ゆにおん・ネタ帳

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2012年

お客様アンケートから伝わること
渡邉 秀一
2012/03/25
 弊社では、お客様へ納品しました案件に対しまして「お客様アンケート」
を実施しております。
 回答して頂いたアンケート用紙全てを集計システムに入力しております。
 入力されたデータの集計結果もさることながら、自由意見欄への記入には
非常に有益な内容が多く、ありがたさを噛み締めながら、その一文字一文字
を入力しております。
 文章を書くのは時間もかかりますし、パワーも必要だと思います。
 そんな中、担当に対しての励ましの言葉や、具体的改善点などをご教授い
ただけることは、我々の仕事に対してどれだけプラスになることか計り知れ
ません。

 励まされた担当は、「○○さんの対応にいつも感謝しています」といった
短い文字列に、心から喜びを感じています。
 「○○なところは今後の改善点ですね」「○○はこちらの要望と異なって
いたので残念です」といったお叱りの言葉も、お客様の求めるより良い仕事
とは何かを考え、一歩でも近づけようとする努力につながっております。

 一枚一枚のアンケート用紙も、年間で積み上げれば相当の枚数になります。
 たくさんの思いの詰まったアンケートをこれからも集計、分析、あるいは
書かれた意見をダイレクトに読み取り、貴重な財産として商品開発に活かし
て行きたいと考えております。

 もし、弊社担当からアンケートのお願いがあった場合は、ご多忙とは存じ
ますが、何卒ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 お客様の励まし、お叱りこそが、我々の品質向上の原動力の一つに他なら
ないからです。



入社したい会社の条件「社会への貢献」
佐々木 務
2012/03/18
この時期になると、日常生活の中でいつの間にか忘れていたものを、思い出させてくれるときがあります。

ひとつが新卒採用活動で学生と触れ合うとき。
そしてもうひとつ、今年からですが震災の3月11日を迎えるときです。

先週は弊社で2013年卒の学生を対象に新卒採用の会社説明会を行いました。
真剣に就職活動に打ち込んでいる学生と触れ合うと、人生にとって会社とは?仕事とは?そんな事をあらためて考えさせられます。

学生たちが入社したい会社の条件として挙げるのは「会社の雰囲気」「やりたい仕事・やりがいのある仕事」などが多いようです。
労働組合が職場の活性化を通して、これらの条件を高めていく事は、本当に重要なことだと言えるでしょう。

その条件の中でも前年から比率が高くなったものに、「社会に貢献している」という条件がありました。
これはやはり、震災という大きな出来事が学生の就職観にも大きく影響しているのでしょう。

震災によって私たちは大きなショックを受け、震災以前に過ごしてきた日常を反省するとともに、
これからの人生をどう生きていくべきか?本当に真剣に考えさせられました。

家族や仲間を大切にする事、日ごろの備えを十分にする事、いろいろな事をあらためて考え直したと思います。
そんな中でも、被災地の方に何かできる事はないのか?という「他者への貢献」を考えた人も多かったのではないでしょうか?

その思いから被災地へのボランティアや寄付という直接的なアクションをはじめ、
買いだめを控えるとか節電をする等の間接的なアクションを取った人も多かったでしょう。

個人的には、弊社の事業は社会貢献ができる事業であると日ごろから自負しているのですが、
そんな弊社でも、震災後しばらく、直接被災地の方々に貢献できるサービスは何も持ち合わせておらず、
私自身、無力感を感じ非常にもどかしい日々を過ごしました。

しかし、徐々に戻ってくる日常生活の中で、日常のベースとなる「働く」ことの価値向上を支援できることは、
停滞する社会の活気を取り戻すためにとても大事なことなのだとあらためて感じました。

直接的な被災者支援ももちろん大事な事ですが、日々の仕事を通して、何かしら社会に貢献していくことが、
きっと間接的に被災地の復興に繋がっているのだと信じています。

どんな仕事でも、何らかの社会への貢献は果たせるはずで、その意義を感じながら働けるかどうか?
学生の彼らが少しでもそのように感じられるような環境で、新社会人として活躍してくれる事を願いつつ、
社会人の先輩である私たちも、仕事を通して社会に貢献していくのだという事を3月11日と共に忘れてはいけないと思います。


復興のビジョン
伊東 隆太郎
2012/03/11
あれからからちょうど1年が経ちました。
改めて時が過ぎる早さを感じさせられます。

私は岩手県出身ですが、故郷である盛岡市は県の中央部に位置しており
沿岸部ほどの甚大な被害はなく、幸いにも親類縁者も無事でした。

しかし友人の家族や知り合いには被災してしまった人もおり、
状況など聞くといかに現実が過酷か思い知らされるばかりです。

さまざまなメディアで復興への道のりは険しい、と言われています。実際そのようですが、
果たしてどのような道のりを想定し、どこに向かおうとしているのだろうか?とも思いました。

そこで復興ビジョン・方針について調べてみると、多くは自治体単位で見つけることができました。
国としては東日本大震災復興対策本部が「東日本大震災からの復興の基本方針」を
打ち出していますが、まちづくりの観点から県や市の復興ビジョンがより具体性を持っているように感じます。

一方で県と市が別々のビジョンを打ち出している場合もあり、
どこまで認識を共有できているのか気になるところもありましたが…

ビジョンの他にもスローガン、コンセプト、基本理念、目指す姿など呼び名はさまざまでしたが、
まずは「どのような考えのもとで事業に取り組み、目的を達成するか」が上位概念として存在していました。
復興への決意と熱い思いが伝わってくるものばかりです。

<岩手県>
いのちを守り 海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造

<福島県>
原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり
ふくしまを愛し、心を寄せるすべての人々の力を結集した復興
誇りあるふるさと再生の実現

<宮城県石巻市>
災害に強いまちづくり
産業・経済の再生
絆と協働による共鳴社会の構築

そこから例えば「安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生」といった施策や
そして具体的取り組みに落とし込まれていきます。


組織においては国(執行部)が明確にビジョンを打ち出したうえで、
各自治体(支部・専門部)と方向性や目標を共有することが重要なプロセスといえます。

私も皆さんのビジョン作成や具体的取り組みのお手伝いを通じて、
今の活動の改善・進歩や、現場の課題解決につなげていければと考えています。

IT世代の使分け
細越
2012/03/04
 2月8日朝日新聞の社会面に「IT漬けが会社をダメに。「断食」を」という記事が掲載されていた。サブタイトルは「議論なき会議・膨大なCCメールや過剰なプレゼン資料は本末転倒」となっていた。パソコンやタブレット端末などIT機器がないと仕事にならない現在のビジネス環境を踏まえ、その使い方やマナーに関して問題提起した内容である。

「よくあるのが、会議に出席者みんながパソコンやタブレットを持ち込んで、ペーパーレスにしましょう、という動きです」~「会議は顔を合わせ、意見や思いをぶつけあったり交換したりしながら、アイデアを見つけるとか行動への決定を導くとか、そのためにあります」。確かにうなずける指摘である。

仕事柄、システム系の取引先や関係者と会議をすることが多い。それらの会議では、確かにパソコンを持参し会議へ出席される方を見かける。議事録をとるなどの目的で持ち込まれることもあるが、参加者全員がパソコン持ち込むこともあり、全員が持ち込む必要があるのかと疑問を持つこともしばしばある。
会議にパソコンを持ち込む人達の中には、会議の話にうなずきながらキーボードでカチャカチャに入力している。キー入力の遅い私などは、その光景を目の当たりにし、キー入力しながら議論に参加できる器用さに感心させられる。とはいえ、顔を突き合わせて話す時間より、パソコンに顔が向いたままで話されることには抵抗感を感じる。先の指摘のように会議は議論に集中するのが筋ではないかと思うからだ。器用にパソコンを操る持込者に対してのひがみとも聞こえなくはないが。
このパソコン持込による会議の問題は、IT技術先端の地、シリコンバレーでも以前から意識されている。その対策として、会議にあえてIT機器の持込を禁止した「トップレス・ミーティング」が提唱されているようである。

 先日、義弟夫婦の家にお邪魔したときのこと、姪がスマートフォンを自慢げ見せに来た。姪にとっては、スマートフォンでどんなことができるのかということより、流行の一つとして手に入れたに過ぎないようである。そんな姪であるが、スマートフォンでのメール設定がわからなくて、「どうやってGmailができるの」と私に尋ねてきた。今までご愛用の携帯電話でメールのやり取りをしていたが、契約をスマートフォンに切り替えたこともあり、Gmailを使いたいらしい。設定方法など聞かれはしたが、スマートフォンを持たない私にとってはすぐに説明できない。その旨を伝えると少々不満げだったが、購入したお店で聞いてみるという。

姪にとっては、生まれたときから既に携帯電話やメールは当たり前、家族とのコミュニケーションにもそれらが浸透している。自分の都合が悪くなると、直接話さなくていいメール連絡。何か買ってもらいたいモノがあると、自分の携帯電話から直接連絡してきたり、全く都合のいい使い分けをしてくる。そんな姪を見ていると「本当に大事なことや大切だと思うことは、直接相手に電話するなり、会って話すなりした方が良いんじゃないかなぁ」と内心言いたかったが、説教くさいので言うのはやめた。

数週間後、家内が姪から手紙が届いていると喜んでいた。「おじちゃんにも、よろしくだって」家内は上機嫌である。先日、義弟夫婦のところに行った際にお祝いのお小遣いを渡してきたのだが、そのお礼の手紙だという。
メールや電話ではなく、「手書き」の手紙とは、なんとアンビリーバブル!

自助努力の必要性
渡邊祐介
2012/02/26
今のあなたが行っている仕事は価値のある仕事ですか?
自分の仕事が価値のある仕事だと感じることができていますか?

この世の中に価値のない仕事など存在しません。自分や自分の周りで働く仲間の仕事は、すべて価値のある仕事であると自分自身で認識し、仲間から認識されることで、組織としてより高いパフォーマンスを発揮することになり、自身の働きがいにつながっていきます。
では、仮に価値のない仕事がこの世に存在するとしたら、その定義はどのようなものになるでしょうか? おそらくは、誰のために、何のためにその仕事を行っているのか、その仕事の目的が明確になっていない場合、その仕事は価値のない仕事になってしまうのかもしれません。また、自身の仕事が価値のある仕事だと感じられない人がいるとしたら、日々の仕事に追われ、誰のために、何のために働いているのかが見えなくなっているだけなのではないでしょうか?

自助努力とは、自身の仕事の価値を高めるための行動であり、その先に自身の求める成果や自己実現が存在します。しかし、自分一人で自分の仕事の価値を上げることには限界があるのも事実です。そのサポートを組合は担っています。しかし、組合が組合員一人ひとりの自己実現を共に成し得ていくことはほぼ不可能なことだといえます。そこで、組合は多くの組合員の声をもとに、あらゆる可能性を模索し、どのような道を用意すべきか考え、指し示しています。しかし、その道を実際に歩いていくのは組合員自身です。どの道を選択し、どれくらいのペースで歩いていくのかを考えるのも組合員自身なのです。組合はその背中をそっと押す存在であり、一歩踏み出すきっかけを与えるものが組合活動であると考えます。

多くの組合では、組合員の働きがい・生きがいの向上を目指して、さまざまな活動を展開されています。すべては組合員の幸せのために行っていることであり、これらの活動は決して価値のないものではありません。これら活動を価値あるものに高めていくためには、組合員自身の自助努力が必要であり、その必要性を訴え続けることが労働組合に求められている自助努力なのではないでしょうか?

すべての行動には意味があり、価値があるということを組合員との共通認識とし、お互いに認め合うことが、組合活動を推し進め、組合員自身の価値を高めていくことにつながっていくと考えます。

労組委員長から学ぶ『労働組合の人材育成』
池上 元規
2012/02/19
 労働組合の永遠の課題である『人材育成』について、某金属・鉄鋼系労組のA委員長から学んだことを紹介したい。
A委員長は組合活動以外にも地域の少年サッカーチームの総監督も務め、組合活動以外にも多方面で活躍をされている。
以前に別の労組の研修で“自労組が目指す理想のユニオンリーダー像を自分達で描く”ワークショップを組合役員研修で行ったことがある。そこでは『組合活動以外に仕事、遊び(夜の遊びも)、家族、友人など様々な面で経験、信頼、責任を持っている人』が“目指す理想のユニオンリーダー”だとまとまった。A委員長はまさにこの様な人物である。
 A委員長が考える少年サーカーチームの方針は、上手な子どもを集めて強いチームを作ることではなく、サッカーを通じて人間教育を行うことだ。ここでの人間教育とは、挨拶、整理・整頓、身だしなみ、人への感謝、思いやりの気持ちなど、人として基本的なことができることだ。具体的な例では、試合前のミーティングに監督・コーチが全員集合させる時、全員のバックが綺麗に並んでいて、衣服や荷物がバックから出ていることがないように教育指導をすることだ。他の強豪チームを分析すると多くのチームは整理・整頓ができていないと言う。この基本が出来て初めてサッカーをやる資格があるとも言っている。
 A委員長は指導の一環として、時には子どもに手を出して指導もすることもあるらしい。手を出せば子どもの親から問題にされる可能性もある。しかし愛があるから手を出して指導が出来ると言う。このA委員長の指導方法に賛同できない方もいるかもしれないが、私は他人の子どもを叱ることができることは素晴らしいことだと思う。
A委員長は組合活動も同様に、現場を回り常に職場の美化運動に力を入れ組合活動を通じて人間教育を行っている。

 今、社会人としての基本的なこと(整理整頓から挨拶、人への感謝、思いやり、相手の目を見て話すなど)が出来ない人が多いのではないか。また、職場の課題として職場の仲間に対して興味関心が薄く、間違いや失敗に対しても指摘、フォローがないなどの話を労組役員からよく聞く。

今回のA委員長の話は改めて自分を見つめなおす良い機会になった。

 労働組合は“良い会社”“良い職場(強い現場)”づくりを目指す上で、組合員に興味関心と愛情を持ち『社会人として基本的なことができる人を育成していく』ことが労働組合の人材育成として欠かせない取り組みだと再認識した。




変化と継続の狭間で
荏本
2012/02/12
先日行った広報担当者向けの研修会終了後、参加者の組合役員に相談を受けました。

「せっかく担当になったので、広報誌の形状や内容構成など、いろいろと変えていきたいことがあるんですが・・・・・・」

レイアウトや見出しなどのテクニカルな相談かと思えばそうではなく、「自組織内で変えていくことを決裁するためにはどうしたらいいのか」について知恵を貸してほしい、とのこと。

その組合役員は、自分の組織がつくりあげてきた活動の「歴史・伝統」や「慣習・踏襲」の重みを感じていたようです。
(好きでなったのではないとはいえ)せっかくなった広報担当。自分なりに考え、過去にとらわれず少しでも良いものをつくっていきたいとの思いを抱き続けながらも、"ほどほど"のマイナーチェンジで済ませてきたようです。当研修会での講義や他労組との対話を通して、"変え方"についてイメージができた。それをどう説明するかを考えていきたいとのことでした。

安定した活動を続けていくことは、信頼の証となります。一方で、安定や継続をルーチン化と履き違えるとマンネリとなってしまいます。特に広報活動において、受信側は「あ、これ前と似てる・・・・・・」と敏感に察知するものです。

積み上げてきた歴史や伝統は、組織のブランディングの観点で大切な財産です。その財産は誇示するためのものではなく、活用すべきもの。そして、大小の変化を続ける社会・会社・組合の状況に応じて活用方法も変化させていく必要があります。

一方で継続すべきものもあります。それは組織が発信するメッセージの拠り所となる価値観・ビジョンです。
「組織はなぜ存在するのか?」「どこに向かっているのか?」・・・・・・広報誌のページひとつ変えるときでも、ここまで掘り下げて考えてみれば、おのずと変え方も見つかるはずです。もちろん、「変えない」「前年を踏襲」という結論に達する可能性もあります。

みなさんの組織にも、担当者個人でこのような思いを抱いている方がいるかもしれません。
そんな組合役員の方の意見に耳を傾けつつ、価値観・ビジョン、変化に対する認識を組織全体で共有することをおすすめします。

組合の存在価値の伝達
清水 典明
2012/02/04
最近多くの組合の執行部研修をご依頼いただく中で感じていることです。

組合の重要な存在価値を確信し、活動へのモチベーションも高い執行部での研修実施が重なっています。ある組合では、「初めて組合役員になった時に、自ら立候補した方はいますか?」という質問に、参加者約40人中3人もいるということでした(通常は0が多い)。立候補する方は稀としても、
「会社の発展のために、組合が組合員の意見を基に、労使協議などで色々と提言や提案をしている。重要な役割を果たしている」
「レクレーションや職場集会などで組織内のコミュニケーションを活性化し、風通しの良い風土作りに貢献している」
「労働組合の活動自体が人材育成機関として機能している。組合役員への研修会といったレクチャーはもちろん、普段の活動がリーダーシップ能力などを養っている」
といった意見が多数出ました。

そのような中で、現場(職場)の役員や組合員は存在価値の理解度はどうなのか?という質問に、
「若手の職場役員や組合員は分かっていないんだよな。組合活動の歴史の中で今の制度や労働条件が整っているということを‥」
「職場役員に聞かれても答えないようにしているんだよ。自分で考えろって。結局自分で考えないと腹に落ちないし」
「後任を担ってもらいたい人材がいないんだよな。組合活動への興味や関心が無くて‥」
などの声が多く聞かれました。

普段の組合活動や機関紙を見て聞いて感じ取って欲しい。実際に組合役員を担って体感して欲しい。
というのが多くの執行部の方の想いではと思いますが、研修の中で出てくるような自労組の重要な役割や組合活動への熱い想いを、職場役員や組合員へ語ることが、何よりも組合の存在価値の理解に繋がっていくのではと感じています。

最近そのようなことを感じる中で、私自身も労働組合の存在価値の理解と活動推進に、少しでもお役に立てるように精進していくことを自分自身の目標としています。


『職場集会の真の課題とは』
三橋 秀郎
2012/01/29
多くの労働組合の役員と話していると職場集会について「全く開催されていない」「意見が出ない」「本部からの資料をそのまま報告しているだけで工夫がない」などの声をよく耳にしますが、なぜ、そのようになるのでしょうか?

今回は、最近、私が、ある労働組合の職場集会の支援を通じて気づいた点を書かせていただきます。

その組合では、職場集会の開催率が10%未満であり、また、職場集会を開いても、現場の声を労使協議に上げ、問題解決するということが機能していない状態でした。

そんな中、職場集会の開催率を上げ、機能するために取り組んだことは、大きくは以下の2点です。
●本部で職場集会の運営方法・意見の集め方・時間配分などをわかりやすくマニュアル化して配布
●話し合うテーマは本部で設定し、「理想の職場づくりのためにみんなで何ができるか」「職場の仲間同士が協力できるために職務互換を高めるために何ができるか」など

一連の取組みを通して、職場集会の開催率は15%程度まで上がりましたが、具体的な解決策の立案や労使協議へのアイデア・対策の提言数は期待したほどの数までは上がるには至りませんでした。
しかし、2年間の取組みをその組合の担当者と振り返る中で、明確になった課題があります。

【4つの課題】
①そもそも職場集会の開催がなぜ必要なのか?開催する職場委員や参加する組合員に理解されていない
②職場集会の開催を職場委員の自主性に任せており、何に困っているのか執行部が理解できておらず、支援もできていない
③職場集会を開催するにあたり、成功要因(開催するためのノウハウ)が他の職場委員に共有されておらず、開催できない支部は、いつまでも開催できないままである
④職場集会を開くための対策・アイデアは、本部からのトップダウンだけでは機能しない

この4つの問題を解決していくために、現在3年目の取組みとして、以下の対策を実行もしくは検討中です。

【4つの解決策】
①職場委員や組合員に職場集会の必要性を啓蒙(研修や機関紙など)
②職場委員に職場集会アンケートを実施し、課題・傾向を分析
③成功・失敗要因をインタビューもしくは職場委員同士で共有の場を設定
④現場に近い役員(支部の職場委員や支部執行委員)にプロジェクトチームなどを組み、対策を一緒に考える

本部からのトップダウンだけでも、現場への権限委譲だけでもうまくいきません。
現場の本質的な問題をしっかり把握した上で、現場の役員がいかに納得し、自主的に行動できるよう、いかに本部が後方支援できるかが重要ではないでしょうか。

職場集会の開催において悩まれている組合も多いかと思いますが、今後、皆様の組合で職場集会を成功させていく際のヒントになればと思います。

“個(個人支援)”と“組織力(組合の組織力)”をどう高めていくか?
丸山 由紀夫
2012/01/22
今回はこのテーマについて、どのように考え、どう対処策を講じていくか考察する。

今、ユニオンリーダーが抱えている悩みの一つに“個(個人支援)”“組織(組合の組織力)”という2つ側面をどのように考え、どう組合活動に反映していくかという点が挙げられる。

この種の構造に対する悩みについては、多くのユニオンリーダも同様の事を感じているのではなかろうか?私の知り合いの、あるユニオンリーダーは『中央(本部)からのコントロールか、支部(現場)からのコントロール』かといった組合組織の運営に対する悩みを常に持ち続けているという。
また、ある組合では、アンケート等で出た組合員意見を重視した結果、組織としてどのような活動を行っていけばよいか決定できない状況がある。そしてこの現象を、組織力が低下してきているのでは…と捉え悩んでいる。

組合員そして組合を取り巻く時々の状況に応じ、かじ取りを行い、その判断を託されているユニオンリーダーの悩みの深さは想像を絶するものであろう。

このように一見ジレンマと思われるものの多くは、静態的思考が生みだす副産物だと考えることは出来ないだろうか。これらが二者択一であるようにしか思えないのは、私たちがある固定された時点で何が出来るのか(時間的制約)を過度に意識せざるをえない状況におかれている状況が生み出す思考プロセスの悩みだと捉えることも出来るのではないか。

このような状況の中で、どのようにユニオンリーダーとして対処策を講じていけばよいかを以下にまとめた。

まず一つめは、個人と組織がお互いにどのように影響しあっているのか、相互関係(環)に着目することである。言い換えるならば、全ての出来ごとは原因にも結果にもなりえるという考え方である。

例えば、『職場集会に人が集まらない』という現象を“結果”と判断し、その“原因”を『組合役員の啓発不足』と捉え、この解を『職場集会への参加要請の強化』これを組合活動にすえるとする。確かにある時間軸ではその問題は解消されたと認識されるが、この短期的な問題解決こそが長期的には新たな問題を生み出す可能性(組織力低下)を高めているのである。

これについて、『職場集会に人が集まらない』という現象を相互関係(環)に着目して考えると、役員の視点では『職場集会に人が集まらない』という現象を“結果”として捉えていたのが、

組合員の視点では『業務時間を確保したい』⇒『なぜなら業務量が増加している』⇒『職場集会に人が集まらない』⇒『業務時間の確保』⇒『業務量…』と相互関係の環が出来ている。

従って重要なのは、この悪循環をいかに好循環に変えて行くための変化のプロセスを見極め、そこを伸ばしていくための取り組みなのである。この例で言うならば、“時間をどう活用していくか”“業務量をチームやメンバーの中でどうシェアしていくか”等である。

二つめは、この種の取り組みは、結果が出るまでに相当な時間がかかる場合が多いということを認識しておくことである。決して一年、二年というスパンで結果を問うことはではない。なぜならば、ある時点での問題解決ではなく、問題を生み出した考え方そのものを変えていく取り組みだからだ。だからこそ“ビジョン”“価値観”“考え方”を日々の組合活動に織り込み、常に組合員、組合役員が検証するための取り組みこそが、活動の継続性を高めていくことにつながっていく。

最後にある方の印象的な言葉を綴って終わりにしたい。『人の行動を望むならば、まず、自分が真剣にそうして見せることである』

短期的な問題解決圧力に負けず、因果関係の環を探求し、この言葉を実直に、日々の組合の活動現場支援に取り組んでいく次第である。