先日、ある地方金融機関の従業員組合の新たな活動の一歩を踏み出す場に立ち会った。
厳しい経営環境の中、労使一体となって企業価値を高めるために、従来のトップダウンと言う名の執行部任せの活動から脱却し、職場リーダーを主体とした活動、すなわちボトムアップ型組合活動をスタートさせた。
その活動に対する経営者の理解、組合員への浸透を促す手法として業界新聞へ情報を提供した。
以下は、その原稿。
○○○従業員組合では、「自ら考え行動する組織」を目指し、「原点と変革」をテーマに一年間の活動をスタートさせた。
「原点」とは、良好な労使関係に基づき、従業員組合として、企業の存続発展に貢献すること。
「変革」とは、従業員組合の価値である現場のリレーションとボトムアップによる主体的・自律的な問題解決力の向上と位置づけている。
今期の活動の特徴は、これからの地銀のあり方、未来の自分たちの「ありたい姿」を職場の仲間と一緒に描き、そのために組合員個々が自分たちに出来ることを職場の活動目標にすることである。
「従来の組合活動では、一部の組合役員が活動方針に沿って活動を進めるため、組合員の自主性を尊重する活動になっていなかった。」「今回の活動は、本来の組合活動の強みにフォーカスした職場の組合員の可能性を引き出す活動である。(△△委員長談)
今定期大会で発行した「ユニオン・ガイド」には、本年7月に実施した「職場実態・意識調査」の結果報告が掲載されている。その結果から、○○○銀行における目的志向型人財の特徴が示されている。
組織の中で仕事に対する普遍の価値観を持ち、常に顧客に、組織への貢献を目的と捉え行動する従業員の姿が浮かび上がった。その調査結果を組合員にフィードバックし、職場単位でその行動の背景や行動の特性について話合いながら、自分達の職場の目標を決める。
これらの一連の行動を従来から存在する職場集会の場を活用して展開する。また、その会議の結果については、職場単位の労使協議会へ報告し、経営側の協力を仰ぎ、まさに労使一体となって、職場を良くする活動を展開し、生産性の向上を実現しようとするものである。
具体的には、11月に第一回目の職場集会を開き、半年後の理想の職場イメージをロードマップの作成を通じて共有し、活動の目標を決める。
翌年2月の第二回目の職場集会では、活動の振返りと、更なる職場としての目標の設定を行う。
そして、翌年5月の職場集会で、半年間の活動による成果や今後の課題を整理し、引続き、組合活動の活動目標を決定すると同時に、自分たちの会社を良い会社にするために従業員組合へ、経営者へ提案をすることになっている。
△△委員長は、「今回の取り組みは、経営と現場が一体となって顧客満足を創造し、組織の存続発展に貢献する、これからの組織のあり方を模索する新たな挑戦である」と言う。
以上、経営者が労働組合を組織パートナーとしての認識を促すための「パブリシティ対策」の参考にして頂ければ幸いです。