ゆにおん・ネタ帳

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2009年

無給だからこそ満足を求める
小野
2009/05/31
今週、新入社員から、組合に対して興味深く、かつ参考となる意見を聞いたので
ご紹介する。

1. 4月から6月、無垢の新入社員を組合のファンにすべし。

  4月から6月にかけて、新入社員は右も左もわからない。

  そんな時に、労働組合が、だれよりも積極的に新入社員に対して接触してきて
  悩みに相談に乗ってくれたり、会社の色々なことを教えてくれたりしたら
  きっと、変な先入観を持っていない新人達は皆、労働組合にすごく好印象を持
  つだろうし、ずっと感謝し続けるだろう。
  
  4月から6月にかけて、新入社員へ数多くアプローチしファンを作る行動は
  実に的を得ている。

2. 新人に積極的に役割を持たせる。

  若い現場役員は、最近 皆やさしすぎる傾向にあるようだ。
  例えば集会参加のお願いごとも「できれば参加してくれないかい?」とか
  「参加してくれるだけでいいよ」と負担感をもたせないように、低姿勢で働きかける。
  
 ☆素直な新入社員としてみると、参加は強制ではなく任意だと捉えてしまうようだ。
  それほど、関与を求められてはいないとも受け取れるようだ。
  しかし逆に先輩達から、自分の必要性と役割を強く働きかけれられると対応は異なる
  と彼(彼女)らは新人は口を揃えて言う。

  例えば「今、我々の活動には、是非 新入社員の皆さんのような、会社の色にまだ
  染まっていない、率直な意見を聞かせて欲しい。だから必ず参加して欲しい』

 ☆何もしないでいいなら、自分達の存在価値がないことになる。
  入社したての彼(彼女)らは、自分達にも何か手伝えることがあれば、主体
  的に取り組みたいと思っているす、そのような役割(組合の仕事への関与)と責任を
  担いたいと考えている者は、案外多い。

ドラッカーもこう提言している、非営利組織において、唯一報酬は心の満足であり、
給与ではなく、仕事を与えることそのものが報酬なのだ)

『無給だからこそ満足を求める』のだ。
組合員は無給だからこそ、大きな貢献をなし、仕事そのものに満足してもらわなければ
ならないのである。

組合が、彼(彼女)ら新入社員をひきつけ、とどまらせるには、
「彼らの能力や知識を活用しなければならない、意義ある成果をあげる機会を提供し
 なければならない。」

彼ら、無給の組合員が求めているものは何か?
いつでも去ることのできる彼(彼女)らをとどまらせるものは何か?

彼らが求めているものは

 第一に、活動の源泉となるべき明確な使命

     「何のために働いているかを実感させる」こと

 第二に、必要としているのは訓練・訓練・そして訓練

     「自分を高めるための訓練を求めており、訓練によって成長を実感させる」こと

 第三に、より困難な仕事と責任と評価

     「自らが目標を検討し、設定する責任を与えられ、認められより大きな権限委譲と
      それに伴う責任を求める。 つまりより困難な仕事と責任と評価を求める」

新入社員の積極的な組合への関与は、組合組織全体に強いプラスの効果をもたらすに違いない。
(古参の先輩達は、新入社員に頼まれれば、自分の知識や経験を伝えたくなるものであり、
 力を貸そうとしてくれるに違いない)

以上 何かのネタになれば幸いである。

組合に求められる論理的思考
大川
2009/05/24
菓子の製造販売と飲食事業を手がける老舗企業の労働組合で研修をさせていただいた。
研修テーマは「ロジカルシンキング」。すなわち論理的思考方法の習得。いわゆるスキル研修の一つだが、
そこには委員長自らが考える労働組合の新しい風土づくりという重要な課題が「裏のねらい」として企画
されているのであった。今回はその考え方と手法を紹介させていただこうと思う。

老舗企業にみられる職場風土と組合の体質

歴史がある。ブランド力もある。有名百貨店の多くに出店している菓子メーカーだけに、確立した企業
文化があるという。当然良い面も多いのであろうが、委員長の見方には厳しいものがある。
「組合員が自分たちの業務内容や働き方に何の疑問も持たず、とはいえ不満がないわけでもなく、『考える』
文化が不足している」との指摘だ。
「会社や上司に対しても受け身的なところが多く、組合の支部執行役員でさえ主体的な活動ができていない。」
との厳しい評価は「伝統に甘える従業員像」を「変革する必要がある」という意見に集約されている。

職場の課題も組合の課題も領域が広く混沌としている

問題意識が高い組合員や組合役員がいても、具体的に何らかの課題を指摘したり解決できるよう働きかけたり
というところまではいかない現状があるという。理由はさまざまであろうが、一つには課題が山積している
ことがあるという。またそれらが多方面にわたり、例えば「働き方」や「人員(シフト)」の問題であったり、
「商品」「生産」「サービス」の課題であったりするため、どこまでが組合の領域なのか、どこからが職制の
領域なのか判然としないことも理由の一つであるという。

だからこそ、「論理的な考え方」が必要

委員長と書記長は「組合役員さえ主体的に動けていない」と厳しい評価をしながらも、その原因を単に「やる
気がないから」といった精神論では捉えていない。では何が原因か?
つまり、「考え方が整理されていない」ことと「会社や管理職の判断・指示に従おうという気持ち(職場風土)」
の二点と認識されている。
だからこそ、ロジカルシンキング(論理的思考)の技術を身につける必要があるという結論に至ったのだ。
そして、「自ら考えて動く=変える」そのような風土を作っていく必要性を感じているとのことである。反対に
「課題が見える=整理される」ことでメンバーは主体的な行動ができるはずという信頼と期待があるのだろう。

「ロジカルシンキング」セミナー開催

約7時間にわたる研修会は次のような概要であった。
① アイスブレイク 「職場課題」「組合課題」の共有を兼ねた自己紹介
② 講座「ロジカルシンキングの基本」
③ 「①」の課題を論理的に整理するワークショップ(応用編)
④ 上記課題解決のための「原因分析」「仮説構築」のワークショップ(実践編)

これらを研修会の「ねらい」として打ち出さず、参加の支部執行委員にはあくまで「スキル研修」だという
ことで召集し、「事例」として社内の課題を「ネタ」にしている。

「自分たちの『やりたいこと』を支部の方針にしてほしい」

委員長は経験豊富なベテランでもある。その多くの経験の中で、伝統企業ゆえの企業風土が「依存型・受身型」
になっていると分析している。「労働組合も今まではトップダウン型で何でも決めて、徹底させようという意識
が強かった」と述懐している。
事業所ごとに人員も事業部門も違い、職場ごとで抱える悩みも違う。だからこそ、「自分たちで考え、自分たち
で決め、自分たちで行動する」そんな支部活動方針をつくる転機にしていきたいと委員長は考えている。


真の「現場の対話活動」とはどのようなものなのか?
吉川政信
2009/05/17
先日、某自動車メーカー労組の専従役員と対話をする機会があり、そこで印象に残ったことをお伝えします。

昨今の厳しい経営状況の中で、今、最も力を入れている活動は何かと尋ねました。
その質問に対して、専従役員は“現場役員と組合員の対話活動”だと回答されました。
組合員との対話活動は組合活動の原点であり重要なことではあるが、改めてこのような返答をされるのは以外であった。

専従役員は、そのことについて、こんなことを言っていました。

従来の対話活動は、どちらかと言うと、現場の課題、実態など現象面の把握や労組の施策に対する反応を聞くようなものが主で、例えば、制度改定を行う際に判断の指標として組合員の賛否を伺うような状態が多く見受けられる。

しかしながら、本来、大切なのは、その実態と同時に一人ひとりの組合員の内面な要因を掴むことが重要といえる。

最近、長時間労働となっている組合員数名に実態を把握する面談を行った際に、共通していたのが、残業時間と業務量が多いという当たり前のことであった。
しかしながら、残業をしているときの仕事へのモチベーションについて尋ねたところ、この回答には職種によって大きな差があることが分かった。
つまり、残業時間の長さが同じであっても、個々人の仕事に対する内的な感情には大きな差があるということが分かる。また、この結果から対応策も当然変わってくる。

残業も多く、やる気や達成感が低い状態の職場は、作業状況にもよりますが、管理職のマネージメントも含め、残業への規制を強化することが最適となります。逆に、残業は多いが仕事への満足度も高い職場に対しては、ルールや強行的な規制を行うことが、かえってモチベーションの低下を生み、働きがいを低下させる要因となる。

どちらのケースも長時間労働を規制する必要があることには変わりがないが、対応の仕方には注意をする必要がある。例えば、比較的、営業職では、残業が多くても充実感を感じている場合がある。その要因は、お客様との繋がりや評価からくることが多い。このような職場に、残業規制だけを行えば、働く側は、お客様からの信頼の低下を懸念する恐れから逆にモチベーションが低下する場合がある。現に過去にそのようなことがあった。このようなケースでは、今以上にお客様からの満足を得られる効率的な働き方の視点を取り入れた取り組みを行うことが必要になる。・・・・・・・・・・
 
こんな話を専従役員はしてくれました。

この発言から分かるのは、組合活動で大切なのは、勤怠データなどの数値で表された表面的な指標だけで判断して取り組むものではなく、数値に表れない一人ひとりの組合員の内的な感情を把握しその上で何をすべきかを判断しなければならない極めて人間的なものであるということです。

今回の対談した専従役員が私に伝えたかったのは、組合員の組合離れ、活動の形骸化などの問題に対して新たな活動を企画する前に、現場との対話活動という組合の原点活動を今一度しっかりと理解し実行することが大切であることを、伝えたかったと確信しています。
38文字に込められた想い
淺野 淳
2009/05/10
飲料メーカー販売会社の労組主催による組合員向け「働きがいセミナー」で講師をする機会を頂いた。
セミナー終了後、受講者アンケートに目を通しているとこんなコメントを発見。

「職場に戻って周囲の人に心から働きがいについて問い掛けることで職場を良くしたい」

シンプルな38文字ではあるが、その方の深い想いが刻まれており感慨深かった。
ご本人に直接確認をした訳ではないが、私なりにその方の想いを噛み締めながら帰路についた。

『職場に戻って周囲の人に』
働きがいは、自分一人だけで味わうモノではないことを知っている表れだなぁ。
『心から』
自己表現はテクニックではなく自分の想いを率直に伝えることに意味があると、感じてもらえたんだなぁ。
『働きがいについて』
働くことは、対価を得る以外にもいろんな意味や価値があることを感じた証だよなぁ。
『問い掛ける』
周囲の人からの答えに期待するのではなく問い掛けることに価値を発見したんだなぁ。
『職場を良くしたい』
相手を活かすことを通じて、自分を活かす。素直に主体的に職場を良くしたいと感じたんだなぁ。

こんなことを呟きながら、今回のセミナーを総括した。

主催者が今回のセミナーを開催したねらいは、「職場で組合員自身が自らの課題解決に取り組めるような組織を目指したキックオフ」である。

日常、具体的に深く考えない「働く」をテーマに掲げ、空間・視点を換えて仲間との対話を通じて自分を客体化すれば、本来の目指すべき姿がイメージ出来る。きっと、自らが自分自身の可能性を引き出せるはずである。

そんな想いから開催されたセミナーであった。

職場に帰って自ら感じたことを仲間に伝えるべくパスを出す。チーム全体でゴールを目指すきっかけになることを願う。

組合活動が目指す「相互扶助」

それは、組合員同士がパスを出し合い、お互いに自発的に助け合えるチーム創りだ。今回の取組みがその一歩になれば幸いである。


走れ !! グラハン !! 
服部
2009/05/03
グランドハンドリング(グラハン)という仕事がある。

空港で飛行機からの荷物を積み下ろしたり、あの大きな機体を整備場へ移動させる仕事だそうだ。

いつも機内の窓から、彼ら(最近は女性もいる)が見える。

羽田空港だけで年間約6600万人の利用客がいる。

日本の空港は騒音や用地買収問題などもあり、海岸の埋め立て地が多い。海に面した空港は、特に自然環境の厳しい場所だ。

夏は、グランドが陽炎で揺れる。灼熱の太陽が容赦なく照り返す。

冬は、海から吹き上げる寒風が体を突き刺す。

眼を開けることもできないどしゃぶりの日もある。

でも、グラハンは、グランドを守っている。

飛行機が遅延で深夜に着いても、巨大な機体を整備場へ運び、翌朝までに正しいゲートへ運びきる。

誰よりも早くグランドに立ち、最後までグランドを見守っている。


すべては、定時出発のお客さまのためである。


飛行機はパイロットだけでは動かない。整備士・地上職・客室乗務員・施設管理者・管制官、そしてグラハンなどの全ての力が結集された芸術作品である。

彼(女)らは、いつも、グランドを一生懸命動いている。一身腐乱に、走っている。

「走れ !! グラハン !!」


「ありがとう !! グラハン !!」



【 しくみ、広報、場作り 】 3つの出来事
小野
2009/04/26
今、世の中は大不況だ、生半可な仕事ぶりでは、到底立ち行かない。

しかし、この不況の時期だからこそ、良いモノが純粋に選ばれ支持される。

今まで、労働組合に対して関心のなかった組合員が、労働組合に関心向け、主体的な関与と協力をして
くれる機会になるかもしれない。(チャンスだ。)

実は、このことをを感じさせられる出来事が最近3つほどあったのでお伝えする。

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■1. しくみ作り

   各種労働条件制度の比較集計や標準値比較をWeb上で可能となる総合データベース&調査
   のしくみを企画して大手産別や単組の役員に提案する機会をいただいた。

   その際に役員の方から、

   『このしくみができれば単組は(特に中小の単組)データに基づく交渉が可能となる。
    会社側も持ち得ないデータベース(ネットワーク)であり単組からも組合員からも頼りに
    される。 
    このしくみは労働界を変えることができるかもしれない』

   『このしくみができると、多くの単組役員の事務処理負担が軽減されるのではないか』

   と大いに賛同をいただいた。
  
   またその際に、役員の方が言った言葉が印象深い。

   『現在の組合運営の多くは、極めて非効率で非生産的なしくみとなってしまっている。

    現場の役員は煩雑な処理業務に追われてしまい、本来やるべき重要で創造的・生産的な仕事が
    できない。

    しかし、自分の所属する会社では(現場の組合員が)、生産性をあげるべく大変な思いで仕事
    しており、自分も組合で良い仕事をしたい。

    本来、私ではなく、もっと上層部や上部団体でやって欲しい仕事ではあるが、
    次の役員に同じ思いはさせられない、私の時代に組合の業務改善を実現してみせる。』

 古いしくみを改善改革し、新しいしくみ作りを行おうとする人に感動し、明るい未来を感じた。

 
■2. 認められる存在へ

   「ドラッカー協会」http://drucker-ws.org/index.htmlに所属している私の知人が
   我が社のことを、他の会員に話したところ、ユニークな経営だとして、話を聞きに
   来社された。

   そのお一人、日本にユースウェアーというしくみと協会を作った片貝さんという
   方に対して、2時間あまり、我が社と労働組合の存在意義について熱く語った。

   すると、その方々より
   「日本の労組に対する見方が180度変わりました。
    まさに目からウロコが取れた気持ちです。
    私はこれまでそんな話を聞いたことがない、感動しました。」
   と労働組合の活躍を認めていただけた。

   そして来月、ダイヤモンド社の編集長達と集まる会合の場で、メンバー達にも話しを
   聞かせてやって欲しいと依頼された。
   私も「労働組合のことを皆様方に少しでもPRできるのならば」と承諾した。
   
   マスコミを通じて、日本の労働組合のすばらしさを多くの人に伝えられたら本望である。

■3. 場作り

   先週、某大手労組委員長と副委員長が、弊社に来社され、数時間熱く語りあう機会を頂いた。

   その際に、委員長より次のような期待の言葉をいただいた。

   『j.unionから、我々委員長達に対して、
    これからの日本をどうしていくのか、労働組合をどうしていくのか皆さんで集まって
    考えよう と声掛けして欲しい』

   そうおっしゃって頂いた。

   ぜひ、今年の秋にでも、我々でお声掛けして、数十名の委員長にお集まりいただき
   これからの日本と労組について大議論する場を企画してみたい。

   仮に30~50名の委員長が集まっていただけるとしたら
   そして、それらの人達で議論できるとしたら。

   そこから、何かが変わり始める気がする。

■以上 3つの出来事は偶然とは思えない。きっと必然なのだ。

 この3つのこと

 1. 労働界を変えるかもしれないシステム作り
 2. 労働界を世間に広める(マスコミ)活動
 3. 労働界のリーダー達と志をつなぐ 場作りと

 これらが実現し花咲く時、労働組合は新たなステージにステップアップしているに違いない。


ある委員長の信念と「覚悟」
大川
2009/04/19
その労働組合は酒類の製造・販売をしている企業の組合である。
そして委員長は颯爽とした風貌が印象的であり、一見「労働組合幹部」には
見えない。
しかし組合活動にかける思い入れは強く、「組合員のためになる組合活動」
を進めていくことに使命感を持って職務を全うしようとする意志が会話の中
でも感じられる。
彼の信念とも言える思い入れとは次にご紹介するようなことからも理解できる。

全ての組合活動は組合員のために

「組合活動が組合という組織のためではなく、組合員のためであること」
極めてシンプルだが、疑問に感じる組合活動に接する機会が多い現実もある。
特に春闘時期には「本音」を脇においても建前論が横行するように感じる。
あらゆる利害関係の中で組織運営をしていく必要性は理解できるが、組合員の
「真の要求」に応えることより運動論を優先してしまう構図は今年も繰り返さ
れた。

「会社に貢献する意欲の高い人材」が活かされる環境をつくるために

同組合でも組合員のメンタルヘルス対策は重要な課題のひとつに掲げられて
いる。しかしながら、対処療法的な対策を優先することなく、組合員がスト
レスを感じる原因(本質的な課題)に踏み込んでいる。その対策とは、組合員
の職務上の目標管理や上司との力関係からくるストレスを「自ら理解し改善行
動できる」自立した組合員になってもらうことに他ならない。
具体的には、組合員が上司との間で行う目標面接がどのような内容になっている
かについてアンケートで定量化し、自らの行動を改善できるような取組みである。
上司との関係性は良好か、率直に話し合いができているか、組織目標を理解・
納得した上で主体的に業務目標を設定できているかなどを分析し、「働きがい」
を高めるために重要なファクターを客観視する。結果的に自らの職務内容と行動
の改善により悪性ストレスを良性ストレスに転換していくことを狙ったものでも
ある。

組合のこと、会社のことがもっと組合員に理解されるために

経営の品質を高めるためには従業員が組織をよく理解し、自分たちの立場でどの
ような貢献ができるかを考えながら行動する必要があることは疑う余地がない。
そのために労働組合の情宣活動を充実させるのは最も効果的な方法でもある。
誤解を恐れずに言えば、どんなにすばらしいことを考えて実行しても、そのプロ
セスや結果が組合員に知らされなければ唯我独尊となってしまう。委員長は組合
ホームページを計画している。組合員が便利に使えるコンテンツの充実。さらに
速報性というメディア特性を活かした情報提供や、情報収集。純粋に楽しめる
内容。職場の異なる出向者にも情報を共有できることなど、機能性を高めたコン
テンツを思案している。

真剣に組合活動で成果を上げる「覚悟」とは

同労組での取り組みは決して斬新さや革新性があるものではないかもしれない。
しかし組合員の満足度を追求することへの真剣さは、並々ならぬものがあると
感じる。
なぜならば、委員長が語った次の一言からもお察しいただけると思う。
「私自身の目標設定は組合員からの『組合満足度の向上』で、調査結果が私の
人事評価になるんです。」
最近の労働組合の議案書には前期の運動方針や重点活動に対し、組合執行部の
立場で○△×などの「自己評価」を記載しているものを見かけるようになった。
しかし、委員長の評価を組合員が査定する仕組みを自ら決断していることにこの
委員長の「覚悟」を感じる。その潔さに敬意を表したい。

「今だからこそ、労働組合の人材育成活動が問われるとき」
吉川政信
2009/04/11
某労組が開催する組合員対象のセミナーは、年間約50本の講座を実施し、講座の種類も様々で、仕事で使える知識や技能、仕事以外の充実支援を目的とした趣味の講座など多種多様な講座を開催しています。
また、参加組合員からの評価も高く、今年で7年目の開催となります。

このセミナーの発起人である当時の委員長はセミナーを開催する意義についてこんな説明をしてくれたのを覚えています。

組合員が講座を通して多くのことを学び人間的な成長を行う。そして、組合員が地域の人たちと接するときに、講座で学んだことが活かされ、地域の人たちにとって少しでも良い影響をもたらすことができれば、地域社会への貢献にも繋がるといった説明でした。

今、労働組合と地域社会との関わりは、社会貢献活動を中心に、今後、ますます問われることと思われます。
そもそも、組織における社会貢献活動とは、自分たちの本業の中で、社会にとって良い影響をもたらすことができる工夫や改善を行うことが重要であると考えられます。

労働組合において、組合員の「人材育成」は活動の柱と言って良いでしょう。
人材育成が労働組合の活動の柱であるならば、組合員の人材育成を継続し成長の機会を与え続けることは、企業や社会の活性化に繋がる社会貢献活動の一つといえるでしょう。

今、不況化の中で、企業では、採用や教育費用が削減されています。
本文にて紹介した労働組合の企業の業績も、不況の中で決して順調とはいえない状態が続いています。しかしながら、不況を乗り切るため、不況の波を乗り越えたときのために、労働組合では、今尚、人材育成に力を入れ、多くの組合員の参加を募って活動を行っています。

まさに、今だからこそ、労働組合は、社会のためにも人材育成に力を入れるべきではないでしょうか。

職場の労使関係にリーダーシップを!
淺野 淳
2009/04/05
某エネルギー系労働組合支部の主催で管理職を対象にした研修を行った。

この研修は毎年恒例となっており3回目の実施だが、過去2回と違い今回はリーダーシップの内容に
プラス「労働組合の存在意義と機能」を追加するご要望を頂いた。

主催者のねらいは、

「これからの組合活動では職場の労使関係が重要なファクターとなる。」
「集団的労使関係には実行力に限界があり、職場の労使関係を改善し現場力を高めたい。」
「管理職が労働組合を主体的に理解し、組合活動と連携することが欠かせない。」
「そのために、労働組合が果たしているリーダーシップのあり方を理解してほしい。」

明確な意図をもった研修である。ターゲットが絞り込まれており、ゴールイメージも明快だ。

ただし、問題は参加者の参加意欲であった。若干の戸惑いはあったが、これからの労働組合のあり方と、
昨今の労働組合の現場主導型活動の事例等を交えながら研修を進めた。

『今更、ナゼこんな話を聞かなければならないのか。。。。。。。。』

研修前の参加者からはこんな心の呟きが手に取るように感じ取れた。

しかし以外にも休憩時間にある参加者から

「我々管理職がメンバーの可能性を信じ、問い掛け続けることが重要ですね。これからのリーダーシップ発揮について考え方が変わりました。」

変化対応が盛んに叫ばれる今、適合するための行動ばかりを問いかけていては、変化を受動的に捉えてしまう。
わたし達リーダーが、常に組織に対して可能な範囲のビジョンを示し、主体的な行動を促すために問いかけることがリーダーシップの姿だ。
ビジョンは作り続けてはじめてビジョンである。ビジョンと行動を分けて考えないことがリーダーの条件である。

これからもリーダーシップは組織にとって普遍のテーマであり続ける。
その意味では今、労働組合は経営よりも、一歩先を歩んでいるのではないだろうか。

そのことを信じ、組合活動の支援をし続けることを心に誓った。


組合役員(組合員)の気で創れ、j.union!!
服部
2009/03/29
訪問先の「企業理念」を調べるのが好きである。

1990年代、『ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原則』というベストセラーがあった。

目まぐるしく環境が変化する中で、変わらない「基本理念」の大切さを説いていた。

この前、ある食品メーカー(の組合)に訪問する機会を得た。

創立以来90年以上も続き、昨今の食品不祥事などにも無縁な日本を代表する食品メーカー(組合)である。

企業理念を調べてみた。

「買う気で作れ、M(企業名)」

一生懸命作るだけでは不十分。自分が買うと思って作れという草創期メンバーの真摯な想い。

今でも創業の精神を大切にしているとのこと。


コンプライアンス(法令遵守)、CSR(企業の社会的責任)などと声だかに叫ばなくても良い。

要は、「自分のために働く」か「お客様のために働く」の違いである。


今の仕事は、誰かのお役にたっているのだろうか?

お客様(組合員)の喜ぶ顔をイメージして、昨日も、今日も、明日も、仕事に打ち込んでいるだろうか?

それがなくなった時、仕事は色褪せる。


今日も自分に問いかけるとしよう。

「組合役員(組合員)の気で創れ、j.union!!」