ゆにおん・ネタ帳

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2015年

美脳塾
加藤 瞳
2015/03/15
政府は2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にするという目標を掲げ、大企業をはじめとする多くの企業では女性活躍推進に向けてますます積極的な姿勢を示しています。
そういった背景もあり、労働組合担当者から「女性組合員向けの取組を強化したい」「女性委員会を立ち上げたい(活性化したい)」「女性役員を増やしたい」といった相談をいただくことが増え、もっと私たちj.unionとして何か出来ないかと思い【美脳塾(びのうじゅく)】を企画し実行することとしました。【美脳塾】を簡単に紹介すると、アクションラーニング型の女性役員育成で、今後の組合活動、特に組織における女性活躍推進を進めていく女性キーマンを育てるという全4回の公開型研修で4月15日よりスタートします。

4回東京に集まるため、東京近郊の労働組合が中心となるだろうと思っていましたが、北海道、長野、群馬、大阪、福岡…といった拠点からも参加申込があり、やはり関心の高いテーマであることを実感しました。

参加者の多くが、弊社からの案内を受けた三役から勧められたと聞いています。女性役員を増やしていきたいと思っている組織は多いのですが、優しさからか、こういった本人(女性)に負荷をかけることをためらう方(男性)が多いように感じます。女性に期待はしていても負荷を掛けるのは悪いからと配慮しているからだと思いますが、それでは彼女たちの成長や組織における女性活躍推進はなかなか進まないと思います。


神戸大学教授・平野光俊氏によると「結婚や出産後は退職して家事・育児に専念することが女性にとっての幸せだ」という固定観念と、「出産を経て退職した女性は大変そうだから責任のある仕事はさせない」というパターナリズムが男性側にあり、その「優しさの勘違い」(パターナリズム)を反映した「両立支援」と「職域限定」によって女性のキャリアを停滞させてきたのではないかと仮説を立て、実証研究から、「優しさの勘違いをなくせ」と結論づけています。
平野氏の結論はこうです。

(1)女性活躍推進策における「優しさの勘違い」をなくせ
昇進効力感の高い女性を増やすには、均等推進(ポジティブアクション)を行うことが有効。
(2)男性管理職の「優しさの勘違い」をなくせ
男性上司の「出産を経て復帰した女性部下は大変そうだから責任のある仕事をさせない」という「優しさ」の勘違いが、女性の昇進効力感を制限し、女性管理職の成長を阻害している。
(3)キャリア開発を通じてエンパワーメントを高めよ
「仕事の有意味感」と「社会へのインパクト」の醸成が、女性の昇進効力感を高める。女性社員のキャリア形成において、若いうちから社会的意義を実感できるような仕事の醍醐味を経験させることが求められるのではないか。


女性の活躍推進を本気でやっていこうと思ったら女性に負荷を掛けるのは当然のことで、負荷なく失敗なく出来る範囲だけで任せるのは彼女たちに期待していないということでもあり、結果彼女たちを依存的で自立性のない人材に育て上げることになります。
彼女たちに期待をし、美脳塾に送り出してくれた三役の皆さんの期待に応えるためにも、不安はあるけど挑戦しようと参加を決意された参加者のためにも「優しさの勘違い」とならないように本気で参加者と向き合っていきたいと思います。

「東日本大震災から4年経っての想い」
細越徹夫
2015/03/08
 今週の水曜日は東日本大震災からちょうど4年を迎える。
2011年3月11日14時46分に発生した大地震、津波、そして原発の事故。

あの時、私は移転前の事務所で通常業務にあたっていた。地震がおさまったと
同時に事務所から抜け出し、前の道路に駆け出した。そのとき見た高層ビルが

揺れている光景はいまだに忘れられない。大きな地震のときって「こんな風に
揺れるんだぁ」と、何故か呆然と揺れるビルを眺めていたことを記憶している。

道路にはあふれる人の波、鳴りやむことのないサイレンの音。そんな喧噪のな
かでふぅと家族のことが頭をよぎったことを覚えている。

会社にあったテレビを付けると、どのチャネルも緊急の報道番組が組まれ、各
地の被害状況を伝えていた。その後、ご存じのように津波、原発のメルトダウ

ンといった被害現場の情景が画面を通して伝えられた。
あまりにも現実離れした、これは現実なのだろうか?この先どうなるのだろう
日本は・・・?そんな不安が頭をよぎった。

あれから4年。

震災に伴う爪痕はいまだに残っているし、まだまだ多くの課題が山積している
が、少しずつ復興にむかっている。1日も早くそれらの課題が克服されること

を願うばかりである。
あの震災を機に改めて思い至ったことがある。それは人は一人では生きていけ

ないということ。そして、人と人のつながりは、相手への思いやりという心の
つながりがあってこそということだ。

当時、海外のメディアは、略奪や暴動がおこることなく、整然と行動する日本
人に多くの称賛を与えた。それらの報道を記憶している方も多いと思う。確か

にいたるところで、ごく自然に、助け合いの意識が働き「お互い様」といった
言葉も耳にした。

悲観的な状況が毅然と存在する一方で、人と人のつながりを感じることが安心
感や希望の輪を広げていった。そしてその輪は大きな広がりとなって賞賛を受

けた行動につながったのかもしれない。海外からの賞賛報道は、一日本人とし
て、誇らしく感じる。

日本は歴史上、幾多の自然災害に見舞われ、その都度着実な復興を果たしてき
た。地震、津波、台風、噴火など多くの自然災害に見舞われている。国も対策

を講じてはいるが、この日本に住む限り、人知の叶わぬ天災から逃れることは
できない。しかし、私たちはこの日本に住み続けている。ある日、新たな天災

が自身の身に降りかかるときがあるかもしれない。その時が来ても安心と希望
の光をともし続けることができると思う。なぜなら、私たち日本人の心の記憶

の中にはしっかりと助け合い意味が刻み込まれていると思うからだ。


仁の精神から生まれるシナジーこそ、今の組織に必要
2015/03/01
■利己主義・個人主義が強まる世の中

 「その組織(会社、労組、団体、グループなど)に参加して、私に何のメリットがあるのか?」
 「その組織(会社、労組、団体、グループなど)がどうあれ、私自身は自分のやり方を尊重させて欲しい、その権利が私にはあるはずだ!」
 昨今、よく耳にする主義・主張がある。このような声を聞くと、今の世の中は、どうも世知辛い世の中だと私は感じてしまう。
特に他人や集団や公共の利益よりも自分の利益と権利ばかりを優先する、行き過ぎた利己主義と個人主義が、個人的にはどうにかならないものかと気になるのである。
 今の時代は、多様性を認め個人の意志や権利を認めざるを得ないことは理解している。
しかしながら一部の人は、その主張が行き過ぎていると感じるのは私だけだろうか。
 その一部の人のために組織が機能不全に陥りつつあるのではと、私は危惧している。
 そのような中、組織にはどんな精神が必要なのか? その一つのヒントとしてマズローの説をもとに紹介したい。
 「自己実現理論(欲求段階説)」で有名な心理学者アブラハム・マズローは、著書『完全なる経営』の中で、よい会社組織には、「仁」の精神からくる「シナジー」な関係が必要であると説いている。

■自己実現者とは仁(おもいやり・慈愛と共生の心)を持つ者

『仁(おもいやり・慈愛と共生の心)の精神』こそ、人としての心の成長の表れである。

 仁とは人を思いやること。孔子は、仁をもって最高の道徳であると説いてる。儒教においても、「他人と親しみ、思いやりの心をもって共生(きょうせい)を実現しようとする実践倫理」と唱えている。
 キリスト教や仏教などの宗教においては『慈愛心』が尊ばれる。
 マズローは、自己実現者は、他人に対して(仁の精神・慈愛心)を持てる人であると定義している。

『仁(おもいやり・慈愛)の精神)』からくる『シナジー』な関係が、良い会社には必要である。

 一般的に「シナジー」は相乗作用という意味であるが、マズローは「シナジー」を「自分の成果が、他者の成果となり、他者の成果は、自分の成果となること」と定義している。
 また、【自分の成果】→【他者の成果】→【組織の成果】→【会社の成果】→【社会の成果】と連なり、それらの社会や会社や組織の成果が また【自分の成果】となって返ってくる好循環をシナジーと説いている。
 『仁の精神』から生まれるシナジーこそ、今の組織に必要である。
   
 今の日本では、長期より短期が優先され、組織よりも個が優先されがちである。
 また、他者をおもいやる仁の精神よりも、自分の利益や権利が優先されがちである。
 つまるところ、組織としても個人としても、「仁の精神とシナジー」が圧倒的に不足しているといえる。
 人々は心の奥底で、『仁(おもいやり・慈愛)の精神)』からくる『シナジー』溢れる、よい組織に属することを強く望んでいる。私はそう固く信じている。

■利己主義と利他主義とはひとつに溶け合って融合可能

 マズローは、次のように語っている。
 「自己実現者は他人の喜びによって、自分の喜びを得る人である」と。たとえば、自分の幼い娘に自分のイチゴを与え、大好物のイチゴをおいしそうに食べる娘の姿を見て楽しみ、喜びを覚えるとする。
ごく単純な例ではあるが、娘の喜び(他者利益)が自分の喜び(自己利益)となっているのだ。
 円満な夫婦や恋人、成功したビジネスパートナーなどの関係をみると、二人は同化しており、たとえば片方を侮辱すれば、そのパートナーをも侮辱したことになり、
逆に一方を誉めれば、他方も心地よさを感じるのである。
 二人は共有し、同化し、ひとつのまとまりとしてみなすことができるのである。そのような人からは「われわれが」「われわれを」という言葉が聞かれるようになる。
 複数の人間があたかも一人の人間であるかのようになっていて、協力し、融合して、新たなまとまりを形成すること、それがシナジーなのである。
このような場合には、各個人の利益は対立せずに共有される。
 利己主義と利他主義とは互いに相容れない対立概念ではなく、互いに愛情・友情・共通の使命・尊厳はシナジーを持った関係において、
ひとつに溶け合って融合するのだ。
 誤った考え方は、各個人の利益が対立することを前提に互いの関係性と組織を構築することである。正しい考え方は、個人の利益が組織の利益となり、
組織の利益が個人の利益となる関係性と組織を構築させることである。またその構築に向けて、労働組合が重要な役割を担っていくことである。
 まわりの幸福が自分の幸福となり、自分の幸福がまわりの幸福となる。企業組織においても、労働組合においても、
このようなシナジーのあるよい会社を作りあげることが自らの幸福であるに違いない。

同じ価値観を共有できているだろうか?
渡邊祐介
2015/02/22
現在、ある組合様で執行委員の育成プロジェクトをご支援させていただいております。
このプロジェクトは「自ら考え、現場で主体的に行動できる人材の育成」を目的に、
以下のような流れでアクションラーニング型による現場展開を行っています。

①組織方針の理解(労働組合は何を目的に活動を行っているのか?)
②役割認知(方針実現のために自身が担う役割とは何なのか?)
⇒良い組織には、明確な方針(目的)があります。そして、所属するみんなが方針の意図を理解し、
 同じベクトルに向ける状態にあることから、方針理解のための議論を全員が腹落ちするまで行いました。
 その上で、現状求められている役割・期待と照らし合わせながら、今の自分がどのような役割を担う
 必要があるのかを同じ階層にいる執行委員全員で議論し、個々人の役割を明確にしました。

③現場課題の抽出(方針実現の阻害要因がどこにあるのか?)
④重点課題の選定・取り組み立案(最も改善すべき課題の選定と取り組み立案)
⇒理想の状態が共通認識になったことで、課題に対する着眼点もズレることなく、広い議論ではなく
 深い議論を行うことができました。その上で、重点課題を解決するための取り組みを細分化し、
 各執行委員が少しずつその役割を担うことで、全員の目標達成が重点課題の解決になるような目標を設定にすることができました。

⑤現場実践と振り返り(現場実践を行うことで見えてくる新たな課題の抽出)
⑥能力伸長機会の提供(その課題を補完するための教育機会提供)
⑦リプランニングと現場実践(学んだスキルを実践し使える能力へ)
⇒各執行委員は現場実践によって行動しなければわからなかった現場の良いところや課題、
 自身の強み・弱みが見えてきます。そして、目標達成のために自身が高めるべき能力が明らかになり、
 その能力を伸ばすことに動機づいた状態となります。
 自らが欲する状態になったところで、教育機会を提供していきます。自分はなぜこの研修を受けているのかが
 明確になっていますので、学習効果が高いことはいうまでもありません。そして、学んだことを即現場で実践することで、
 真に使いこなせる能力(知恵)になっていきます。

この一連のサイクルを四半期単位で繰り返しながら、現場課題の改善とともに、役員階層別のありたい姿と
備えるべき能力を定義づけ、真に担うべき役割を自分たちで明確にしていきます。
このプロジェクトを成功させるために最も重要なことは、執行委員よりも上の階層にいる役員(三役)が
執行委員と密なコミュニケーションをとりながら、行った取り組みに対してしっかりと評価をしてあげるところにあります。
そうして、お互いの価値観レベルを合わせていくことで、現場での判断に自信が生まれ、主体的に行動できる人材へと成長していきます。

次世代役員の育成を進めていくうえで、何か参考になれば幸いです。

作戦会議
池上 元規
2015/02/15
今、労働組合でも課題に掲げている、男女共同参画、ダイバーシティについて考えさせられるドラマ、
水曜夜10時フジテレビ系列放送の”残念な夫”は視聴したことはありますか?
そこで、既婚の男性に限っての質問で恐縮だが、
「家事や育児をしていますか?」

昨今は普通にイクメンとかボスメン(男性の従業員や部下の 育児参加に理解のある経営者や上司)
お弁当男子や家事メンとかの言葉を耳にする時代。
しかし、職場や家庭では性別役割分担意識がまだ根強く、課題は山積している。

NHK文化放送研究所が2012年12月実施した調査「家族と男女の役割」では以下の結果であった。
・「結婚している人の方が幸せ」と考えるのは男性より女性の方が少ない
・既婚者の女性で結婚している人の方が幸せだと思うかの質問で「どちらともいえない」
 との回答が44%もいて、既婚男性の回答より多い
・家事分担の割合が夫に比べて「かなり多い」という女性が半数以上いる
・働いていない女性に比べて働いている女性は家事分担について
 「不公平感」や子供を持つことの「負担感」が強い
・働いている女性も働いていない女性も1日の家事の時間は20分程度の差しかないことが
 「不公平感」「負担感」一因となっているのではないか
・夫の1週間の家事の時間が長くなると「結婚が幸せだと思わない」女性の数が減る傾向

私も含めて男性陣にとってとても耳が痛くなる結果であり、
危機感を感じたのではないか。
この結果から既婚男性は家事に対する意識を変え、
積極的に家事に取り組む時間をつくるようにしないとパートナーは
「幸せ」を感じるより「不満」を感じる方が多くなるのではなないか。
これは私の実感だが、男性は家事の時間をつくれば良いわけではなく、
女性からは家事の質も求めてくる。

ただ、これは既婚者にとっての課題であって、
未婚者からすれば他人事としか感じられないだろう。
生活スタイルや仕事に対するスタンスなど価値観の違いあるのも事実である。
労働組合では、このような価値観の違いを組合員一人ひとりが
受け止め、受け入れ、仕事で活かすことができる職場づくりが今の課題である。

そこで、「ダイバーシティの取り組み4段階」を紹介する
①抵抗:違いを拒否する
②同化:雇用機会の均等、違いを同化させる、違いを無視する
③分離:違いに価値をおく、違いを認める
④統合:違いを活かす、企業活動において競争優位性につなげる
参考:『ダイバシティ・マネジメント 多様性を活かす組織』谷口真美/著

みなさんの職場はどの段階にあるのか一度確認をしてみて欲しい。
また、現場での取り組みとして、職場で働く仲間の考え方、
価値観について対話を通じて共有し理解し合うことが必要だ。
同時に、職場で働く仲間全員の接点は「仕事」のため、
仕事を軸に、考え方、スタンス、お互いの仕事の目標について
対話をしないと仲間のことを理解したとはいえない。  
例えば、職場の仲間全員で部門・部署・チームの年間目標(目標管理)を期初に共有し、
各メンバーの役割・強み・特性・課題・労働条件(例:時短勤務、フルタイム勤務など)
などを理解した上で目標達成に向けた作戦会議をする。
年間の組織目標を軸にどんな働き方をして、
お互い協力し合えるかを話し『協働』していくことだ。
この取り組みを通じて「ダイバーシティの取り組み4段階」の③④に繋がり、
企業としての競争優位性を発揮できるようになると考える。

これから期末に向けた上司と部下の目標面談を迎える時期に入るところが多いと思うが、
来期に向けた部署、チーム単位でメンバー間での目標達成に向けた
作戦会議を開いてみてはどうだろうか。
また、今春闘「メンバー間で、部署・チーム単位の目標達成に向けた
作戦会議を制度として導入して欲しい」と会社に提案してみるのも良いと思う。

合わせて、家庭での作戦会議も定期的に開催しておかないと、
既婚男性は今後、”残念”なことになるかもしれない…


ハイクオリティーな活動支援とは
荏本 太郎
2015/02/08
弊社は、研修・調査・情宣・システムなど、組合活動にかかわるサポートを多方面から行っています。
仕事をいただく組合役員の皆さんから期待されるのは、費用に見合った、またはそれ以上の効果・成果です。
各組合の実態や事情を組合役員からしっかりヒアリングのうえ、問題解決につながるサービスや商品の提案しています。
組合活動の場合、完成したアウトプットが生かされるのは、組合活動または業務の現場。
また、組合活動の多くは、対話や文書ドキュメントを用いたコミュニケーションが主たる手段です。

しかし、日々直面する問いは「高い品質とは何か」ということ。
一般的に、プロダクトの品質は下記のようなものがあります。

1.企画の品質     ⇒何のために、誰のために、何をするか
2.設計における品質  ⇒具体的にどのように進めるか、作るか
3.購買品・購入品の品質⇒作ったものが設計どおりか、設計どおりに機能しているか
4.製造工程における品質⇒進める過程、製造工程は適切であったか
5.検査における品質  ⇒製造工程で起きた問題を発見・対応できたか
6.使用品質      ⇒対象者、使用者の満足度はどうだったか
7.サービスの品質   ⇒アフターサービス、フォローができているか

組合活動支援の観点で、かつ自分なりの経験もふまえて絞ると、上記のうち特に重要なのは、1、4、6と考えます。

「1.企画」の中でも、とりわけ「何のために」が重要です。そもそも何が問題だったのかを常に見返す必要があります。
近視眼的なゴールだけを見据えていると、本来の目的を見失いがちです。
例)単発の研修会を面白く、インパクトある時間にすることに注力し、現場での効果や次世代への継承を見ていない。

「4.製造工程」は、いわゆる合意形成の取り方です。
組合は概ね民主的に運営されていますが、本気で全員の合意を形成するのは至難の業。
物事を進めるためには、事前対話による折り合いが必要となります。
組合役員間でしっかり議論する時間を取れたか、職場にどう説明するのか、会社にどう働きかけたか、といった事前対話は、
ある意味アウトプットの内容以上に重要なケースもあります。

「6.使用品質」は、多くの組織が苦手としている部分です。活動の検証や効果測定もここにあたります。
「やりっぱなし」を予防するには、企画・設計段階において起こりうる状態を予測しておかなければなりません。
あらかじめの想定があるからこそ、振り返る際の基準も明確となります。


重視する品質3項目から導いた「高い品質」のキーワードは”先見性”です。
活動や職場、業界や社会に起きるであろうことを読む力、予測する眼や感受性を持ち合わせていれば、活動支援の質は高まると考えます。
組合活動は、仕事や人生のサイクルと連動したスケールの大きいフィールドです。
先見力を高めるために日々必要だと感じる行動は、必要な知識や考え方をインプットする、リアルタイムで起きている事象を広く捉える、
多様な価値観との接点を持つ、といったことです。これも組合役員の皆さんに必要な行動と重なるのではないでしょうか。

弊社がサービスや商品を通じて目指しているのは、「人と組織と社会を 明るく、楽しく、元気よく」すること。
できるだけ多くの人や組織の先々を照らすためのハイクオリティーな支援ができればと思います。

相場を牽引するって、聞こえがいいけど
大川 守
2015/02/01
■相場形成が成り立っていた頃

20世紀型の春闘では、各産業のリーディングカンパニーが賃上げの要求案をまとめ、産別組織の統一要求基準が設定されていた。
それに基づいて企業別組合(単位組合)が労使交渉を行うことにより、産業ごとに賃金相場が形成されてきた。
特に中小企業の労働組合からすると、自前だけでははっきりとした要求根拠が組み立てきれない場合でも、この産別要求基準により、
経営側に対して説得力のある要求と交渉ができたため、多くの企業別組合にとって春闘は恩恵のある仕組みだったといえる。
さらに公務員労組や労働組合のない企業でさえ春闘相場を参考に賃上げを行ってきたことを考えると、その影響力は計り知れないものがある。
まさに日本の雇用労働者の賃金相場を牽引してきたのだ。
労働組合の大先輩方がそのような気概を持って春闘に取り組まれてきた事実と、今日の私たちの賃金水準もその恩恵にあずかっていることについて、
改めて感謝の意を示したい。
本稿では、成功モデルとしての春闘を筆者独自の3つの視点で示してみたいと思う。

■なぜ、長期にわたり春闘モデルが機能し続けたのか

【理由①】 国内経済成長、企業業績向上、消費者物価上昇、賃金上昇の好循環があったこと
・これらの因果関係などについては経済学者に譲るとして、賃金が上がりやすい好循環があったことは事実だ。
例えば、1965年からの「いざなぎ景気」の頃は生活必需品の購入に加え、3C(カラーテレビ、マイカー、クーラー)といった当時のウォンツを満たす消費にお金が回りやすかった。
賃上げが個人消費を喚起し、企業の業績を押し上げることで更なる賃上げも可能になる。現在は東アジアの国々で同じような情勢が確認できる。

【理由②】 人材不足と人材獲得競争の激化
・分かりやすく表現するならば「労働力のインフレ」が起きていたともいえる。企業が競争力を高めるためには優秀な人材を採用して継続雇用していく必要がある。
ところが求人も多数の会社の競合が激しいため労働条件も向上させていく必要があった。
筆者の人事部担当経験からも、知名度が低く作業負荷の高い会社ほど好条件を提示する必要に迫られるものだ。
労働組合のない会社でも、春闘情勢を睨みながら昇給試算や新卒募集条件(初任給)案を経営会議に提示していた。
このようにして労働界全体の賃金が底上げされたことを私の過去の経験からも断言できる。

【理由③】 市場拡大・需要拡大・事業拡大に対する楽観的な見通しがあったこと
・人口の減少局面や少子高齢化などは「確実に起こる未来」として40年近く前から認識されていた。
しかしながら輸出型産業では海外市場の拡大基調が広がり、内需型産業においても「消費の質的向上」などと喧伝し、バブルの道を歩んでいた。
日本が経済大国であり続け、日本製品が海外でも売れ続けることで国内景気も循環していくという空気感に支配されていたのも事実だ。
したがって経営側としても固定費上昇を容認しやすかった。これらの理由により「春闘モデル」が長期にわたり機能していた。
つまり大手企業の労使交渉が賃上げ相場を牽引し、日本の賃金水準を高めてきたといえる。


■今春闘は大手の賃上げが中小零細企業に波及しない!?

先に挙げた3つの理由(社会的・経済的背景)が大きく変化している今日の日本において、一部の大手企業による賃上げ実施が賃金相場を牽引するという理屈は疑わしい。
第一に日本の実体経済は伸びていない。第二にグローバル化の流れで労働力の調達は世界に広がり「労働力のデフレ」が進行している。
非正規雇用が4割近いというのもその現われだ。第三に数年後の景気・経済・自社業績の向上に確信を持てる経営者や組合役員は少ない。
以上のように賃上げを実行できる要素がほとんど見当たらないのが今なのだ。


■格差是正のために、大手企業が行うべきは自社の賃上げより取引条件の見直し

ビジネスの世界では発注者と受注者、元請と下請の間でさまざまな取引条件が成立している。
企業間競争が激しい産業ほどサプライヤーは発注者から当然のように厳しい条件を突きつけられるものだ。
長年の商慣行とともに動かしがたい力関係がある限り、受注側・下請け側は不当に安価な金額や短納期など不利な条件で製品やサービスを納入せざるを得ない場合も多いものだ。
そのような観点からも、経団連の理屈は大企業しか見ていない偏ったものだと強く感じる。
取引先の利益を不当に搾取して自社の賃上げを優先させることを世間が良しとするはずがない。
連合の提言でもある「働くことを軸とする安心社会」は、社会的な整合性をとらない限り実現が遠のくように思えてならない。

横断的なコミュニケーション
清水典明
2015/01/25
弊社の福岡支店で昨年より「九州ユニオンプロジェクト」という新しい取り組みを始めています。
九州という土地を同じくする労働組合の役員同士が、
・各回のテーマに関する「情報交換」「知識共有」から現場で使える「知恵の創造」を目指す(実践力を高める)
・労働組合を運営していく仲間として、長期的な相互信頼関係を築く
ことを目的として開催しています。
1回目は「これからの時代に求められる労働組合の使命とは」をテーマに昨年の11月に開催しました。
労働組合の強みや今後の労働環境がどうなっていくのかを情報交換し、今後の労働組合の目指す姿と具体的な取り組み内容についてディスカッションを交えながら策定をしていきました。
今後も様々なテーマで開催していきますので、ぜひご参加ください。

参加された役員の方より、どうしても活動の課題や取り組みについての情報交換は上部団体を同じくする組合などに限られるので、新たな視点の発見もあり有効な場であったとの感想をいただきました。
組織の利害関係無しに「現場の知恵」を共有できることは、労働組合ならではと思います。
同じことが単組の活動でも言えるのではと思います。

顧客ニーズの多様化や技術の進歩のスピード化により、現場での情報収集や技術革新が経営にとってより重要になってきています。
現場の知恵や工夫を共有し、社内で展開していくことが経営にとって重要で皆さんの会社でも取り組まれていることだと思いますが、会社組織では縦割り組織の中で、現場での横の情報が通りにくくなります。
労働組合の現場情報収集機能や横のネットワークを活かし、労働組合ならではの切り口で現場の知恵や工夫を共有していく取り組みが有効だと考えております。

私が関わりましたある労働組合の取り組みを紹介します。
その組合では長時間労働が課題であり、様々な取り組みをする中で、長時間労働にならずに仕事の成果を出している人に着目するという取り組みです。
・プロジェクトメンバーがそういった人にどんな特性があるか項目を考える
・その項目に沿った人を全組合員の投票で選び
・その人の仕事への考え方、行動をインタビューによって明らかにする
・行動特性や考え方を文字に落として冊子で展開
・冊子を教材に職場集会で「うちの職場ではどんな取り組みができるか」をディスカッションして働き方改善を進めていった
という事例です。
1年間で平均30分の時短につながった取り組みです。

以上何かの参考になれば幸いです。

AISASモデルを活用してみる
三橋 秀郎
2015/01/18
「組合員の組合離れ」が問題だと良く耳にするが、みなさんの組合では
どのような取り組みをされているでしょうか?

・レク活動に参加してもらって関係性をつくる
・共済活動などで組合加入のメリットを感じてもらう
・3・5・10年次研修など集まる機会を設けて継続的に組合との接点をもたせる

などなど試行錯誤しながらいろいろと実施しているのではないでしょうか。

少し視点を変えて『組合員の組合離れをどうするか』という観点でなく、
これからは『組合のファン作りのためにどうするか』いう観点で考えてみてはいかがでしょうか?

「ファン」:特定の対象に対する応援者、愛好者のこと

ファン作りのための要素として、企業が自社製品のファン作りのためのマーケティング手法で、
商品を知ってから購入に至るまでの購買心理プロセスのAIDMAモデルがよく活用されています。

  【AIDMA】
 ①Attention(注意)
 ②Interest(関心)
 ③Desire(欲求)
 ④Memory(記憶)
 ⑤Action(行動)

また最近では、インターネットの普及により、【AIDMA】から【AISAS】に
変化してきているといわれています。

  【AISAS】
 ①Attention(注意)
 ②Interest(関心)
 ③Search(検索)
 ④Action(購買)
 ⑤Share(情報共有)

上記の観点を組合活動で置き換えてみると、このようになるのではないでしょうか。

①Attention(注意):
どのような組合活動をしているか知ってもらう。
そのためには、現場に近い職場委員を通して常にいろいろな情報発信していく
必要があるかと思います。また職場委員が自発的に情報発信してもらえるよう
活動内容に興味関心を持ってもらうのも必要かと思います。そのためにも、
なぜこの活動をするのか目的・ねらいを丁寧に説明していくことが必要ではないでしょうか。
また、組合活動をわかりやすく伝えたり、現場の意見を吸上げられるように、
ロジカルシンキングや傾聴力などを身につける育成も必要かと思われます。

②Interest(関心):
「おもしろそう!楽しそう!」「何かすごいことやってるぞ!」と組合員に関心を持たせる。
つまり、興味を持ってもらうために従来と異なる印象の目玉活動を用意したり、
インパクトのある情宣物を作成するのも良いのではないでしょうか。
とある組合では、数万人の全組合員を対象に現場の声だし活動を1年の間、徹底して集中的に実践しています。
また別の組合では、機関紙を工夫してインパクトを持たせ、興味関心を引いている組合もあります。

③Search(検索):
組合活動に関わる、参加するためには、どうすれば良いか調べてもらう。
機関紙だけでなくホームページや掲示板、映像など多様な情報提供の場を用意する。
つまり組合員の働き方に応じて検索手段を何種類か用意しておくことが必要かと思います。

④Action(購買):
組合活動へ参加してもらう。


⑤Share(情報共有):
人は満足したことに関しては他人に話したくなる。(不満も同じかもしれませんが)
つまり、口コミが大事だということです。最近では、フェイスブックのようなSNSもありますが、
組合員が参加して良かった、楽しかったなど情報をシェアする場を提供するのも必要かもしれません。
組合ホームページに投稿コーナーを設けたり、機関紙に参加者の声を掲載したりするのも一つではないでしょうか。

上記内容が全てではないかと思いますが、ぜひ、組合活動にマーケティング的な発想を取り入れ、
今までとは違った視点で対策を考えてみてはいかがでしょうか。

成功するために共通する8つの習慣とは
丸山由紀夫
2015/01/11
明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

年の初め、新年の抱負や新たな目標を掲げ、今年こそはこんなことにチャレンジしたい、
充実した年にしたい…と思っているのは、私だけではないだろう。
私は毎年元旦に仕事と家庭の目標をそれぞれ掲げ、家族に宣言してはいるのだが、3日も経つと……。

どうすれば行動が変えられるのか、どうすれば成功するのか(人生を豊かに過ごせるのか)
習慣化コンサルタントである古川武士氏が紹介している記事が非常に興味があったので、
今回はそれを紹介したい。

氏は、成功哲学書には共通する8つの習慣があるという。
これは、氏の友人が世界的名著(約250冊)の中から頻出度の高い法則を抽出しまとめ分析した結果だという。

(1)成功をイメージする。言葉に出す……36%
(2)楽観的になる・ポジティブになる……32%
(3)自分の直感や内なる声に従う……30%
(4)他人に与える・奉仕する……24%
(5)人生の目標や目的をはっきりさせる……24%
(6)他人に思いやりを持つ、許す……22%
(7)楽しいこと、楽しい仕事に取り組む……22%
(8)自分の価値観・求めているものを知る……20%

成功をイメージし、楽観的に考え、己の直観に従う…そしてこれを日常の具体的な行動に落とし込み、
行動を習慣化するまでに昇華させることこそが成功の肝であると氏はまとめている。

話はちょっとそれるが、私は組合役員・組合員をはじめ多くの方々と関わってきた。
組合運営に関することや、自身の家庭のことなど、さまざまな悩みを聴く機会が多いのだが、
まれに“私は幸せである”という方とも出会ってきた。そしてその方たちに共通していた考え方と行動は
まさに上記8つの項目に当てはまるのである。それも周りの方が分かるように
目に見える形で実践し続けている方々なのである。

話を戻すが、今年こそは新年に立てた目標が3日坊主にならないように、良い行動を習慣化するために……
と思いつつ、何も行動が変わらないまま既に10日が過ぎてしまった……。歳月人を待たず。実践もかくの如しである。