政府は2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にするという目標を掲げ、大企業をはじめとする多くの企業では女性活躍推進に向けてますます積極的な姿勢を示しています。
そういった背景もあり、労働組合担当者から「女性組合員向けの取組を強化したい」「女性委員会を立ち上げたい(活性化したい)」「女性役員を増やしたい」といった相談をいただくことが増え、もっと私たちj.unionとして何か出来ないかと思い【美脳塾(びのうじゅく)】を企画し実行することとしました。【美脳塾】を簡単に紹介すると、アクションラーニング型の女性役員育成で、今後の組合活動、特に組織における女性活躍推進を進めていく女性キーマンを育てるという全4回の公開型研修で4月15日よりスタートします。
4回東京に集まるため、東京近郊の労働組合が中心となるだろうと思っていましたが、北海道、長野、群馬、大阪、福岡…といった拠点からも参加申込があり、やはり関心の高いテーマであることを実感しました。
参加者の多くが、弊社からの案内を受けた三役から勧められたと聞いています。女性役員を増やしていきたいと思っている組織は多いのですが、優しさからか、こういった本人(女性)に負荷をかけることをためらう方(男性)が多いように感じます。女性に期待はしていても負荷を掛けるのは悪いからと配慮しているからだと思いますが、それでは彼女たちの成長や組織における女性活躍推進はなかなか進まないと思います。
神戸大学教授・平野光俊氏によると「結婚や出産後は退職して家事・育児に専念することが女性にとっての幸せだ」という固定観念と、「出産を経て退職した女性は大変そうだから責任のある仕事はさせない」というパターナリズムが男性側にあり、その「優しさの勘違い」(パターナリズム)を反映した「両立支援」と「職域限定」によって女性のキャリアを停滞させてきたのではないかと仮説を立て、実証研究から、「優しさの勘違いをなくせ」と結論づけています。
平野氏の結論はこうです。
(1)女性活躍推進策における「優しさの勘違い」をなくせ
昇進効力感の高い女性を増やすには、均等推進(ポジティブアクション)を行うことが有効。
(2)男性管理職の「優しさの勘違い」をなくせ
男性上司の「出産を経て復帰した女性部下は大変そうだから責任のある仕事をさせない」という「優しさ」の勘違いが、女性の昇進効力感を制限し、女性管理職の成長を阻害している。
(3)キャリア開発を通じてエンパワーメントを高めよ
「仕事の有意味感」と「社会へのインパクト」の醸成が、女性の昇進効力感を高める。女性社員のキャリア形成において、若いうちから社会的意義を実感できるような仕事の醍醐味を経験させることが求められるのではないか。
女性の活躍推進を本気でやっていこうと思ったら女性に負荷を掛けるのは当然のことで、負荷なく失敗なく出来る範囲だけで任せるのは彼女たちに期待していないということでもあり、結果彼女たちを依存的で自立性のない人材に育て上げることになります。
彼女たちに期待をし、美脳塾に送り出してくれた三役の皆さんの期待に応えるためにも、不安はあるけど挑戦しようと参加を決意された参加者のためにも「優しさの勘違い」とならないように本気で参加者と向き合っていきたいと思います。