ゆにおん・ネタ帳

ゆにおん・ネタ帳はリニューアルいたしました。

以降の記事は新ページでご覧ください。

https://www.j-union.com/idea/

全国3700ほどの労働組合とのお付き合いの中で、記憶に残るエピソードや、これは使えるといったネタをご紹介していくコーナーです。

2019年 - 2018年 - 2017年 - 2016年 - 2015年 - 2014年 - 2013年 - 2012年 - 2011年 - 2010年 - 2009年 - 2008年

2017年

理論化できない行動
伊東
2017/12/31
今年のノーベル経済学賞を、米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授が受賞した。
それに伴って関連本が売れていると聞き、人から影響を受けやすい性格の私は、
さっそく本屋に行って平積みされていた「行動経済学」に関する書籍を購入してみた。

はっきり言って経済学については疎いため(といっても疎くない分野があるわけではない)、
何回か読み直してようやく文脈を理解する箇所もありつつ、何とか読み終えることができた。

要するに経済学には信じられている「モデル」や「理論」があるのだが、
理論が上手く当てはまらない「例外」と見なされる現象がしばしば起こる。
「しばしば」起こるくらいだから、その例外を集めて研究すれば、
それもまた体系立てることができるのでは、と考え研究を進めたとのこと。

そして類型化した結果、導き出されたのは「経済理論においては、人間は合理的にものを考え、
行動するものと定義しているが、条件によって非経済的な行動をとる場合もある」ことだった。

いくつかパターンを例示しながら解説しているのだが、
分かりやすいところでいうと「保有効果」が挙げられる。

人はあるものを手放す代価として、それを手に入れるために支払う額以上の金額を要求する。
ものの価値は同一であるはずなのに、「手放す」か「手に入れる」かで価値の感じ方が異なるという事象である。

また、似たケースとして「現状維持バイアス」がある。これはひと言で表現してしまうと、
人は現状のままでいたいという願望を持っており、
それは現状を変えることの不利益のほうが利益より大きいと思える、というもの。 

これ以上あえて詳しくは触れないが(スペースの都合、というわけではない)、
皆さんの活動にも「現状維持バイアス」が掛かっていないだろうか。

昨年度と同じ活動を同じように取り組む。それは効率的で理に適っているように思える。
もちろんうまくいっている活動がほとんどだが、中には変化を求められているものもあるはず。

現状維持バイアスに抗うのは難しいかも知れないが、
場合によっては勇気を出して変えてみるのも良いでしょう。

私も行動経済学に基づいて、さまざまな課題に取り組んでいきたいと思う。
しかしこの文章で言うとカッコ書きの部分は経済的ではない、と個人的には感じている。

良いお年をお迎えください。

2017年を振り返り
加藤瞳
2017/12/25

今年も残すところあと数日となりましたね。

私は今年の4月から営業職を離れ、人材開発グループに異動となり講師業をメインで行うこととなりました。
研修の実施本数は昨年の2倍、研修で会った方は2,000人以上、飛行機の登場回数は32回…

多くの労働組合様の元に足を運ばせていただきました。
私を呼んでくださった労働組合様、本当にありがとうございます。
この場を借りてお礼をお伝えさせてください。 

こんなことを書くと「忙しくなって大変ですね…」と言われそうですが、実は4月まで行っていた営業と講師業を兼務していた頃の方が大変でした。
どう大変だったかというと、お客様や社内の人とのメールが多く確認作業に2時間は平気でかかってしまったり、予定通りに進まず計画を立て直すことが多かったり、提案を考える時間が十分に確保できず中途半端な仕事をしてしまったりと、がんばって長時間働いている割には成果を感じられていない時期でした。

今は日本タイムマネジメント協会の認定講師となりタイムマネジメント(仕事のさばき方)研修を実施しているので、なぜその頃の私が多忙感に追われ、大変だと感じていたのかがわかります。私の場合、1番の原因は「予定を他人とのアポイントで埋めていくことを目的としていた」ということです。
営業職としてはお客様とのアポイントで予定がいっぱいになっているだけで仕事をしている気になってしまい、無計画な訪問や慌ただしい打ち合わせをしてしまっていました。
一方、自分1人でやる仕事、例えば訪問後の報告を書く、訪問後のフォローメールを送る、見積書を作成する、提案を考える、提案書を作成する、プレゼンの練習をする…
といった仕事の質を高める時間を軽視していたのです。
「空いた時間でやろう」なんて思っていても空き時間で対応できるものではなく、仕事がどんどん積みあがっていき日々期限ギリギリで処理をするという仕事の進め方をしていました。


私自身の仕事のさばき方が下手でそんな状況になっていたのに、当時の私は忙しさを他人のせいにしていたように思います。
私のような状況にいる方が少しでも仕事を上手にさばけるようになり、「働きやすさ」と「働きがい」を自ら創っていけるような研修やサービスを提供していきたいと思っています。
きっと非専従の組合役員も多忙感に追われているでしょうね…。
今は組合員向けにタイムマネジメント研修を行っているのですが、来年は非専従の組合役員向けにもサービスを提供できるようプログラム開発していきます。

2018年もどうぞよろしくお願いいたします。

■違いを受容し、共通点を見出す意識
細越 徹夫
2017/12/17

 もうすぐクリスマス! 皆さんはどんなクリスマスを過ごされるのだろうか。
先日、知り合いの外国人と話していたとき「テツオは、クリスマスとお正月と
ではどちらが好きか」という話題になった。
彼は日本に来て14年近くになり、日本人の奥さんと息子さんもいる。日本語
は堪能で日本文化にも造詣が深いデンマーク人である。
「そうだなーどちらも好きだけれど、お正月の方が好きかなぁ」と私が答える
と、彼は「僕はクリスマスが好きだ。でも、日本のクリスマスは私の好きな
クリスマスじゃない」という。なぜなのか?その理由を尋ねると、彼はサッー
とスマホを取り出し何か探し始めた。
その後、これを見てとスマホを差し出した。

スマホの画面を見ると1枚の食卓の写真が写っていた。大きな鳥の丸焼きにの
ようなものに、紫色の食材、ミートボール、パンなど、いたってシンプルな料
理が並んでいた。すぐにクリスマス・ディナーだとわかったが、彼が何を言い
たいのかはよくわからない。
私が大きな鳥の丸焼きを指して「うまそう」というと「なんだと思う」という
ので、七面鳥か?鶏か?と答えると「カモ」だという。

「日本のクリスマス・ディナーは寿司があったり、ピザがあったり。デンマー
クのクリスマス料理と全く違う。しかもクリスマスは賑やかで騒々しすぎる」
という。
「デンマークでは、クリスマスはいつも写真のようなディナーを食べ、クリス
マスツリーを家族や友人で囲んで、手をつないでクリスマスキャロルを歌うん
だ。町の通りも人がいないし、とても静かだ。それが私のクリスマス。日本の
クリスマスは全然違う」と説明してくれた。

日本のクリスマスは商業化されたイベントで海外のとは随分違うという認識は
あった。しかし、直接外国人から違いを指摘されて大切な祝い事の意味に触れ
たのは初めてだった。彼にとってクリスマスはまさに荘厳で神聖な祝い事なの
であろう。楽しさとおいしさで形作られたイベントとしての祝い方しか経験し
てこなかった私としては、神聖な祝い事としての価値観を大切にしている彼の
思いに強いギャップを感じた。

ところで、話は変わるが最近都内を移動していて気付いたことがある。地下鉄
や公共施設などの案内表示に日本語だけでなく英語、中国語、韓国語などの表
記が目立って増えていることである。
2020年の東京オリンピックを迎えるにあたって、海外の観光客を意識した表記
なのか?と考えもしたが、観光客にとどまらず在留外国人を含めた滞在中の
外国人総数が急増しているのが背景にあるのではと考えている。

法務省入国管理局が平成29年3月17日に発表した資料によると、平成28年末の
在留外国人数は、238万2822人で、前年末に比べ15万633人(6.7%)増加 だ
という。
また、国内を訪れる年間訪日外客数は、平成28年で2403万9000人で前年より
21.8%増だというから、急激に増加しているのは間違いないようだ。

そういう状況を考えると、当然、今後、日常の生活や職場などで外国人と接す
ることが増えるだろうし、私たち日本人の価値観とは異なった価値観を持つ外
国人とコミュニケーションを必要とする場面も多くなるはずである。すでにコ
ンビニや居酒屋などで働く外国人と接することも多くなっている。

いま働く現場では、世代、年代、男女など多様な要因を背景にしたそれぞれの
人の働き方とどう向き合い、改善していくかが問われている。いわゆるダイバ
ーシティーの問題であり「働き方改革」を掲げている問題点の源泉でもある。
人の価値観というのは、100人いれば100通りの価値観を背景として持つ。
すべて同じことは考えられない。

いろいろな人種・民族・文化の入り乱れる海外の国では、人と人の関係性を考
える上で、大前提として「人は一人一人違う」というのが基本にあるという。
違うことが前提だから、仕事をする上でも、生活をする上でも、相手の違いを
受容し、共通点を見出す努力と意識が必要になるという。だから、お互いのこ
とを知るためのコミュニケーションを大切にするし、その努力を惜しまない。
まさにこの意識を私たち日本人の中に根付かせることができるのか、それがあ
らゆる問題の解決策のヒントにつながるのではないだろうか。



働き方を変えるための第一歩
渡邊祐
2017/12/10
従来の働き方を変えることは非常に難しい。
良くも悪くも体に染み込んだ自分なりの考え方や行動を急に変えろと言われたら戸惑うのも無理のないことである。

私たちは仕事も私生活も充実した人生を送りたいと願っている。
これは労使が共通して持っているありたい姿であり、想いは合致しているのである。
しかし、そのありたい姿を実現するために導入される各種施策が労働者の苦悩を生む原因にもなっている。

一人ひとりが担う役割は増え、新たな領域へのチャレンジも求められている中で、従来よりも短い時間で成果を出さなければならない。
今までと同じ意識や行動では自らに求められている役割は遂行できなくなってきている。

私たちが理解しなけらばならないのは、なぜ働き方の見直しが求められているのかである。
目指しているのは労使共通の目的実現である。
顧客や市場への貢献はもとより、働く私たち一人ひとりの幸せの実現のために行っていることを理解しなければならない。

経営の想いは現場にきちんと伝わっているだろうか?
また、現場の苦悩は経営にきちんと伝わっているだろうか?

労働組合はいつの時代においても、この役割を担ってきた。
しかし、働き方が多様化している中で、すべての組合員に想いを伝え、声を吸い上げることで、課題解決につなげることが難しくなっている。
だから、個別の労使関係において、職場の課題は職場で解決していかなければならないのである。

職場それぞれで抱えている課題は異なるし、解決するために有する資源も異なる。
自分たちが抱える課題の多くの答えは自分たちの中にある。
だからこそ、現場労使の関係性を深め、それぞれの知恵を結集して解決していくことが必要になっている。

できない理由を誰かに求めても解決することは難しい。
自分たちの働く職場を働きがいの感じられる職場にしていけるのは自分たち自身である。
どうすれば当事者意識を高め、主体性を発揮した働き方へ変わっていくことができるのか?

まずは、自分たち自身で理想の状態を描くこと、そして、自分たちの働き方を見つめ直すことであると考える。
自らに求められる役割を遂行するために権利を主張するのであれば、自らに求められる義務を果たさなければならない。
定められたルールをきちんと理解し、運用できているだろうか?
労働者が適正な労働環境で働くことができるように長い年月をかけて労使でワークルールを定めてきた。
働く私たち一人ひとりが自らが活用できる制度を正しく理解し、運用することが働き方見直しの第一歩ではないだろうか。

私たちにできることは必ずある。
すぐに理想の状態を実現することは難しいかもしれないが、そのための小さな一歩を踏み出すことはできるのである。
そこに気づきを与え、背中を押してあげる存在が労働組合であると改めて感じる。

どのような一歩を選択するか、皆さんと一緒に考える機会をいただければ幸いです。
職場自治のためにはコミュニティづくりから
大川 守
2017/12/03

地域コミュニティの衰退が社会的コストを増大させている

 

現代日本には社会問題が山積している。国内の問題だけに絞って数例を挙げると、少子高齢化問題にはじまり東京一極集中と地方都市・農漁村部の衰退・過疎化など枚挙に暇がない。限界集落が全国に散在し、都市の居住地域でも空き家問題を抱え、社会保障は歳入減少・歳出拡大の状況だ。まさに人と社会のサスティナビリティ(持続可能性)が問われている。

さらにこれらの広域で定量的に観測できる事実のみならず、直接的な利害関係を共有する地域共同体(コミュニティ)についても活性化せず衰退が進行していると言われている。

子供の教育に関しては、学校教育・家庭教育・地域教育のどれもが重要なことは教育学でも定説となっている。学問は学校で、社会性は家庭と地域で学んでいくのが自然であり合理的でもあるはずだがバランスを欠いている気がする。

また高齢者の介護に関してはどうか。かつては家庭や地域で各世代が助け合うという意味でも地域コミュニティが機能していたが、いまでは受け皿が足りずに家庭内老老介護か介護施設でのサービスに頼らざるを得ない人が増え、それさえもキャパシティをオーバーしている。

これらは日本の都市部でも地方でも起きている問題なのだが、共通するのはコミュニティの弱体化による社会的コストの増大という現実的な問題でもある。

 

人々はコミュニティを求めている

 

では現代人が社会との関わり、他者との関わりを望んでいないのかというと、そんなことはない。例えばラインやツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどのSNSで「つながる」という意味では多数の人々が過剰なまでに関わりあっているようにも思える。確かにSNSやメールなどのITコミュニケーションツールは便利で楽しいものでもある。必要なとき、気の向いたときだけ“気軽に”連絡が取れる仲間がいることは物理的・時間的な壁を超越した21世紀型のコミュニティとして確立してきている。

それに対して現実の地域コミュニティではメリットの享受だけでなく、さまざまな役割や責任も伴うため、負担も強いられる。また、さまざま“しがらみ”も発生しやすいために面倒だと感じることも多い。これは企業内の職場でも同じことではないだろうか。関わりあいは求めているが、何らかの負担や“しがらみ”からは開放されたいと、どこかで感じる部分もあるだろう。

人間は根源的に社会との関わりを求めていることは、かのA.マズローによる有名な「欲求階層説」でも知られるところであるが、現代人はリアルのコミュニティよりバーチャルなコミュニティで社会的欲求(帰属欲求)を満たしているのかもしれない。集まった「いいね」の数は承認欲求さえ満たしているかもしれない。

 

組合活動は職場が原点

 コミュニティ・デザイナー 山崎 亮氏は、人口減少などに悩む数々の地域で「コミュニティ活性化プロジェクト」を成功に導いているが、取材記事や著書の中で次のような秘訣を述べている。

 「その地域に住む人たちが本当にやりたいと思うこと、当事者意識を持って行動できることを第一に考えている。よそ者の自分に『こんなことしたらどうですか?』などと言われても受け入れられるわけがない。」

 「活動が継続するためには楽しさが必要なんです。楽しく活動すれば、次はこんなこともやってみようと、いろんなアイデアが住民から出てくるんです。」

 労働組合活動の中でも「自分たちの職場を自分たちで良くしていく」という「職場自治」の考え方を運動方針としている組織は多い。組合活動は職場が原点なので、さまざまな職場課題や組合員の悩み・不満・不安に向き合って取り組むことこそ重要な活動なのだ。しかしながら肝心の「職場コミュニティ」が弱体化していると、それさえも機能しなくなってしまうのは明白だ。

 

職場コミュニティの活性化が職場を、会社を強くする

 

みなさんの組合では、地域コミュニティと同様に「職場コミュニティ」も弱くなってはいないだろうか。確かにリアルな人間関係は楽しさだけでなく「わずらわしさ」もあるかもしれない。しかし、そこを乗り越えなくては職場自治が主体的に行われている状態など望むすべもない。

これからの労働組合は自分たちの「職場コミュニティ」を組合員自らがデザインし、自発的な行動につながるような仕掛けづくりが重要だろう。そのときの最大の秘訣は「楽しさ」に違いない。

自分が働く会社は「良い会社」ですか?
池上 元規
2017/11/26

「あなたは、今の働いている会社は良い会社だと思いますか?」

「どのような会社が良い会社だと思いますか?」

と質問されたらどのように答えますか。

 

そもそも「良い会社」とはどのような会社か。

 

私はセミナー中に受講者によくする質問。
例えば、某ファミレス労組では8割以上、自社が良い会社と言い、会社に対する愛を語る。
某自動車部品メーカーでは4割程度の人が良い会社と言い、理想と現実のギャップを語る。

当然だが組織によってさまざまだ。

良い会社の定義については、「給与か高い」「休みが多い、しっかり休みが取れる」
「仕事で評価される」「自分が成長できる」「風通しが良い」「働いていて楽しい」
「家族や友人に誇れる」「社会から認知されている」などと挙がる。

 

私は「良い会社」の定義として下記の2点を掲げている。

①常に顧客市場から評価・支持されている会社

(社会・地域に貢献し、社会のルールを順守し信頼を得ている会社・職場)

(自分の会社が社会から信頼を得られていないと、存続・発展もなく労働条件の維持、改善も厳しくなる)

②働きがい、生きがいを感じられる会社

(仕事を通じて仲間と協力しながら、お互いを認め成長できる会社・職場)

 

労働組合が会社と一体となって取り組むことで「良い会社・職場」の実現につながる。

 

議案書にもよく書いてあるように、組合は「良い会社・職場」づくりを目指して活動をしているのではないか。

 

では、みなさんの組合員に冒頭の「自分の会社は良い会社か/良い会社の定義とは」と質問をしたら、
どのように答えるのでしょうか。

 

組合員からどのような回答が出るか分からないが、そもそもどんな会社が「良い会社・職場」であるかを、
組合は組合員と意識合わせをすることで、組合活動の目的・方向性の理解が深まると思う。
みんなが思う「良い会社・職場」とは何か、どうすればいいのかを議論を進め、
組合員一人ひとりが仲間とともに、自分たちで実現させることが、組合活動であると考える機会にもなる。
同時に組合は、職場にどのような仲間が多くいたら実現に近づくかを、考え、描き(ユニオンビジョン)、
個人と組織の育成を導くことも大きな使命。

 

私はこれからもこの会社で、組合員と労働組合の成長と発展を支えていきたい。

情報伝達のヒント
荏本
2017/11/19

組合活動における組織内コミュニケーションについて何人かの組合役員と話す機会がありました。
相手に何かを伝達するために再認識したポイントを3点ご紹介します。

■一般的な情報 ⇔ 組織内の情報
ニューストピック、ネットや本から得た情報・知識、講演会等で学んだ知見などは、
そのまま紹介しても、どこか他人ごとに捉えられがちです。自分ごとと感じてもらうためには、
身近な例を交え、具体的なイメージをつけてもらう必要があります。

【広く一般的な話 ⇔ (所属地域・会社など)狭めたコミュニティになぞらえ ⇔ 相手個人との関わり】
 例)政府の税制改革議論 ⇔ 私たちの業界や会社が受ける影響 ⇔ あなた自身が受ける影響

伝達構成のアレンジができる場合、個人に近い例を最初に打ち出すほうが興味や認知を促し、
いわゆる"引き" ”つかみ”として効果が期待できます。

■過去の出来事 ⇔ 未来への備え・学び
組合活動は、会議・協議・行事などの報告が、口頭、紙媒体を問わず非常に多いです。
起きたことの記録の伝達に終始すると、聞き手や読み手の気持ちは次第に離れていくでしょう。
相手が知りたいのは、その出来事から何を学べるのか、自分や自分の職場にどう役立つのか、です。

 例)労使協議報告で人事制度改定 ⇒ この改定後に必要とされる能力・行動を例示

もし、皆さんが報告やレポートを展開するとき、そこから得てほしい未来への備え・学びを
伝えられているでしょうか。

■質問への回答・要求への対応 ⇔ 新たな視点の提供
組合員の声やニーズを集め、それに対する回答・対応は日常活動として大変重要です。
一方で、相手に新たな気づきをもたらすような情報提供が必要性を感じます。
既存の枠組みで思考しているが故に出る不平・不満も、新しい視点・広い視野で捉えれば
自身の中で消化できることかもしれません。
組合役員は職場を引っ張るリーダーとして、組織内外問わずアンテナを張り、インプットが求められると言えます。

人にモノを伝えるのは、奥深く、容易いことではありません。
今回ご紹介した視点は一例であり、相手の属性や数を考慮すればさまざまなポイントを見出せると思います。

日々情報伝達を実践するみなさんも、その結果を振り返りながら、伝わるコツを考えてみてはいかがでしょうか。

心の拠り所
清水 典明
2017/11/12
皆さんにとって心の拠り所(支えや頼りにするもの)ってどんなものでしょうか?

仕事や人生で精神的に辛い時など支えになるものとして、私であれば、家族や会社・職場のメンバー、今までの経験ややってきたことへの自信を持つといったことがあります。
大きくは、
・他人や職場といった場所や物
・自身の中にある考え方や経験、スキルなど
に分けられるかなと思います。
もちろん他人や場所は失う可能性がありますので、自分自身の中での拠り所で自己解決をしていくのが大事ではありますが、私自身は常にそうできないなと思いますし、今までの
経験ということで考えてみても、そこには他者の関与や評価といった関わりの中で構築されたものです。
また、人は自分の存在価値が確認できる所属欲求があり、地域社会や家族、会社や職場で感じれた時、拠り所になるんだと思います。
他者との関わりの中で感じられるということを考えた時、人はどのくらい1日の中で他人と会話(対話)するのかというとそれほど多くは無いのではないでしょうか。
朝家族と食事を囲み、家を出て職場へ行き、メンバーや会社の関係者、外部の取引先、終業後には同僚や友人と食事やサークルなどへの参加‥、顔が見える範囲での多くない
人と日常過ごしています。そう考えた時に、職場や会社というのは、人生の中で大きな自分の存在価値を感じられる「拠り所」になっているのではと思います。
また、仕事ということを通じて何のために働き、どう生きるのかという根源的で重要な問いかけをする場でもあります。

その職場や会社が拠り所ではなくなってきているということを、労働組合の役員の方と話をする中で感じています。
組織や職場の形態の変化が速くなり、信頼関係や存在を認めあえるような時間がなくなってきている‥、働き方の多様化で仲間意識を持つことが難しくなっている‥、変化や競争
の激しい時代で際限が無い成果を求められ、自身の価値を感じにくくなっている‥、など。

労働組合としても拠り所として、職場や会社を感じてもらえるような、自身の存在価値を感じられるような取組みをしていくことが、従業員(組合員だけでは無い)の働きがいや生きがいを
高めるためには今後より重要になってくるのではと考えます。

そのために、
・組合役員を中心とした職場のコミュニティをより活性化していく取り組み。そのための職場役員育成
・求められる職業能力への育成への関与
といったことが考えられます。

活動の参考になりましたら幸いです。

対象者別アプローチの必要性
三橋 秀郎
2017/11/01

 以前、新聞に掲載されていた記事に、ジャパネットたかたの元社長 高田明氏が興味深い内容を
掲載されていたので紹介いたします。

家電量販店や他の通販会社と同じ商品を扱っているのに、なぜ顧客から支持されているのかヒントになる
言葉を見つけました。

高田氏の特徴的なハイトーンボイスで興味を引きつけるのはもちろんのこと商品説明のトークポイントとして
社員全員に共通しているのは「幸せになれる商品の使い方」を説明しているとのことです。

 例えば、ボイスレコーダー1つとっても、
高齢者向けには「明日の予定を忘れないように吹き込んでおきましょう」、
働く母親には「『おやつは冷蔵庫にある』と録音すれば子供は喜びますよ」、
と助言するだけで新たな市場が拓けるとのことです。

常に顧客が知りたいことを、どれだけシンプルに伝えるかを気を付けている。 

また会社のミッションについても組合活動と共通するかと思われるので記載します。

●ジャパネットたかたのミッション(使命)
①商品の先にある「生活」や「感動」を届ける
②身近で便利で安心・快適な買物手段であること
③商品の最大限の価値を伝えること
④楽しさ、面白さ、元気を与えること

 これを組合活動に置き換えると以下のような表現になるのではないでしょうか。
①組合に関わることにより生活の向上や充実、活動に参加することによって感動が得ることができる
②身近で安心して相談できる組合役員がいる
③組合役員を担うことにより自己成長につながる。組合を活用することにより自身にメリットがあることを伝える
④活動に参加することによって、どのような楽しさ、面白さ、元気が出ることがあるのかを伝える

 
労働組合でも、組合員にわかりやすくシンプルに活動を伝える。

また組合員が幸せになれる組合の使い方を全員一律に同じように伝えるのではなく、
対象者別(年配や家族、若手などそれぞれの対象者に応じて)に、どのように活用したら
良いか伝えていくのが必要ではないでしょうか。
伝えたいことの伝え方
三浦 卓也
2017/10/30
今の世の中、日常生活のなかには情報が溢れ返っています。
テレビ、ラジオ、雑誌や書籍、ホームページにメルマガ、最近はSNSなどなど・・・。
当然、仕事や家庭生活があれば、情報に接触できる時間は限られるので、それらの
限りある時間を、それぞれのメディアが知恵を振り絞って取り合っているのが、
今の時代なんだと思います。

振り返って、労働組合からの情報発信を考えると、対象としている組合員は
同時に社会の構成員であり、生活において会社や組合から以上に、上記の様々な
メディアからの情報を同時に受け取っています。

ですので、それら情報発信を「専業」とする企業が発信する情報と競合するカタチで、
自分たちの伝えたい情報を組合員の方々に伝えていかなければならないわけで、
そのハードルはとても高く、担当者の方々の苦労は相当でしょう。

ホームページやメールマガジンの閲覧率や既読率を意識するご担当者が
多いことからも、そのことが伺えます。

それだけに、情報発信をする側が、どのようにその情報を発信していく
か、は相当に重要ですし、またそこを考えずに発信することは、せっかく
かけている大切な時間を、無駄にしてしまうことに繋がるかもしれません。


発信する情報の中身や表現方法を考える際に大切なことは、

①誰に対しての情報か
②その相手にどう思って(感じて)もらいたいか
③その結果、どういう反応が発生するか

を明確に決め、それに対して最善な手段をとることに尽きると思います。

これら①②③を常に意識し、明確な意思を持って情報発信していく
ことは、意外と時間と知恵が必要になってきます。

例えば①について、未婚の男性とするのか、既婚の男女とするのか、A工場の
勤務者とするのか営業職の女性とするのか。。。。当然ターゲットを
狭くすればするほど、相手の特徴に絞った情報発信がしやすくなります。
まして、発信する側と同じような立場の人であれば、想像することも容易だと思います。
逆に幅広いターゲットを対象にすればするほど、内容は最大公約数的なものになって
しまい、結果としてリターンはそれなりにとどまる可能性が高くなりがちです。

②や③については、情報を発信する側の「期待」が非常に強く出てしまう
もので、伝え方の表現が、ついつい思い先行になりがち、一人相撲になりがちになります。

1)と組み合わせて考えることにより、②③の難易度が変わってくることを意識し、
それに合わせた情報発信の仕方を考え、選ぶことが大切です。

また発信する(された)情報には、

[A]即時性の高い情報
[B]継続性の高い情報
[C]蓄積性の高い情報

の3種類が存在します。
テレビのコマーシャル、雑誌などは、[A]の側面が強い(発信した情報に対して、すぐの
アクションを期待する)ものが多いと思います。
逆に、専門書や年次資料的なもの、ネットでいえばWikipediaなどは、[C]の側面が
強く、情報発信時に大きな反応はないものの、長い時間の間で細く、長く利用される
情報と言えるでしょう。
定期情宣誌や新聞、メールマガジンやブログなどは[B]の側面が強く、定期的に
発信され続けていくことで、徐々に期待する効果を現れていくものかと思います。

最近ではSNSなど、基本的には[A]の側面が強いものが[B]や[C]的に利用されたり、
youtubeなど[C]の側面が強いものが[A]の効果を発揮したりと、必ずしも、
利用する媒体で決まるものではなくなってきていますが、情報発信時に、
これは[A][B][C]のどのタイプの情報として発信するのか、を意識することも、
発信する情報の中身を考える①②③と同じくらい大切だと思います。


まだまだ自分自身、上記のことを意識して出来ていないことが多々ありますが、
ご相談いただく多くのお客様の情報発信に、少しでもお役に立てられるよう、
引き続き学んでいきたいと思います。