日本人は「内集団(ないしゅうだん)」を作りその中にいることで安心感を得る傾向にあります。「内集団」とは、個人が自らをそれと同一視し、所属感を抱いている集団で、「外集団(がいしゅうだん)」とは「他者」と感じられる集団で競争心、対立感、敵意などの差し向けられる対象となるものです。この言葉はアメリカの心理学者ウィリアム・グラハム・サムナーが提唱したもので、簡単に言うと「仲間=内集団」「敵=外集団」ということになります。
「内集団」にいる安心感が、実は「内集団ひいき」という「同調し合えている集団以外は排除したり否定したりするという心理」を生み出してしまっています。またその集団の一員でいることにより安心感を得ているために、自分の思いや意見は「仲間」が基準となってしまい、自分の意見を考えることがなく、自分の意見を持たなくなるという危険性を生み出しています。
そんな日本人の傾向がある中で、組合活動として「意見の多様性を受容できる人や職場環境づくり」に取り組んでいく必要があると考えています。今、ダイバーシティの取り組みが国だけでなく様々な企業・組合で行われています。中でも「女性活躍」といったジェンダーダイバーシティに力を入れているところが多いのですが、根本にあるのはオピニオンダイバーシティ(意見の多様性)の取り組みであると私は思います。自分の意見を言うとどう思われるのか、変に思われるのではないかという不安が私たちの心理にあり、つい他者の顔色をうかがいながら自分の意見を変えて発言していると思います。「様々な意見があっていい」と皆言いますが、本当のところでは違いを受容できていないことが多いと感じています。
そういった違いを受容できること、自分の意見を持ち発言できる職場環境づくりが、働く安心感と働きがいに繋がっていきます。組合で取り組んでいるレクリエーション活動や職場集会、勉強会、オフサイトミーティング、異業種交流などはそれに繋がる活動ではないでしょうか。
様々な違いを受容できる環境づくりに向け、j.unionとして支援できることをこれからも考えていきたいと思います。