ゆにおん・ネタ帳

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全国3700ほどの労働組合とのお付き合いの中で、記憶に残るエピソードや、これは使えるといったネタをご紹介していくコーナーです。

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2008年

組合活動とはオーバーアチーブなもの
吉川政信
2008/12/28
あるサービス業A労組でこんな出来事があった。

A労組では、女性組合員を主体とする15名程で編成される委員会を設立し、長時間労働対策
の検討を行っていた。同席した委員会では、職場の長時間労働の実態を把握するために委員会
メンバーが職場会を開催し、その情報を基に労組としての対応を検討中。当日は、専従役員が
ファシリテーターとなり、現場で実務を行う委員会メンバーからのアイデアを求め、解決方法
について論議を交わしていた。
活動の方向性が定まったところで、執行部の代表がメンバーに対してお礼を言い、今回の検討
内容は、執行部が責任を持って会社側と協議し、活動内容の説明を行うとの報告があった。
すると、委員会メンバーの一人が手を挙げ、執行部に対してこんな発言を行った。
「今回の職場会に協力いただいた組合員のためにも、最後までこの取り組みに協力をさせて
ほしい」執行部は思いもよらぬ発言に困惑した。
その後、各職場での労使協議に委員会メンバーが同席し、組合が企画した取り組みの説明を
行うことになった。
労使協議の後、会社側から「労使の取り組みとして協力したい」との返事を受け、組織全体の
活動へと発展した。

委員会を振り返り感じたのは、委員会メンバーが組合活動を通して「オーバーアチーブ」な
状態になっていたといえる。オーバーアチーブとは、簡単にいうと「義務的な領域を超え、自ら
の使命感で目標に対し主体的に行動し、期待を超える成果を生み出す状態」といわれている。
つまり、評価や報酬といった外的な要因からではなく、内的な動機の中で主体的に行動している
状態である。

ある時、委員会メンバーの一人と面談をする機会があり、感想を伺った。
そのときのコメントの一部がこうである、「私は、自分がここまで関心をもち行動するとは思って
いなかった・・・・」
このコメントを聞き感じたのは、取り組みを通して、労働組合の意義や必要性を感じていない訳
ではないが、むしろ「自分自身がなぜ、こんなに主体的に発言し行動したのか」自分自身への驚き
の方が強かったと思われる。

ご存知のとおり、組合活動は、評価や報酬で誘引できるものではなく、また、すべきものでもない。
つまり、活動を通して、より多くの組合員が活動に参加し、自分自身でオーバーアチーブな状態を
見出すことが必要となる。また、そのためのきっかけの手法も問われている。一人ひとりの組合員
が組合という場を通して、何かに目覚め、自分自身の新たな発見を行うことで、労働組合の必要性
を感じることへつながると考える。


意欲と経験のまじわり
浅野
2008/12/21
【意欲と経験のまじわり】

今年の組合活動を振返り印象的な光景が、とあるエネルギー系労組で
開催された青年部リーダー研修後の懇親会でのひとコマ。

「こんな組合なら潰してしまえ!」
懇親会が順調に盛り上がったと思った矢先に聞こえてきた声、
威勢よく叫んだ彼は立て続けに、

「組合活動までトップダウンでやるなら、そんな組合は必要ないじゃないかぁぁ!」
どうやら、宴会での飲み方が発端となり、若手リーダーが執行部に絡んでいるのである。

私の隣の傍観視していたベテラン執行部が一言。

「あいつも若いなぁ。。。まだまだ経験が足りないんだよ」
と冷静なコメント。

『そんな悠長なことを言ってていいのかなぁ』
と心で呟いた私。

感情的ではあったにせよ、意欲を示した時がチャンスである。
じっくり話しを聴き、経験に基づくアドバイスをするのが我々ボトム層の使命ではないか、と考えさせられた。

今、組合活動が組織から期待されているのは、「創造性」である。
昔と違って、「創造性」はある特定のトップ層に委ねられているのではない。
組織内での互いのコミュニケーションによって生み出す「ひらめき」
によってなされるものである。

脳科学における、ひらめきによる「創造性」とは

創造性=「意欲」×「経験」

「意欲」は主に前頭葉で、「経験」は側頭葉に蓄積していると言う。
一つの意見には、たとえそれが感情的であったにせよ、
「何かをどうかしたい」という意欲がある。

ボトム層は、主に前頭葉が活発にはたらき「意欲」が沸くが、
側頭葉に「経験」が蓄積されていないので、ひらめきがおきにくい。

ミドル層は、今までの「経験」により側頭葉は働くが、
失敗の経験も多くあり自ら「意欲」を沸かせることに鈍感になり、
同様にひらめきがおきにくい。

私達がリーダーシップを発揮する上で、組織の不活性を
ジェネレーションギャップに求めてはいけない。
私たちミドル層のリーダーは、世代間による「意欲」と「経験」
の違いを冷静に受止め、ボトム層の「意欲」にじっくり心を傾け、
お互いの「創造性」に期待し、ひらめきを生み出すことが求められている。

不況より、減産よりも辛いこと。
服部
2008/12/14
輸出などでずっと好調だった自動車産業。急激な販売低下に見舞われた、自動車系労連でこんなお話を聞いた。
「急激な輸出不振もあって、派遣さんに辞めてもらわねばならない。それが本当に辛い。立場は違えど、同じ職場で働いてくれた仲間だから」
「・・・本当に辛い」

組合役員:「すまないね。これから(の生活)不安だよな」
派遣:「仕方ありませんよ。(笑顔で)本当にありがとうございました。(仕事)きつかったけど、楽しかったですよ」
組合役員:「本当に力及ばず、すまん。(君は)一生懸命だったのに」
派遣:「いや、本当にありがとうございます。でも、また、忙しくなったら、呼んでくださいよ。また、この会社(職場)で働きたいですから」
組合役員「・・・」

この年の瀬で失業である。
彼はどのように年を越すのだろう。
彼にも家族(恋人)がいるだろうに。

朝、出社したときに自分のタイムカードがない。
それが期間満了のサイン。
そんな処遇の身である彼に優しくされている自分(たち)がいる。

不況は辛い。

減産も辛い。

でも、人としてもっと辛いことがある。