ゆにおん・ネタ帳

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2018年

つながる場
濱田 あさ葉
2018/10/21
労働組合がもっている「つなげる力」の重要性を改めて感じる機会がありました。
というのも先日、約2年間の準備期間を経て開催された周年式典に携わらせていただきました。

役員OBを中心に組織内外から大勢の方が参加され、そこで聞こえてきたのは、
過去のこと、いま起きていること、未来のこと…
たくさんの笑顔が溢れ、新たなつながりがたくさん生まれた場でした。  

また式典当日だけではなく、「あの人はいまどうしているだろう」といった先輩方からの問い合わせや、
「非常にいい機会だった」という声が多数組合に寄せられたそうです。

今回のことだけでなく、組合役員の皆さまと日々お話をすると、イベントやレク・研修の企画に際して、
「いまどきみんなを集めて何かするのは大変だよね~
でもやっぱり貴重な場だよね。資料を見ているだけでは分からないことがあるよね」

「来てもらうまでは苦労するけど、参加してもらうと満足度は高いんだよ」
といったお話を伺うことが多くあります。

一方で企業の取り組みを見てみると、コミュニケーションを高める場のひとつである社員旅行の実施率は、
1994年8割超から2014年には約5割にまで低下しているといった調査結果もあります。

<社員旅行の実施率5年ごとの推移>

1994年…88.6%
1999年…61.7%
2004年…36.5%
2009年…51.6%
2014年…46.0%

(出典:産労総合研究所)

もちろん旅行や懇親の場が全てではありませんが、
職場内コミュニケーションが希薄化していると久しいいまだからこそ、組合のもつ「つなげる力」をきっかけに
多くのコミュニケーションが生まれ、一人ひとりの働きやすさにつながってほしいと思っています。

私自身、入社して間もないころは、上司と飲むより友達と飲みたいとばかり思っている可愛げのない新入社員でしたが、
こういった場の重要性やありがたみを感じるようになったのは年齢を重ねた証拠でしょうか…

これからも、たくさんの方がつながる活動のお手伝いができればうれしく思います。
ロジカル家電から生産性を考える
横田直也
2018/10/14
<ロジカル家電から生産性を考える>

ロジカル家電と言って何を思うだろうか?
私事だが、今年の目標の一つに「家事の自動化」を挙げている。
勝間和代さんの書籍「超ロジカル家事」などが代表的だが、さまざまな専門家の収納に関する技術が数年前から発信され、
世間では よく言われるようになったことだが、我が家もとうとうその必要性が出てきたからである。

我が家が導入したのは「全自動洗濯機(ドラム式)」と「食洗器」である。
なぜかというと、皿洗いと洗濯に1日毎に1.5時間程度かかっていたからだ。
単純計算だが、この時間を1カ月30日で換算すると1.5時間の家事時間×30日で
なんと1カ月に45時間を 費やしていることになる。

この空き時間を何に使っているかというと、
私はもっぱら子育ての時間と家族との時間に費やしているのだが、 正直救われた思いだ。

いままでは帰宅後に夫婦で家事を行っていて、家事が終わらない中で 子供を寝かしつけるストレスで疲れ果て、
明日の事、今後のことを考えたり、話し合うも余裕なく1日が終わっていたが、 こういう日々から解放されたと実感している。

なぜこのことを言及しているかというと、
私たちが、日々働いている現場・職場でも同じようなことはないだろうか? ということを言いたかったからである。
「名もなき家事」もあれば「名もなき仕事」も存在していると思うのだ。

弊社では育休後の時短勤務で働いてるママたちが全社員の1割程度を占めているがとても生産性が高い。
その理由の一つに時間が決まっているからということが挙げられると思う。
働き方改革の流れもあり、これからはさらに青天井とは言えなくなるが、実質的には今の現状では残業しようと思えば 方法はいくらでもあると
思うからだ。 本当の働き方を考える上での基本は、 働くママさんの成果の一旦を見るに1日の終わりがあるかどうかということも
大事なポイントと言えるだろう。  
※この点は、弊社でも提供しているタイムマネジメントの理論をお薦めしたいが、詳細は最寄り地域の弊社担当者に
ぜひお聞きいただきたい。

あと、大事なことがもう一つあると私は考える。
それは、『何が大事であるかを判断できる能力』である。


何度も繰り返すが、ロジカル家電を導入することで私は1カ月の時間が約2日増えたのだ。
これにより既に名もなき家事の一部の課題を解決することができたと言えよう。
心から思う事は、 横田家にとって「無駄な家事」が何かが分かっていたからできたことだと思うのだ。
今やっている家事が無駄だと認識できたからこそ家族の時間に置き換える事ができたとのだ思う。

大げさかもしれないが、会社生活で言う「働きがい」に等しいような 私にとってはとても大事なものを取り戻すことができたと感じるのだ。
※決して夫婦関係が悪いからということではありませんので、
誤解されなきよう。お願い致します。

では、職場によって無駄な家事=仕事は何なのだろうか?

・メールの仕方
・仕事のお願いの仕方
・会議の運営
・スケジュール管理の仕方
・資料の作成スキ ル
・自分の机の上の整理整頓
・職場全体の整理(職場の5Sのようなもの)など
・朝礼や、全体でやっている行事や係りなど

など、問い直すものは数え切れないほどあると考える。

無駄な仕事を辞める事で職場にとって、かけがえのない時間を私は取り戻すことができるのだろうか?
当たり前だと思っていたことは、本当は無駄なことではないだろうか?
これを判断し、実行に至らしめるには「本当に必要なことを見極める能力」が必要になる。


そのための我々は何ができるだろうか。

私の職場においても、労働組合にもできることがまだまだあるに違いない。
まさに本当の働き方改革の挑戦はこれから始まるのだ、 と心を入れ替える瞬間であった。
三人の石切り職人
小野 晋
2018/10/07
■ドラッカーが引用した有名な例え話
人と仕事に関して、ドラッカーが『現代の経営』「目標と自己管理によるマネジメント」の章の中で引用している
有名な寓話「三人の石工(石を切る職人)」を紹介します。
有名な田坂広志先生(多摩大学大学院教授)をはじめ、多くのコンサルタントが引用する働く目的に関する例え話
で、聞いたことのある人も多いと思いますが、働くことの目的や働きがいを考える上で実にわかりやすい例え話で
あるので、ご存じない方に是非知っていただきたい話です。
さまざまな例え方がありますが、私としては、次のようなバージョンが作為的ではなく、一番受け入れやすく感じ
るので、みなさんに紹介します。

■三人の石切り職人
ある男が、ある寺院の建設現場で働いている職人に「あなたは、何をしているのですか?」と尋ねて回りました。

●一番目の石切り職人
一番目の職場で働いていた石切り職人に「あなたは、何をしているのですか?」と尋ねました。するとその職
人は
「石を切る仕事をしています。仕事はつらく大変ですが、私には愛する家族がいて、幸せで良い暮らしができる
ように、がんばって働いています」
と答えました。

●二番目の石切り職人
それを聞いた男は、続いて隣の職場で働いている職人にも同じ質問をしてみました。するとその職人は
「見事な石切り細工ができるよう取り組んでいます。仕事はつらく大変ですが、一番腕の良い石切り職人にな
れるよう、日々鍛錬し、石を刻む経験と技を磨いているのです」
と答えました。

●三番目の石切り職人
それを聞いた男は、さらに隣の職場で働いている職人にも同じ質問をしてみました。するとその職人は
「この街のみなさんが、心安らかに集え、喜んでいただけるような、そんな素晴らしい寺院を建てているのですよ」
と答えました。

■それぞれの視点
一番目の職人にとって、仕事の目的は収入を得るため、収入を得て豊かに暮らすためです。
 ・ 仕事は、お金のためや家族のためだという人です。
二番目の職人にとって、仕事の目的は自己成長のため、さらには高い技術・知識により、称賛・承認・名声・収入
を得るためです。
 ・ 仕事で自分の能力を伸ばそうとしている人(職人気質な人)です。
三番目の職人にとって、仕事の目的は顧客満足が得られる寺院建立のため、つまり使命感からです。第三者への貢
献に価値を見いだし働いている人物です。
・ ビジョンを知り目指すべきところに向かっている人です。

■目指すべき姿は、三番目の職人
もちろん、ビジョン達成のためには、スキルアップや生活のための処遇アップも大切ですが、組織にとっては、三
番目の職人をいかに育成し増やしていくかが、もっとも重要です。
そして、労働組合としても、一番目の職人のような、生きていくための最低条件を守る生活闘争から、二番目の職
人のように、個人のスキルアップや付加価値アップを支援する活動へ、そして最終的には、三番目の職人のように、
組合の組織ビジョン達成に貢献してくれる人の育成や、社会貢献・地域貢献・弱者救援など職場ごとに抱える課題
に、現場で解決できるように導く活動に発展するのが理想的です。
私も、若い頃には、一番目の職人や、二番目の職人と同じ考え方を持っていましたが、素晴らしい人との出会いと
学びにより心が成長していくと、三番目の職人と同じような価値観を持てるようになりました。

何かの話のネタになれば幸いです。



変えていいものと、変えてはいけないもの
正道寺博之
2018/10/04

最大10連休のゴールデンウイーク。
みなさまは、いかがお過ごしでしょうか。

ゴールデンウイークにあったで出来事を書きます。

ゴールデンウイーク中にキャンプに2回、連れていってもらいました。
1泊2日と、2泊3日です。

(余談ですが、シュラフとコットンしかもっていないのにも関わらず、
昨年、10月より毎月キャンプにいっております。)

焚火をかこい、友人と色々な話をしました。

その友人は楽しいことが大好きで色々なことに手を出します
ですが、その反面とても面倒くさがりやで、飽きっぽい性格です。
そしてお酒が大好きで、週末は必ず飲みにいきます。

キャンプを経験したことがある方は、わかるかと思いますが、
準備(大荷物)や片づけにはじまり、天候との戦いもあります。
決して、楽してできるものではありません。
(経験者の方からすると、楽かもしれませんが...)

とてもキャンプを始めるような友人ではありませんでした。
ですが、ハマってしまい毎月いっています。


「なんでキャンプなんて始めたの?面倒じゃない?」

「いやー面倒かもしれないけど、慣れたら楽だし。
こうやって焚火をしながらぼーっとするのもいいよね。
自然と触れ合って色々な発見があって楽しいし!楽しければいいよね~!」


彼は笑いながらいいました。

彼にとって大事なことは「楽しいかどうか」であり、
そこに達するまでの過程やプロセスが多少面倒があったとしても、
彼にとっては、簡単に変えることのできることでした。

土日休みなので、土曜の朝はとても早いです。
遅くとも、朝6時には出発をします。
そのためには、金曜日は深酒はできません。

キャンプ用品は1つ1つは小さく比較的低額ですが、
良いものはもちろん高額ですし、タープやテントなどはある程度、お金はかかります。
なので、単純な話し、良いものを買おうとすると、
それなりのお金がかかります。

そんな彼は、出発前日のお酒は控え、そして他の趣味もばっさりやめました。
キャンプのために、これまでの生活を変えたのです。

彼の人生の軸は変わっていませんでしたが、
それを達成するための手段は大きく変えていました。



ふと視点を変えてみます。




2019年5月1日、年号が変わりました。
私たちの働く環境も、ここ数年で大きく変わってきました。

様々な制度が導入され、「昭和」の時代に比べると、
当たり前の話ですが、格段に働きやすくなったと思います。

ですが一方で、様々な労働組合様にお伺いをしていると、
下記ようなお話を伺うことが少なくありません。



・よい制度が導入されたが、まったく使われていない

・昔の和気あいあいとした風土がなくなり、少し殺伐としてきている

・給料はあがったが、会社や仕事の満足度は下がった



もちろん、制度はより良くする(変える)ことに、こしたことはありません。
ですが、その一方でもしかすると会社(経営者)は、
私たちの働く環境を「より良くするため」に、
変えてはいけないものも、一緒に変えてしまった(変わってしまった)のかもしれません。


ですが、それは「より良くしよう」とした結果であり、あくまで結果論です。
うまくいっている企業もあります。



何を変えるべきか、何を変えてはいけないのか。



環境の変化が大きく速くなっているVUCA時代。
ビジネスモデル1つとってもすぐにコモディティ化し、
企業経営においても新たな突破口を拓くための「正解」が
非常に見通しにくい状況になっています。


そんな環境の中、私は経営(者)だけの目線ではなく、
働く現場により近い目線もあわせた、企業経営が重要ではないかと思います。


労使一体。


こんな時代だからこそ、労使一体となり「変えるもの、変えてはいけないもの」を
一緒に見つけていくべきだと考えます。


追伸:
わたしは生活を何も変えずに、キャンプの道具を買い始めました。
お金は減る一方です。
自分の軸を見つめなおさないといけないと。
そう感じる今日この頃です。





ひとつの時代…
島田 浩二
2018/09/25

気付けばもうすぐ10月ですね。
このままあっという間に年末を迎えているのではないかと思います。

少し気が早いですが、天皇陛下が生前退位のご意向を示し、2019年4月末には
平成という時代が終りを告げようとしています。

みなさんにとって、平成という時代はどんな時代だったでしょうか?
私は昭和59年生まれですが、物心ついたときには平成だったので、平成という
時代を生きた記憶しかありません。

平成に流行ったもの(私見)と言えば、「たまごっち」「アムラー(ギャル)」
「エア マックス」「ノストラダムスの大予言」「K-1」など、様々なものが流行し、
また衰退していきました。
この流行したもはみなさん様々で、色々な思い出があるかと思います。

そんな中で、私の最近の衝撃的な出来事と言えば、平成を代表する歌手が引退をしたこと。

そう、安室奈美恵さんです。

安室さんと言えば、代表曲も様々あり、その時々によって色々な思い出があります。

そんな平成を代表する歌手である安室さんが引退されるというニュースを聞いたとき、
年号が変わるということより「ひとつの時代が終わるな」と感じました。

そして私の中でもう一つの衝撃的なニュースは、山本KID選手の訃報です。
高校、大学時代、私は山本KID選手に夢中でした。
私だけではなく、周りの男友達は皆そうでした。
彼の型破りなファイトスタイルと、自らを「神の子」と名乗り、体中タトゥーだらけ
のちょっと危なそうな人。

そんな彼が正統派の選手を次々と破りのし上がっていく姿に夢中になりました。

男の子なら誰もが一度は憧れる絶対的な腕力の強さ。
経済力や政治力といった権力とは違う単純な強さに憧れ、体を鍛えた時期もありました。
そんな強さが象徴的だった彼も癌には勝てず、41歳という若さでこの世を去りました。

そんな時代のヒーロー達が去っていく一つの時代の終りに、色々と考えることがあります。
私の娘は昨年の11月に生まれ、平成29年生まれです。
昭和の終り頃に生まれた私のように、この子も自分が平成生まれだという認識や記憶もなく
新たな年号が彼女の青春時代となり、自分を形成する中心的な時代になるのだと思います。

良く、年配の人と話をすると「あの時代は良かった」という話しを聞くことがあります。
「出た出たあの頃の思い出話ね。」と流して聞いていましたが、
私もいつか娘に「あの頃は(平成)は良かった」と話すのでしょうか。。

いや、それよりも「今の時代はあの頃よりもいい」と言える未来を創る方がいい。

組合活動も同じだと思います。
過去の組合活動は良かった。もっと組合員も活動に協力的だった。
昔の方が組織力があったなど、過去の美化された記憶を懐かしみ、戻せない時間を
振り返るのではなく、今の時代にあった組合活動をみんなので手で創っていく。

新たな年号に代わるこのタイミング。
周年事業とは違い10年周期で必ずやってくるものではありません。
この機会に、私たち労働組合として次の時代をどのような時代にしていきたいのか?
それを実現するためにどのような活動が必要なのか?
改めて見直す良いタイミングなのかもしれません。

一緒に考えていきませんか?日本の未来を。会社の未来を。そして私たちの未来を。

フィンランドの小学生が作った議論の10のルール
石垣聡紀
2018/09/16
先日、働き方改革をテーマとして、組合役員の異業種交流勉強会を実施しました。
そのあとの懇親会で、「世界幸福度ランキング」で1位となったフィンランドの話題になりました。

ざっと要点をまとめると、以下のような内容でした。
フィンランドでの平均年収は日本とさほど変わらず、労働時間が圧倒的に短い。
ゆえに、家で過ごす時間が増え(家具の需要が高いのも納得)、家族との時間も増える。
終身雇用の概念は無く、パフォーマンスがあげられなければ解雇されることも普通にある。
しかし、社会福祉も充実しており、失業後の支援や学習について手厚い。

などなど社会保障制度全般を含めて、文化が成り立っており、
日本でも参考になる部分もあれば、受け入れられない考え方もあるなと思いました。

また、「フィンランドの小学生が作った議論の10のルール」というのもネットで話題になっているので、
紹介します。

1. 他人の発言をさえぎらない
2. 話すときは、だらだらとしゃべらない
3. 話すときに、怒ったり泣いたりしない
4. わからないことがあったら、すぐに質問する
5. 話を聞くときは、話している人の目を見る
6. 話を聞くときは、他のことをしない
7. 最後まで、きちんと話を聞く
8. 議論が台無しになるようなことを言わない
9. どのような意見であっても、間違いと決めつけない
10. 議論が終わったら、議論の内容の話はしない

組合役員の方は会議や交渉・協議が非常に多いです。
その議論を効率的に進めるためにも、参考にしてみてはいかがでしょうか。
情報発信者の意図
吉川 佐和子
2018/09/09
私は情宣物制作に携わっており、メインの仕事は編集作業です。
編集作業というと、原稿を整理したり執筆したりと、
黙々と取り組む様子をイメージされるかもしれません。
しかし、人と対話することも意外と多く、
文章と会話両方で「分かりやすく伝える」という使命をもって日々取り組んでいます。

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もともと読書好きな私は、作者の気持ちを想像しながら読むのが日常です。
私にとっては新聞も小説もウェブニュースも業務連絡も、
誰か書いたその文章そのテンションを感じながら読むもので、
それがとても面白いと感じる私は、ちょっとマニアックかもしれません……。

さて、今の世の中は、テレビや新聞、雑誌、インターネット等々、媒体も数多くあり、
本当にたくさんの情報が飛び交っていますね。
触れない日はないといってもいいでしょう。

私の興味関心は、ニュースなどの内容ももちろんですが、その情報の「印象」です。
同じ出来事でも、媒体によって印象がまったく違うことが興味深いです。
場合によっては、肝心な情報ではなく必要以上に恐怖感を煽っているものや、
そもそも深く知らせないようにさせているものさえあると感じます。
ニュースで言っているから、新聞に書かれているから、と盲目的に情報を受け取らず、
静かな目線で情報を吟味するのが大切だと思います。

『発信された情報には、発信者の意図が必ずある』ということをいつも考えさせられます。


ちなみに、私は組合情宣物担当者様向けに文章の書き方講座を実施することがあり、
良い文章とは何か、文章を設計する方法といったことをお伝えしているのですが、
一番大事なのは「伝えたいこと一つ決めて書くこと」です。
読者に読まれる文章は「伝えたいことが明確であること」に尽きます。
(伝えたいことのない文章は、読み手に何も与えないし、そもそも読む気にならないですよね。)
非常にシンプルですが、とても難しい……。

組合役員の皆さんが文章を書かれたり、なんらかの情報発信をする際に、何かの参考になれば幸いです。
人に読んでもらう文章とは
依藤 聡
2018/09/02
日本語の特徴
数年前からイタリアに関することにはまってしまい、イタリア好きが高じてイタリア語会話
教室に通うようになっています。イタリア語を学ぶようになって改めて気付いたことが、よ
り日本語を意識するようになったことです。特に日本語をイタリア語に訳す時に、日本語の
複雑さ幅広さ、そして(両義的な意味での)いい加減さを強く感じます。イタリア語は基本
的に、動詞や目的語などの順番が決まっていますが、日本語は語順のルールが一応決まって
はいるものの、語順が違っていても何となく通じるようになっています。
それゆえに日本語を理解している者同士では、言わずもがな的な表現がまかり通っています。
例えば、食事の注文時によく耳にする、「俺、カルボナーラ」という表現です。日本語をあ
まり理解していない外国人からすると、この人はカルボナーラという名前の人なのか?と思
わせるとのこと。当然そんなことはなく、「私はカルボナーラを注文します」ということを
場の状況から類推できるであろうという前提による発話です。その場で何となく通じるとい
うのは、柔軟な言語的コミュニケーションの非常に優れた一面なのですが、それにかまけて
しまい齟齬が生じたり、表現が貧弱になったりすることもよくある話です。

文章作成時に必要な技術
私は調査に関する仕事を20年以上続けているのですが、統計学のイメージが強いようで、理
系ですか?とよく言われます(私自身は社会学専攻だったので、いわゆる文系出身です)。

分析結果から報告書を作成する仕事(文章表現によって他者に調査結果を理解させる仕事)
において、統計学は必要なスキルではありますが、それ以上に論理的な言語センスが非常に
重要なスキルだと認識しています。言語センスだけでは詩や小説のように修辞の多い、もし
くは難解な表現を多用したり、読み手に解釈を委ねたりすることが生じます。論理だけでは、
その内容を他者に分かりやすく伝えることができません。論理の内容を読み手に分からせる
技量が必要だということです。

読みにくい文章例
私自身のスキルがどんなものかは一旦おくとして、巷間の文章には読み手のことを考えてい
ないようなものが多く見られます。残念ながら、労働組合の情宣物の文章にもそのような状
況が散見されます。

いくつか例を挙げてみましょう。②⑤は例文も挙げています。
①接続詞や接続助詞を多用することによる無駄に長い文章
②主述関係(主語と述語の関係)の不一致:労働組合の役割は、組合員の幸福を追求する。
③読点(、)が多すぎる、あるいは少なすぎる文章
④読点の打つ位置によって誤読させる文章
⑤読点を打たないことによって多義的な解釈をさせる文章:労働組合が労使協議後に組合員
が受けたパワハラの内容を公表した。

②に関しては、一見正しいように感じますが、「役割は」という主語に対しては「追求する
ことです」という述語にならなければなりません。⑤の例文では、組合員が労使協議後にパ
ワハラを受けたとも解釈できます。現実にはそんなことは考えにくいので、労使協議後に組
合が公表したと解釈するのでしょうが、文章としては紛らわしいものです。

誰のための文章なのか
このような文章が散見される理由として、口頭で伝える言葉と文章で伝える言葉を一緒くた
にしていることが考えられます。つまり、文章を構造的に考えていないということです。冒
頭にも書いた、語順が違っても何となく理解されてしまうことも理由にあると思います。厳
しい言い方をすると、気持ちが先走り、読み手のことを考えていない、独りよがりの文章で
あると言えます。そのような文章を読みたいと思う人はあまりいないでしょう。この文章を
読まれている方は、組合員をはじめ他者に向けた文章を書く方が多いと思います。自分の書
いた文章は大丈夫だと過信せずに、今回挙げた文章例と同じようなことになっていないかを
いま一度確認してはいかがでしょうか。
などと偉そうに述べてきた私ですが、この文章を再度確認したことは言うまでもありません。



台風の季節
渡邉 秀一
2018/08/17
 今回は台風について書きたいと思いますが、まず台風によって犠牲にな
られた方のご冥福をお祈りすると共に、被害にあわれた方の一刻も早い復
旧を願っております。


今年は迷走台風の12号やその後連続して発生している13号~19号とその
動きが目立ちます。
15~19号は5日連続で発生しているという観測史上初のことだそうです。
日本では「台風」と呼んでいますが、地域によって「タイフーン」「ハ
リケーン」「サイクロン」などがあります。


【種類】
大まかな違いとしては次のようになります。
(詳細は異なる場合もあります)

・タイフーン:北半球の主にアジア周辺の太平洋で発生するもの。
日本では中心部分の10分間の風速の平均が17.2m/秒
を超えると「台風」と定義されますが、国際基準で
は1分間の平均風速が32.7m/秒を超える熱帯低気圧
を指します。

・ハリケーン:北半球の主に北中米付近の大西洋、太平洋で発生す
るもの。中心部分の1分間の風速の平均が32.7m/秒
を超えると個別の名前が付きます。

・サイクロン:南半球のインド洋や南太平洋で発生するもので、風
速の条件はハリケーンと同様です。


基本的に北半球で発生したものは「反時計回り」、南半球のものは「時計
回り」に回転しています。

ちなみに17号は発生した海域から元はハリケーンでしたが、タイフーンの
海域まで移動してきました。これを「越境台風」と言います。
台風にはそれぞれ名前が付いています。アジア14カ国で順番に名前を割り
振って140個の名前があります。[台風の名前]で検索してみると気象庁や
ウエザーニュース社などのホームページに詳しく書かれています。
しかし、越境台風の場合は発生した時に付けられた名前がそのまま使われ
ています。台風17号は「へクター」という名前です。


【語源】
日本語の「台風」は「タイフーン(Typhoon)」が語源ではなく中国から伝
わってきた「颶風(ぐふう)」が「台風」(颱風)の語源であるとされる説が多
く、タイフーン(Typhoon)は明治時代から使われるようになったようです。
台風○○号という呼び方は、その年の1月1日以降に発生した台風を「1号」
とし、その順番を表しています。天気図上では、2018年に発生した12番目の
台風には「1812」というように4桁の番号が付けられています。


【日本付近では】
1年間に発生する台風の平均は25~26個です。そのうち平均3個が日本に上
陸し、しなくても10個以上が日本から300km以内に接近していますので直接
的影響が出ているものが多くあるということになります。


【台風の発生と衰退】
台風は暖かい海面から水蒸気を補給して大きくなります。
正確には水蒸気がまとまって雲になる時に放出される熱エネルギーを源と
し発達する気象現象ですが、水蒸気を吸って大きくなるという理解でよいと
思います。
しかし、台風は自分で動くことはできないので、周りの気流によって動か
されているということになります。
その際に大気や海面、陸地などとの摩擦で多くのエネルギーを損失してい
ます。
このエネルギーの損失が水蒸気の補給によるエネルギーの蓄積を上回ると
勢力が衰えていきます。
陸地に上がった台風が急速に勢力を弱めるのは暖かい海面から補給する水
蒸気がなくなってしまうからです。
日本付近では北の上空からの寒気によって勢力が弱まり「温帯低気圧」に
変わることもあります。


【台風の進路】
天気予報などで進路予想図を見たことがあると思います。



こんな感じの図です。

これは台風の今後の進路を表しているものです。
前述の通り台風が自分では動けないので、その進路は主に気圧配置に基づ
く風の流れや前線の位置などによって決まります。

現在位置には「中心点」と「暴風域」「強風域」が円で表示され、進む先
には「暴風警戒域」と「予報円」が12時間ごとに描かれています。
パッと見ると「中心点」からのガイド線がそのまま進路のように見えます
が、「予報円」は「台風の中心がこの円のどこかに入る確立が70%あります」
ということを表しており、割と大雑把な予報になっています。
円の東側と西側、北側と南側では大きく異なることがわかると思います。
そのコースによっては被害への影響も大きく変わります。
今年の台風12号のような迷走台風では行き先がハッキリしないので予報円
が極端に大きくなるという事例も発生してます。


【避難命令】
あまり来てほしくないのが「台風」ですが、日本は場所がら切っても切れ
ない関係なのでその対策は国や地域のみならず個人レベルでも求められます。
避難袋への備えや避難場所の確認、家族との連絡方法などはもちろんです
が、下記に避難命令の強弱を載せておきますので参考にしてみてください。

    警戒区域:
      設定した区域への立ち入りを制限、禁止またはその区域から退去
を命ずるものです。
       従わない場合、罰金または拘留の罰則が科せられます。

    避難指示:
      避難指示(緊急)。人的被害の危険性が非常に高い状況です。
直ちに避難しましょう。
       外出することでかえって命に危険が及ぶ状況では、自宅内のより
安全な場所に避難しましょう。

避難勧告:
        避難場所などの安全なところへ速やかに避難しましょう。

    避難準備:
      避難準備・高齢者等避難開始。いつでも避難できるよう、非常用
持ち出し品を用意し家族や近所の人と連絡を取るなどの準備をし
ましょう。
       避難に時間を要する人(ご高齢の方、障害のある方、乳幼児をお
連れの方など)は避難を開始しましょう。


最新のガイドラインは防災情報ページで確認してください。

防災情報のページ(内閣府)
http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/h28_hinankankoku_guideline/index.html


【組合として】
組合として既に取り組んでいるところも多いと思われます。
組合員やその家族の安全確保のため、職場会などで普段から防災意識を
高める活動が必要でしょう。

あなたの家にも避難袋はあるけど中身が空っぽなんてことはありませんか?
備えあれば憂いなしです。 



社会政策を「生産性」だけで語る危険
佐々木務
2018/08/12
「LGBTは生産性がない」という自民党の杉田水脈衆議院議員の発言が世間を騒がしている。
杉田議員は「新潮45」に寄稿し「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」と発言。
この発言に対して、当事者や左派・リベラル派のメディアや知識人から、一斉に批判が噴出しています。
 
LGBTが生産性があるか無いか?詳しい知識を持ち合わせていませんが、歴史上活躍した人物などには、むしろLGBTは多いのではないかと思われます。
だから「LGBTはクリエイティブな才能がある人が多い」とか「歴史上偉人にはLGBTが多い」とか、「LGBTの生産性の高さ」をいくら議論したところで、今回の発言の問題の本質からはどんどんずれていくだけです。
そもそも、杉田議員はその人物がどれだけ社会的に活躍できるか、という観点ではなく子供を作るか否かによって「生産性」がないと発言しています。
 
問題は二つ、ひとつは子どもを作らない事を「生産性」が無いとした点、この考え方と表現に対して、LGBT当事者のみならず、子どもを持てない夫婦や障がい者、難病患者などからも怒りの声があがっています。
 
もう一つは社会政策として議論しなければいけない人権の問題を「生産性」というキーワードで語ろうとしたことにあります。生産性があろうが無かろうが、性的指向がどうであろうが、すべての人間には人権があります。その本来守られるべき人権が侵害され、マイノリティが生きづらい社会であるとすれば、社会政策として税金を投入してでも解消すべき問題であるはずです。
 
最近の自民党の根底にある「生産性」で社会政策を語ろうとする姿勢は、グローバル社会で日本が競争力を増すために必要な側面はあるものの、何でもかんでも「生産性」で語り
、社会的に弱い立場、もしくはマイノリティに対する人間的な優しさや配慮が欠けた社会は、果たして幸せな社会といえるのでしょうか?
 
人権問題を「生産性」の問題にすり替えられることで、「生産性」の高い一部の人が優遇されるようになるだけということにもなりかねない「選民思想」のような考え方の危険性は、LGBTに限らず、障がいや難病を抱えた人々、移民や難民など様々な問題に言えることです。
 
「働き方改革」「人生100年時代」と一人ひとりの個性と多様性を認める社会を目指すと言いながら、「一億総活躍社会」という、どこか軍国主義のイメージを想起させるような言葉には、その根底に「生産性」を高めて全国民が働け、働かざる者食うべからずというかのような息苦しさを感じます。
 
社会政策を語る上においては「生産性」も大事かも知れませんが、それ以上に一人ひとりに寄り添った「人権の尊重」や「社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)」の考え方を基に、それぞれの希望がかない、それぞれの能力が発揮できる寛容な社会を目指して行きたいものです。