ゆにおん・ネタ帳

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2015年

女性活躍支援のパラダイムシフト
2015/08/02
■両立支援策の功罪

女性の活躍支援への取り組みが転換期を迎えている。企業は、育児と仕事の両立支援を拡充し、女性が長く働ける職場環境づくりを進めてきた。
それは、日本生産性本部の「第6回 コア人材としての女性社員育成に関する調査(2015)」という調査結果からも明らかである。
調査によると、女性活躍推進の取り組みで実現できているもの(3年前と比較)は、「女性社員の勤続年数が長くなること」(86・0%)、
「出産・育児明けに就業する女性社員が増えること」(81・7%)、「女性社員の離職率が低下すること」(76・8%)とする企業が多い。
半面「部長以上の職位につく女性社員が増えること」は19・9%と最も少ない。
つまり制度を中心に両立支援策は拡充したものの、活躍支援についての取り組みはあまり進んでいないと言える。
実際に現場へ行っても、組合も女性組合員も“両立支援に関する制度”の話に終始することが多い。
「弊社は女性が育児と仕事を両立できる制度づくりを進め、他社と比較してもトップレベルにあります。それなのに女性社員は昇進意欲がないのです。
女性たちに何が足りないのか聞きたい」このような認識のまま進めると、さらに充実した両立支援制度ができあがるだろう。
ある組合から聞いた話では、今でも小学校6年生まで時短制度が使えるというのに、さらに「無制限に使わせて欲しい」という要望が出てきたという。
これでは男性上司が「女性を使いたくない」と思っても仕方がない。行き過ぎた両立支援策が、かえって女性の活躍の機会を奪ってしまうとも限らない。
その証拠に、近頃現場でよく聞く声は「権利を主張する女性社員達」である。はっきりと「ぶら下がり社員」という言葉を使うところもある。

■女性活躍支援に向けてのステップ

神戸大学の平野光俊教授によると、企業の女性活躍推進において重要なのは、女性の就業継続率を高めて母集団を厚くし、優秀な人材を管理職に登用することである。
大企業を中心に両立支援制度が整えられ、妊娠・出産では辞めずに定着するという傾向が出てきた。
母集団形成のところまでは出来つつあるのだが、問題は その母集団に昇進意欲のある女性たちが少ないということだ。
両立支援策だけに解決策を求めても、女性がキャリアに関して意欲的になることや長期にわたって職場で活躍することにはつながらない。
むしろ両立支援を推進すればするほど、男性が仕事中心になる働き方を助長することになる。
妻が働く時間を減らして子供の面倒をみてくれれば、夫は仕事に没頭できるからだ。
さらには時短社員の女性たちが増えることで、そうではない社員たちに仕事のしわ寄せが行く。
このしわ寄せが、同じような仕事をしている女性社員にいくと、職場内で不協和音が起こりやすい(男性は黙って我慢する傾向の人が多い)。
「女性の敵は女性」このような話は筆者が新人であった20年前にもあったが、当時は出産後も働く女性は少なかったし、職場にはそれをカバーする余力があった。
しかし今は事情が異なる。最近では、いち早くこのような状況に陥り苦慮した資生堂が「時短でも甘やかさない」制度を導入したという。
ただ時短社員に負担を強いるかわりに、キャリアアップの支援も怠らない。やる気のある女性社員には限界を設けない方針なのだ。
時短社員だとしても、将来に向けてキャリアを形成してもらい戦力になってもらわなければ困るのだ。
会社はボランティア団体ではないのだからそれは当たり前の話なのである。しかし、この当たり前の話が、育児をしている女性を前にすると曖昧になる傾向がある。
それは男性を中心にした組織全体に「女性(特に子供がいる)は大変だから責任ある仕事をさせない」という「やさしさの勘違い」があるからだろう。
その考えが女性の昇進効力感を制限し、女性管理職の成長を阻害している。

■目的を明確にした支援を

勘違いしてほしくないのは、両立支援策を否定している訳ではない。事実、外食産業などは、その辺をもう少し充実させたほうが良いとも思う。
問題なのは、そこをゴールにした支援のあり方にあるということだ。家庭と仕事を両立させた先にはイノベーション(成果)がなければならない。
女性活躍支援や男女共同参画を本気で実現したいのであれば、その先の目的を見据えた支援をすることである。
本来、両立支援策は目的達成のための戦術だったはずであり、いつの間にかそれが戦略(目的)になってしまっているのではないだろうか。
そろそろこの踊り場から抜け出し、次のステップに移る時期である。
自己のキャリア形成に意欲的で成果を出す女性社員を増やすには、均等推進(ポジティブアクション)とキャリア教育である。
職場でも組合でも、思い切って女性に役割と責任を与えてほしい。
若いうちから使命感や達成感、社会的意義を実感できるような仕事を与えて、仕事の面白さを感じさせてほしい。


3分間の真剣度
荏本
2015/07/26
労使で人材育成を行っている組織があります。
製造業であるその企業は、「安全」が重要課題。
安全のためには、「職場のコミュニケーション」が不可欠であり、
特に管理職には「良心のリーダーシップ」の有無が問われています。

リーダーシップを醸成する、ひいては人間力を高めることは、
「人づくり」に取り組む組合活動と目的は同じです。
労使共通の目的をもって階層別に全管理職を対象に研修を実施しています。

1泊2日の研修の中に、対戦形式で「部下への期待や職場のありたい姿を3分間語る」時間があります。
参加者が相手を実際の部下に見立てて語り、聞き手役の審判が判定し、より伝わった側に得点を入れるのです。
得点は参加者個人に加算するだけでなく、所属グループの合計得点となります。


多くの得点をあげている人に共通するのは以下の特徴です。

◆事前要約
 ・事前に伝えたいことを箇条書きなどに要約し、細部を忘れてもポイントを外さない準備をしている。

◆表現メリハリ、笑顔
 ・3分の中でより重要な部分は声の大きさやトーンを変え、身振り手振りも使っている。表現にメリハリがある。
 ・話の趣旨が厳しい要求であったとしても、笑顔で始まり笑顔で終えている。

◆緩める時間、事例
・3分間の中に、冗談、自虐ネタ、仕事以外の話などでわずかでも緩める時間をつくっている。
・過去に部下が成し遂げたこと、これから期待していること、それぞれに具体的事例を語っている。

◆記録と改善
・仲間や審判のコメント(対戦相手へのものも)をしっかり記録し、次回対戦に改善している。


得点獲得者は、「このゲームで勝つためには」よりも「実際の部下や現場をリアルに想定して」PDCAをしっかり回しています。
そこには「より高いレベルで仕事を完遂し、より良い職場をつくっていく」というリーダーとしての本気の覚悟を感じました。
研修の場の3分間であっても、その3分に対してどれだけ真剣に取り組めるか……スタッフとして立ち会っていながら大きな学びになりました。


労働組合の職場自治活動
清水 典明
2015/07/19
「働きがいのある職場に向けて、職場の課題解決に取り組みます」

言葉は様々ですが、多くの労働組合で運動方針の柱として掲げていることであると思います。皆さんの組織ではいかがでしょうか。
職場の環境改善や働きがいのある職場作りに向けて、組合員が感じている問題の把握や課題解決活動が労働組合にとって重要な活動であることは誰もが理解をしていることですが、
・職場の問題把握がなかなかできない。執行部だけでは職場の意見を聞ききれないし、職場の役員も忙しいしな‥
・職場集会で問題を集約して執行部へあげもらうが、すべて「何とかして」と他責であげてくる。職場で解決すべきこともあるのに…
・問題をあげてくるが、本当に職場の総意なのか?労使協議で説得力を持てない…
・職場での労使懇談会をしてそこで課題解決に向けた話し合いをしてほしいが、なかなか実施されていない
・労組(労使)で課題解決活動を展開しているが、組合員からは活動が見えていない
など、組合役員の方よりお聞きし、相談をいただきます。

労働組合の職場自治活動(職場で起こる労使間などの課題を自ら解決していくための活動)の効果的な手法について考えていきます。
活動において重要な点は、職場の役員や組合員を巻き込みながら進めるということです。主体的な活動が継続性や有効な課題解決活動に結びつくからです。

以下に巻き込むための活動を進めるうえでのポイントを記載します。
●事前準備
・全体スケジュールの作成
 労組会議体と労使の協議会との連動。職場集会と役員の会議、労使協議の日程の連動と問題把握~改善活動の内容の連動ができているか。
・実施メンバーへの期待と広報アナウンス
 職場の役員と組合員への役割・期待の意思入れができているか。活動のスタート宣言の告知ができているか。

●職場課題解決活動
・問題把握
 職場の役員への声がけ活動・職場点検活動の推進、職場集会運営の手法の教育(ファシリテーション技法:課題解決案整理までの手法)。
・問題分析、課題解決策立案
 労使協議に向けた職場の総意確認と整理。職場合意形成プロセス記録の作成と提示。改善活動に向けた対応機関の選定。
・改善活動実践
 活動主体の明確化と方法・スケジュールの策定。

●活動の効果検証
 活動評価(目に見える数値)、意識評価(働きがい、会社や組合への信頼など:風土作りに重要)の両面で評価。

●フィードバック・再構築
・広報活動などでのフィードバック
 途中経過も報告することで納得度、関与度も高まる。
・活動振り返りと再構築
 振り返りとともに、成功している職場の要因分析をし、横展開することも有効。

ポイントのみですが、活動の参考になれば幸いです。

戦隊ヒーローのマーケティング戦略から学ぶ
三橋 秀郎
2015/07/12
最近、子供と一緒に戦隊ヒーローのテレビを見ていると、「5人組のヒーローが女の子2人になっている!」「ヒーローだけでなく合体ロボまで出て来るんだ!」など昔との違いに驚くことも多くあります。
しかし、さらに驚くことが物語とCMとの連動性の速さです。テレビ放映で新しい合体ロボや仮面ライダーの新しい武器が登場するや否やその日のテレビ放映内のCMで同じ新しい合体ロボや武器のおもちゃが宣伝され発売されているのです。
テレビ放映からおもちゃの発売までの一連のスピードの速さには関心させられます。

これを以前紹介したマーケティングのAIDMAモデル【①Attention(注意)②Interest(関心)③Desire(欲求)④Memory(記憶)⑤Action(行動)】に当てはめてみると

①A I(注意)(関心):テレビ放映を見て「あっ新しい合体ロボだ!格好いい~!」
②D(欲求):「あれ欲しいな~」
③M(記憶):そこでCMで「その合体ロボが絶賛発売中です!」と流れ、子供の記憶に残る
④A(行動):そして「パパ、あれ買って~」と行動に移るのである

組合活動の場合でも【組合戦隊ユニオンジャー】など戦隊ヒーローを作って組合のファンを増やすのも良いが、それも現実的でないので、映像や情宣物を通して同様の活動ができるのではないでしょうか。

①A(注意):インパクトのある映像やポスターで組合役員のかっこよさや活動の楽しさをアピールしてイメージアップをはかる
②I(関心):それを見た組合員が「なんか楽しそうなことやってるな~」「組合役員イキイキしているな~」と関心を抱く
③D(欲求):現場役員が組合員との日常会話の中で組合活動をアピールし、参加意欲を高める
(もちろん、その前に現場役員のコミュニケーション能力を高めておく必要はあるかと思うが)
④M(記憶):インパクトのある映像やポスター+現場役員のアピール活動により組合員の組合活動へのイメージが膨らむ
⑤A(行動):そのタイミングでレクやセミナーなど参加する機会を設けることにより活動への参加を促しやすくする

組合活動に注意・関心を持ってもらうためにも、まずは、最初にインパクトを与える映像や情宣物などの改善から始めてみてはいかがでしょうか。
労働組合だから成功する職場風土改革
吉川 政信
2015/07/05
「大手企業を中心に今年度決算で過去最高の営業利益率、総務省統計局の労働力調査(2015年5月公表)では就業者数は6319万人、前年同月に比べ21万人の増加。
4ヵ月連続で増加し雇用者数は5580万人。前年同月に比べ39万人の増加。完全失業者数も228万人。前年同月に比べ18万人の減少」
こうしたデータや報道を見聞きすると、日本経済に明るさが戻ってきたように感じられる方もいるかもしれません。
メディアからも、大手企業中心の大幅な賃上予測が盛んに発信されていました。
しかし、過去10年間を振り返れば、厳しい市場環境の変化は続き楽観できない状況であることは労使の共通認識であると思います。
私が先日訪問した組合でも、要求通りの賃上げがかなわず、期待していた組合員から「組合費を下げてほしい」という声もあがったとのこと。
労使の繁栄のために日々奮闘している組合役員にとっては耳の痛い話だと思います。

そのような中、会社から職場風土改革に関する依頼を受けることが増えています。
我々j.unionは、一貫して労働組合の活動を支援し、組合活動の活性化こそが企業の活性化にも繋がるという信念をもって事業を行っています。
会社から依頼を受けた場合、当然ながら経営幹部には弊社の事業内容を伝えます。
我々の主要顧客は労働組合であるため、依頼元である経営幹部たちが我々の取引実績を判断し、風土改革の依頼を他社へ切り替えを検討することも十分予測できます。
しかしながら、組合による職場改善活動や従業員満足度向上の取り組みについて話をすると、経営陣は身を乗り出して興味をもちます。
経営戦略とその達成プロセスを事業計画へ落とし、マネジメント階層を通じて従業員に伝えていくのが企業で、その事業計画は経営幹部中心に作成されるのが通常です。
一方、労働組合の職場改善活動は、職場の課題について労組役員を中心に現場最前線で働く組合員と話し合います。自分たちが働く上での課題や障害となるものを抽出し、顧客目線やより良い職場運営の目線で解決策について議論していくのです。
労使Win│Winの視点での経営提言に結びつく、組合の強みを活かした取り組みといえるでしょう。

今の職場風土は、組合員たち自身がつくり上げてきたものという当事者意識をもって組合員一人ひとりが改革を進めます。職場や会社の問題を“自分たちの問題”として捉え、解決策を考えることが有効だと理解しているのです。
風土改革で大切なのは、今までになかった新しい行動が求められるとき、「なぜ行うのか(Why)」の部分を一人ひとりが腹に落とし込むこと。
いくら優れた戦略・戦術を描いても、職場で働く従業員が納得し、受け入れて行動しない限り、絵に描いた餅で終わることでしょう。
組合活動の展開は、職場代表者を民主的に決め、その代表者の判断で物事を決め、問題があれば組合員の合意のもと修正をします。
組合員全員の総意で物事を決めるこのプロセスそのものが、職場風土改革にも適した方法といえるのです。
最近声高に叫ばれる「生産性の向上」の観点においても、組合からの有効なアプローチをしている例があります。
会社の生産性を上げるために、経営陣は人事制度の見直しや再構築に着手します。制度の改定により、社員の企業目標理解と生産性向上に繋がるとの考えからですが、大切なのはいかにしてその制度を日々の業務で運用できているかです。
目標管理制度を導入している企業であれば、被考課者が目標管理を理解し、運用していくことが生産性の向上の鍵といえるのです。

そのことに気づいている多くの組合では、被考課者である組合員が会社目標や部門目標を達成するために、組合員自身がすべきことを組合主催の研修を通じて教えています。
職場の組合員が上司と一緒に職場の問題や業務目標達成について主体的に話し合い、改善すべきところを改善し、自ら働くことの価値を高められる職場づくりを目指した取り組みです。

今回依頼を受けた経営幹部は、初対面でお会いしたときは組合への理解が薄く、組合活動に関心がなかった印象をもちました。
しかし、組合活動のような人の繋がりや対話を軸とした営みの重要性を伝えると、最後にはこのように話してくれました。
「ここ数年の間、労働組合にとっては賃上げを要求することが難しい時期でした。自分たちの賃金を上げるために、自分たちが働きやすい環境づくりに試行錯誤を続け……、
今思えば組合員一人ひとりと粘り強く話をしていました。組合が取り組んできたこのような草の根活動のノウハウこそが、良い会社をつくるために大切なのかもしれませんね」と。


知りたがる。
三浦 卓也
2015/06/28
しりたがり。


基本的に「知らないこと」が苦手です(性格的に)。
でも、知ってもその時に興味ないことは、すぐに忘れます。

子供のころからなんです。
まぁ大人に褒められたかっただけだろう、とか、出来ない子と思われるのがいやだったんだろう、とか、
おっきな理由はそんなとこですが、1番の理由はおそらく「理由も分からず押し付けられるのが苦手」
なのだろうと(なんでそういう性格になったのだろう。。)思っています。
なので、自分で調べたり、疑問に思ってることを聞いて納得することで、そのもの自体に興味を持つ
ようになったものもたくさんあったり。。

仕事をしていると「これは重要だから覚えておけ」とか「これは大切だから忘れずに」とか、やはり
たくさん言われます(言われてきました笑)。「理由なく押し付けられること」は基本イヤなはずなの
ですが、何時の頃からか、そういう理由をよく知らなかったり、興味がないので、ただ漠然と結果だけを
覚えてるもの(暗記しているようなもの)って、以外と多くなり、それが当たり前になってるなと、最近
気づく瞬間がありました。
もちろん何年も(へたしたら10何年も)経って、理由に気づけたものもあるのですが、
ただ覚えているだけ、というものもたくさん。。。


それでふと、

最初からもっと貪欲に、いま自分に関わっている「モノ」を知ろうとしてたら、もっと早くスキル
アップでき、もっと楽しく仕事できてたかも?

と、当たり前のことに、最近気づいて。


仕事となると、必ずしも望んで関わっているものばかりではないですし、「この手順でやって」など、
決まったことをただ指示されることもあるかと思います。
もちろんその通りにやれば、「正解」にはたどり着くのですが、なぜその手順が「正解」になるのか、
本当にそれは「正解」だったのか、もっとステキな「正解」はないのか、なんてことには、言われた通りに
やってる限り辿りつけないですよね。なんか勿体ない気がします。

指示されたこと・決まっていること、の中身に目を向けて、理由を知りたがること。
その理由に「納得する」と「疑問に思う」の、常に両方の視点を持っておくこと。

自身に関わるどんなことであっても、この2つを意識しておくことで、ただ言われた通りに行動する
ことよりも良い結果が生まれて、新しい世界が広がってくるかも、と思いませんか。

情報過多な現代ですが、せめて自身が関わっている物事については、少しでも「知りたい」姿勢を
忘れずに、目の前の事に励んでいければ、と思っています。

日本のビジネスパーソンの「働き方」を変えたい。
檜垣 沢男
2015/06/21
昨年、私は結婚をした。

これまでのような、好きなだけ働いて、好きなだけ遊んで、
そして好きなだけ寝る生活から、私の日常は変わった。

夜は必ず妻と食卓をともにしなければならないし、
週末はトイレと風呂を掃除し、食料の買い出しに出かけて夕食をつくる。

世の中の男性諸氏からすればどれも当たり前のことかもしれないが、
もともとだらしない生活をしてきた私にとって、この変化は革命的でさえあった。




私は今、組合員の働き方改革を支援する活動に取り組んでいる。
この取り組みに携わるきっかけとなったのは、この生活環境の変化だった。


「生産性向上」、「働き方の変革」、「ワークライフバランス」、・・・
昨今、多くの労働組合の議案書には、これらの言葉が並んでいる。

1つ1つの仕事の生産性を高めて残業を減らし、仕事と生活の両方を充実させる。
これは労働組合だけでなく、企業も組合員も、誰もが目指す働き方だ。


しかし実態は、決してその理想通りにいっていない。


経済協力開発機構(OECD)発表の2013年の「労働生産性(GDP/就業者数)」を見ると、
日本は34か国中22位の73,230 USドル。OECD加盟国平均の84,609 USドルを下回っている。

1990年の13位から徐々に順位を下げ、先進7か国中でも最下位だ。

一方製造業に限ると、順位は7位(96,931 USドル)になり、加盟国平均の76,777ドルも上回る。
ものづくり現場における生産性は世界でもトップクラスにあることが分かる。

つまり、私を含むホワイトカラーの生産性が低く、
働いている時間の長さの割には、生み出している価値の総量が少ないのが現代日本の現状である。



「日本タイムマネジメント普及協会」というNPO法人がある。

この協会は、これまで200社以上の企業や自治体の業務改革を支援しており、
特にホワイトカラーの生産性向上の具体策を20年以上にわたって提供している団体だ。

労働組合を通じた働き方改革を支援するため、当社も2013年から業務提携を行っている。



「ノー残業デイ」、「長時間残業者への面談」、「朝型勤務の推奨」、...

これまでに労働組合が取り組んできた活動の多くは、
いずれも「労働生産性を高める意欲」を高めようとする活動だ。

「早く帰ることを“意識”して、仕事のやり方を“各自で工夫”しましょう」


しかし私は、ずっとこんな風に感じていた。

「仕事は、次から次へと降ってくる。
“早く帰りたい”のは山々だが、その“やり方”がわからないんだよ」


私たちは、誰もが1日24時間、1年365日という「共通の時間軸」を共有している。
これは、誰も伸ばしたり縮めたりすることはできない。

“差”がつくのは、この「共通の時間軸」の中で行う「仕事のやり方」の違いである。


私は今、上記の協会の認定コンサルタントとして、
その「仕事のやり方」の技術を学ぶ場を提供している。

毎日必死で働く日本のビジネスパーソンのため、
そして、自分自身のために、少しでもこの技術を広めたいと考えている。



労働組合への支援に携わってから、8年が過ぎた。

これまでに、合計500を超える労働組合の役員の方々にお会いし、
自社や組合員への熱い思いや悩みに立ち合ってきた。

全ての方に共通するのは、「この会社を、もっといい会社にしたい」
「組合員に、もっと幸せな会社生活を送ってほしい」という、真摯な気持ちだ。


日本中のビジネスパーソンたちが、仕事も私生活も充実した毎日を過ごせるように、
組合員の「働き方改革」という観点から、これからも組合役員の方々と力を合わせていきたい。



理念の浸透・習慣的な発想から離れて
伊藤 友美
2015/06/14
みなさんの組織では「理念の浸透」をどのようにすすめていますか?

パターンA:理念を唱和することに加え、行動規範についての解説を行っている。
パターンB:議論の中で個々人の解釈や意味づけを行うようにしている。
パターンC:議案書に掲載している。

このパターンの他にも様々な手法が考えられますが、よく選択されている手法がこの3パターン、またその組み合わせではないかと思います。

もちろん、どのすすめかたも間違いではありませんが、期待できる効果の違いに留意することが大切です。
特に、受ける側に「意識の違いをもたらす」ということを理解して進めるとよいでしょう。

【パターン別解説】
パターンAの場合は、受動的になりますが、広く、正確に伝達できることが利点です。
パターンBの場合は、意味付けや解釈の共有に重点をおくことで能動的解釈を促せます。
パターンCの場合は、限定された発信であり、言葉に対する無関心を許容します。



そもそも、「理念の浸透」が課題提起される裏側をみれば「改革・変革の必要性を強く感じている」ということが共通しています。
過去から受け継がれる理念をさらに浸透させようとする場合にも、
新たな理念やビジョンをつくり、それを組織に浸透する場合にも、
根本には複合的な課題があり、「変える・変わる」ことが求められる中で一つの中間目標として「理念の浸透」が設定されているということがほとんどです。

本来の目的・目標に立ち返り、現在の組織にとって効果的なすすめかたになっているかどうかを検討し、段取りを組んで実行することが大切です。

さらに言えば、「理念の浸透」を進めるリーダーは現状とは違う、進んだ状態に導く人ですから、
自らが「習慣的な発想から離れたものの見方」をし、手法も進化させたいところです。

習慣化され、効率化された一つひとつの動作や段取りから一歩踏み出し、変革に踏み切ったことが見えてこそ
組織が変わろうとしているという意思が伝わるのではないでしょうか。


余談ですが、私は、労働組合の歴史をお聞きすることが大好きです。
戦後の不況や国際化への対応、高度成長時の軋み……様々な苦難を乗り越えて先輩方が現在の組織を残してくださいました。
その時、その時にあわせた工夫やメッセージの素晴らしいこと。
だからこそ、現代のリーダーであるみなさんと共に、時代にあわせ一歩踏み出すことを大切にしていこうと思っています。
組合員アンケートの進め方 その2
依藤 聡
2015/06/07
■サンプル抽出法について

前回(220号)では、調査活動において有用なデータを得るための方法として、標本誤差と回収率について述べた。
今回は、サンプル(調査対象者)をどのように抽出するかという、サンプル抽出法について述べていきたい。
ニュース番組などで現内閣の支持率を報告する際に、調査概要に「抽出方法:層化2段無作為抽出法」のような表記をご覧になった方は多いことであろう。
これは、偏った属性に聴取したのではなく、ちゃんとした手順を踏んで対象者を選んでいますよということを示している。サンプル抽出法には数多くの方法があるが、
当稿では労働組合が調査を行うにあたって有用だと思える方法を紹介させていただく。

■具体的な手法について

筆者が薦める方法としては、①無作為抽出法、②等間隔抽出法、③層化抽出法が挙げられる。
なお、説明例として、組合員数10000人から対象者数2000人をサンプリングするものとする。

①無作為抽出法

その名の通り、無作為=ランダムにサンプルを抽出する。やり方は様々だが、簡便なやり方としては以降の通り。
まず、母集団の名簿に連番を振り、Excelの関数を用いて(例 RANDBETWEEN)、2000サンプルを抽出する。抽出後、抽出結果にダブりがないかを確認する。
ダブりがない場合は、その抽出サンプルがいずれかの属性に偏っていないかを確認する。名簿さえあれば簡単にできることが特徴的である。

②等間隔抽出法

等間隔で標本を機械的に抽出する方法。①同様、母集団の名簿に連番を振り、最初に抽出する番号を決める。抽出間隔としては、10000人÷2000人=5なので5サンプルごとに抽出することになる。
最初の抽出サンプルはランダムに選ぶのだが、抽出間隔より小さい連番(5番以下)にしなければならない。
最初のサンプルを『4番目』の人とした場合、以降は『9、14、19、24、29、34…』というように5サンプルごとに機械的にサンプリングする。
ランダムサンプリング同様、名簿さえあれば抽出の労力と時間がかからないメリットがある。

③層化抽出法

あらかじめ分かっている属性内容に分けて抽出する方法。労働組合の調査において一般的な聴取属性としては性・年代・職種・職務グレード・所属支部(もしくは部署)などがあるが、このうち任意の属性に母集団を振り分ける。その時のグループを層という。
支部がある組合であれば、支部で層化することをお薦めする。
例として、次の5支部があるとする。カッコ内は各支部の組合員数。
A支部(2000人)、B支部(1500人)、C支部(3000人)、D支部(1000人)、E支部(2500人)
サンプル抽出にあたって、各支部の人数構成比に従って、サンプルを割り当てることを比例割当という。
つまり、組合全体で2000人を抽出するとした場合、A支部(400人)、B支部(300人)、C支部(600人)、D支部(200人)、E支部(500人)を抽出しなければならない。
抽出人数が決まると、支部ごとに無作為もしくは等間隔でサンプルを抽出すればよい。
①②に比べて手間はかかるが、抽出後のサンプルと全体とのブレが小さく、サンプルの質を高められる手法である。

念のため申し上げるが、ここでは回収率を考慮に入れていない。前稿にも記載したように標本誤差が5%以内に留まるよう、回収率を踏まえて抽出を行わなければならない。たとえば回収率を80%と仮定すれば、各抽出数は1・25倍行わなければならないので注意が必要である。

■有意性のあるデータを得るために

労働組合の調査活動において、ゴミにならない有意性のあるデータを得ることを目的として、2回にわたって標本誤差/サンプル抽出について説明を行った。
前稿で述べたように、調査に関しては全数調査(=組合員全員を対象)で行うことが望ましい。
とはいうものの、予算やスケジュールの関係上、全数で行えない場合も多分にありうることである。
その場合に、標本調査をここまで述べてきた考えや方法に基づいて進めれば有意性のあるデータを取れるものと考える(当然ながら設問内容が正しいことを前提とする)。
今後の調査活動に参考になれば幸いである。


組合活動は、自身の“しあわせ”にもつながっている!
丸山由紀夫
2015/05/31
・組合活動は組合員(従業員)の幸せを高める活動になっているか?

ある組合役員から、上記のような率直な問いを受けた。そこで、今回は“幸せ(幸福度)”を高める取り組みについて考えていきたい。

先月、国連から最新の「世界幸福度報告書2015 (WORLD HAPPINESS REPORT 2015)」が発表された。そこでの順位は下記の通りとなっている。

1位 スイス
2位 アイスランド
3位 デンマーク
4位 ノルウェー
5位 カナダ
6位 フィンランド
7位 オランダ
8位 スウェーデン
9位 ニュージーランド
10位 オーストラリア

※ランキングは158カ国を対象に、2012─14年の間の幸福度を調査。この調査は、評価の対象となる変数を、
●国民1人当りの実質GDP(国民総生産)
●社会保障
●健康寿命
●人生選択の自由度
●寛容度 
●汚職度
●政治的自由度
などに基づき算出されている

幸福度が高い国はスイスを筆頭に、北欧諸国が軒並み上位を占めている。これらの国の特徴としては、平均余命が長い、社会福祉が充実していて寛容度が高い、人生の選択肢の幅が広い、汚職や腐敗が少ない、1人当たりの国内総生産(GDP)が高いなどが挙げられるとまとめている。

ここで気になる日本の順位だが、46位(昨年は43位)となっている。ちなみに、アジアのその他の国を見ると、台湾が38位、韓国が47位、香港が72位、中国が84位となっている。

この結果をみなさんはどう考えるだろうか?そして、みなさんが持っている幸せの定義とは何だろうか?

・何よりもお金が大事だ
・安全、安心な暮らし
・好きな仕事についている…etc

幸せを(幸福度)どう定義するかは、各人異なるであろう。

幸福学を研究している、ブリティッシュ・コロンビア大学心理学部准教授エリザベス・ダン博士によると、幸せだと感じる人には3つの共通する要素があるという。

①人との交わりを強く持つ
→友人や家族と良好な人間関係があること。さらには、周りに親しい人がいなくても、例えばお店の店員と会話を交わす程度でもOK
②親切心…人を助けようとする行動、感謝
→人に親切する、あるいは人を助けようとすること。ボランティア活動をすると幸福感が高まり、また幸せな人はボランティアに協力的だという。同時に感謝するという気持ちも大切で、感謝の時間を持つことが幸福感の増進につながるという。
③ここにいること…内容を問わず、目の前のことに集中するという意味
→物事に集中している状態は、幸福度は高まっているという。

組合活動を実際にやられている本稿の読者(恐らくは組合役員)は、上記を見て既に気付いているであろう?そう、ダン博士が述べている幸せになるため3要素とは、組合活動(特に組合役員)そのものなのである。

組合員一人ひとりとの対話活動、全員参加の組合員イベントやレク、みんなの声を集める職場集会…etcは、組合員の幸せを高めることに大きく貢献しているのである。

そして、組合員とともに、何よりもその活動の仕掛人である組合役員自身の幸せを高めることにもつながっていくのではなかろうか。ただ、それにはダン博士が述べている“困難な出来事をポジティブに捉えようとする気持ち”が誰よりも我々には問われているといえよう。