私が担当する中国地方を中心に活動する労組は、昨年、新たにユニオンビジョンを構築しその実現に向け活動を展開している。
新ビジョンに定めた活動の一つに、組合員が新しい分野に踏み出し、人とつながり、人生が「明るく、楽しく」なることへの自助努力支援を行うために、組合員が自主的に選択・参加できる研修カリキュラムを用意している。ビジネススキルや趣味系講座、産業視察など年間100近くを開設する。今後も拡大を予定し、地域労組や企業・大学とも連携しながら、より多くの講座開設に意欲的である。
このような活動に踏み切った背景は、外部環境が劇的なスピードで変化する中、働き方も多種多様となり、それに伴うコミュニケーションの低下、人生設計への不安感の高まりなどの職場の問題が顕在化している現状がある。そのような状況を回避するためには、働く者自身が、人との繋がりの大切さを理解し、興味・関心のあることへのチャレンジを行い、仕事も含めた人生の展望を自らで描き行動していかない限り、今後も続く環境変化を乗り越えることは困難といえる。労働組合が一人ひとりの組合員の幸せや働きがいを追求し労働条件向上のために活動する組織であるならば、一人ひとりの組合員が市場・社会から評価される働き方や社会の一員としも評価される行動をとることができる支援が求められる。紹介した労組の活動は、私が知る労組活動の中でも大胆な活動といえるが、開設した講座に少しでも多くの組合員が参加し、自らが仕事でも仕事以外でも、いきいきと過ごせる時間が自分を成長させ、価値を高めていくものであることに気付いてもらう地道な活動といえる。
人の成長を後押し、市場・社会から評価を得られる「人」づくりに貢献し、健全な組織づくりへ繋なげられれば、自分たちの労働条件向上にも繋げることが可能になる。まさに、自立(律)型の組合活動であると感じた。