ゆにおん・ネタ帳

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2013年

「自分のために、自分の好きなことをしていますか?」
2013/03/10
自分の好きなことや趣味をいくつでもいいので挙げてください。
スラスラと5個以上は出てきますか?


自分の好きなことや趣味があるというのは、とても大切なことです。
それは【メンタルヘルス予防のセルフケア】として有効だからです。


そのことについて、私が師事している教授が説明している論文があります。(一部抜粋)

“他者報酬型自己イメージは、メンタルヘルス不調に直接影響し、その影響力は最も大きかった。
 そのため、メンタルヘルス不調を予防するには、自己報酬型自己イメージにシフトしていくこと
 が重要であると示唆された。”
 ※『産業衛生学雑誌』2011年 山本美奈子,宗像恒次 (筑波大学大学院人間総合科学研究科ヒューマン・ケア科学専攻)
  「労働者のメンタルヘルスと行動特性の影響 」より


つまり“自己報酬型”で生きることがメンタルヘルス不調の予防にとって
重要であるということです。

自己報酬型の生き方というのは、「本来の自分・あるがままの自分に気付いて、
自分の生きたい生き方をし他人の評価は気にし過ぎず人と愉しみながら
自分を満足させられる生き方をしていく」ということです。
他者報酬型の生き方というのは全く逆のことを意味します。
周りの人との関係の中で「他人に気に入られたい」「嫌われるのがとても怖い」
という思いから、自分の感情を抑えてでもその人の期待に応えよう
とすることです。

私自身、他者報酬型で生きているなと薄々感じていたのですが、
それを心理チェックで調べて、はっきりと数値で「他者報酬型である」
ことがわかった時、力んでいた肩の力がほぐれていくような良い意味での
脱力感があったのを覚えています。
もっと自分らしくあっていいんだと。

人の顔色を伺い、嫌われないようにその人のために努力したとしても、
自分の思った評価が得られるとは限りません。
ましてや、意図せず人を傷付けてしまうこともあります。
他人というのは自分の期待通りにならないものなのです。

周りの人々の評価に全神経を使い、多くの期待をかけて一喜一憂する
のではなく、自分に期待をして、自分で自分を満足させられる生き方が
心身の健康には重要なのです。


自分のために自分の好きなことをしてください。
まずはどんなことが好きかを挙げるところからです。
みなさん、いくつありましたか・・・?

労働組合の未来を考える3つのテーマと4つの眼力
浅野淳
2013/03/03
組織が新たな価値を創造するとき、多面的に物事を捉え、活動の再構築と具現化することが大切である。本稿は、これからの労働組合にどのような可能性があるのか、その実践に向けた3つのテーマと4つの眼力(複眼)を紹介する。これらの掛け合わせを通じて、労働組合の存在価値向上のヒントになれば幸いである。

その一、労働組合の次世代トップリーダー育成「人物づくり」。
職場における労働組合の存在意義が曖昧化している。これからの企業の存続・発展には、職場で労働組合が機能し、「開かれた職場」の実現が不可欠である。経営陣からの一方通行マネジメントだけでは、付加価値の高い製品・サービスが生まれないことは今や、労使共通の経営課題である。労働組合の強みを活かした人づくりとして、トップリーダーを育成する場づくりが重要である。問題解決力のある〝できる人″を育てることも重要だが、胆力のある情理を尽くせる〝できた人″の発掘と育成に力を注ぐことをお勧めする。未来を託したいトップリーダーとは以下の「4つの眼力」を身に付け実行できる人物である。
①鳥の目・・・労働組合を鳥瞰する大きな枠組みとして捉え、知る力。
②虫の目・・・労働組合の現実を知り、他労組をベンチマークし、学ぶ力。
③魚の目・・・世の中の流れを読み取り、未来の労働組合のあり方を探る力。
④トンボの目・・・複眼思考で物事を捉え、情理を尽くす胆力をもった人物。
これらの目を携え、労働組合を取り巻く環境に合わせて見えるものの見方を変え、目に見えないものを感じられる人物が育つ運動を検討してほしい。

そのニ、労働組合の経営対策活動としての「職場づくり」
労働組合の経営対策活動は、主に経営サイドからの経営環境・財務に関する情報に対応するに留まっていないか。実際の経営対策は多岐に亘っており、まさに複眼的な見方による評価・分析・対策が必要とされている。労働組合が経営を学び、主体的に自社の経営に貢献できるポイントは何かを議論することは必須である。そのためには、組織を二次元(組織-個人)ではなく、三次元(組織-職場-個人)で捉えることである。労働組合として注目すべきは、小集団である職場である。職場の生産性向上が、組織全体の付加価値を押し上げるような組合活動に焦点を当てること。これからの労働組合の経営対策は、以下の4視点で自社の分析を行い、労働組合としての課題立案とその解決策を検討することをお勧めする。
①視る・・・自社の足腰(マネジメント・組織力)を視る。
②診る・・・自社の心と頭(経営理念・経営戦略・方針)を診る。
③看る・・・自社の体力(財務・企業価値)を看る。
④観る・・・自社の環境(市場・マーケット環境)を観る。

その三、労働組合の活動品質を高める「組織づくり」
労働組合の活動品質とは何か、それは、労働組合が備えている仕組みを機能させているかどうかに尽きる。綱領に基づいたビジョンや方針を定め、活動を実践しているかどうかである。言い換えれば、労働組合が有している機能が発揮しているかどうかである。経営者と向き合い、労使関係を健全なものにし、労使協議を重ね、組合員による経営参加を実現する強い組織づくりのための機能を発揮しているのかどうか。そこが今、問われている。そのためには、今一度、以下の4つの視点で組織を分析してみることをお勧めする。
① ヒトをみる目・・労働組合による人材育成機能の発揮
雇用と高付加価値な仕事、豊かな人生を生み出すためのビジョンはあるのか?
そのためにどのようなビジョンを持っているのか?
② モノをみる目・・労働組合のブランドイメージを刷新する機能の発揮
労働組合の発信する言葉は組合員に届いているのか?組合員にどんなイメージを与えているのか?その言葉は組合員の働き方・生き方におけるガイドラインになっているのか?
③ コトをみる目・・労働組合による組織点検と改善の機能の発揮
職場でどのような出来事が起こっているのか?それは自分たちで解決できることなのか?労使共同で解決すべきことなのか?組合員は義務を果たしているのか?
④情報をみる目・・情報の共有と、開かれたコミュニティ機能の発揮
労働組合が取り扱う情報を、関係者にわかり易く伝えているのか?組合員からの情報に意味を持たせて組織の課題として経営に提起しているか?世の中の多様性を理解して開かれた組織になるよう情報を発信しているのか?

これら3つのテーマと、それぞれの4つの眼力を掛け合わせ、分析→仮説→計画→実践→評価のサイクルをまわすことが労働組合の可能性を押し広げることに発展にする。

以上の3つの切り口については
1.本気の人物づくり「徳芯塾」
2.労働組合の強みを活かした「経営対策サポート」
3.活動品質をブラッシュアップする「活動アセスメント」
としてご案内中です。お気軽にお問合せください。


「寮を通じた人間関係づくり」
細越 徹夫
2013/02/24
 皆さんの中に、「寮生活」を経験されたことのある方はいるだろうか。
学校や会社などで併設されている宿舎や学生寮、独身寮といった集団生活の経験だ。
寮は門限やいろんな規則があってイヤ、先輩後輩の関係があって窮屈、プライベートが守
れないなどの意見も多いと聞く。確かに、集団生活の拠点である寮には、体育会系的なイ
メージが強く、嫌う人も少なくないのかもしれない。

昨年、ご機嫌な職場づくり運動の研修会を実施した際、組織感情診断の診断結果を分析す
るという時間を持った。参加者に自職場の診断結果を持ち寄っていただき、結果の見方や
その結果に基づいた現状分析を行うことを意図したものだ。診断結果の総合判定としては、
不機嫌な職場、要注意職場、ご機嫌な職場、超ご機嫌な職場といった総合判定が得られる
のだが、参加した労組の1つにご機嫌な職場以上の良い結果が得られたところがあった。
その組合役員の方と「なぜ、良い結果が出たのか」、その要因について話をうかがう機会
があった。

良い結果が得られた要因として挙げられたことに、日ごろからコミュニケーションが密で
あり、週に1度はノミニュケーションがとられているからではないかという要因を話して
くれた。そのお話に対して、「週に1度という頻度でノミニュケーションを図るのは大変
ですね」というと、「そんなに大変じゃないでっすよ。みんな寮生が多いので...」と
いう。今回、参加した職場のメンバーは寮生が多くみんな気心が知れているし、日ごろか
らコミュニケーションもうまく取れているのだという。

もう随分と昔の話だが、実は私も、初めて社会に出た3年間をある会社の独身寮でお世話
になったことがある。その経験もあって、先の話で「寮生が多いのでコミュニケーション
がとれている」という見方にも納得できることが多くあった。
私がいた寮では、地方出身者のほとんどが、一端、そこへ入寮し、数年して会社生活にな
じみ生活も安定したら、自身の判断でアパートやマンションに引っ越していくのが通例だ
った。だから寮生の多くは、20代前半の若者が多くを占めていた。
また、珍しいことに、男・女それぞれの居住棟が同じ敷地内にあり、男女合わせて100
人規模の大きな寮だった。在寮者の年齢層は、高校を卒業したての10代から30代前半
の人までと広く、他の事業所や出張者などの大先輩も時々利用していた。

洗濯室や風呂場は男女別の施設があり共同、食事は男女共有の食堂があり、まさに食住を
他の仲間と共有する生活空間だった。寮全体での行事も年に数回開かれ、花見や夏祭りは
恒例の行事となっていた。休日前夜などは仲のいいもの同士が部屋に集まり、酒盛りの始
まりである。酒が飲めない人や一人でいたい人など、お構いなしで声がかかる。部屋は個
室ではあったものの、玄関入口にある名札で在/不在がわかるので居留守も使えない。

例えば、こんなシーンは毎度のことだった。
ドンドン、ドンドンとノックの音。あぁーまた飲み会?すると「おーい。帰ってきてるん
だろ。○○の室で飲むから、早く来いよ」案の定、飲み会のお誘いである。「おーわかっ
た」とさえない返事。参加の意思表示はしたものの気は進まない。新人や在寮歴の浅いも
のは、つかいっぱーの上、飲まされるからだ。
状況は違えどもそんな光景が、寮内のあちこちで繰り広げられ、仲間同士でのコミュニケ
ーションが図られ、仲間のつながりも深まるわけである。

飲み会の話題といえば、異性の話に始まり、趣味、郷里、そして将来の話。そんな普段、
職場では話すこともない話題が、飲み会の場で共有されることになる。「人事部の○○さ
んはかわいいねー」「彼女、函館の出身なんだってさ。テニスが趣味だって」「彼女から
聞いたんだけど、お前んとこの主任、親父は本社の常務らしいぞ」そんな社内の人的情報
から日ごろの愚痴まで話は尽きない。

最近は、福利厚生のコスト削減などで、独身寮や福利厚生の施設が閉鎖されたところも多
い。一方、改めて社内コミュニケーションを円滑にする上で各種行事や飲み会が見直され
てもいる。単にそれだけで人間関係が深まるわけではないが、「相手を知り、自分を知っ
てもらう」そんな場面や機会を「寮」というコミュニティを通じて、私自身が実は学んで
いたことを改めて思い起こした。



信じる力
渡邊祐
2013/02/17
最近の若い人たちは元気がないとか、人との付き合いを好まないとか、物事に対する興味関心が薄いなどと言われますが、みなさんはどのように感じていますか?

私自身、10も20も歳の離れた若手と接する際、話題についていけなかったり、つかみどころのない会話にうまくリアクションできなかったりすることが増えてきており、会話の端々で世代間ギャップを感じること多くなってきました。しかし、個人的には上述したような印象をあまり感じていません。むしろ、彼ら・彼女たちから受ける印象は、とても元気で活力に満ち溢れていること、そして、何よりも素敵な笑顔で楽しそうに話をするということです。
ただ、私自身もそうですが、どうしても自分を基準に他者を比較し、マイナス面にばかり目がいってしまいがちです。『他者の良いところを見つける力』って、誰にでも備わっていると思っています。彼らの良いところに目を向け、その能力を最大限発揮できるステージを用意することのできていない私たち自身が、ネガティブな若者像を作り出してしまっているのかもしれません。

私が現在お手伝いをさせていただいているある組合さんでは、この“若い人たち”と一緒に労働組合のイメージを根本から変えようという取り組みを行っています。その第一歩として、若手主体の組織を新たに立ち上げ、その組織のゴール目標を明確に定めた上で彼らに権限を与えました。今までそのような経験などしたこともない組合員を中心とした取り組みですので、当然うまくいかないことも出てきますが、失敗することも想定した上で、自分たちに何ができるのかを自分たちで考え決定させ、実行までをすべて任せています。
組合役員でもない彼らが、就業時間後に集まって活動を行うことは想像以上に大変な苦労を伴います。また、手を出したい気持ちをぐっと堪え、成長を信じて見守る執行部のみなさんは、彼ら以上に精神的な苦労をしているのだと思います。しかし、執行部はメンバーの可能性を信じ、彼らが成長するためのステージを用意し続けています。メンバーも自分たちにできることが何なのかを考え、必死にその答えを探しながら活動を行っています。

一組合員としてフリーライダーにならず、仲間の明るい未来のために活動することを選択した彼らを心から尊敬します。そして、そんな彼らを陰日向から支え、共に成長していこうとしている執行部の姿を見ていると、この活動が必ず成果を生み出すと確信できます。今回の出会いに心から感謝し、彼らのやりたいことをカタチにするお手伝いをこれからも一緒に進めていきたいと思います。

※今、彼らは4月に入ってくる新たな仲間に労働組合のことを自分たちの言葉で伝え、新たな組合像を創るためのパンフレット制作を行っています。どのようなものが完成するか現時点ではわかりませんが、どのようなものが出来上がったとしても彼らの想いは必ず仲間に伝わると信じています。

「仲間だろうが-!!!」
服部 恵祐
2013/02/03
「仲間だろうが-!!!」
この一言で主人公の海賊少年、モンキー・D・ルフィは全ての障害を乗り越える。ルフィが叫ぶ「仲間」の前では、科学的な根拠も論理的な説明も意味がない。「正義」をかざす世界政府さえもひとっ飛びである。
累計2億8000万部も発行されている漫画『ONE PIECE(ワンピース)』のキーフレーズ、それが「仲間」である。
読者は少年・少女ばかりではない。サラリーマンなどの大人の心もわしづかみしている。

労働組合も終戦後の結成当初より「仲間」「職場」「絆」を大切にしてきた。「人と人が組み合う=組合」「組合同志が連なり合う=連合」の名前そのものがその体を表している。
最近、日本企業もグローバル化の波にのまれ、優良企業であっても企業業績が厳しいところも多い。「生き残り」の常套句のもと、事業の統廃合・海外移転などが大流行である。それと引き換えに、早期退職、希望退職が発令され、国内で働く「仲間」が「生き残れ」なくなっている。※
「ハッピーリタイアメント」とは程遠い「早期退職」。「希望退職」の「希望」が「望みが希(めったにない、薄い)い」ことは去る者は知っている。

去る者が、職場の仲間や組合役員にあいさつに来る。
「今までありがとうございました。お世話になりました。みなさん、頑張ってくださいね」
「頑張ってくださいと言うのは、むしろ私の方である。お元気で」と心がつぶやく。

「残された者」と「去る者」の違いなんてない。仕事をさぼっていたわけでも、成果が低いわけでもない。入社以来、人生の大半をこの職場で一緒に過ごしてきた仲間である。
事業環境変化や経営戦略の読み違いなどがあったにせよ、それは組合員の責ではない。戦略を立案したのは、現場の現実を見ずに、机上で頭脳明晰に考え抜いた経営者たちではなかったのか。
終身雇用や年功序列などの日本型の家族経営で育ったはずの経営者も、スマートで明晰な南蛮渡来の株主重視の思想に魅せられてしまった。自分たちが長年培ってきた誇れる経営哲学を捨て、借りもの思想に飛びついた。
何のための利益なのかを失った中期経営計画と引き換えに得たものは、砂漠と化した職場と白けきった組合員。「誇り」「自信」「相互信頼」「働く喜び」の残影。

この誤った資本主義の暴雨の中で、組合もたじろいでいる。「失われた20年」が「失われた30年」に向かっている。今回の暴雨は循環ではない。人災が起こした構造的な暴雨なのだ。待っていても暴雨が止まないことは、みんな知っているはずである。
「仕方ない」「どうすることもできない」と暴雨が去るのを待っていても何も変わらない。

われわれが失ったものは、「貿易収支を中心とした国富」や「企業利益」「個人所得」だけではない。むしろ、「仲間」とともに、「経営者の誉れ」も、「組合役員としての誇り」も、「働く喜び」も、「労使の信頼関係」こそ失われたのである。
「仲間との絆」「職場」という組合の存在理由そのものが崩壊しているのである。
「失われた20年」である。復活には20年を覚悟しなければならないかもしれない。

職場でたまたま出会い、人生の大半を過ごすご縁をいただいた「仲間」とは何なのか。組合は、今一度、この「問いを学ぶ=学問」必要があるのではないか。

運よく「残された者」も、これからのいばらの道を中期経営計画が唱える株主配当のために頑張れるのか。割り切っても、割り切っても追いかけてくる罪悪感を背負い込んで走り続けられるのだろうか。
頑張りを「去った者」を優先的に再雇用するために使うならどうだろう。例えば、日本型先任権(業績が戻ったら、まずは、去った者の教育訓練と再雇用を優先する契約)を労使で締結することはできないか。
「仲間(ひいては自分にも還ってくる)」のためなら、どんないばらの道でもエネルギーが沸いてくる。それが、「残された者」の使命である。
その時、失われた「誉れ」も、「誇り」も、「働く意味」も、「労使の信頼関係」も戻っている。「去った者」が職場に戻った時、明るく、楽しく、元気な職場に戻っているはずである。
科学的な根拠も論理的な説明も捨て、みんなでルフィのように心の叫びを発信してみてはどうだろうか。

「仲間だろうが-!!!」、と。


※東京商工リサーチの調べによると、2012年の上場企業公表分だけでの早期・希望退職者総数は2万人(未公表や海外を含めると
4万1000人)を超え、リーマンショック時の2009年の2万2950人に匹敵する状況とのこと。(2012年12月15日時)

現場の組合役員は『職場の仲間に自信を持って活動について語れますか?』
池上 元規
2013/01/27
弊社は幸いに多くの労働組合からセミナーのご依頼をいただいている。
年間1,000件以上のセミナー実績がある中、7割以上が組合役員向けのセミナーだ。
この実績からも多くの労働組合が組合役員の育成に力を入れていることが分かる。
これまでセミナー中心に人材育成のご依頼を多くいただきながらも、
組合役員の人材育成の効果を図る手法が確立していなかった。
そこで今回、新に人材育成の効果を図るアンケートを開発した。
 ※ここでの人材育成とはセミナー実施に対する効果検証に限定せず、
  一定期間のトータル的な人材育成の取り組みに対しての結果を測る内容
  (全7分野29問の設問)。

まだ試験的な取り組みで数労組、約200名のデータだが、
『職場の仲間に自信を持って活動について語れる』
ことが人材育成を行う上でキーポイントなることが分かった。
現場役員は『職場の仲間に自信を持って活動について語れる』
かどうかで“組合役員の活動に対する満足度”や“来期の継続の意思”
に左右されるようだ。
この設問自体の結果、自信を持って語れる人は3割弱だった。

私はセミナーの講師として組合役員対象にセミナーを行う時、こんな質問をよくする。
『組合員さんに「労働組合は必要な組織ですか?活動の目的ってなんですか?」って聞かれたら何て答えますか』
参加者の多くは「労働組合は必要な組織だ」と答える。
活動の目的については「賃金・労働条件の維持向上のため」と回答する人もいるが、
それより「労働者の代表として会社と交渉し、働きやすい会社・職場づくりをする」
「働きがい向上させる”“職場内のコミュニケーション活性化させる」などがよく挙がってくる。

このことから現場の組合役員は、組合活動の目的については語れても、
組合活動については職場の仲間に自信を持って語れないのが現実ではないだろうか・・・

『現場の組合役員が組合活動について自信を持って語れるようになる』ためには、
些細なことでも構わないので活動の中から“成功体験をする”“自己成長を感じる”
“職場の仲間・上司から評価を得る”など考えられる。
人材育成を行う時にこれらのことをゴールとして設定し、取り組む必要性を改めて感じた。
組合の現場役員の人材育成は、現場役員本人が活動をして良かったと感じられることが重要だ。
運動論的には「組合役員本人のメリットや達成感より、組合員が中心で組合員あっての活動だ」
というご指摘を受けるかもしれない。
だが、私は現場の役員の気持ちがあっての組合活動だと思う。


 
「本音のフィードバック」は成長への道しるべ
荏本
2013/01/20
組合役員を務めていれば、人前で話すさまざまな機会があると思います。
プレゼンや説明を行った後、「自身の話し方」について振り返ることはあるでしょうか。

数年前、初めて講師として研修の壇上に立つにあたり、練習中に録音した自分の声を聞いて愕然としたことがあります。
フレーズとフレーズの間に「えー」「あのー」といった「言葉のひげ」が多い、内容が複雑な部分に差し掛かると話が加速傾向、強調箇所なのに一本調子……など、
音声にして初めて気づかされることが多々ありました。
いずれも、内容の理解や反復練習が不足していたことが原因です。

やっかいなのは、こういった声(表情や目線も)は、話している自分では見え方(聞こえ方)が認識しづらいこと。

その後別の機会に、私自身の話し方について、聞き手の組合役員のみなさんにフィードバックを求めてみました。
概ね「わかりやすかったよ」というお答えでしたが、突っ込んでうかがうとスピードの変化や語尾の不明瞭さなど、各部分について細かい指摘をいただけました。
話し方は個人の癖や身体的特徴に紐づく場合もあるため、本音で指摘しにくい場合もあるようです。

実際にその場で聞いていた方からのフィードバックには、自分で自分の声を聞いているだけでは得られない学びと気づきがありました。

どんなに内容を練り、緻密な構成で話しても、話し方ひとつで聞き手がシャットダウンしてしまうこともあります。
人前で話す機会が終わった後、聞き手の数人からでも簡単に感想を聞いてみることをおすすめします。
また、自身が聞き手のときは、気づいた点を忌憚なく話し手に伝えてあげてみてください。

話す側、聞く側双方の働きかけで、一つひとつの対話活動の質が向上します。
「知らせる活動・伝える活動」の促進、個人の表現スキルアップを見すえ、組織として”フィードバックする風土”を根づかせてみてはいかがでしょうか。

主体的に「働く」ことを考えるために
清水 典明
2013/01/13
年が明け約2週間経ちました。皆さん年末年始はどのように過ごしましたか?
私は、東京の実家で過ごしました。

私事ですが、親と毎年仕事の状況などの話はするのですが、今回は表面的ではなく私が今の年齢になって気付くこともあるのではないかと思い、定年はとうに迎えている親の仕事人生や仕事観について聴く機会がありました。
時代や環境は違いますが、考えさせられることも多く、私自身の今までの振り返りと、今後私自身や組織として何を持って顧客である労働組合、ひいては社会に貢献していけるのかを考える良いきっかけとなりました。

最近、組合役員や組合員への人材育成について、
・言われたことしかやらない傾向があるので、主体的に考え行動するきっかけが欲しい
・「働く」意味や価値を考え気づき、主体的に行動できるようになって欲しい
という要望を多くいただきます。

当然自らが考え行動していくということは、様々な環境や立場の中で、最終的には個人個人が仕事や組合活動に意味を見い出して、一歩踏み出していくしかありません。
一歩踏み出していくためは、そのきっかけとなる場や出来事の積み重ねも重要となります。
組合活動でも色々な手法で皆さん取り組まれていると思います。
・「働く」ことを考える、目標管理制度の目的や運用についてなどの研修
・レクレーションやオフサイトミーティングでの仕事観などの共有や意見交換
・機関紙などで仕事の達人の紹介
 ※私が担当している労働組合では、仕事の達人紹介を機関紙でシリーズで紹介しています(仕事観などの語録を中心に)。
上記の活動以外でも皆さん取り組まれていることと思います。組合の強みである組織の横断的なコミュニケーション機能や職場の対話活動が、手法を検討する際のポイントになると考えます。
何かの参考になれば幸いです。

本当の自律を考える
中岡 祐子
2013/01/06

 リスニングやアサーションなど、感情レベルでのコミュニケーションに関する研修を請け負っている。
コミュニケーションは、受け手によって感覚が異なるので、絶対唯一の答えはない。仮にあるとしたら、それは相手が持っている。
客観的にみて、まずいコミュニケーションの仕方であっても、受け手が満足するなら、それが正解となる。

 とはいえ、それでは研修の方向性が定まらないので、一応「模範的なコミュニケーション」を教えている。
こちらとしては、基本を理解して、あとは現場で相手にあわせてチューニングしていってほしいという思いがある。
しかし、多くの受講生は、頭でそれを理解しながら、実際には答えを求めてくる。
「相談活動の最後はどんなふうに終わればいいのか?」「その人のプライベートなところまで聴いていいものか?」「こういうことを
言ったら相手が傷つくのではないのか?」
厳密にいうと、その本当の答えは、話を聞いてもらっている当事者にしかわからない。話を聴いて「ただ聴いてほしい」という人も
いれば、「わかってくれればよい」という人もいる。あるいは、自分で納得いく答えを出して帰っていく人もいる。プライベートな
問題については、必要と思ったら聴いてみればいい。それで相手に嫌がられたら、素直に謝ってそれ以上踏み込んでいかないことだし、
相手がのってくれば聴いてみればよい。

 何かを言って相手が傷つくということは、自分の価値観と相手の価値観が異なるのが普通である今、意図せずそういうことも
あるだろう。もちろん意図的に相手を傷つけるのをよしとするわけではない。誤解を恐れずに言うならば、人は人を傷つけることなしには
生きられないのだ。もし、誰も傷つけたくないのなら、相手の要求を黙ってのめばいい。だが、それは自分らしさの欠如へとつながり、
自分を尊重することから遠ざかり、人によってはメンタルの悪化につながる。
自分を信じて、相手を尊重しながら、誠実に自分の思いを伝える。自分ができることはそれだけである。その結果、相手が傷ついたと
したら、心をこめて謝るしかない。だけれども、そういう経験をするからこそ、人は人の心の痛みがわかるようになり、そうやって
コミュニケーション能力も高まっていく。


 答えを教え続けた日本の教育の弊害がそこにある。全員に同じ答えを与える教育や、一方的に指示を与える仕事の仕方は、効率はよい
が、一人ひとりが考えることを放棄させてしまう。人間、誰かが答えをくれる状況に慣れると、それが当たり前になり依存する。
そして依存性格は、ストレスを感じやすいパーソナリティを形成する。
今は、価値観が多様化した時代である。ニーズがたくさんある時代ともいえる。トップの大号令を待っていると、たちまちにその組織は
市場から取り残されてしまう。とはいえ、現場の組合員達は、答えをもらうことに慣れている。答えを求め、強烈なリーダーシップを
もつリーダーが現れるのを待っている。しかし、そんな人は滅多に現れないので、ストレスがたまる。
今日の多様化を表す一つの事例がある。ときに経営者は「利他の精神」あるいは「働くということは傍を楽にすること」などという
言葉を使い、従業員に他人の利益のために生きるような指針を与える。それは本当だし、大事なことだろう。しかし、一方では自己犠牲も
過ぎるとうつ病にもなりかねないという事実もある。そこでセミナーを聴いたある組合員から、どちらが正しい答えなのか質問をされた
が、どちらも正解なのだ。

 重要なことは、自分でどうするかを決めるということだ。この多様な価値観の中で、それぞれの価値観を認め、自分がどうするのかを
決める。そしてそれによって起こる結果は、人のせいにせず、自分で責任をとること。これが本当の意味の自律である。
メンタルだけでなく、キャリア形成でも同じことがいえる。組織にいれば、自分の意思だけではどうにもならないこともある。そういう
ときは、自分の要求と組織(相手)の要求のすり合わせが大事である。そのためには、指示するほうも、されるほうも、安易な決定を
するのではなく、お互いに組織や個人のビジョンをおさえたうえで、納得いくまで話し合うことである。終身雇用が崩壊し、転職が
当たり前の時代、キャリア管理の責任は個人にある。組織のキャリアマネジメントの目的は、あくまでもその組織の成果を出すことだ。
仮に、自分の意思なく、組織の決定に無条件に従った自律をするならば、それは無理やり自律(隠れ依存)だ。これでは働き甲斐も
感じられず、メンタルの問題にもつながりかねない。自分らしい満足できるキャリア形成ができるかどうかは、やはり個人の自律なくして
はありえない。そうして、自分で決めた道筋に自分で満足できるときに、人は働き甲斐を感じ、その結果として心身の健康が実現する。