、という話もきく。
これでは、妻は安心して仕事にもいけないし、たまに育児を離れてリフレッシュすることもできない。
そして、この図式はどこかで見たことがあると気がつく。そう、職場で男性上司が女性部下に対し、期待をせず、役割を与えないというのと同じなのである。
慣れてない相手に任せるというのは不安なものである。しかし、これを乗り越えないことには、お互いの成長はない。
任される側だけでなく、任せる側の成長も必要だ。
うちの夫はイクメンである。どうやったらそうなるのか秘訣を聞かれるが、簡単である。妻が動かなければよい。
ただし我が家の場合、私のマネジメントが良いというより、単に無精者だからというのが正しいかもしれない。
しかし私の無精のおかげで、子供の成長を日々夫婦で共有できるのは、子育ての何よりの醍醐味ではないだろうか