ゆにおん・ネタ帳

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2016年

病は気から
加藤瞳
2016/02/21

先 週、関東地方では春一番が吹いたために風が強く、さらには雨まで降っていたのでまるで台風が来ていたかのような週末でしたね。春一番とともに花粉が飛散し 始めたとのことで、「花粉情報」がニュースで流れてからなんだか鼻がムズムズするような、目がかゆいような、そんな気がしています。
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年ほど前から花粉症に近い症状が出てはいるものの軽く、鼻がムズムズしても薬を飲まずになんとか日常生活を送ることができています。なので「私は花粉症ではない!」と思い込んでいます。

そう、実は病院で検査をしていないのです。
病院で「花粉症」と診断結果が出たとたん、いっきに悪化してしまうのではないかと思い、怖くて行っていません。
それは、そんなに具合が悪いわけではないけれど風邪ぎみかもしれないと思ったときにふと体温を計り「37.5」と表示されたとたん、「熱が上がってくる」「ぜったい風邪だ」と思い、さっきま での「そんなに具合が悪いわけではないけど…」という自覚がどこかに消え去り、だんだん具合が悪くなってくるのと一緒で、特に花粉症に関しては「病は気か ら」だと思っているところがあるからです。

 「病は気から」を科学的に証明する研究結果は様々ありますが、『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』著者:ケリー・マクゴニガル氏(スタンフォード大学心理学者。その他の著書に『スタンフォードの自分を変える教室』があり日本で60万部を超えるベストセラーとなっているのでご存じの方も多いのではないかと思います。)が非常に興味深かったのでご紹介します。

その本の中でマクゴニガル氏は「ストレスは健康に悪い」と思うと死亡リスクが高まる、と言っているのです。それは1998年にアメリカで成人3万人を対象に行われた調査と8年後の追跡調査からわかったというのです。
強度のストレスがある場合に死亡リスクが43%高まるのですが、 そのリスクが高まったのは強度のストレスを受けていた人のなかでも「ストレスは健康に悪い」と考えていた人たちだけでした。さらに、強度のストレスを受け ていた人の中で「ストレスは健康に悪い」と思っていなかった人たちの死亡リスクは対象者のなかで最も低く、なんとストレスがほとんどない人たちよりも低 かったというのです。

またマクゴニガル氏は「ストレスは役に立つ」と思うと現実もそうなると言っています。「ストレスには良い効果がある」というビ デオを見た人たちは、「ストレスは心身を消耗させる」というビデオを見た人たちに比べ、ストレス反応の「成長指数」(※)が高く、ストレスに負けずがんば ることができ、また集中力が高く、問題解決力に優れ、心的外傷ストレスの症状が表れにくい傾向も見られたというものでした。
(※コルチゾールに対するDHEAの割合。割合が高いと不安症、うつ病、心臓病、などのストレスに関する様々な病気のリスクが低下する傾向が見られる。)

このような思い込みの効果はプラセボ(偽薬)効果よりも強力で「マインドセット効果」と呼んでいます。またプラセボ効果は短期 的にある特定の効果のみをもたらすのに対し、マインドセット効果の及ぶ範囲は雪だるま式に増大し、ますます威力を増しながら長期的な影響をもたらすとまで 書かれています。

今までストレスは体に悪いもので、できるだけ減らすことが良いことだと思っていましたが、実はそうではなくストレスを受け入れ て上手に付き合っていくことで、健康や幸福、寿命といった長期的な結果に影響してくるというのです。ただ、ストレスの良い面をみつめるために「ストレスは 場合によっては害になる」という認識は捨てる必要がないとマクゴニガル氏は言っています。重要なのはストレスについてバランスの取れた考え方ができるよう になることで、ストレスに対する恐怖が減り、対処できる自信がわき、ストレスをうまく利用して人生としっかり向き合っていけるようになるというのです。

組合としてもメンタルヘルス対策を行っているところは多いと思います。
この書籍を読み、メンタルヘルス対策、特にセルフケアとして「ストレスとの上手な付き合い方」を組合員が正しく学ぶことの大切さを強く感じました。また、「ストレスマネジメント」の研修を行っている者としての役割の重要性も改めて痛感いたしました。
そして、「病は気から」のことわざを信じ5年間うまく付き合ってきた花粉症とは今年もうまく付き合っていけそうな気がしています。
主体的に動く
伊東
2016/02/14
「組合役員に主体的に動いてもらいたい。」 

 

多くの組織で、役員の主体性が低いことが課題だと感じられているようです。
言われたことのみをやる人が多く、そもそも「自分で考えて行動する」という会社風土もあまりないという場合もあります。

日々多くの組合リーダーと接している中で、さまざまな課題やお悩みを伺うのですが、この課題はどの業種・業界でも共通のようです。
はたして皆さんの組織ではどうでしょうか?

 

 

 

この点について最近読んだ本に、以下のようなことが書かれていましたので、紹介したいと思います。

 

 

 

===============================================================

 

 

 

主体的に自ら進んで仕事や役割を引き受けていく意識を持つには、4つのステップが必要になる。

 

 

 

    現実を見つめる

 

 

 

    問題に当事者意識を持つ

 

 

 

    解決策を見出す

 

 

 

    解決策を行動に移す

 

 

 

=============================================================== 

 

 

 

これを現場の役員の立場に置き換えて考えてみました。現場役員が主体的に動く意識を持つには・・・

 

 

 

    「自分の役割は○○であり、すべき行動には○○がある」という現実を見つめる(またはその役割を知ってもらう)

 

 

 

    周りで起きている問題の解決に対して当事者意識(責任)を持つ

 

 

 

    周囲と協力しながら、解決するにはどうすれば良いか考える

 

 

 

    具体的な行動に移す

 

 


文章にすると簡単ですが、①が最も難しく、最も大事なステップです。
たとえリーダーが役割を伝えたとしても、それに動機づいてもらわなくてはなりません。

この場合、リーダーから「すべきこと」を伝えると同時に、その人が「できること」「したいこと」を聞き出すのがポイントです。
これら3点が合致するところに人は動機づき、主体的に動くモチベーションになるでしょう。

女性活躍推進をダイバーシティベースで考える
2016/02/07
◆現場にある温度差

政府は日本の経済成長につなげるため「女性活躍推進法」を制定した。日々そのテーマに触れていると、当たり前のことが、ふとした瞬間に現場では当たり前ではないことに気付く。
先日も、執行委員向けの研修で女性活躍推進法について聞いたら、一人も知らないということがあった。
担当者が事情を知っていても、現場は違う。だからこそ、このテーマは思ったように進まないのだ、ということを改めて実感させられた。
組織の中で女性活躍推進に一番関心があるのは、やはりその経営トップだ。しかし、そのトップのコミットメントが弱いと、経営層や管理職層に伝わらず、取り組みが中途半端に終わる。
組織の女性活躍支援活動の話を伺っていると「去年はやったけど、今年はやらない」とか「女性だけの問題ではないので、ダイバーシティ推進室になった」という類の声を聞く。
知っているようで、実はよく知らないダイバーシティという単語まで出てきて、曖昧な議論に終始する。その組織にダイバーシティ(女性活躍推進)が浸透していないのがよくわかる。

◆女性活躍推進とダイバーシティの関係

「逆差別だ」「女性の管理職者数だけを増やしても意味がない」「ダイバーシティは女性だけではない」女性の活躍を進めようとすると、さまざまな抵抗にあうことが少なくない。
従って近頃の研修は、具体的な対策の話ではなく、ダイバーシティを正しく理解する研修になってしまっている。
ダイバーシティとは「さまざまな違いを尊重し、積極的に活かすことにより、ビジネス環境の変化や顧客ニーズに迅速かつ柔軟に対応し企業の競争優位につなげること」である。
単なる法令順守や、CSR、社員満足度の向上といったものではなく、最終的には売り上げや業績といった財務基準と結びついてなければいけない。ダイバーシティは経営戦略なのである。
ダイバーシティが本格的に日本の経営課題になったのは2010年すぎだが、これまで日本は対症療法的にしか対応できていない。そして驚くほど進んでいない。
テーマはさまざまであり、ジェンダー、グローバル、エイジが日本の3大ダイバーシティであるが、その他にも、障害者、雇用の多様化、企業統合、LGBT、ライフスタイル、オピニオンダイバーシティなど、
私たちの組織は実にさまざまな多様性にあふれている。その中で何からやるかと考えたとき、ダイバーシティ=女性活躍推進ではないものの、そこから手をつけなければならないという現実がある。
目の前に迫った課題である女性活躍推進すら出来ない組織は、他のテーマなど無理であるからだ。
とはいえ、その女性活躍推進ですら、いまだに両立支援(働きやすさ)ばかりに目が行き、均等支援(働きがい)が進んでおらず、国際的な批判の的になっている。行き過ぎた両立支援は、
かえって女性の活躍を阻害する。マミートラックなどが良い例である。今の過剰な両立支援が、将来どのように組織や女性本人に影響するのか、そろそろ真剣に考えてみる時期である。

◆ダイバーシティ(女性活躍推進)と労働組合

ダイバーシティに関心が高まる背景やその意義、日本の課題についても説明したいが、紙面の関係上難しいのでまたの機会に譲るとして、私たちは労働組合としてどのようなことに取り組むのかということを考えなければならない。
説明したとおり、ダイバーシティは経営課題であり、確実に成果と結び付けられなければならない。問題を真正面に捉えると、組合だけでは手に余るが、組合だけでも出来ることもある。
むしろ「ダイバーシティ推進室」がやるより、組合がやるほうが効果的と思うこともある。
その1つがコミュニケーションである。ダイバーシティに関心が集まる要因の1つにイノベーションがあるが、イノベーションは「高い多様性」と「深い関係性」が必要である。
深い関係性とは単に仲良しということではなく、時には不協和音さえ起こる対立や衝突(コンフリクション)がある関係性のことである。しかし同調性が高く調和を重んじるイイコの日本人は対立を嫌がり避ける傾向にある。
セミナーの中で感情について問うことがある。受講生の多くは、職場でネガティブな感情を出すのをタブー視するので、人と意見が異なるときは感情的にならずにすむよう相手に合わせたりする。
意見の対立のない組織には未来はない。従って、これからのリーダーは、相手の感情に配慮しながら、コンフリクションをマネジメントする力が必要になる。
表面に出ている意見や主張だけでなく、その背景にあるものを取り扱えれば、多様性のもつエネルギーをうまく活かすことができる。
課題は山積みである。とはいえ、多様性はいやおうなく進む。今もどこかで組織統合に頭を抱えている組合がある。高齢者対策に悩んでいる組合がある。
女性役員のなり手に困っている組合がある。中途半端にやるから失敗するのだという思いもある反面、とりあえずであっても、表面的であっても、ダイバーシティを始めることに意味があるとも思っている。

目的達成のために最適な組織へ変化できる力
渡邊 祐介
2016/01/31
 組織とは、「共通の目的を達成するために集まった同じ志を持つ集団」のことを指します。
 つまり、皆さんは自身が所属する組織が掲げるビジョンや理念に共感し、その目的を達成するために集まった仲間ということになります。

 会社や組合には、理念・ビジョン・綱領などが必ず存在します。そして、共通の目的実現のために経営や組合員とともに
さまざまな活動を展開されていることと思います。しかし、ときに山積する課題の対応に追われ、自分たちが「何を目的に活動を行っているのか」が
見えづらくなっていると感じたことはないでしょうか? また、組織が大きくなればなるほど組織運営は複雑なものとなり、
ともすれば目的達成のためにあるはずの組織が、取り組み推進の妨げになってしまうなどということも起こり得ます。


ある組合では、自ら考え行動できる人材を育成するために、組織体制を変えることに着手されました。


■着手した主な項目

①活動に沿った専門部体制と役員階層の細分化

②それぞれの対応領域と役割期待の再定義

③活動を行う上で必要な権限の委譲


■得られた効果

自らの立ち位置と役割期待を再定義したことで、各自が何をすべきかが明確になり縦横の連携が密なものとなりました(相互支援関係)。
また、必要な権限を委譲されたことで責任感が生まれ、自ら判断して行動を起こす場面も増え、スピード感を持った組織運営が行えるようになりました。


 組織とは目的を達成するための手段といえます。その実現のために最適な体制へ常に変化できる力を持っている組織こそが進化し続けられるのではないかと思います。


j.unionの理念≫

 「私たちは、すべての働く人々が自らの豊かさを感じられる心を育むことを支援し、明るく・楽しく・元気な人と社会づくりに貢献します」

われわれは「誰のために存在し、何を為すべき組織なのか」をぶらすことなく、常に変化対応し続けることで、
すべての働く人と組織が「明るく・楽しく・元気よく」なることを、全社一丸となってこれからも目指してまいります。

やりたいことにチャレンジ
池上 元規
2016/01/21
私には4歳の息子がいる。毎日わがままを言って親を困らせる。毎朝、私が彼を起こす。
すると、彼の第一声は「パパあっち行って、パパ嫌い」と言ってぐずりだす。
人に起こされたくない、自分で起きたいのだ。
他にも、“手洗い時に蛇口を締める”“扉に鍵を掛ける”“冷蔵庫に物を入れる”など
自分でやらないと気が済まない。
今の時期は何でも自分でやりたいし、自分でやらないと納得しない。
親からすると面倒だが、今は子供の主張を尊重している。
こうやってやらせているうちに、子供が日々成長していくことを感じている。
こんな息子を見て、組合活動に近いものを感じた。


労働組合では、
活動の方針やビジョンを示し、執行委員、職場委員へと理解促進と活動の協力を求めるが、
実行が伴わないことはよくある。

某組合では、現場に近い職場委員は職場委員会に参加しているだけで、
「活動に参加する姿勢が醸成できていない」「組合批判を組合員と同じようにしている」
などの課題を感じていた。

そこで、執行部を中心に活動を展開するより、
現場の職場委員のやりたいことを実現してもらったほう が、活動に対して主体的になり、
達成感を感じてもらえるのではと考え実行した。

◆具体的に取り組んだ内容で一部紹介  
・お互いの仕事を知るための職場紹介
(仕事の内容や出来上がり製品やこだわりをプレゼン形式で解説&質問)  
・サッカー部の応援バスツアー(バスの中で選手の職場など含めて紹介)  
・他部門と交流目的のボウリング大会  
・資産運用などの勉強会                       ・・・・・・他多数

今までになかった企画が生まれたり、執行部が中心に実施していた内容を
職場委員を中心に実施することができた。

当初、執行部では「いきなり無理だろう」「負担が大きいからどう かな…」
「職場委員から反対がくるんじゃないか」などネガティブな意見もあった。
どれだけの職場で実施できるかはわからないが
「2~3割の職場しか実施できないかもしれない。でもチャレンジしないと前進しない。だから実施するんだ」
との意見でまとまった。

一方で職場委員は今回の新たな取り組み対して当初は、
「やる意味がわからない」「負担が増える」「仕事が忙しくてできないかも」と、できない理由ばかりを挙げていた。

そこで、執行部が「ビジョンの実現には職場委員の協力が必要だ」
「職場委員が組合活動をやってよかったと思える活動にしたい」などと
粘り強く自分のメンバーに説明し説得をした。

さらに職場委員が活動計画を立てる際に、執行委員が一緒に考え、
一体となって活動計画書をつくりあげるようなサポート行った。

企画は全職場が立案し、計画通り実施は8割強の結果となった。
職場委員や執行委員のみんなが「やってよかった、楽し かった」との意見が多数上がり、
多くの人が自信を持った顔に変化したのが私にも感じ取れた。

この取り組みを実施する前と後にアンケートを行った。
期初と期末の計2回、 執行委員・職場委員全員対象に組合の人材育成への取り組みと、その効果を問い、
結果を比較して活動内容の評価を行う。
あわせて次年度の組合役員の育成を計画的策定に活用す る。

そこで、アンケートの結果がどのように変化したのかを一部紹介する。
                設問                            期初     期末    差
  ・活動を行うことで達成感を感じられる         26.5   →  35.3     (+8.8)
  ・活動で自分がやるべきことを理解している     67.6     →    85.3       (+17.7)
  ・組合役員同士で協力して活動を行っている     52.9   →    72.7       (+19.8)
  ・来期も組合の役員を続けようと思う        ▲5.9      →    8.8         (+14.7)
       ※数値はDI値のポイント 

アンケート結果はこの取り組みの要素だけで変化したわけではないが、
「達成感」「役割認知」「仲間との協力」について向上したことは事実。

さらに、組合役員の「継続の意思」がアッ プしたことは、特に興味深いところだ。
このような活動展開から、この結果が出ることは想 定できた人も多いかとは思うが、
わかっていても実際にメンバーに共感してもらい、協力体 制をつくり、実践に移せるかで成果に差がでる。
職場委員がやりたいことにチャレンジできる環境をつくり、後押ししたことで今回の成果に結びついた。

人の育成は育児と同様に、サポートする側が愛情と期待を掛け、自主性を尊重することが大切だ。
広報物を作る前に……立てておくべき組合広報戦略
荏本 太郎
2016/01/17

組合広報担当の方に広報活動の状況をうかがうと、「組合員に広報誌が読まれていない」「ホームページを開設してはいいが、アクセス状況が悲惨」
……などなど、広報媒体の存在認知に対する嘆きが定番。

組合広報の仕様媒体は「メインは紙、一部Web」が多く、速報性、機密性、可搬性、コストなどを考慮して手段選択がなされています。
「掲載する」ではなく「伝える」を目的とした場合、広報物を制作する以前に、組合活動としてどのような広報戦略を立て、戦術化して機能させていくべきか大きな課題です。

広報活動のあり方を考えるうえでクリアすべき課題を下記3つに集約してみました。
1 広報媒体ごと、または記事・コンテンツごとの位置づけを明確にするセグメンテーションの戦略。
2 複数の伝える手段をどのように連動・連携させるのか、クロスメディアの戦略。
3 組合活動のビジョンや方針を踏まえたコンセプトの設定。

■1 対象と情報のセグメントの確認
組合員、管理職、老若男女、家族、地域といった属性による広報対象の選定をする際、組合役員として「組合活動は誰のためにあるのか」を掘り下げておく必要があります。
また、情報コンテンツの絞り込みは媒体別と記事別の双方で行い、作る前に狙いを明確にしておくことです。
ある労組の例では、年4回発行の広報誌では組合員とその家族がオフタイムに活用してほしい情報を届け、月1回のニュースでは組合員に組合活動の進捗を伝えています。
別の労組では、広報誌やホームページ全体のコンテンツを一覧表にして属性別の対象ターゲットにチェックを入れ、漏れている対象がないよう構成を熟慮しています。

掲載コンテンツの決定に欠かせないのは、その対象が何を求めているのかを把握するためのヒアリングや調査。
対象セグメントも情報セグメントも、広報活動の出発点ではあるものの、組合活動全体のサイクルの一部と捉えることができます。

■2 伝達手段の連動・連携
伝えたい一つのテーマについて、さまざまな広報媒体の特長を生かしながら、対象者に接してほしい媒体や場所に導くのがクロスメディア戦略です。
ポスター、ビラ、ニュース、広報誌、ホームページ、SNSといった各広報手段には、それぞれ長所と短所が備わっています。
初期の認知に適した媒体、詳しい説明に適した手段、他媒体に誘導するための媒体・・・・・・など、講じている手段の機能の整理は、結果的に活動効率化にもつながります。

「伝わる」とは、「活動の参加につながったこと」と定義したとき、例えば「複数の手段で職場集会開催の告知に誘導 ⇒ 職場集会への参加数・発言量は?」、
「複数の手段で組合イベント募集 ⇒ 組合WEBからのイベント申し込み数は?」といった具合に広報活動の一時的なゴールを設定しておくといいでしょう。

現状、組合広報の多くで行われているのは、同じテーマについて同じような体裁で複数の媒体に同時掲載するやり方(メディアミックス)です。
もちろん、緊急性や重要度によって「複数媒体の同時多発伝達」が必須な場合もあります。情報と手段の位置づけは、年に1回でも組織内で確認・議論しておくことが大切です。

■3 コンセプトの設定
広報活動は組合活動であり、組合の活動方針やビジョンに沿ったものでなくてはなりません。
組織全体で合意した目指す方向があったうえで、広報活動の目的も決まります。それらのベースの上にコンセプト・編集方針を決めていきましょう。

先述した1や2の戦略を立てる際は、活動に関わる全員でコンセプトの確認をしておくと関与者による記事トーンの違いなど、活動のバラつきが抑えられます。
「伝えることが目的」で進めていた活動が、制作に追われて「作ることが目的」にならないようにする狙いもあります。

以上3点を参考にしていただき、効果的な広報を通じて組合活動に広がりと深みをもたらしていただければと思います。

次世代リーダーの育成
清水 典明
2016/01/10
労働組合でも会社でも次世代リーダーの育成ということは、組織運営において「人」こそ最大の資産であることより皆さんの組織でも取り組まれていることかと思います。
労働組合や会社の様々な資源の中で、自らが変化に対応できる唯一の資源である「人」が、外部環境・内部環境の変化に対応して組織を存続、発展させていける存在である以上、将来組織を担っていくリーダーの育成は必須です。
特に労働組合は運営する「人」の能力やモチベーションで大きく活動が変わる組織であるゆえに重要になります。
具体的には将来労働組合幹部(執行部)を担ってビジョンを描き、組織を構築して動かせるような人材をいかに育成していくかということになります。

そのためには、職場の組合役員の選出による人材育成が基本になりますし、皆さんの組織でも取り組まれているかと思います。
まずリーダーを担えるような人材を職場の役員に選出して、その後活動を通じて育成をしていくということになります。
その際のポイントを以下に記載します。
●職場の役員選出
・現場に選出を任せない
 職場のリーダー的な存在に役員を担ってもらう。活動活性化と将来の執行部育成という観点より何より重要。
・役員担うことのメリットを打ち出している
 役員を担うことで身につく能力などはもちろん、役員になるとこんな人材育成のための研修が準備されていて、自分のためにもなるということを打ち出せているか。

●人材育成
・人材育成のPDCAのサイクルがまわせているか
 ①期待を示して計画させ⇒②経験させて(やらせてみて)⇒③振り返り⇒④改善を考えることを活動を通じて人材育成できているか。
・教育体系が準備されているか
 上記サイクルをまわすための現場でのOJTとともに、組織としての教育体系が準備されているか。

どうしても仕事が忙しい中で、組合活動においては職場の役員育成は現場任せになり、執行部向けの教育のみしかできていないという話をよくお聞きします。
職場の役員を担うことのメリットを打ち出すうえでも、組織としての教育の機会を準備することが今後より求められると考えます。

昨年私が研修会を通じて関わりを持ちました、ある組合での取り組みに感銘を受けましたので紹介いたします。
その組合では10年ほど前に、これからの労働組合を担える次世代リーダーの育成が最重要な課題であるとの認識のもと、どのような取り組みが考えられるかを1年間検討委員会の中で議論をし、実践しているというものです。
以下に概要を記載します。
・職場役員の若手を対象とする
・目的は組合活動を通じてのリーダー育成。広い視野を持ち、周囲への影響力を持ち、問題解決していける人材の育成。
・2年任期の中で、同じ参加者が6回の研修を実施し、活動実践と振り返りもしていく
・研修内容は、組合のビジョンや方針理解、組合役員への期待と役割、会社の経営ビジョン・中期経営計画の理解、リーダーシップ、他労組交流など
関わる中で、長年の実践により、参加者の「私たちは選ばれたメンバーで期待されているんだ」というモチベーションの高さを実感しました。
実際に過去の参加者が執行部になっているということもお聞きしました。

職場役員の組織的な育成の参考になりましたら幸いです。
職場の一体感と組織力を高めるために
吉川 政信
2016/01/03
組織風土、企業文化とは、組織の過去から現在までに培ってきた暗黙のルール、規範、土壌であり、組織に属する一人ひとりの意識や行動様式の集合体です。
組織の風土を変えるためには、組織仕組みやシステムだけを変えても組織はなかなか変わりません。
組織風土は、一人ひとりの意識や行動様式の集合体ですから、それを変えるには、個人の意識や行動様式を変えることが必要です。
つまり、風土改革とは「集団の意識改革」であり、 「人を変えたい」という戦略より自ら変わる仕掛けづくりこそ重要であり、具体的な対策を展開しない限りは必ず失敗に終わります。

また、変革を牽引するリーダーや推進チームが変わっても、組織全体はなかなか変わりません。
一人ひとりの内発的な動機に変化を起こす取り組みこそに成功のポイントがあるといってよいでしょう。
内発的な動機に変化を与えるためには、自分自身が思う疑問や不安を声に出し、組織の中で共有し、自分たちが選択した対策を実行することが効果的です。
組織に属している以上、誰しもが、「今のままでいいはずがない」と思う瞬間を体験したことがあると思います。変革や改善への意欲は組織の中で働く者であれば誰しもが感じているものです。
大切なのは、職場の中で「おかしいな」「もっとこうすれば」と感じることや、職場にある知恵やアイデアを丁寧に拾い上げて対応していく機能が存在し、その存在が組織全体に認知され活用されることです。
また、知恵やアイデアだけではなく、個人の悩みや不安を受け止める存在として機能できれば、働く意欲や帰属意識を高めることにも繋がります。私はこの機能こそが労働組合であると強く感じています。
最近、職場で声が上がらない、職場に無関心、挙句の果てには、最近の社員は指示待ち族が増えているなど聞くことがあります。
声の上がらない要因を別の視点で捉えたとき、そもそも誰に声を上げるべきか、労働組合へ個人的な相談をしてよいものなのかが認知されていないことに問題があるかもしれません。

昨今、労働組合の取り組みは、様々な働き方に伴う各種制度の対応や法改正による労使間での取り決め変更などが急速に進んでいます。
今まで以上に専門性も問われ組合員へ発信する情報も簡単には説明できない懸案も多くなっています。労働組合のイメージが以前に比べ敷居の高い存在に映っていることも組合員の相談機能としての敷居を高くしているのでしょう。
そのような状況だとしたら、日頃、労組リーダーによる組合員への声掛けへの意識を高く持ち、組合員の話に耳を傾けることがますます重要になっています。
私は、普段、職場の課題解決活動や研修会などを通じて労組リーダーに接する機会も多く、時には気になる労組リーダーへインタビューをさせていただくこともあります。
その中で、ある労組リーダーにインタビューをしたときの内容を紹介します。インタビューの切っ掛けは、当社で定期的に実施している組合員を対象とした意識調査の結果で、
組合活動に対する評価や組合役員への信頼度が非常に高い職場があり、どのような取り組みを行っているか気になり実施したものです。因みに対象者は非専従の執行委員です。
「普段どのような行動をとっているのか」「他の労組リーダーとは違う行動をとっているか」などを尋ねてみました。特別な行動をとっていないとの返事の中で、目に見えて行っている行動として、
唯一、継続して行っているものに、組合員との対話を意図的に行うために、自分の管轄する組合員へ積極的に話し掛け、話した回数を記録し、その記録を月に数回確認し、話していない組合員へは次月までに話し掛けるように意識づけを行っている管理表を作成している点でした。
いつも気づくのは、対話を行う組合員の偏りがあることでした。そこで、偏りをなくすために、対話ができていない組合員への声掛けの際、その人の仕事内容や交友関係を身近な組合員からヒアリングし対話の切っ掛けを考えながら勇気をもって声掛けをしているという行動事実でした。
私はこの行動こそが調査結果で高かった職場集会の参加意欲や労働組合の相談機能に対する認知の高さに影響を与えていると感じました。
また、職場集会に参加した組合員へ職場集会の参加理由に尋ねたところ、普段気に掛けてくれている○○さんのお願いであれば、テーマはともあれ出来る限り参加するという声も聞くこともできました。

リーダーの日常の積極的な対話の繰り返しが、組合に対する評価に少なからず影響しているのです。福利厚生制度の充実や処遇改善という衛生要因への対応も大切な取り組みですが、
労組リーダーによる日々の対話活動を通じて、労働組合を身近な存在となり、気軽に相談できる存在だと認識されることも、職場の一体感や労働組合の組織力を高める上で重要な取り組みといえるでしょう。