おかげさまで無事に希望の保育園に入所でき、職場復帰しております。
娘は保育園でいろんな経験をし、日々成長した姿をみせてくれています。
本当に良かったと思う反面、保育園に入れなかった子はどうしているのだろうと思います。
私の住んでいる地域は特に待機児童が多く、保育園を希望して実際に入所できたのは3割でした。
今の保活の状況は本当にひどいもので、保育園に入れるために夫婦が離婚をするのはわりとあることらしく、
役所のほうも「片方の住民票が動いて実際に住んだ形跡がなければ駄目」などの対応策まであると聞きます。
いろいろな情報があり、どう動くのが良いのかわからない中で、件の「保育園落ちた、日本死ね」の言葉が頭の中をリフレインする毎日でした。
この言葉は、人によっては不愉快らしく否定的な意見があったと聞きます。たしかに「死ね」はよくない言葉だと思います。
しかし、一方的な非難は、想像力がなさすぎます。真夏の暑い日に首が座らないわが子を抱いて保育園をハシゴする日々。
いよいよ保育園の結果発表が近づいてきて「落ちたらどうしよう。仕事なくすかも」と心臓が鼓動をうち朝まで眠れない日が何度もありました。それでも落ちる人はたくさんいるのです。
ダイバーシティを実現するには、柔軟なマインドが必要です。ですが、私たちは普段見たいものしか見ていません。
ダイバーシティ研修でも、いかに自分たちが柔軟な思考を持っていないかという経験をしていただいています。
ですがそれは仕方がないことですし、悪いことではありません。だからこそ、自分の固定概念に気づき、自分が持っている視野を15度だけ広げて見ることが重要です。
これをダイバーシティアンテナといいます。私たちは自分が経験していないものについて想像しにくい。
だからこそ、未経験のことにどれだけ想像力をもてるかということが重要になってきます。視野を少しだけ広げると、全然違う視点で見ている人がいるということに気がつくことができます。
私自身も固定概念は強いほうだと思います。ですが「本当にそうだろうか?」と自分の考えを一時保留する癖がつき、そうすることで選択肢が広がりました。
これをお読みの皆さんは、自組織の女性の活躍を支援しなければならない立場の方たちだと思います。私のところにも日々相談が寄せられます。
よく伺うお話が「女性たちの仕事に対する意識が低い」というものですが、本当にそうでしょうか?
そういう人も中にはいると思いますが、女性全員がそうでしょうか?
逆に男性は全員仕事に対する意識が高いと言い切れるのでしょうか?
もちろん組織全体の話をするときに、そういう傾向があるというのはわかります。
ですが、現場の一人ひとり(特にマネジャー)がそのような思い込みを持って女性と仕事をしていると、なかなか女性活躍は進みません。
先日、女性対象の研修で、受講生の一人が「上司に『女は黙って言うことを聞いていればいい』と言われた」とおっしゃっていました。
さすがにその話は、その場にいた全員がのけ反るほどでしたが、他の受講生もおおむね「今のままでいい」と言われているようです。
上司に戦力として期待されていなければ、仕事に対する意識が低くなってしまうのも無理からぬ話です。特にワーキングマザーともなると、
自分としては育児休暇前のようにバリバリやりたい気持ちがあっても、子供のことを考えると言い出せないジレンマがあると思います。
せっかく大変な思いをして保育園に入所できても、職場では戦力外のように扱われ、自分自身も両立に疲れ、
保育園に預けたことを疑問に思って働くモチベーションが下がる方も少なくありません。
一方で、組織の中心は「女性活躍」で盛り上がっており、そういったテーマの研修に出席させられることもあります。
もし自分が当事者だとしたら、この組織のダブルスタンダードをどのように思いますか?
これは特別なことではなく、本当によくある組織のパターンです。
寄せられる相談の中で、次に多いのが「女性活躍といっても何をしてよいかわからない」というものです。
もしこれをお読みの方で同じように感じている担当者の方がいらっしゃったら、是非いろいろな立場の女性組合員の話を聴いてみてください。
その際、相手の話に即反応して、レッテル張りやアドバイスをするのではなく、ダイバーシティアンテナを広げて聴いてみてください。
想像してください、相手のことを。相手の置かれている立場、状況、思いを丁寧に受け止めることで、見えてくるものがあるのではないかと思います。