ある調査から、以下のような結論が導き出されました。
高速道路に入り走行距離100km未満、時間にして約1時間以内』
の場所で死亡事故が約5割発生。
このうち、約27%が居眠り運転や考え事などの漫然運転による
もの。
これを読むと、「ああ、高速道路は、乗ってから1時間以内を注意して運転
しないといけないんだな。」と考える人が多いでしょう。
安全運転にこしたことはなく、こういった啓蒙活動は我々の生命や財産を守
るために必要なことですので、もちろん正しいと思いますし、わかりやすい数
字は多くの人へ働きかけます。
ただ、へそ曲がりの統計的な観点から見ると、ちょっとだけ「?」となる部
分もあります。
この調査結果には、次のような集計結果が載っています。
【第一当事者の高速道路走行距離別の死亡事故件数】
100km未満 50.1%
300km未満 27.2%
500km未満 7.5%
500km以上 4.8%
不明 10.5%
合計 100.0%
表現は資料のままで、「事故を起こした車の中での割合」としてはわかりやす
い数字で全く間違っていません。
が、そもそも事故を起こす起こさないに関わらず、それぞれのキロ数を走って
いる車の台数(母集団)の割合はどうなっているのでしょうか。
平成21年の統計ですので若干古いものですが、小型車、大型車を問わず高速
道路の平均走行距離は、平日で45km、休日で60kmという統計があります。
ばらつきはありますが、高速道路の走行距離は100km未満が圧倒的に多い
ということになります。
つまり、100km未満の走行距離の台数(母集団)が多いので、「100km
未満を、無事に事故を起こさず走った車の割合」も高くなると考えられます。
台数(母集団)の少ない300kmや500km走っている車が各母集団に対し
て事故を起こしている割合はそれぞれ何%くらいなのでしょうか。
ならば、どのような表現を使ったほうがよいのでしょうか。
それぞれの該当する台数を明らかにした上で「100km未満の走行距離の車
の中で事故を起こした割合は○○.○%」「300km未満の走行距離の車の中で
事故を起こした割合は○○.○%」「500km未満……」をそれぞれ計算した上
で、その最も高い数字のキロ数を「危険」としてみてはいかがでしょうか。
こんな重箱の隅をつつくようなことが癖になっている自分は、つくづくへそ曲
がりの統計屋だなと思います。
ただし、これだけは真実です。
高速道路に入ったら早目に休憩し、体操したり、コーヒーを飲んだり、ガムを
かんだりしながら心身のリフレッシュをするとともに、交通マナー、ルールを遵
守して運転することが大切です。
秋の行楽シーズンです。
皆さんも有給休暇を取ってドライブ旅行に出かけませんか。
でもその際は、最近かっこよくリニューアルされているサービスエリアで休憩を
取って、安全運転を心がけてください。
私は「サービスエリア巡り」結構好きです。