ゆにおん・ネタ帳

2019年 - 2018年 - 2017年 - 2016年 - 2015年 - 2014年 - 2013年 - 2012年 - 2011年 - 2010年 - 2009年 - 2008年

2015年

見た目だけではわからないこともある
室橋
2015/05/24
現在は、空前の健康ブームで運動をしたり、食事に気をつけている方も多いと思います。普段生活していると、健康であることに感謝することを忘れてしまいがちです。病気になって初めて健康であることが重要だということを実感します。

アラフォーの私も健康には人一倍気をつけているほうだと思っています。「独りよがりではなく、客観的に、多面的に健康であるという証拠を得ることが重要!」ということで、会社指定の人間ドックだけではなく、今まで気にしたことがなかった身体の部位ごとの筋肉と脂肪の重さ、そしてその全体バランスも調べてみることにしました。

結果は、両腕の筋肉量が標準以下で、右足は左足より筋肉が少なく、筋肉バランスがすこぶる悪いことがわかりました。筋肉のバランスが悪いと身体はどちらか一方に引っ張られて、使いやすいほうに傾くために歪んでしまうということです。最近、疲れやすくなったのも筋肉バランスが影響しているのでしょう。今回の結果から、「週1回の運動」に筋トレ(腕立伏せ10回)を追加する。「現状+自分のできること」を目標に掲げ、定期的に計測して変化することを楽しみに実践してみようと思います。

組織も同じことで、見た目だけではわからないことも多いのではないでしょうか。「目に見えにくい組織」の状態を客観的・多面的にデータで現状を把握する。「良い点・課題点」を明確にしたうえで、自分たちのできることを目標に掲げ、働きがいのある職場づくりを実践する。より主体的に自分たちの組織の健康を維持・増進するためにも、現状を把握する人間ドック(調査活動)を定期的に行うことをお勧めいたします。


組合員とつながる組合ガイド、作っていますか?
松山晃久
2015/05/14
 多くの労組が新入組合員を組合の仲間として迎え入れている時期ではないでしょうか。受け入れに際し行う活動はさまざまで、組合独自に工夫して新入組合員研修を行ったり(労働組合の意義や役割、社会人基礎力の向上の研修や、コミュニケーションを円滑にする研修など)、支部ごとに歓迎レクを行ったり、組合について知ってもらうために組合ガイドを配るなど活動を行っていることと思います。

 この時期は、記載した新入組合員研修以外にも、組合ガイドブックに関する問い合わせを多く頂いています。お聞きする課題や相談としては、受け入れ行事に取れる時間が少ないなどで、組合について簡単に説明するだけになっていることや、組合がやっていることや成し遂げてきたことについて分かりやすく伝えられないかというものです。

 皆様の会社概要のようにビジュアル面においても質が高いものとまではいかないかもしれないが、組合ガイドは組合員にとっては組合を知る最初の出会い、きっかけであり、組合員に最初に配る情宣物でもあるので、組合活動の理解を深めてもらうために多くの組合がさまざまな工夫をしています。組合への第一印象に影響を与えるとても大切な媒体といえます。

 労働組合って何だろう、労働組合を理解してもらおう
 自分たちの組合の掲げる理念や目指すビジョンを分かりやすく表現できないか
 組合員の豊かで充実した人生のために組合員の皆さんと一緒に何ができるか
 親しみのある活動をイメージしてもらうためにどうすればいいか
 組合活動に参加することの価値を感じてもらうためにどんなことを載せればいいか
 組合員の声がどのように会社に届いているかをうまく伝えたい
 もっと組合や制度を活用してほしい

 j.unionではこれらのような組合役員の伝えたいこと、新入組合員に知ってもらいたいことをさまざまなガイドブックの形にお手伝いをしています。
ご興味関心をもたれた方はご一報ください。


名古屋の恩を東京で返す
小林 薫
私事ですが、4月から名古屋を離れ東京本社勤務となりました。名古屋では当初、他の会社のオフィスに間借りしながらの支店立ち上げ。それからあっという間の12年でした。

さて、本社での仕事はこれまでの支店での役割とは異なり事務方の業務。「あれ、営業じゃないの?」突然の職種転換に寂しい気持ちと戸惑いが入り混じった気持ちになりました。「これまでのやってきたことは無駄になってしまうのかな。もしかして、あまり期待されていないのかもしれない・・・」と。

スタンフォード大学のジョン・D・クルンボルツ教授によれば、「この変化が激しい時代には、キャリアは予期しない偶然の出来事によって、その80%が形成される」と主張しています。彼はこれを計画的偶発性(プランドハプンスタンス)理論と名付け、偶然を計画的なステップアップのチャンスと前向きに捉えることが必要であると説いています。先輩からよく言われた「まずは騙されたと思ってやってみろ!」は実はキャリア形成において、的を射た表現だったのです。

これまでの経験を新たな役割で活かす。組合活動においても仕事で培った経験が発揮できる場面があるでしょうし、仕事でも組合活動で味わった苦労が役立つシーンがきっと起こることでしょう。「まずは騙されてやってみる」ことが将来の自分をつくり、成長させてくれるのかもしれません。私もお世話になった名古屋の方々からの恩を返せるように、自分らしさを発揮していきたいと思います。

3分間ユニオンのすすめ
淺野 淳
2015/05/03
職場の組合員が1日に3分間「組合員意識」を持つこと。ほぼ全ての組合員は職場において「従業員意識」で存在しています。その組合員の皆さんが、1日に3分間、労働組合に触れ、感じ、知り、刺激を受け、働き方・生き方において気づきを得ること。本稿では、そのような労働組合のあり方について検討します。

「衆知経営」という言葉があります。まさしく松下幸之助さんが創業期に発信された言葉です。今、多くの企業経営者が新たに追求するテーマとして注目されています。

その理由は、最高の経営とは衆知による全員経営だからです。労働組合の観点で「衆知経営」を定義すると、「現場組合員一人ひとりが、当事者意識をもって経営を担っていると感じ、自ら創意工夫して働いている状態」です。

しかしながら多くの企業の職場では、この「衆知経営」を感じることができません。職場での上司・部下関係において、社会との接点である現場情報が処理されずに事業の種が眠った状態になっています。

一方、再生を果たした企業、好業績を生み出し続けている企業では、この「衆知経営」が実践されていると専門家は分析しています。(『全員経営』/野中郁次郎著(日本経済新聞出版社)参照)。某航空会社の再生では「フィロソフィ」によって全社員のベクトルを合わせました。某流通業では長きにわたり全社員が「仮説・検証」の実践によって付加価値を生み出しています。某アパレルメーカーでは職場の社員に「チームの一員であると同時にチームのリーダーであること」すなわちフォロワーシップを全社員のテーマとして掲げています。

ではなぜ、これらの「全員経営」がその他の企業で実践されないのでしょうか。いわば経営理念を浸透させること、行動指針の徹底、組織の一体感、といったシンプルなことの実践なのにもかかわらずです。それは「凡事の非凡化」と言われるように当たり前のことを当たり前にコツコツとこなすことが容易でないからです。

更に、原因として経営の仕組みや組織風土づくりに問題があるのではないかと思います。創業社長はその創業期の経営理念を当然のごとく重要視し、何らかの形で組織に展開します。しかし、多くの大手企業トップはプロパー社長です。本来、現場感覚を活かして全員経営を標榜するはずです。しかし創業者の期待に応えようとするあまりリーダーシップのバランスを崩し、現場の声を活かしきれません。

もう一つの原因は、労働組合にあると考えます。現場重視の「全員経営」という主張をもって経営者に向き合っていないからです。唯一、経営者に対して主張できる立場にありながら帰納法的に現場情報を収集し、論理的意味付けをして提言するという経営対策活動の経験が不足しているからです。

先ほど挙げた3社には強力な経営トップのリーダーシップが存在します。その他企業の経営トップはそのことを傍観し、その他の要素に着目し、企業存続を論理的に追求しようとします。なぜなら情緒的なことに不得手で、長期的取り組みは評価されにくいからです。

そして何より、この全員経営を成功に導く要素の中で一番難易度が高いと言われているのが、ミドルマネジャーの「ミドルアップダウン・マネジメント」(前出著書参照)です。ミドルマネジャーに期待されることは、小集団における対話と実践の場から新たな概念を紡ぎ出し、その概念からビジョンを語りビジネスモデルを創造していくことです。従来の管理重視型ではなく、プレイヤーとしてのミドルでもなく、縦割り組織を超え、組織内外を問わずオープンなネットワークを形成できる人材が求められます。この人材を発掘・育成することに時間と労力、センスが問われるので、躊躇するのも無理がありません。

この「小集団によるボトムアップ型の付加価値創造活動」(ミドルアップダウン・マネジメント)に貢献できる組織があるとすれば、それは企業内労働組合に他なりません。労働組合の資源を総動員して捉えなおし、「人・物・情報・場」特にこの4つの資源を組み合わせ新たな活動を生み出すことで、「全員経営」に歩みを進めることができるのではないでしょうか。

労働組合資源「人・物・情報・場」を活かすことで組合員が経営全体を捉え、自分たちが職場で展開すべきことに気づき、行動を起こす。組合活動には、「全員経営」の重要な一翼を担える可能性があるのではないでしょうか。

第一歩として「3分間ユニオン」を職場で実践することをおススメします。そのためには職場リーダーが1日「60分間ユニオン」=「(3分/組合員一人)×20人」を実現するために環境を整えることです。執行部の皆さんはそんな活動のプロデューサーとして存在しています。組合の会議に参加して研究開発のアイデアが浮かんだ! 職場リーダーと対話することで働き方の方向性が観えた! 組合の機関紙を読みワークライフバランスを意識した! 人が気づきを得るのにそれほど多くの時間は費やしません。執行部の皆さん、組合員の感性を信じ、たった3分間の可能性に賭けてみませんか!


なにかできそう!
藤栄麻理子
2015/04/26
4月もあっという間に過ぎようとしています。
春はスタートの季節。私たちj.unionでも、この春新しい取り組みとして
女性役員の育成を目的とした『美脳塾』を実施しています。
全4回のアクションラーニング型研修の第1回目が4月15日に開催されました。

弊社でも初めての取り組み、ということで、どのようになるか少しドキドキしながらの
スタートでしたが、結果的には定員を超える24名の女性役員が全国から集まっての実施となりました。
私も企画メンバーの一員として運営に携わっていますが、何よりも驚いたのが皆さんの熱気!!
「初対面の女性同士、楽しんでもらえるかな…?」という企画メンバーの心配は見事に杞憂に終わりました。
研修会はもちろん終了後の懇親会までほとんどの方が参加され、
懇親会は予定を1時間オーバーしての散会…それでも話したりない!という雰囲気でした。(笑)
会社生活や組合活動の中で感じている課題やこれからの活動でやりたいこと、女性ならではの悩み…
意見交換に大いに盛り上がり、みんなでこれから頑張っていこう!という連帯感をもって終了しました。

1日目のプログラムは「労働組合と女性のキャリア」をテーマに、
労働組合や組合役員の存在意義、役割の理解とキャリアマネジメントセミナーを実施。
参加者の皆さんの意見には以下のようなものがありました。

・役員になったものの、仕事も忙しい中組合活動をするのは正直しんどかった。
 今回のセミナーで「役員をやることのメリット/デメリット」を考えたときに、
 他のみなさんの意見を聞いて、自分が役員をやることを前向きにとらえなおすことができた。
・普段組織内では男性が多くて言えない意見もあったけど、今日は素直に話ができた。うれしい!
・会社は違っても女性として同じ悩みを共有していることにびっくり。すごく心強かった。

ほんの一部の意見ですが、一人ひとりが自分自身の役割を再認識すること、
同じ思いを共有する仲間がいることが、みなさんの安心感ややる気につながったのではないかと思います。
2回目以降では主体的に活動を実践していくためのスキルをお伝えし、各単組での活動実践を支援していきますが、
どんな企画がうまれるのか、どんな意見が各組織から出てくるのか、今からとてもわくわくしています。

今まで一人ひとりの中に閉じこもっていた思いが、「美脳塾」というきっかけで繋がりあって
ふつふつとした熱気が生まれています。
この熱気が組合活動を変革していく「うねり」になっていくのではないか、と思っています。
「何かできそう!」という大きな可能性を感じる一日となりました。


降水確率50%、傘を持って出かけますか?
渡辺 秀一
2015/04/17
以前、「統計なんて知らないうちに使っている」と題して、書いたことがあり
ましたが、それの続きのようなものになります。
今回は、統計でよく使われる「確率」についてです。


現在、天気予報ではあたりまえになっている「降水確率」ですが、1980年
に大都市の分が発表されるようになり、1990年代半ばには「分布予報」や
「時系列予報(3時間おき)」なども発表されるようになりました。

さて、みなさんは朝の番組で「本日の降水確率50%」と言われたら、その時
晴れていても傘を持って出かけますか?
「5分5分だから持って出ると邪魔になるし、降ったらコンビニで買えばいい
か」とか「きょうは合コンだから服を濡らすわけにはいかないので何としてで
も持って出かける」、中には「春雨じゃ、濡れていこう」などと風流な方もい
らっしゃるかもしれません。

そもそもこの「降水確率50%」って何を意味しているのでしょうか。
「今日、その時間にその場所で1ミリ以上の雨が降る確率が50%」という、
「未来予測的」な捉え方をするのが一般的ですが、実は「過去に同じような気
象状況(気圧、気温、風など)で1ミリ以上の雨が降った事実が50%」という、
いわば「実績」なのです。
従って、降水確率が50%と考えられる気象状況でも、100回の観測のうち
50回は雨が降らなかったということになります。

ここまで読んで、じゃあ持って出るのか出ないのか、どっちなんだよ!
とご立腹の方もいらっしゃると思いますが、こんな計算をされた方がいました。
「コスト/ロス モデル」といってなかなか面白い考え方だったのでご紹介します。


例えば、
一日傘を持って歩く労力を200円
傘がなく雨に濡れてしまうことによる損失を500円
とします。
損失とは、衣服のクリーニング代とかビニール傘買ったりとかのことです。

この例を降水確率50%で考えた場合、10回外出するうち5回は雨が降るので、

 ◆10回とも傘を持って出た場合
   :労力は200円×10回=2000円。
    損失は0円なので、かかったコストは合計2000円。

 ◆10回とも傘を持たずに出た場合
   :労力は0円。
    損失は500円×5回=2500円で、かかったコストは合計2500円。


つまり、傘を持って出たほうが「ワンコインお得」ということになるようです。

労力や損失などの単価は定かではありませんが、この内容で他の確立(10%刻み)を
計算すると、50%以上は傘を持って出る。30%以下なら手ぶらで出る。40%
だけは自分で考える(笑)、となります。

ちなみに「1ミリの降水量」とは、6畳の部屋に10リットルの水をまいたのとほ
とんど同じことだそうです。結構な量ですね。


こんなことを雨の日の職場集会のアイスブレイクに使ってみてはいかがですか。

「本日の降水確率は50%」あなたは傘を持って出かけますか?



入学式と環境変化とプラス思考
佐々木 務
2015/04/15
4月はスタートの季節です。新しい環境で新しい生活を始めた方も多いでしょう。
通勤時間帯の駅の人の流れがいつもと違ってぎこちなく、少し落ち着かないのもそのせいでしょうか?

私事で恐縮ですが、我が家はこの4月に小学校、中学校、高校と三つの入学が重なりました。
忙しい中お休みをいただき、3人の子供たちの入学式に参加させていただきました。

新しい学校に入学するとなれば、クラスの仲間は?友達はできるだろうか?
入園、入学、転校など子どもにとっては大人が思っている以上に大きな環境変化です。
期待と同時に非常に不安に思う子どもも多いことでしょう。

我が家は、今年、高校生になる長男が小学校に入学する年に、今の地域に引越してきました。
誰も知らない入学式で、少し寂しそうに大人しく並んでいた当時の長男が思い出されます。

一方、今年小学校に入学する地元で生まれ育った末っ子は、周りを見回すと友達ばかりの入学式。
本人も元々外交的なこともあり、おしゃべりしながら楽しそうに並んでいました。

長男とは対照的な末っ子の様子を見て、環境の大きな違いを改めて感じるとともに、
新しい環境にポジティブに飛び込んでいける子と、不安でネガティブになってしまう子の差も感じました。

生まれ持っての気質の違いによっても、こういった違いが出てしまうのはもちろんですが、
生まれてからの経験で、ベースの気質がネガティブにもポジティブにも育っていくそうです。

子どものプラス思考度は、生まれながらに50%は決定づけられていると言われていますが、
残りの50%は幼少時の親とのコミュニケーションで変化していくことが分かっています。

どの子にとっても、ポジティブな親の言葉は重要ですが、特に不安を抱えている子、引っ込み思案な子には、
親が明るい見方を示し、ポジティブな雰囲気をつくってあげられるかどうかがカギになってきます。

新しい環境変化に対して、ポジティブになれるかネガティブになってしまうか。
本人の気質のみならず、周りのサポートや雰囲気づくりが重要なのは、大人の私たちにとっても同じこと。

人事異動や転職など、職場環境が大きく変わる中で、不安そうな新人や中途社員、転勤者はいませんか?
職場の雰囲気を、明るく前向きでポジティブなものにし、少しでも早くプラス思考で活躍できるように、
周りの人たちがサポートしてあげましょう。

組合員アンケートの進め方 その1
依藤 聡
2015/04/05
■Garbage In, Garbage Out

ここ数年、ビッグデータを代表とする統計学に注目が集まっている。Googleのチーフ・エコノミストが言うには、『私はこれからの10年で最もセクシーな職業は統計家だろうって言い続けている。』そうである。ここでいうセクシーがどういう意味なのかはさておき、非常に注目が集まっていることは間違いのないことである。西内啓氏の書籍『統計学が最強の学問である』が数十万部を売り上げていることは右記を証左するといえよう。
しかし、統計学を云々する前にデータを正しく収集し、そのデータを可能な限り正しく読み取る能力(データリテラシー)が重要である。それらが正しく行われて初めて統計学が成り立つのである。社会調査の世界では、「GIGO」(Garbage In, Garbage Out)という言葉がある。集めたデータがゴミ(のように無意味なデータ)であれば、どう分析してもアウトプットはゴミでしかないという意味である。つまり、それぞれの労働組合でアンケートを行った時に、回収率が著しく低かったり、回答者の属性に偏りがあったり、設問の内容に不備があったりすると、そのデータはゴミ同然であるということである。せっかくお金と時間をかけて行ったアンケートが無意味になるということは、組合員の不満を助長することに繋がる。

■全数調査と標本調査

それでは、どのようにしてゴミにならない有意性のあるデータを得ることができるか。今回は、先ずサンプルの回収について述べたいと思う。
アンケートを行うにあたって最初に決めなければならないことは、回答対象者を組合員全員にするか、それとも一部にするかである。もちろん組合員全員を回答対象者とすることが最も望ましいが、規模の大きい組合や予算の少ない組合は、金額やスケジュールのことを考慮すると全員対象が難しく、対象者を制限する場合がある。この全員対象とする調査を全数調査もしくは悉皆(しっかい)調査といい、制限する場合を標本調査もしくはサンプリング調査という。

■標本誤差とは

標本調査を行う場合は、最初に回答対象者数を何人にするかを決めなければならない。もちろん、人数は適当に決めればよいわけではなく、回答対象者も誰でもいいので適当に選定すればよいというわけでもない。それらは統計学の理論に基づいて決定されなければならない。
標本調査は全数調査に比べて調査結果の信頼度は小さくなってしまう、つまり回答結果に誤差が生じてしまう(ある設問の選択肢における回答の割合が50%だった場合、全数調査で行った場合の50%とは誤差が生じる)。これを標本誤差という。標本誤差をどれくらいに定めるかは主催者の意向によるのだが、弊社では標本誤差が5%(±2・5%)以内になるようにサンプルを定めることを推奨している。標本誤差の計算式は複雑で紙幅の都合もあるので、ここでは割愛する。興味のある方はネットや統計関連の書籍に載っているので参照されたい。なお、母集団とサンプルの目安としては次の通りである。
・組合員数(=母集団)1万人程度なら、 回答対象者数(=サンプル数)2千人程度
・5千人程度→1200人程度
・2千人程度→1千人程度
・1千人程度→700人程度
・500人以下→全数

■回収率の考慮と回収率の現況

この時の注意点として、回収率のことを考慮することである。回収率が8割だとすると、回答対象者数はその1・25倍に設定しなければならない。たとえば組合員数1万人程度なら2千500人程度を回答対象者数としなければならない。回収率は調査前から把握することはできないが、弊社で行った場合はほとんどの調査で80~90%の回収率である。それを目安にして、少し多めの回答対象者数を設定すれば大きな誤差は生じないであろう。
なお、回収率であるが、右記の割合は紙で行った場合である。WEBでの回収率だと75~85%くらいの回収率が多数を占めている。認知しやすい紙の方において回答意向が強くなるということが考えられる。ただし、WEBの回収率も10年前に比べると上昇しており、いずれは紙の回収率に近づくことが見込まれる。
回答対象者数が決まれば、どのようにサンプルを抽出するかである。これに関しては次回の稿(2015年6月)にて説明をさせていただく。


懇親会の季節に
綱島
2015/03/29
懇親会の季節になりました。
3月から4月にかけて日本全国の職場で歓送迎会が開かれています。歓送迎会に限らず、
3月で期末を迎える職場では一年間の慰労を兼ねた懇親会も開かれることでしょう。
終業時間後に店を予約して席に着いてみると、店中で懇親会が開かれていることもしば
しばあります。

この懇親会に決まって付いて回るのが二次会というものです。民俗学者・桜井徳太郎は
『結衆の原点』という著作の中で二次会についてこんな記述を残しています。

「この第二次会は、あらかじめしめしあわせて会場をきめておくということはない。け
れども不思議なことに、集まるものも集まる場所も自然のうちにきめられ、スムーズに
運ばれる。そして、それは時に三次会・四次会へと一晩のうちに何回も次ぎ次ぎに流れ
開かれていく。いうまでもなく、二次会以降の宴会は、決して公式の交際のもとに展開
するものではない。気の合った者、何でも話しあえる間柄のものの会合であるから、秩
序整然とした第一次会とは、くらべようがないほど乱れる。取り交わす言葉もぞんざい
になるし、時には勢い余って暴力をふるい狼藉沙汰にまで及ぶことがある。それでいて、
二次会をやらぬと会をすました気にならない日本人は、案外に多い。これは二次会が、
『義理つきあい』で開かれる一次会とことなり、ほんとうに本心を通わしあえるうちう
ちの会合と考えているからである」

ジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれた1980年代の日本の職場は、こうした「ほんと
うに本心を通わしあえるうちうちの会合」の中で行われる職場コミュニケーションと深
い関係があると言われています。例えば、1980年代に経営学者・野中郁次郎は好業績の
課長が勤務時間外に部下と直接会ってコミュニケーションを取っているという調査結果
にふれながら、「高業績課長は、大いに赤ちょうちん・縄のれんを利用しているのであ
ろう」と述べています。
これらは「ノミニケーション」と呼ばれているわけですが、職場でのコミュニケーショ
ンが希薄化してきたと言われる現代において、改めて労働組合の活動でも職場の懇親会
を積極的に後押しする例が見受けられます。
しかし、現代の労働組合活動では組合員の多様性を前提としなければならなくなりまし
た。組合員の雇用区分は正社員だけではなく、派遣社員、契約社員、嘱託職員、そして
パート社員へと徐々に広がりつつあります。また、性別や国籍も考慮に入れる必要も出
てきています。ところが、就業後に行われる懇親会のさらに後に開かれる「あらかじめ
しめしあわせて会場をきめておくということはない」非公式の二次会は、ダイバーシティ
が高くない職場を前提としなければ開催が困難になりつつあるのかもしれません。
そうであるにもかかわらず、職場でのコミュニケーションが希薄化してきたと言われる
現代において、「ほんとうに本心を通わしあえるうちうちの会合」の必要性そのものは
今まで以上に高まってきているように見えます。
こうした八方ふさがりにも見える状況の中で、労働組合で運動会を主催したり、趣向を
こらしたレクリエーションを活動を取り入れる活動のチャレンンジも登場してきていま
す。これから職場の多様性が高まることはあっても、下がることはないだろうと予測さ
れる現代社会の状況を踏まえて、私たちも労働組合のリーダーの皆さんと議論を重ねな
がら、新しい職場コミュニケーションのあり方を模索してきたいと考えています。
タイトル
伊東
2015/03/22