ゆにおん・ネタ帳

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2009年

チーム編成とは
小野
2009/03/22
チーム編成に関して非常に参考となる考え方があったのでお伝えする。

1. 組織が仕事をするには、まずチームにならなければならない。

2. チームを作るには、人から始めてはならない、仕事から始めなければならない。

3. 仕事を始める際には、まず「我々が、なすべき仕事は何か」を考え、
  続いて「キーとなる活動は何か」を考えること。

4. チーム編成とは、メンバーの強みを知り、その強みを「キーとなる活動」に
  割り当てることである。

  メンバーの強みを活かせる仕事に配置させるとともに、みんなを共同の働き
  (同じ方向や目的)に結びつけること。
   
5. その逆に同じチームにいる者が、みな同じように考え、同じように
  行動するものだという思い込みをしないこと。

  (弱みを克服することや、能力・行動・知識のレベルを合わせることに
   専念しないこと。)

6. メンバー全員が自らのなすべきことを明確にした上で
  そのために必要なことを考えること。

7. メンバー全員が、関係者に対して 次の3点を直接話合える場を持つこと

  ・○○してもらえると私は助かる。
  ・私が現在お役に立っていることは何か。
  ・逆に私がしなくてもよいもの(かえって邪魔になっていること)は何か。
 
 これらを半年ごとに直接会って聞いて回りさえすれば、仕事は8割方上手くいく
 なぜならば

 組織にとって、人に仕事をしてもらうことが最大の責任である
 そのため、つまずかせる障害、邪魔になる、仕事を遅らせる障害を除去すること
 が重要である。(それもリーダーの仕事である)

 それらは、勝手に想像してはならない、直接聞いて何であるかを知る必要がある。

8. 組織が成長するにつれ、非営利組織のリーダーは、組織の全員に対し
  「私が知っておくべきことは何か」を考えて教えてくれと頼まなければならない。

  このことを各メンバーが考えることによって、組織に働く者全員が、自分の仕事、
  部署、担当を超えた発想をするようになる。これによって、組織の一体性が確保される。

9. チーム編成において重要なことのひとつに、植え替え(人事異動)がある。
  永い間同じ仕事をしていると、誰でも飽きと慢心が来る。したがって
  定期的に働く場所を替え、人とチームを活性化させる必要がある。

10. 非営利組織のリーダーにとって、難しいがチームにとって決断しなければ
  ならないこと、それは「辛いがあなたをメンバーからはずす」と言えることである。

   成果をあげられない者を、い続けさせることは、組織に害をなす。
   能力主義と仲間意識のバランスをとりつつも、辛い決断をすることは
   リーダーとしての重要な役割である。

以上、何かのネタとなれば幸いである。

問題意識の高い職場委員たち
大川
2009/03/15
3月の土曜日、ある食品メーカーの合同職場委員研修で講演をさせていただいた。

この会社は大手食品メーカーから半世紀近く前に分社化したメジャーな中堅企業
である。「合同職場委員研修会」という名称は、東西3拠点の工場の職場委員と
執行委員が初めて合同で研修を開催するところからの由来である。それまでは拠点
ごとの研修会が定期的に開催されてはいたものの、「全社的」かつ「現場的な」職場
課題を共有できるのは執行委員までに留まっていたのだ。必然的にこれまでは事業場
単位の労使協議会で職場課題が討議されることが主流であった。今回は職場の実質
的なリーダーでもある職場委員に会社全体を視野に入れた課題意識を醸成することを
意図した新委員長の企画が実行されたのであった。

1泊2日型研修のスタート、初日5時間を担当したのだが、前半は「労働組合の意義と
機能」について講義、後半は職場課題の共有と解決策立案についてのワークショップ
を行った。

私が感銘を受けたのは参加された職場委員の問題意識の高さであった。委員長からは
事前に「消極的」、「受身的」との印象を聞かされており、組合活動へのモチベーション
を高めることが私に期待された役割だと自覚していた。研修の冒頭こそ初対面でなじみ
の薄い参加者同士は硬い雰囲気であったが、講座の進行につれ顔つきや目つきがイキ
イキとして明るい表情になることが嬉しく思えた。

そして後半の職場課題ワークショップでは2部構成の第1部で「課題共有」を部門や
職種の混成したグループで行った。ここでは、各職場・職種の職場委員がそれぞれの
立場で現場の課題や問題をまとめ、共有を図るのだが、他部門の職場委員に「我が
職場」の窮状を訴えたり他者の職場実態を聞くことで新鮮な驚きが広まった。「うちの
職場だけの問題ではないんだ!」 ある参加者からの率直な感想である。 日頃顔を
合わせたことさえない同じ会社の仲間同士に、共通の悩みや不満により奇妙とも思える
連帯感が強まっていく。

第2部では同じ職場・職種グループに再編成をし、課題解決策と具体的行動について
ブレーンストーミングスタイルでワークショップを進めていった。妄想の方程式(不平
不満だけ)ではなく勝利の方程式(主体的な解決行動)を強く意識したディスカッショ
ンでは、前向きかつ具体的なアイデアが多く出された。「この会社はさらに良くなる!」
参加者とともに新しい風を感じた瞬間であった。

労働組合の活動評価基準の考え方とは
吉川政信
2009/03/08
労働組合の活動品質とはどのような考え方で評価すべきか、ある幹部役員と話し合う機会があり、私なりの考え方を伝えました。そのときの内容をお伝えします。
皆様が活動評価をする際にお役に立てると思います。

労働組合評価基準の必要性:
 労働組合の活動は、PDCA(*1)のサイクルで、常にブラッシュアップしていくことが大切であると考えます。組合全体の方向性や実際の活動を時に振り返り、評価すべき点は評価し、改善点には対策を講じることで、よりよいサービスを組合員に提供することが可能になります。そのためには、評価するための明確な基準の設定が欠かせません。明確な評価基準が設定されてこそ、はじめて組合の活動の、ひいては組合自体の品質の良し悪しが判断できるようになるのです。

組織としての労働組合:
 労働組合とは、世の中にあまたある"組織"のなかのひとつです。組織に必要な要素とは、チェスター・I・バーナードの提唱する「共通の目標」「協働の意思」「コミュニケーション」です。少なくともこの3要素を満たさなければ、"組織"として認められません。しかし同時に労働組合とは、他の組織(たとえば、会社組織や学校組織、軍事組織など)とは違います。その違いとは、「理念(目的)」「機能(役割)」「構造(仕組み)」で構成された3つの特性の違いです。 組織として成り立つために必要な3つの要素が満たされていることを前提とし、さらに組織を形作る3つの分野に分類される特性の両者が高次のレベルで実現されることによって、その組織はより価値があり、より役に立ち、より強い組織になると言えます。

労働組合という組織の特性とその評価:
 「労働組合はなにを目的とした組織なのか」まずは組織としての"理念"を定義することからはじまります。その目的を達成するために必要な"機能”や、その機能を円滑に実行してくための組織"構造"などの特性を決定することで、その労働組合の特徴が決まります。それら特性の数々が、それぞれ達成されているかどうか。あるいは、どの程度の水準で備わっているのかを測ることで、その労働組合全体の価値を推し量ることができます。

理念
 :労働組合の目的
その労働組合がなにを目的とし、どのような行動指針に基づいて活動を実施していくかの原理・原則のことです。なにをおいてもまず、労働組合が組織として成立する以上、この特性は欠かすことができません。また、設定された理念が独善的であったり、反社会的なものであってはいけません。また、曖昧であったり、一部の成員のみの占有物となっていることも、よくありません。労働組合の活動のすべての基本となる要素だけに、設定には極めて慎重にならなければなりませんが、一方で社会状況の変化に応じて、柔軟な対応を求められる部分もあります。

機能
 :労働組合の役割
労働組合に求められている事柄は組合員に要求されて行うこと、経営との関係性において行うこと、社会的責任において行うことなど、多岐に渡ります。上記理念の実現を目指して、設定されたこれらひとつひとつの具体的な活動が、労働組合の機能や役割です。いわば、組織の"自己実現"のための手段といえます。組合の諸々の活動の実施の有無、頻度、質、達成の度合いを評価することは、活動のやりっぱなしをなくし、その水準を高めていくために大切な要素です。

構造
 :労働組合の仕組み
理念に基づいた活動を実施していくためには、組織としての体制が整ってることが必要不可欠な要素です。組織の意思決定の過程や、決定された事項を組織のメンバーに伝達する経路などが整備されているかどうか。また、組織のメンバーはどのような基準で選択され、その参加率や動員規模はどのようなものなのかなど、組織としての体裁に関わる部分を評価することで組織全体の活力を推し量ることができます。

諸々の特性評価の方法:
あらかじめ設定しておいた段階的な評価基準による評価目的の明確さや、社会的妥当性などの項目は、あらかじめ段階的な評価基準を策定しておけば、それとの照らし合わせによって、評価主体(第三者機関が望ましい)による判断で評価が可能です。

組合員や組合役員へのアンケート調査による評価
組合員全体の組合に対する評価(満足度や期待度など)や、仕事に対する意識などに関しては、定期的に同内容のアンケート調査を実施することで、経年比較や相対的な比較ができます。

コンピテンシーによる評価
組合役員の意識や、具体的な行動などに関しては、あらかじめ優れているとされる対象に対して、面接調査(インタビュー)を実施し、その行動特性(コンピテンシー)を抽出しておけば、それを基準に他のメンバーの意識や行動の評価が行えます。

実績値や具体的な事例による評価
会計や、従業員における組合員比率、職場会への参加率など実績値が明確に判定できるものに関しては、その数値をあらかじめ設定しておいた基準に照らし合わせることで評価が可能です。

評価基準(例)としてこんなものが考えられます。

理念(目的)
労働組合の目的が明確に定められているか
労働組合の目的が組合員に広く伝えられているか
労働組合の目的がそもそも社会や規定する法律に適合的であるか
労働組合の目標が現実的に実現可能なものであるか
現時点でどの程度目的が達成されているのか

機能(役割)
組合員に対して労働組合の意義や役割についての教育がなされているか
組合員に対するメンタルヘルス対策が実施され役に立っているか
組合員は組合に満足しているか
経営の暴走を抑制し、会社全体の公共の福祉を見据えた活動をしているか

構造(仕組み)
目的の達成のために適合的な組織構成になっているか
職場会は適切な頻度実施されているか
職場会にはその結果を組合員の総意として認定できるだけの参加率があるか
組合の財務状況は健全な範囲内に保たれているか
組合の運営は法連遵守の観点から検討されているか
組合内における各種情報の取り扱いは適切か

個別労使交渉の鍵はチームワーク
浅野 淳
2009/03/01
某電機メーカー労組で実施された「被考課者セミナー」終了後のひとコマ。

一人の受講者の方が質問に来られた。

「今日の研修は、部下力・ボスマネジメントの考え方を体系付けて理解することができ、
大変参考になり且つ、自信になりました。」

更にお話を伺うと、ご自身の日常業務に確信が持てたことが収穫だったらしい。
私はホッと胸を撫でおろしたが、続けての言葉に考えさせられた。

「しかし、あまりにも周囲の受講者(組合員)の意識が低いことに驚きましたよ。」

その方は、半年前に派遣から正規社員として登用されたばかりらしく、仕事で成果を上げるためには上司や組織へ積極的に働きかけることは当然のことだという。研修のグループ討議の時間に、参加者同士で職場状況を共有したところ、周囲の方との認識のギャップにショックを受けたようだった。

「職場に戻って、今日の研修内容を活用して職場全体のモチベーションを高めたいのですが
何かいい方法はないですか?」

組織内で自分を活かすには、組織を活かすことが大切であることを身に染みて感じていらっしゃるわけだ。成果主義における個別労使交渉は、被考課者が主体的に活かすことが欠かせないのだが、真の狙いは同僚間の関係性により、個々のポテンシャルを挽き出しやすい職場環境を創ることを忘れてはならない。まさにチームワークの醸成である。

「研修内容を職場に浸透させるには、ご自身の仕事のプロセスと成果を周囲の人たちに伝え、
フィードバックをもらうことから始めてはどうですか。
「お互いがアドバイスをし合う関係は組合員同士の方が創りやすいので、ぜひ組合活動の場を
活用してください。」

とエールを送った。

わずか5分ほどの会話であったが、私にとっては新たな仕事のエネルギーを生む課題を捉えた時間となった。

チームワークとは何で、どうすれば実現するのか?
他者との違いばかりに目を向け過ぎていないのか?
正規社員の人達は本来の力を出し切っているのか?
守られているので大切なものを見逃していないか?

いずれも組合活動の実践が解決の一歩である、と信じている。

政治家と官僚政治を支えるもの
服部
2009/02/22
我々の税金から、定額給付金(12,000円/人)なるものが、国民に給付されようとしている。

日本の未来を犠牲にした刹那的な交換。

政治家への失望。官僚政治への批判。

でも、給付されれば多くの国民がこの悪銭を自分の満足のために受け取るだろう。

政治は国民の映し鏡。

政治家を選んだのも国民。

政治家も官僚政治を支えているのも、私。そして、あなた。


なら、私たちが変わることの方が大事なのではないか。


どうせ、悪銭。

このお金を、自分や家族のためではなく、「忘れ去られた未来」や「壊れかけた地域コミュニティ」のために返せないか。

労働組合から発信できないか。


ご賛同いただける方、仲間や自組織内に問いてほしい。

「未来を犠牲にしたこの悪銭を本当に自分のために使いたのか?」と。

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概 要
タイトル:「定額給付金を明るく、楽しく、元気な未来へ託す運動」
内 容:定額給付金を、自分(家族)以外の未来のために寄附する。
金 額:原則自由(12,000円だと分かりやすいですよね)
寄附先:自分で決め、自分で寄附する(振り込め詐欺などの危険を防ぐために直接、振り込んでください)
 例.地域の社会福祉法人/故郷の災害支援団体/環境保護団体/戦地での救助団体などの非営利法人などで、自分が支援したい団体。
参加スタイル:
①自分で寄附先をを決め、自分が直接寄附する。
②周囲の人にメールなどで働きかける。
実施期間:給付金開始日より3ヶ月以内
その他:寄附金控除の対象になるものもあります。(http:
//www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1150.htm)

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(破線内を自分の言葉にアレンジし、自由に活用してください)


非営利組織における二つの課題
小野
2009/02/15
ボランティア組織は、文字通り各メンバーはボランティアでありながら、
積極的に活動関与している。

いやむしろ、無報酬のボランティア精神で集まるメンバーがいるからこそ
ボランティア組織と定義されるし、”非営利”の組織として成立している
と言える。

メンバーは無給でありながらも、組織のミッションや活動に共感・共鳴し
活動に携わる。

成功して成果を上げているボランティア組織は二つの重大な課題を克服し
ているという。

一、 小額ではあるが献金や寄付だけをしてくれる多くの支援者を、活動
   への参画者に導くことである。

   ボランティア組織は、活動を進める上で資金が必要なだけでなく、
   一緒になって活動に参画してくれる人が必要である。

   同じ志を持ち行動をともにしてくれる同志を、一人でも多く必要と
   しているのだ。
   そして、同時にその組織に関わる活動を通じて関わった人に、自己
   成長と、自己実現の機会を与え、働きがいと生きがいを感じさせる
   こと自体が、組織としての重要な役割になっているのだ。

   つまり、参画してくれた人々が、メンバーとしての責任と使命を果
   たす自分、他人や社会に貢献している自分を感じられるようにする
   ことが組織にとって重要であることを意味する。
  
二、 組織への活動や関与を通じて、人に絆としてのコミュニティと目的
   の仲間との共有を感じさせることが必要である。

   古き良き時代には存在した、近隣や学校や友人とのコミュニティの
   場は今はもう皆無だ。

   日々の仕事や生活に追われる中で、一層そういったコミュニティの
   場を心の中では欲している人は多い。
   そのためボランティア活動に関わることで、コミュニティの一員で
   あることを感じている人も多いのだ。

   「なぜボランティアに参加したのですか」

   「こちらのスタッフの方がたの、貢献している姿に惹かれ、私も手
    伝えることがあれば一緒に仲間に加えてもらいたかったからです。」
   
   参加希望者が多いボランティア組織では参加理由をそうのべる人が
   少なくない。

   一緒に共感・共鳴できる仲間とコミュニティを求めている人も実は
   多いのだ。

   非営利組織は、それらの人達にとっての最適なコミュニティなのである。
  
   ボランティアは、報酬を得ていないからこそ自らの貢献から満足を得な
   ければならない。

   したがって、ボランティア組織の幹部は、参加者に対して

  ・貢献意欲を感じ共感・共鳴させられる、共通の目的を感じさせ

  ・同志ともいえる仲間と、良質なコミュニティの一員であることを感じさせ

  ・成果に貢献していることへの実感と、意義を感じさせる

  それらを活動に携わることを通じて感じさせることこそ唯一にして最大の
  報酬なのである。

以上 何かのネタになれば幸いである。
原理原則とは不変のもの
大川
2009/02/08
昨年12月中旬に大手電機メーカーの労組幹部とお話した。「正直、悩んでいる。」とのことであった。時節柄春闘の準備段階でもあった。会社の業績も厳しい決算が確定的となり、「春闘要求案をいかに組合員に説明するか?」を考える日々とのことだった。
それから約2ヶ月、研修会等でさまざまな業種・産業の組合役員にお会いするたびに話題は労使協議や労使交渉の内容に図らずもなっていく。異口同音に話されるのは「厳しい交渉になる」ことと「組合員の冷静なものの見方」についてである。

組合員の冷静な反応

今春闘における連合方針や産別の統一要求案は周知のとおりだが、当然のように各単組の多くは「既定路線」の要求案を組合員に提示することとなる。その現場で明らかに例年と違う組合員の反応があるというのだ。
「業績見通しが悪く、減産などの生産調整に入っている状況で賃上げを要求している場合なのか?」、「派遣社員を減らしている中で正社員の雇用は大丈夫なのか?」、「急な転勤が増えているが、人事政策はどのようになっているのか?」
いずれも別々のメーカー系労働組合の組合員から発せられた不安や疑問の声である。

今こそ労働組合の役割を再認識するとき

労働組合は何のために存在するのか。何のために活動するのか。 ・・・古くて新しい哲学的な問題にも思える。が、しかし簡単なところに答えはあると思う。 ひとことで言うならば「組合員の真のニーズを知り、それに応える活動を通して『良い人材づくり』、『良い職場づくり』、『良い会社づくり』に貢献していくこと」であろう。そしてこのことは時代の変化や景気動向などの環境変化によって変わるものではない、労働組合の原理原則と言えるであろう。
例えば、戦前においては「労働基本権の確立」であったし、戦後の高度経済成長期においては「『生活防衛』→『豊かさ』のための賃上げ、福利厚生の拡充」であった。バブル崩壊後は「労働時間・休日などの労働環境整備」の他に「心の報酬」が求められるようになっている。つまり、経済的・物質的な豊かさから「心の豊かさ」が求められる時代になっている。
しかし労働組合がその変化に敏感に対応しているとは言い難い場面も多く感じる。つまり原理原則を見失って、従来型の運動論や全体主義的な議論を優先させているように思えてならない。

なぜ故、「心の豊かさ」が求められるようになったのか

戦後復興期から現在に至るまで、日本の経済力が向上・安定したことや社会的に成熟したことに伴い組合員のニーズも変化してきているが、この変化は仕事や職業に対する人々の価値観の変化に直接的な原因がある。言い換えれば「仕事感・職業観」などの多様性によりニーズも多様化・複雑化している。最大の理由は、「労働」という行為が生活資金を得るための「手段」から、人生を賭して社会に貢献し、自分自身を職業人として高めていくといった「目的」そのものに変貌を遂げたからであろう。だからこそ仕事に関して自分自身の考えや意思を反映したいと望み、達成感を得たい(感じたい)と思うのは個人として当然の欲求だといえる。また、組織目標達成を目指して職場の仲間と協働すること、苦楽を共にすることさえ「働きがい・やりがい」につながるものなのであろう。
反対に、自分の仕事内容に意味を見出せない場合や組織貢献意欲が満たされないような場合は精神的な苦痛を味わうか、給料を得るための手段として割り切る以外に方法はない。いずれの場合も良い結果にならない。真面目すぎると耐え続けて心を病んでしまうし、開き直れば労働条件を引き上げることが「目的化」した活動に陥ってしまう。

「働くこと」は「生活手段」なのか「目的そのもの」なのか・・・

私個人の理想として「働くこと」は社会貢献、組織貢献、自己成長などの「目的そのもの」でありたい。同時に結果として「生活手段」や「生活設計、人生設計(ライフデザイン)」の基盤としても中心的な位置づけであることが望ましいと考えている。
しかし、この「手段/目的」の考えはどちらかが100%ということではないし、個人によってもバランスが違うであろう。さらに同一個人であってもライフステージなどによって変動するのは当然のことだ。そして、現在のような世界的経済後退や市場環境の激変などの局面では急速にバランスが変わっているものと思われる。
再び冒頭の組合員の声だが、急速な業績悪化の情報の中でやはり多くの不安を抱えていることが明らかである。「会社存続は?」「人員削減計画は?」「転勤は?」「職種転換は?」やはり不安なことばかりなのであろう。

さて、組合員の現在のニーズは何であろうか?

もちろん継続雇用をはじめ安定した職場運営、賃金維持などは根源的なもので顕在化されたニーズであろう。しかし、もっと身近なところにも潜在的かつ重要なニーズがあると思う。それはズバリ、組合員の「不安解消」そのものだ。「経営状況はいったいどのような実態なのだろうか?」、「社長はじめ経営陣はどのような経営分析をし、どのような経営判断を考えているのか?」、「人事戦略の見直しはあるのか?」などなど、組合員としても知りたい経営情報は山ほどあることであろう。
時は100年に一度の不況下である。経営として確定できない(公表できない)段階の情報も多いであろうが、基本的な考え方(理念)や組合員向けのメッセージを本部三役クラスが労使協議会で引き出し、組合員に正しく発信することも組合員のニーズに応えることになる。
労働組合の原理原則に基づいた立派な活動だと言える。

自分成長に繋げる業務効率化の考え方
吉川政信
2009/02/01
働きがいのある職場環境を目指して
“業務の見直し”業務の効率化”で
自分を高める新たな一歩を踏み出そう!

Q.どうして“業務の見直し”業務の効率化“が自己成長につながるの?
  
A.皆さんも、自分が行った業務が職場の仲間やお客様のために貢献したことで、仕事の励みになったり、自分の仕事の必要性を感じたり、更に、仕事に対する使命感をもてたという体験があるかと思います。
実は、仕事への励みや、やりがいを感じるためには、自分以外の人や組織などの対象となるものが存在し、その対象に対する貢献意欲が仕事への原動力になるといわれています。例えば、お客様や職場の仲間、社会への貢献を思う気持ちを日々の仕事で意識するのもその現われです。
また、更なるやりがいを求めて、自分の仕事に工夫を加え、周囲への貢献を求めていくことが自分の成長となり、私たち企業の一員として捉えるならば、組織の成長へと繋がるものだといえるでしょう。
そこで、周囲への貢献を行うには、今の業務を見直したり、効率化するための工夫を考え実行することが必要になります。この行動が、業務の効率化、業務の改善といわれるもので、逆にいえば、業務を見直すこととは、自分のやりがいを追及し、自分自身の成長につながる行為ともいえるわけです。

労働組合が抱える職場の問題に『長時間労働対策のための働き方改善』は今や代表的な課題といえます。
そのような中で、働き甲斐・やりがいの追及をすることが労組の役割であるのならば、長時間労働対策ための業務改善活動が一人ひとりの組合員の働き甲斐・やりがいへ繋がる取り組みと考えられます。
長時間労働の問題を経営側が対処すべき問題として提起するのではなく、働き甲斐を高める労働組合の取り組みとして認識することが大切だと思います。


霧が晴れた瞬間
淺野 淳
2009/01/25
先日、住宅建材メーカー労組で春闘前中央委員研修会の場を与えていただいた。

09春闘、社会から集まる「期待」に、私達がどのようなリーダーシップを発揮するのか、
3時間に亘りに、組合活動の「かたち」と「おもい」を参加者に問い続けた。

「かたち」とは、リーダーの行動を定める「コンセプト」
「おもい」とは、チームが目指す「ビジョン」

「コンセプト」では、相手を同じと見ることから本当の違いが読み取れることを強調した。
労使関係の目指すところ究極は同じ、同じと視るからお互いの強み浮かび上がり、
その行動は自信に溢れたものになる。

「ビジョン」では、共通の目的に向かいチームが行動した先に浮かんでくるものであり、
具体的な成功事例を伝えながらイメージを喚起することを心掛けた。

研修終了後に参加者3名の方から質問が飛び出した。

「活動事例を自分たちの職場でも取入れたいが、どれ位の労力時間を要するのか?」
「職場で共通の目的を見出すためには、自分達が身につけるべき能力は何なのか?」
「組織全体として新たな活動を創造したいが、まず何から手をつけるべきなのか?」

「ヨシっ」と心の中で叫んだ瞬間である。

主催者側の代弁役を私が果せたことは言うまでもないが、
それよりも、参加者の漠然としていたニーズがウォンツに変わった瞬間と捉えたからである。

参加者の中には、組合活動に対する不安があった。
一方で、「自分たちに何かできるはず」といった期待感もあったはず。

それが、3名の方の質問によって課題が共有されたのである。
瞬間的ではあるが、私には霧が晴れた瞬間に視えた。

これから組合は、どのような「型」を身につければ上手くいくのだろうか、
まずは「型」を信じ行動してみることである。
成功・失敗を繰り返し、やがてオリジナルの「型」が創出される。
これが「型破り」な納得感の高い、自信に満ち溢れた組合活動へと発展していく。

そう信じて、これからもこの仕事を続けていきたい。

一等列車からの風景
服部
2009/01/18
世界最大の食料廃棄国、日本。

日本で1年間に廃棄される食料は、3000万人分の年間食料に匹敵するらしい。

食品の7割を輸入しながら、世界一の残飯大国、それが日本の実態。

発展途上国で配給援助をしているボランティア団体(ネットワーク『地球村』の高木 善之氏)よりこんな体験談を聴いた。

(配給所に来た痩せ細った)飢餓児童:「もう(食料は)ないの?」

ボランティアスタッフ:「ごめん、今日はもうないんだ」

児童:「・・・もうないの?」

スタッフ:「(空の食料缶をたたく)カン、カン、カン・・・もうない。ごめんね。また、明日、来てくれ」

児童:「ないの・・・」



翌日、その子は、ハゲタカの餌になっていた。

やり場のない現実の日々。

世界は、一等列車に乗る人々と二等列車にさえ乗れない人々に分断されているのかもしれない。

世界から見れば、わが国の正規社員と非正規社員の差別でさえ、一等列車の窓側と通路側の席取りに思えてくる。

それさえも、譲り合えない。組み合えない。連なり合えない。(「組合」って、「連合」って何なんだろう)


今日も食べ残した弁当を載せて、一等列車が走っている。

一等列車の窓側からは、どんな風景が見えるのだろうか。



※弊社の研究機関が主催するj.union club研究会で、ネットワーク『地球村』の高木 善之氏の講演会(4月14日 五

反田 13:30~ 予定)を開催します。講演会後は参加者全員で対話中心のワークをします。会員以外でもご参加できます。詳しくは、原・三瀬(TEL:03-5331-7835)まで。