■2対6対2の実験結果
昔テレビで面白い実験をやっていました。
まず100人の幼稚園児に、先生が「みんなで遊んだ後片付けをしてください」
とお願いしました。すると20人ほどの園児は積極的に働き、20人ほどの園児
は遊んでいて全く手伝おうとしない。残る60人ほどの園児はどっちつかずの
日和見的で、働くでもなく遊ぶでもなく、先生に怒られない程度に働いてい
る風に装いながらダラダラと適当に動いていました。
実験では、上位20%が働き、真ん中で普通が60%、下位20%は全く働かない
ことがわかりました。
さらに実験は続き、先ほど全く働かなかった20人だけを居残りとして集めて、
片付けをお願いしました。すると4人が働き、12人はダラダラ、4人は遊ん
でいました。
さっきまで遊んでいた20人が上位20%、普通60%、下位20%と最初の実験と
同じ割合となったのです。
蟻や蜂の世界のように全員が働いていると思えても、同じような割合でこの
現象が見られるという実験結果が報告されていました。
集団行動は、【天使20%:大衆60%:悪魔20%】という比率となります。
おおよそ誰でも心の中にこの割合で天使と悪魔と中間の大衆心理が潜んでい
るのでしょう。
この実験には重要な示唆が二つあります。
一つは、数の多い大衆の心理を天使と悪魔のどちらが掴むことができるか。
もう一つは、大衆だけ、悪魔だけでセグメントして、善の行動を求めれば、
その中の20%は天使、60%は大衆と変化するということです。
[天使20%]→大衆と悪魔へ善の働きかけ役へ
[大衆60%]→セグメント→[天使20%][大衆60%][悪魔20%]
[悪魔20%]→セグメント→[天使20%][大衆60%][悪魔20%]
■意識と行動
国政選挙の事前アンケート結果で、「選挙に行く」という割合が高くても、
大抵、当日の投票行動(投票率)の割合は落ちます。
意識の上では態度を明らかにしている人も、実際の行動となるとハードルが
高くなり、態度があいまいな大衆の比率が増えるものと推測します。
前述の【天使20%:大衆60%:悪魔20%】の法則から類推すると、意識の上
では大衆60%が、20%の天使と60%の大衆と20%の悪魔に分類されると考え
られます。意識面では、天使20%、やや天使12%、大衆36%、やや悪魔12%、
悪魔20%の5段階評価のような分布となると予想されます。
しかし意識ではなく実際の行動を伴う場合、結果的には日和見になる大衆が
増加して、実行する天使20%、中間の大衆60%、妨害する悪魔20%の構成比
となるのでしょう。
【意識】[天使20%:やや天使12%:大衆36%:やや悪魔12%:悪魔20%]
【行動】[天使20%:大衆60%:悪魔20%]
■大衆6割を引き込む、天使2割の組合活動
組合が活性化していないとすれば、否定派の勢力が優勢で大衆の賛同や協力
を得られていないとも考えられます。
組合の活動においても【天使20%:大衆60%:悪魔20%】の法則を意識した
活動をお勧めします。
労働組合活動を考えた場合に、まず職場の中に20%以上の天使を作る。続い
て大衆である60%からの支持を獲得することを狙う。そのために大衆の中に
存在する意識上の天使派である「やや天使12%」を天使に引き上げる。さら
に、態度保留の人たちの中の上位20%の支持を引き出す。といった進め方の
活動です。
表向きは組合員へ全員一律としながらも、オルグで働きかけるターゲット層
や分布状況を明確に意識して、その内容や戦術をターゲット層に合わせて巻
き込んでいくことが重要となります。
前述の実験にあった60%の普通の幼稚園児たちを考えてみましょう。
この大衆といえる60%の子供たちは、遊んでいる人を見て、自分もできれば
片付けるよりも遊びたいという悪魔の誘惑にかられる一方で、まじめに働い
ている人に悪いから片付けもしようという天使の声との板ばさみの中で、と
りあえずどっちつかずの行動をとっているのです。
ここで、大衆への働きかけが天使側の「一緒に片付けようよ」と、悪魔側の
「一緒に遊ぼう」とで、どちらが勝るか大衆は判断します。天使側が優勢と
なれば、その多くが天使側につき働き始めます。
また、この大衆だけ(または悪魔だけ)に、セグメントして働くことを促せ
ば、前述の実験のように、大衆の中でも2対6対2で分かれ、大衆60名中の
上位20%は天使化します。
つまり、対象に絞って働きかければ、その対象は2対6対2で上位20%はレ
ベルアップされるはずなのです。
さらに、一般的なマーケットシェアの法則によると、味方の数が相手の数の
3倍の勢力となると、相手側を駆逐するほどの圧倒的な優位を形成すると考
えられます。(マーケットを独占する状態となる)
つまり天使と悪魔の勢力争いを制することによって、徐々に大衆を天使側に
巻き込んでいけば、組織全体の方向性が決まることとなるのです。
※ゴール[良い天使20%:普通の天使60%:ちょい悪の天使20%]
以上、何かのネタとなれば幸いです。