ゆにおん・ネタ帳

ゆにおん・ネタ帳はリニューアルいたしました。

以降の記事は新ページでご覧ください。

https://www.j-union.com/idea/

全国3700ほどの労働組合とのお付き合いの中で、記憶に残るエピソードや、これは使えるといったネタをご紹介していくコーナーです。

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2013年

偶然はチャンスだった
加藤瞳
2013/12/29
「委員長として組合活動についての講演をお願いします」
「女性委員会の役員として、組合に対する考えを聞かせてください」

組合役員になったことで声がかかり、人前で話したり、講演する機会が増えた人は
多いのではないでしょうか?
組合役員になるまで人前で話す必要がなかった人も、苦手意識から避けてきた人も
役員になったからにはやらざるを得えず、覚悟を決めているのかと思います。

私も5年ほど前に弊社の組合(弊社では「プロフェッショナルクラブ」という名称です)
で委員長になったことを機に、職場集会や労使協議の場で話すことが急激に増えました。
苦手だったのは、大勢の視線が自分に集中するあの威圧感のようなプレッシャー。それ
まで人前に出て話すことは自分の人生で、避けて通りたいと思っていました。もちろん
避けることはできず、チャレンジ精神のみでなんとか任期を務め上げました。

その影響もあってか、最近ではセミナー講師として大勢の人の前で話しています。
私の場合、積極的に講師を目指したわけではありませんでした。いろいろな偶然が重な
り、人前で話す機会が増えていったという方が正しいかと思います。
さまざまな偶然を自分の成長のチャンスだと捉え、乗り越えた先の自分を楽しみにして
いました。「委員長もやったし、なんとかなる!」と講師になる覚悟を決めました。

そんな私も今では年間30本ほどセミナーをするまでになりました。
入社したての頃は、今のように講師をしている自分なんて想像もしていませんでした。
何がどう影響し、自分のキャリアをつくっていくのか、人生わからないものです。


先日、うれしいことがありました。
ご紹介した私の経験をとある労働組合のセミナーで女性委員会向けにお話ししました。
そうしたところ、参加者から「私も覚悟を決めてがんばりたいと思います」といった声
をもらい、予想以上の反響がありました。
どうやらメディアで取り上げられ憧れる「女性企業家のようなロールモデル」ではなく、
「等身大の自分に近いロールモデル」として私が彼女たちの参考になったようです。

私は目の前の偶然をチャンスと捉え、勇気を出してセミナー講師にチャレンジし、自分
なりに努力し続けただけでした。そんな私の姿が、他の誰かに良い影響を及ぼすことに
もなるんだと実感しました。


== 参考 ===================================
「計画的偶発性理論」
計画された偶発性理論(英語: Planned Happenstance Theory)とは、スタンフォード大学の
ジョン・D・クランボルツ教授が提案したキャリア論に関する考え方。
個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される。
その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていこうという考え方。

その計画された偶発性は以下の行動特性を持っている人に起こりやすいと考えられている。
(1) 「好奇心」 ―― 新しい学習の機会を模索し続けること
(2) 「持続性」 ―― 失敗に屈せず、努力し続けること
(3) 「楽観性」 ―― 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
(4) 「柔軟性」 ―― こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
(5) 「冒険心」 ―― 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと
=========================================
~まごころの贈り物~ メリークリスマス!
細越 徹夫
2013/12/22
 今年もいよいよ年末の大イベント「クリスマス」を迎える。
街を彩るイルミネーションやライトアップも華やかで、いくつになってもクリ
スマスはウキウキ・ワクワクさせてくれる魅力的なイベントだと思っている。
みなさんは、それぞれどんな過ごし方をされるのだろうか。

商業主義の仕組まれたイベントじゃないかとか、クリスチャンでもないのにな
んで祝わなくちゃならないのかと、ちょっと斜に構えて難癖付ける輩がいるか
もしれないが、楽しさとともに神聖さを感じさせてくれるこの雰囲気が私は好
きである。幼いころは、この時期になると大好きなご馳走をたらふく食べるこ
とができることと、年に一度のクリスマス・プレゼントをもらえるのがとても
楽しみだった。イブの日には家族で団らんしご馳走を食べ楽しいひと時を過ご
し就寝する。そして朝にはサンタが届けてくれたというプレゼントが枕元に置
かれていたという経験を持つ方もいることだろう。

 ところで、クリスマスにプレゼントをする習慣はなぜ生まれたのか。一説に
よると、聖ニコラスが人に知られずに困った人へ贈り物をしたことが始まりと
か、イエス・キリストの誕生の際に、東方から来た賢人達が贈り物を携えてき
たことが起源とかいくつかの説があるようだ。いずれにしてもこの習慣が何世
紀にもわたって現代に受け継がれているのには何か深い意味があるように思う。

家族や友人へ、日ごろの感謝を込めて贈り物をする。その行為がクリスチャン
にとってはイエスの教えにある「困っている人を助けたり、誰かに優しくする
ことは、イエスに対してしていること」となり、クリスマスに贈り物をするこ
とがイエスに贈り物をすることに相通じると考えたのも自然な流れだったのか
もしれない。

 不思議なもので贈り物をする行為というのは、意外に大変ではあるが楽しい
ものである。相手の趣味に合わせて「どんなものをプレゼントすると喜んでく
れるだろう」とお店を回りながら、日ごろ気にもしていない相手の趣味や趣向
を考えプレゼントを決める。
経済論理からいえばマイナスの行為なのに、心はなぜか「幸せな」気持ちに満
たされる。

最近読んだ本の中にハーバード大学の研究チームによる「幸福度とお金の関係
」に関しての引用があった。自分のために買い物をしても幸福度はさほど上が
らないのに、誰かのために買い物をした場合は、働いてそれと同額の報酬を得
た時と同じくらい幸福度が上がるというのだ。まさにクリスマスでプレゼント
を交わすというのは、お互いに幸せを感じるための最高の場面なのかもしれな
い。

クリスマス、忘年会、新年会と、祝い事が続く時期である。普段、深く気に留
めることの少ない相手の趣味や趣向を考えつつ「心からの感謝」を込めて、思
い思いのプレゼントを持ち寄る。昔から行われてきたプレゼント交換ではある
けれど、そんなちょっとした催しを祝い事のなかに組み込んでみてはいかがだ
ろうか。そこから新たな人と人のつながりが築ける上に、より大きな幸福感が
得られるかもしれない。
Merry Christmas!

組合活動の原点は人を育てること
渡邊祐介
2013/12/15
 労働組合の大きな役割の一つに「人材育成機関」であるということが挙げられますが、みなさんの組合では、
どのような計画に基づき人材育成を進めておられるでしょうか?

 今回は、人材育成において必要な考え方をご紹介します。

1.組織の明確なビジョンがある
 まず重要なことは、自分たちの組織が「将来どのような状態でありたいのか」が明確になっているということ。
そして、自信を持って語ることのできる状態になっているということです。変化の激しい時代において、あらゆる
内外要因に左右されない、組織の強みを活かした確固たるビジョンを示すことができており、共通言語として広く
語られ、皆がそのビジョンに憧れている状態になっていなければ、力を結集しベクトルを合わせて前へ進んでいく
ことはできません。

2.役員(組合員)のありたい姿を示せている
 ビジョンの実現は執行部だけでなし得るものではありません。組織に属するすべての人材がそれぞれの役割を
認識し、その実現のために行動できる状態になっていることが重要です。そのためには、ビジョンに基づく
「理想の人材像」が示されていなければなりません。ビジョン実現に向けた取り組みの先に「どのような人材に
なっていて欲しいのか」というメッセージが発信され、腹落ちするまで根気よく語り続けることが大切です。

3.求められる役割と必要な能力が階層別に整理されている
 組合活動は多岐にわたるため、活動を細分化し階層ごとに適正な役割を整理する必要があります。
本来する必要のない役割がそのまま残っている状態では、本当に求めている(行ってほしい)役割がおろそかに
なってしまい組織はうまく機能しません。そして、その役割を実行するために必要な能力が取り組みに紐づいて
明示されていることが重要です。すべての役割はビジョン実現のために割り振られており、役割を担う上で必要な
能力を身につけることで理想の人材につながるということです。

4.能力伸長の場が用意され、必要な支援が行われている
 集合研修等のOff-JTの場ももちろん重要ですが、人を育てるには実践が一番です。与えられた役割に基づく
取り組みの必要性をしっかりと認識させ、必要な権限を与えて後は任せましょう。自身の経験からうまくいくため
に必要なことが何なのかを考えさせ、能力伸長の必要性に気づかせてから教育機会(研修等)を設けることで、
学習効果は何倍にもなります。そして、何よりも重要なことは、組合活動に目標管理の視点が取り入れられている
ということです。定期的に行動を振り返り、何をすべきかを話し合う場が人を成長させます。

 賃上げに目が向いている今こそ、組合活動の原点とも言える「人を育てる」取り組みに着目し、将来を背負って
立つ人材を育成しておく必要があるように思います。

今春闘 ベア要求どっちらにしても地獄?
池上 元規
2013/12/08
少し前、2013年10月7日の日本経済新聞朝刊に労働組合についての記事が載っていたことを覚えているだろうか?
 
 私と同じ名前の池上氏が「池上彰の教養講座」の紙面で『労働組合がどれだけ社員を支援できているか疑問』
『労働組合の弱体化が新たな労働問題に対応できていない』と論じていた。確かに労働組合の現場役員に話を聞
いても組合員は組合活動に興味関心が低く、当の組合役員の多くは組合活動について”やらされ感”が強いのも
事実。新聞の内容について共感する人も多いかもしれない。
一方で『少なくともうちの組合はまだまだ頑張っている』と思った組合役員も多くいるのではないだろうか。

今、組合員は労働組合に大きな期待している。それは今春闘での賃上げの取り組みについてだ。

■期待の背景として以下の項目が中心に挙げられる
 ・企業業績の回復
 (上場企業では2014年3月期の連結経常利益が過去最高になる企業は6社に1社:2013/11/19付日本経済新聞朝刊)
 ・アベノミクスの影響(企業に賃上げを促す法人税減税)
 ・消費税引上げ(2014年4月より5%→8%)
 ・物価上昇(消費者物価指数は100.7と前年同月比0.9%アップ:2013/11/30付日本経済新聞 朝刊)


 そこで各単組は上部団体から今春闘はベア要求をするように言われているようだ。
業績の回復や生産性の向上の結果から賃上げに取り組み、組合員の賃金が上がることは喜ばしいことだし、
組合員の期待に応えることができるのかもしれない。しかしこの数週間、労働組合の三役クラスの人と話をすると、
組合員からの期待が大きいだけに今春闘のベア要求の対応に苦慮している。
 
■悩みの一例としては以下の通りだ。
 ・会社の経常利益がマイナスなのに上部団体や親会社の組合から足並みを揃えて要求しろと言われる
 ・物価上昇を理由にベア要求をすると、物価が下がった場合は賃金を下げることを会社に対して容認することになる
 ・会社の業績が下がった時はに、賃金を引き下げることを会社から言われると困る
 ・自単組がベア要求せず、同業他社や関連会社はベア要求をして実現した場合、自社との賃金格差が広がるのは避けたい
 ・今期、当社は過去最高益で組合員から賃上げの期待がかなり大きいが、要求するにしても、しないにしても説明ができない
 ・会社もベア要求に対して容認の姿勢を示しているが、どうやって要求すればいいのかわからない          など


 今回の問題は私達にとっても切実だが、今の風潮から他の組合に合わせるように取り組むのは危険だ。もし、周り
に合わせるように今春闘にベアの要求をし、要求が通りベースアップが実現した場合、いっとき組合員は喜ぶかもしれ
ない。しかしこんなことは考えたくないが数年後に最悪なシナリオもあるかもしれない。それはリーマンショック
時のような不況が再び起きた場合。これは誰も予測はできないが、同じような不況となれば、おそらく今春闘のベ
ア要求が再び話題になるだろう。
「なぜあの時ベア要求をしたのか?」「当時の執行部は何を考えていたんだ?当時の業績を考えたら無謀だったの
ではないか」「2014年時の根拠を持ち出し会社は賃下げをすると言っているが対応に困る」「2014年の1%のベースアップ分が
重くのし掛かり、結果、業績を圧迫して経営が厳しい…」このようなことにならないことを切に祈っている。


 いずれにしても、近視眼的になりベアを要求し賃上げに成功しても、会社の固定費が増えるのは確実で、今後の
会社の持続的な存続と発展についても合わせて考える必要があるのではないか。ベア要求は組合員の生産性向上を
軸にして行わないと整合性が取れないことにより、会社や組合員への説明が出来ず、結果的に厳しくなる。
もう既に、ベア要求への準備として生産性向上を会社にアピールする取り組み(現場の意見収集→改善活動への取
り組み)を進めている労働組合もある。
今からでも遅くはないので、労働組合として生産性向上に取り組んでみてはどうだろうか。




 
誰のための何のための春闘なのか
大川 守
2013/12/01
師走を迎え、さまざまな課題に取り組んでいるうちに「もうこんな季節か」と感じられている
組合役員も多いのではないでしょうか。何とか年末の多忙を乗り切って、年が明けたら春闘に
向けて動きはじめようと考える方も多いでしょう。一方で2014春闘はここ数年と明らかに風向
きが違うし、上部団体の方針も最終的には「個別判断で」という傾向の中で、どのような要求
案を構築するのか、どのような準備が必要なのか、不安もあるかもしれません。とはいえ、こ
の期に及んで「過去のベア要求はどのようなやり方だったのか?」といった戦術論はあまり役
に立ちそうにありません。今週は春闘の戦略について考えてみたいと思います。


バブル崩壊とデフレのはじまり

日本経済の回復が堅調であるらしい。いつもそうだが、景気の変動は一般人にはリアルタイムで
実感することができないようだ。かのバブル景気崩壊も1991年(平成3年)頃だったと数年後に
結論づけられた。私の当時の記憶では、企業の求人も大量採用時代がしばらく続き、氷河期に突
入するのは1995年(平成7年)の卒業生からだった。建設ラッシュも95年まで続いていて、街中の
風景に巨大なクレーンがニョキニョキとそびえ立っていた。一方で新築ビルでもテナントが埋ま
らない、あるいは老朽ビルがゴーストビル化していったのもこの頃だったように思う。企業によ
ってはボーナスが大幅に減り、人事制度の見直しがブームとなり、結果的に1997年(平成9年)を
ピークにサラリーマンの平均年収は下落の一途をたどりはじめた。正社員採用はさらに絞り込ま
れ、替わって派遣労働や有期労働契約が増え続ける。100円ショップが急成長し、百貨店のバーゲ
ンは毎年前倒しされた。今思えば、デフレのはじまりであった。


当時の賃金ベースアップ要求の根拠

バブル入社組と呼ばれる私(1989年卒業・入社)と同世代以前の方は、賃金ベースアップ(ベア)
の理由を常識的に知っている。その恩恵にあずかってきた世代でもあるからだ。
ベアは年功部分の定期昇給とは別に、賃金表(賃金テーブル)そのものを一律に上昇させるものだ。
なぜその必要があるかは「物価上昇(インフレ)率」と「国・地域の豊かさ指数の上昇」に依拠す
る。言い換えると所得の「貨幣価値維持分」と「相対的な生活レベル向上分」ということになる。
したがって労働組合は各種経済レポートを分析し、「組合員生活実態調査」により組合員の「生活
困窮ぶり」や「住環境の劣悪さ」を定量化し、要求根拠としていたような時代でもあった。しかし、
経済の後退とともにデフレ(物価下落)が長期化し、近年ではベア要求どころか定期昇給維持さえ
労使交渉の対象になってきている。


第三の矢「成長戦略」に組み込まれた賃上げ容認論

「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資誘導による成長戦略」はご存知アベノミクス
の三本の矢である。現時点で政策との因果関係は判然とせず、例によって実体経済との整合性は確
認できないが、現象面として円安による株価上昇と好況感の上昇は鮮明だといえよう。成長戦略の
具体性が見えないという指摘に対しては、前政権が訴えた「賃金上昇による国内消費の喚起」を経
団連に働きかけ、さらに政労使会談で国民的合意形成を図ろうとしている。経団連会長をはじめ、
各産業のリーディングカンパニーの経営者からも従業員の所得を増大させることについて前向きな
コメントが出され紙面を賑わせている。産別もこの追い風を受けて「統一要求」に向けて動いてい
る。2014春闘は明らかにここ数年と風向きが異なっているようだ。


そこで労働組合は何を根拠に何を求めるのか?

収入が増えることは誰にとっても嬉しいことである。ただし、その前提は持続的かつ安定的なこと
であろう。当然のことながら雇用の安心感なくして「ぬか喜び」する者などいない。また多くの非
正規社員(契約社員、パート社員)の処遇が据え置かれ、これまで以上に格差が増大することは、
よほど利己的な者以外は望まないことであろう。
アベノミクスに便乗して正社員だけが短期的に潤う要求案をまとめることには、社会が共感しない
であろう。一部の中高年層を指して、その功績を無視して「逃げ切り世代」などと揶揄する軽薄な
論調があるが、その言葉を借りれば「正社員の総逃げ切り世代化」でしかない。今のあなたは良く
ても、あなたの愛する子の世代は確実に低賃金労働しか見つからない世の中になってしまうことだ
ろう。失われた20年の間に、労働力市場は需要も供給もワールドワイドに移行したのだから。
私たちは国際的な視点に立ち「高コストの日本人正社員」として、いかに付加価値を生む仕事がで
きるか、その費用対効果が問われている。


"OPEN HEART" で輝く未来へ
荏本
2013/11/24
広島のある製造業労組では、「20代中心の若手組合員だけでイベント・レクの企画・運営をする」という活動を実践しています。
企画内容は、他労組交流、各種スポーツ大会、クリスマスイベント、情宣誌でレポート記事作成・・・・・・などさまざまです。

先日、この若手組合員たち対象に「レクの企画・運営を通じて学ぶ"職場リーダーの役割"」をテーマにした研修会を実施しました。
講師は弊社から送り出し、参加者と同世代を選定。研修とはいうものの、意見交換の時間を多く取り、笑いもある賑やかな時間となりました。

この研修会は休日昼間の実施で自由参加でしたが、20名前後の若手が自主的に集いました。
伝えられたのは、レク企画の本質的な意味や実践的なコミュニケーションスキル。
「さっそく次の企画に生かします!」と講師に伝えに来た方もいるほど、みなさん動機づいたようです。

研修後には、食事しながらの懇親の場も設けられました。
年齢や社歴が近い者同士が膝を交え腹を割ることで、仕事・職場、プライベートのことまで何時間も話は尽きません。

このような職場横断的なコミュニケーション促進は、業種・規模を問わず、組合では以前から行われていたものです。
今までは「組合発信による職場一体感の醸成」「次世代の執行委員・職場委員の発見」あたりが主目的であったように思われます。

しかし、目まぐるしい内外の環境変化に晒され続ける現在、"自ら考え、動ける人づくり"が組織として急務になってきました。
本活動は、レク活動の企画内容・進め方・参加者召集などを通じ、マネジメントの基礎を学ぶ場になっていると感じます。
「遊び半分でやるレクリエーションの企画」ではなく、会社のこれからを左右する重要な取り組みなのです。
労働組合が持つ3つの機能(コミュニケーション、人材育成、メンタルヘルス)の観点からいえば、
コミュニケーションから人材育成の領域に移行してきたといえるでしょう。
組織の継続的な発展を見すえ、長い未来と広い可能性を持つ「若者たち」にリソースを傾けるべきことに、
多くの会社・組合が気づいてきているのかもしれません。

職制での役職ポスト、賃金収入をはじめ、コミュニケーション手段、仕事観、人生観など、世代間のギャップは量的にも質的にも埋めるのが困難です。
ただ一つ重要なのは、同じ組織にいる者として共に目指すゴールを確認しあい、そこに向けて一心不乱に取り組めるステージを具体的に設定すること。

本活動のスローガンには、「出会い&感動、その先にある輝く未来を目指し」とあります。
そしてロゴマークに躍るは"OPEN HEART"の文字。
懇親会も終わる頃には、「次は合コン企画しようや!」と参加者たちで盛り上がる姿が・・・・・・。

みんなが心を開いてつながることで、きっと組織の未来も切り拓かれるに違いないと思いました。


組合活動や組織体制への意見反映方法
清水 典明
2013/11/17
時代と共に変わっていく社会情勢や組織を取り巻く環境へ皆さんはどのように対応していますでしょうか?
今までの活動の棚卸しから、今後求められる活動分野や活動内容を検討して、新たなビジョンの構築や運動方針の策定をしていき、時代に合った組合活動を構築していくことを多くの労働組合で実施しているかと思います。

構築していく際に、議論の出発点になる組合員の感じていることやニーズを把握する手法として、アンケート・職場集会などでのヒアリングなどの手法があるかと思います。
私が現在関わっておりますある労働組合での方法を紹介します。
組合員へのアンケートを実施したうえで、各支部より1名代表者(基本的には現執行部以外の様々な立場の方)を選出し、
・アンケート結果を踏まえた活動全般の検証
・短期、中長期課題の整理と検討
を数回に渡り議論をし、短期的な課題に関する執行部への答申書提出と中長期課題は今後のビジョンへの反映をしていき、必要に応じて組織体制の検討もしていくという内容です。

活動内容や、ビジョンの構築は最終的には執行部が検討し、議案として承認を経ていくものです。
検討するうえでの構成員の意見やニーズをいかに集めていくかが組織を取り巻く環境に合い、納得感を高められる活動につながっていく鍵になることをあらためて実感をしております。

また、弊社がそういった議論の場で進行をしていくことが、
・第三者の立場で率直な意見の聴取ができる
・他組合での事例などをお伝えできる
ことで促進できることも感じております。
会議や委員会の場で、今までと違う視点での運営など検討されておりましたら、弊社担当営業までお願いいたします。


ヨーダから学ぶユニオンリーダーの心得
三橋 秀郎
2013/11/10
 先日、久々に『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』をDVDで見ていました。その中で、組合活動にも通じる内容がありましたのでご紹介します。
 マーク・ハミル演じるルーク・スカイウォーカーがフォースを習得すべく、ジェダイの師であるヨーダに教えを請いに、惑星ダゴバにて修行を積む場面があります。
 ルークはさまざまな修行を積む中で、ヨーダからフォースによって戦闘機を持ち上げてみるように言われる場面があります。
 その時の会話の一説がこちらです。

ヨーダ「あの戦闘機を持ち上げてみるのだ」
ルーク「石を持ち上げるのとは訳が違う。戦闘機を持ち上げるのは無理です」
ヨーダ「何も違わない。そう思い込んでいるだけだ。固定観念を捨てろ!」
ルーク「じゃあ、やってみる」
ヨーダ「やってみるではダメだ!やるのだ(できると信じることが大事だ)」

 どうしても人は、やったことのない未知の世界に不安を感じます。そんな中でも、
一歩前に踏み出し実行に移すのも大事ですが、やりとげるという信念がさらに大事だということを教えられる場面でした。

 歴史と伝統のある組合では、ユニオンリーダーも、新たな活動を行っていくのには、非常に勇気のいる行動かと思います。でも、強い信念を持って組合活動に取り組むことによって道は開かれるのではないでしょうか。

 私も日々、皆さまの組合活動にどのように支援できるか悩みながらも、成功イメージと強い信念を持って支援していこうとあらためて気付かされたシーンでした。

心で感じる経営
服部 恵佑
2013/11/03
 日本を代表する化学メーカーの工場(支部)に行く機会を得た。工場内を歩いていると、通路脇に排水路があり、
そこには多数の鯉が泳いでいた。
化学メーカーなので有害性の高い原料を扱っているのかもしれない。工場排水の浄化処理には相当気を使っているはずだ。
当然科学的には安全な数値レベルであるが、その工場(企業)は、万一に備えて生きた鯉を通してから工場外へ排水しているのだそうだ。
科学的には環境上安全な数値だったとしても、想定できない、測定できない有害なものがあるかもしれないという思想が背景にあるのだろう。

 多くの優れた科学者は、科学的ではない何かを認めている。数値に表せない、分析できない何かを想定している。
この企業が、環境経営とも呼べる経営で多数の環境マネジメントの賞を受賞しているのは、単に環境基準を満たしているに止まらず、
もしかしたら自分たちが万能ではないという深慮があるからだろう。

 企業組織にも、「はかれるもの」と「はかれない(はかりにくい)もの」がある。客観的なデータなどで指標化できるものとしては、
売上額、利益率、人件費、原材料費、生産ラインのスピード、製品の歩留まりや株価など多数ある。
この数値の向上、改善がマネジメントの仕事である。一方、はかれない(はかりにくい)ものとしては、ヒトの気持ち、職場の雰囲気、
働きがい、チームワーク、ワーク・ライフ・バランス、暗黙知や企業風土など、これもいろいろある。
近年、アメリカ病とも言えるぐらいマネジメントが「はかれるもの」に偏ってきていないだろうか。「データ、思考、冷静な分析」への
過信、不確実を伴う現場や現実から離れたデータへの妄信である。客観的データが大事なのは当然だが、
それを超えた「勘や直感、経験や暗黙知、度胸」を蔑ろにし過ぎてはいないか。
組織も生命体と考えれば、組織感情や暗黙知などまだまだ科学的には説明しにくい領域がたくさんあるはずである。
科学的な説明や合理的な判断(例.企業生き残りのための固定費削減策としての人員削減)よりも心の声に耳を傾けたり、
直感に委ねてみればわかるもの(例.合理的に人員削減した経営者が名経営者としてマスコミでもてはやされることへの違和感)も
あるはずである。ヒトには、共通感覚がある。「これで本当にいいのかなあ」「なんか、おかしいよな」と心が叫んでいるはずである。
働く人さえ大切にできない企業が、お客さまを大切にする商品やサービスを提供できるのかと素朴に思う。
「一堂に会する場をつくり、同じ釜の飯を食う」「寝食を共にして、お互い助け合える信頼関係の土台を築く」
「職場でイベントを開催して仲間をつくる」「困ったときは、お互いさまでカンパをする」……。
このような活動は費用対効果ではかれない、はかるべきではない。理由のいらない心で感じる活動である。
この領域こそ、労働組合の昔からの得意領域である。短期的に指標化できるものの最大化が経営者や管理職の役割の時こそ、
長期的で指標化できない(しにくい)ものの最大化を組合が自信を持って推進しなければならない。

 科学万能主義に陥ってヒトの気持ちを軽視するように成り下がった経営という排水路に、組合はもう一度生きた「鯉」を
放たねばならない。
「頭で考えるだけではなく、心で感じる経営」である。
ヒトの気持ち、職場の雰囲気、働きがい、チームワークが今どうなっているかの答えは、会議室で話し合っていてもわからない。
職場の風景を見に行けば、仲間に声をかけてみれば、すぐ心で感じられるはずである。
「鯉」も泳げない水路になってしまったら、それはもう大変である。

組合員の関心をいかに高められるか ~シンプルに、丁寧に、そして粘り強く~
丸山由紀夫
2013/10/27
下記は当社が組合役員に対して行ったアンケートの回答結果である。

Q(組合役員の立場から見て)あなたが感じている組合員への不満は?
 ・組合員が組合活動に無関心である(参加しない、協力しない、発言しない)
 ・仕事と組合活動の両立が難しく大変、忙しいetc.

今回は、上記の不満にも挙げられているとおり、“組合活動に対する組合員の関心をいかに高めていくか”について述べることとする。

関心を高めること、すなわち、いかに現場の組合員を組合活動に巻き込むかは、代表者の(労組の場合は役員)リーダーシップの発揮度合いに大きく影響しているといえよう。

以前、2,000名規模の有期雇用契約者を組合員化した労組りーダーから聞いた話である。どのように組合のファンを広げていったのか、そのリーダーが取った手法は、実にシンプルでかつ明快であった。

①まずは自らがビジョンを定める(なぜ組合が必要なのか、その為に役員としてはどうあるべきか、ぶれない判断基準を問う)
②1人ずつ2,000人全員と丁寧に話をしながら、組合活動の意義とあなたの力がいかに必要かを語り、ひたすら組合員の話し(思い)を聴いていく
③理解してもらうまで(組合に入ってもらうまで)ひたすら何度も②をくり返す

極めてシンプルな手法で、そして数年という年月をかけながらも、ついに組織化に成功したのである。あなたはこの話を聞いてどう感じるであろうか?もっと効率なやり方はないのか、非現実的だetc……。さまざまな感想を持ったことであろう。

組合組織を維持から拡大へと突き進んだ、この労組リーダーの行動する力、成功するまでは決してあきらめない力、そしてそれを突き動かしていく支えている力(信念・ビジョン)の強さがあったからこそ、成し遂げることができたのであろうと、私は考えている。

そしてこれは、限られたリーダーだけが持っている能力ではなく、誰しもが発揮することのできる能力なのである。

つまる所、“あんなリーダーになりたい”“あのヒトがいるから、組合活動に参加したい”そして“あなたと一緒に仕事をしたい”とどれだけ多くの組合員に思われるかなのである。

最後に、今回紹介した労組リーダーが組合員化を行っていた時に、特に意識していたことをお伝えして本稿を締めることとする。

・必ず自分の言葉で語る
 →ペーパーに書いてある内容はそのまま言わない。自分の言葉に置き換え、自分の表現で伝える
・あなたのために動いていきたい
 →組織のためではなく、あなたの力になりたい、あなたの役に立ちたいかを伝える

シンプルに、丁寧に、そして粘り強く、労組リーダーとしての我々の行動する力が問われているのである。