これからの組合活動の評価軸は、職場での労使協議の有効性だと考えます。
企業のビジョン・方針が職場で理解され、実際の行動として根付いているか
否かが良い会社であることの一つの指標です。
しかし実際に管理職をはじめ多くの働く人々は、短期利益の追求に没頭せざる
を得ない現状にあります。
その結果、誰もがありたい姿とする目的志向型ではなく、目標志向型あるいは
逃避型・先送り型人材を輩出することになっています。
一部の仕事が出来る組合員は、孤立型フォロワーとして成果のみを追及します。
多くの組合員は、順応型フォロワーとして組織への不平・不満を生み出します。
職場で起こっているこれらの現状を上司は、従来の経験から得た知識を基に
独自のスキーマで職場の状態を判断し、独自の思考の枠組み(フレーム)に
よってマネジメントを実践することになります。
そして、管理偏重型マネジメントあるいは、目標管理を逆手にとった放任型
マネジメントを実践することになり、リーダーシップが感じられない職場
となります。
これらの状態を本来のありたい姿に導く場として、労使協議会が活かされる
べきです。そして、その原点が職場討議・集会です。
わたしたち組合員は、常に組織や上司、そして顧客からのメッセージを受止め、
両面思考しながら矛盾の中でバランスすることが求められています。
従って、建設的な批判力と誠実な貢献力を上手く調整しながら行動します。
そのためには、仲間の意見・考え方を参考に自分に取入れ、組織・上司からの
協力を引き出すことが欠かせません。
某地方銀行従業員組合では、支店単位での職場集会を進めるために、支部長は、
部長や支店長に交渉して職場集会の開催支援を促します。
某損害保険労働組合では、労働組合が安全衛生委員会へ提案して、共催と
いう形式で職場のストレスマネジメント対策に取組んでいます。
某工業製品メーカー労組では、支部執行委員が支部単位の労使協議会の
開催に向けてトレーニングを行なっています。
某大手スーパーマーケット労働組合では、調査結果のフィードバックを
職場のリーダーに行い、改善策を職場単位の労使で話し合います。
これらの活動は全て、理想の職場・働きがいを感じられる職場・強い職場
を目指すために、それぞれの組合が職場単位の労使協議の有効性を高める
取組みの一環です。
私は、労使協議の場で、組合員を代表したリーダー(役員)が、逞しく
協議を行なっていけるサポートし続けたいと思います。
事実に基づき、論理的且つ心理的にも充実した主張をします。
一方、経営者の考え・意見にも真摯に耳を傾けます。
お互いの共通目的を確認しながら一致点を見出していく力強い交渉です。
職場での労使協議の有用性を高めていく第一歩として、これから始まる
春季交渉や事前折衝の場で、労働組合が良い会社を実現するために集団的
フォロワーシップ力を発揮する組織であることをアピール・主張できるか
が鍵を握っているのではないでしょうか。