ゆにおん・ネタ帳

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全国3700ほどの労働組合とのお付き合いの中で、記憶に残るエピソードや、これは使えるといったネタをご紹介していくコーナーです。

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2009年

リーダーを見つける際のポイント。
小野
2009/12/27
今年はドラッカー生誕100年だったそうであるので、今回もドラッカーの名言を
ご紹介する。

《 リーダーを見つける際のポイント 》

組織のリーダーを選定する際には、次の3点に焦点をあてなければならない。

1)その人が何をしてきたか(考え方ではなく、行動実績)

  そして、その中から

  何がその人の強みか(得意か)を見極める。

  たいていの人が、リーダー候補の弱み(不得意)に目がいきがちだが、
 
  それは大きな間違いである。
  
  成果をあげるのは、強みによってあげられるのある。

  したがって、その人が自らの強みを活かして何をしてきたかを見極めなければならない。

2)組合(組織)の現状から、組合のために行うべき重要なことは何か(ニーズ)を考える。

  そして、そのニーズを満たす(あるいは改善・改革)ことに最も得意(強みを持つ)人を

  リーダー候補の中から選ぶ。

  つまり、組織の機会と個人の強みを一致させるのである。

3)真摯さを見る。

  リーダーは模範となるべき存在である。組織内の人たち、特に若い人たちがマネをするに

  値する人を選ばなければならない。

<逆にリーダーに選んではいけない人物とは>

労働組合のリーダーは、並はずれて優れた仕事ぶりを要求される。

組織の役割について大きなビジョンを持ち、自らではなく、自らの役割について考えることが

できなければならない。

自らを重視するリーダーは、自らを殺し、自らの組織を殺してしまうので、決してそのような

リーダーを選んではならない。

 
データは口ほどにモノを言う
大川
2009/12/18
組合活動の基本は調査であり、「調査しながら活動し、活動しながら調査する」という原則
を改めて実感する話をお聴きしたのでご紹介しようと思う。

九州にある大手スーパーの労働組合では、毎年「組合員意識調査」のアンケートを実施し
ていたが、以前は内部で調査票印刷から配布・回収、入力・集計を行っていたそうです。
専従役員は2名いるものの、3000名以上の回収票を入力集計するには相応の労力と期間を
要し、集計完了までには数ヶ月かかるばかりではなく、終わったらエネルギーを消耗し、
安堵感もあり「次の一手」まではなかなか展開できなかったそうです。

縁あって当社で調査のお手伝いをすることとなった昨年の意識調査では、従来より短期間
で仕上がったこともあり、またグラフ等で視覚的にもデータを読みやすくなったことから
内部での2次加工やコメントに注力でき、人事労務担当者からも労務政策に活用したいと
いう申し出があった。

さらに今年は実施時期を早め、店舗ごとの集計をすることにより顕在化した課題を「緊急
対策」、「中長期対策」、「会社側での施策」に分類したうえで労使協議会でも活用されてい
る。お話では社長が最も関心を持って読み込まれているそうであり、緊急対策に挙がった
セクハラ・パワハラでは事実確認ののち加害者側に懲戒処分者も出るという(成果?)も
あるそうです。

サービス業は従業員満足度がお客様満足度に直結しやすい業種でもあるだけに、組織化さ
れたパート社員の「職場満足度」や「仕事満足度」をも調査しながら経営対策としている
効果的な組合活動だと確信します。


不況下、職場コミュニティー活動への期待
吉川政信
2009/12/11
ある労組でこんな取り組みが行われています。
それは、組合員同士がつくる「100のコミュニティーの実現」です。
仕事以外での小集団によって、違う職場同士が横につながるものです。
形成されるのは、「魚釣り」「キャンプ」「マリンスポーツ」などの
様々な趣味・スポーツを中心としたコミュニティー。

この取り組みは、こんな期待のもとに生まれました。
不況の中、職場の雰囲気も悪くなり、組合員の孤立化が進み、会社へ
の帰属意識も低下。そんな不況下、仕事を離れ、趣味を通し仲間と行
動することで、金銭的なインセンティブだけでなく、“仲間という
非金銭的なインセンティブ”を得られる場で、仕事の領域を超えた自
分と組織の繋がりを実感できるのではないか。

人と組織のつながりを深めることで、組織の必要性が高まり、働くこ
とへのコミットメントを見出すことができ、働きがい、生きがいの向
上に繋がることへの期待は、今後もより一層高まります。


4.吉川

タイムマネジメント
淺野 淳
2009/12/06
年始にあたって誰もが考えること、今年は○○な年にしたい、
△△に取り組もう、□□を目指そうというもの。それぞれにビジョンを
持ち年始を迎える。

労働組合の役割とは、組合員が心の中で掲げるこれらビジョンの実現を、
支援することである。

一方、労働組合の役員がこの一年間掲げるべきテーマは何か、
組織に応じた労働生産性の向上を目指した活動である。

この組織と個人、双方のニーズを満たす活動とは如何なるものか、
組合員が最も興味関心を示し、主体的な参加・関与を促せるテーマ、
お勧めは「タイムマネジメント」である

時間管理=仕事の管理である。

「どうすれば創造的な時間が捻出できるか」「やる気のある時間を増やすコツは?」
「行動プランニングの効果的な進め方は?」誰もが抱える課題。
書店に並ぶビジネス書・HowTo本からの情報だけでは組織全体への波及効果
(労働生産性の向上)が得られない。

肝心なことは、組織としてこのテーマに取り組み、組合員同士が
知恵を共有し取り組むことである。なぜならば、生産性とはその本人
の保有する「能力」や顕在化した「行動技術」だけできまるものでないからだ。

何よりも、「やる気」と「チームワーク」が付加されることによって
組織の成果として生産性は向上するものである。

それを担えるのは、労働組合である。


後悔
服部
隣の部署の仲間○○が突然休む。長期休養だという。

社員A:「○○くん、最近見ないけど、どうしたの?」

社員B:「軽いうつみたい」

社員A:「うつか・・・。そういえば、○○くん、最近、元気なかったもんな」

社員B:「昔は、しかめっ面してバリバリ仕事してたけど、最近、暗かったからな」

社員A:「実は俺も気にはなっていたんだ。・・・ただ、他部署だし・・・。マネージャーや同じ部署の仲間がフォローしてくれると思って・・・」

日本の職場で増殖するウィルス。「無関心」「分断」、そして「孤立」。

職場の血が抜かれていく。青ざめた冷たい空間の増殖。

「誰かがするだろう」、
「同僚がフォローしてくれているはずだ」、
「マネージャーがすべきだろ」。

でも、誰一人として、何もしなかった。

○○くんは、無機質な灰色の世界をずっと一人ぼっちでいた。

そして、○○くんは、今も会社を休んでいる。


ほんの少しでもいい。

自分にできることはなかったのか。

いや、あったはずだ。

たくさん、あったはずだ。

いつもの顔。普段どおりの1日。


でも、心が叫んでいる。


「何か違う」、と。



究極の人物の判断基準
小野
2009/11/22
ドラッカーの著書の中で、鮮明に記憶に残るフレーズがあるので、ご紹介する。

それは、ドラッカー自身が、若かりしころに、世界的な規模の大組織の長をつとめる

賢人から教わった金言である。

その賢人は人事の適切さで有名だったので、ドラッカーが人物を見る時には何を見るのか?

と聞いたところ。その答えが

「重要なことは自分の子供をその人の下で働かせたいと思うかである。

 だから私は自分の子がその人のようになってほしいかを考える」

これが、人事についての究極の判断基準である。。

この基準を知って以来、私も人を判断する際に、我が子をこの人に託せるか否かで

判断していている。

以上 何かのネタになれば幸いである。
やっぱり、すばらしい組合活動
大川
2009/11/14
ある産業別組合でワークショップ型研修のお手伝いをさせていただいた。

厳しい業界動向

この産業は今、大いに揺れている。原因は多数あるが世界的不況や新型インフルエンザ流行、原油価格変動や
国際競争激化に加えて、長年にわたる行政の失敗も大きな痛手となっていると指摘されている。
業種柄大きな設備投資を必要とする設備集約型産業の特色と、現場は典型的な労働集約型産業で個人、部門間の
連携が非常に大切だという特色とが混在しており、お客様の安全・快適を約束する責任の重い仕事でもある。

熱い議論

研修会には110名が参加され、7~8名単位で15グループが編成された。もちろん各企業グループや部門、
職種が混在したグループに編成されている。
研修会では全15グループが5グループずつ3つのブロックに分かれ、テーマ別でワークショップを行い、
それぞれ次のような状態を目指したいということに議論がまとまっていった。

1.経営(会社)について
 ビジョンが明確/風通しが良い/CSR(社会的責任)を果たす/業績向上させる/人材育成に力を入れる

2.職場について
 風通しが良い/仲間に対する愛がある/笑顔・雰囲気が良い/目標が明確/一体感がある/コミュニケーションが
良い/人材(後輩)育成ができる

3.従業員について
 コミュニケーションが良い/チームワークが良い/全体最適を考えた行動/人材育成(後輩指導)/基本行動
(ルールを守る/時間を守る)/あいさつをする

現場は分かっている

私は参加者のみなさんの真剣で、熱く、楽しいグループワークを目の当たりにし、経営課題は現場が一番分かっている
ことを確信した。そして感銘を受けた。
そして、理想の会社・職場・従業員にしていくためには明るく楽しく元気な組合活動が欠かせないことも改めて
確信したのであった。

今、組合の組織体系を考える上で大切なことは
吉川政信
2009/11/04
電機系労組にてビジョン検討委員会のコーディネイトを行っているときに感じたこと。

ミッション、ビジョン、活動領域が決まり、いよいよビジョン達成に向けた新たな組織体系の構築を行う議論が展開されました。
組織を目的達成のための手段とすると、目的とはビジョンになります。そして、ビジョンを効率的、効果的に実現するため、最適な基幹プロセスとしての組織体系を考えることが必要になります。
当労組では、ビジョン実現の原動力は、職場役員(非専従役員)が現場へ出向き、組合員と頻繁にコミュニケーションをとることであると捉えています。現状の活動についても同様で、この行動はあらゆる組合活動の根幹をなす、不変的なものと考えています。

しかしながら、職場ではフラット化が進み、一人の役員が対応する部門・部署の数も増え、その行動に歯止めを掛けているのが実態です。職場役員のリーダー役である執行委員(非専従役員)が管轄する組合員の数が、400名を超えることもあります。
このような環境の中で、現場に出向き、一人ひとりの組合員との信頼関係を構築するのは、大変困難な状況です。

「現場に顔を出さない、組合員と頻繁にコミュニケーションをとらないのは、役員の気持ちの問題である」といった考えにも限界がきていると感じます。会社の組織再編のスピード化に伴い、今までの組織体系では対応が困難であることにも着目する必要があります。
そのためにも、組織の枠組みを決める際に、職場実態に合わせた役員数や、階層を考えることが重要です。
現場役員の活動促進を役員教育でフォローする一方で、今の組織体系が職場の変化に対応した形態となっているかを今一度検証し、職場役員がビジョン実現に向けて貢献しやすい環境整備を図ることも、組合活動を促進する上では不可欠なことといえるでしょう。



組合活動のパブリシティ対策
淺野 淳
2009/11/01
先日、ある地方金融機関の従業員組合の新たな活動の一歩を踏み出す場に立ち会った。

厳しい経営環境の中、労使一体となって企業価値を高めるために、従来のトップダウンと言う名の執行部任せの活動から脱却し、職場リーダーを主体とした活動、すなわちボトムアップ型組合活動をスタートさせた。

その活動に対する経営者の理解、組合員への浸透を促す手法として業界新聞へ情報を提供した。

以下は、その原稿。

○○○従業員組合では、「自ら考え行動する組織」を目指し、「原点と変革」をテーマに一年間の活動をスタートさせた。

「原点」とは、良好な労使関係に基づき、従業員組合として、企業の存続発展に貢献すること。
「変革」とは、従業員組合の価値である現場のリレーションとボトムアップによる主体的・自律的な問題解決力の向上と位置づけている。

今期の活動の特徴は、これからの地銀のあり方、未来の自分たちの「ありたい姿」を職場の仲間と一緒に描き、そのために組合員個々が自分たちに出来ることを職場の活動目標にすることである。

「従来の組合活動では、一部の組合役員が活動方針に沿って活動を進めるため、組合員の自主性を尊重する活動になっていなかった。」「今回の活動は、本来の組合活動の強みにフォーカスした職場の組合員の可能性を引き出す活動である。(△△委員長談)

今定期大会で発行した「ユニオン・ガイド」には、本年7月に実施した「職場実態・意識調査」の結果報告が掲載されている。その結果から、○○○銀行における目的志向型人財の特徴が示されている。

組織の中で仕事に対する普遍の価値観を持ち、常に顧客に、組織への貢献を目的と捉え行動する従業員の姿が浮かび上がった。その調査結果を組合員にフィードバックし、職場単位でその行動の背景や行動の特性について話合いながら、自分達の職場の目標を決める。

これらの一連の行動を従来から存在する職場集会の場を活用して展開する。また、その会議の結果については、職場単位の労使協議会へ報告し、経営側の協力を仰ぎ、まさに労使一体となって、職場を良くする活動を展開し、生産性の向上を実現しようとするものである。

具体的には、11月に第一回目の職場集会を開き、半年後の理想の職場イメージをロードマップの作成を通じて共有し、活動の目標を決める。

翌年2月の第二回目の職場集会では、活動の振返りと、更なる職場としての目標の設定を行う。

そして、翌年5月の職場集会で、半年間の活動による成果や今後の課題を整理し、引続き、組合活動の活動目標を決定すると同時に、自分たちの会社を良い会社にするために従業員組合へ、経営者へ提案をすることになっている。

△△委員長は、「今回の取り組みは、経営と現場が一体となって顧客満足を創造し、組織の存続発展に貢献する、これからの組織のあり方を模索する新たな挑戦である」と言う。

以上、経営者が労働組合を組織パートナーとしての認識を促すための「パブリシティ対策」の参考にして頂ければ幸いです。

「1本飲むなら、2本買え!!」
服部
2009/10/25
あなたの組織に、「ものがたり」はありますか。

長い風雪を経て、築きあがる独自の企業文化。同じ業種・業態なのに、全く異なる社風。

それは、明文化されず、「ものがたり」として口承される。先輩から後輩に酒場で「武勇伝」として語り継がれる。

「ものがたり」を聴くと、組織のメンバーは熱くなる。

時には、その「ものがたり」が、新しい「ものがたり(ナラティブ)」を創りだす。


労働組合のミッション(使命)・ビジョン(ありたい姿)策定のお手伝いの時、私は必ず「ものがたり(武勇伝)」について尋ねることにしている。

「おたくには、社内(組合内)で伝わる武勇伝なんてありますか?」

国内に5000以上の商品アイテムがあり、毎年、数千の新商品(パッケージ変更含む)が投入される競争激しい清涼飲料業界。

その組合のビジョン策定会議で、「ものがたり(武勇伝)」について尋ねてみた。

「僕は、毎日ベンダー(飲料自動販売機)巡回しているんで、ライバル企業の新商品知るには、自分で購入するしかないんですよ。みんなもそうなんですが・・・」

「ただ、ライバル企業の商品を買うことになるんで、先輩からよく言われましたよ。『(他社商品を)1本飲むなら、(自社商品を)2本買え』と」

競争意識剥き出しのモーレツ社員と笑うがいい。

でもこういう社員がその企業を支えてきたのだ。

「1本飲むなら、2本買う」という想いと行動の連鎖が職場を熱くし、エネルギッシュな企業文化を育んだのだ。

「ただ最近、うちの若いので、プライベート時に自社商品飲まない奴がいるんですよね・・・。ぶん殴ってやりたいですよ」

この人たちは、毎日の「作業」を「仕事」にまで昇華させている。


あなたの組織には、どんな「ものがたり」がありますか。

あなたは、どんな「ものがたり」を創ってみたいですか。