ゆにおん・ネタ帳

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2012年

「元気」の源
細越 徹夫
2012/10/21
♪♪~
 おれたちは進む 胸に使命いだいて
 調子合わせ進むしぶいビートにのって

 遅れるな カメ カブトムシ カピバラ
 とにかく 前へ進め 号令 かかるまで...♪

朝、NHKのEテレ「0655」という番組の「お知らせコーナー」で使われているアニメ
ソングの歌詞である。
定期的に変わる楽しいアニメや映像とともに流されている番組のテーマソングだ。
通勤前のあわただしい朝、ニュース以外にいま一番気に入っている番組となっている。
渋いビートにのって、ペンギン、カメ、カブトムシ、シカ、カピバラが低テンションで
行進する様は、活力とはほど遠いやる気のないイメージなのだが、なぜか元気をもらっ
ている。
ちなみに、先の歌は「進め!よんきびう隊」というタイトルで「アナグラム」を使って
趣向を凝らしたものだ。
どのような番組なのかご興味が湧いた方は一度ご覧あれ。

ところで、ここ最近、個人・組織・社会いずれの場面でも「元気がない」と感じさせ
られることが多い。先の大震災でも多くの有名人が、被災地へ出向き現地へ元気を届け
に行った。ところが、訪れた彼らのインタビューには「元気を届けに行ったのですが、
逆に元気をもらいました」というインタビューが目に付いた。
そんなインタビューを見るたびに我々は「元気をもらってくる」ばかりではなく、元気
を与えれるようにしなければならないと感じるのである。

以前、朝の出勤前に玄関で家内が「がんばろう・・・」と掛け声をかけてきた。体調が
すぐれなかった私への励ましの一言だった。黙っていた私に「こういう時は元気が出な
くても「おぅー」というもんだと言ってくる。私もその言葉にしたがって、あらためて
「おぅ~」と応えた。なぜか元気が出てくる。不思議なものである。
カラ元気や元気のフリでも、口に出して行動に移してみると、だんだん本当に元気が
出てくることがあるが、まさにその典型例だ。

日々仕事をするうえで、「元気」という要素は個人に限らず組織にとっても大切なこと
だ。
元気な人は、その人に限らず周りをも元気にする力を持っている。元気な職場はそこを
訪れる人へも気持ち良い活力を与えてくれる。
元気の源は、個人にも、組織にも、社会にも必要なものなのである。

さて、朝、「元気がない、元気が出ない」と感じたとき、あなたならどんな対処策を
講じるだろう。軽い運動をする、ドリンク剤を飲む、元気の出る音楽を聴く...。
私の場合、なんか元気が出ないなーと思ったとき、ユーモアを交えて「うばろんが」
と呟いてしまう。
少しの笑顔とともに元気の源になっているような気がするのである。

実態を正しく把握し、活動へと活かすには?
渡邊 祐介
2012/10/14
 弊社では多くの組合様で調査活動のお手伝いをさせていただいています。
 組合員の意識を定量的に把握する調査や、ある特定の項目について職場の現状を明らかにする実態調査など、調査の目的に応じてその内容は多岐にわたりますが、多くの組合様ではこの調査結果を基礎資料として、組合が進むべき方向性(ビジョンや運動方針)を検討したり、具体的な活動内容を決定されています。

 意識・実態調査の結果は、いわば組合員の声であり、当然のことながら組合活動へ反映されなければなりませんが、調査結果(数値)を額面どおりに受け止めて課題認識し、改善活動を決定してしまうことは一方でリスクを伴うことにもつながります。
 共通の設問によって行われる調査の結果だけでは、組合員や職場が抱える真の課題までは把握することができません。仮に違う属性で同じような傾向(結果)が出たとしても、属性ごとにその結果に至った背景は違う可能性がありますし、もしかしたら数値結果と現場意識には乖離があるかもしれません。
 目的が明確な調査を実施すること自体はとても有意義なことですし、組合活動を検討していくうえでも必要不可欠な取り組みですが、現場が抱えている課題とその課題を改善する活動がミスマッチな状態になってしまっては元も子もありません。

 そういった状態をつくらないためにも、調査結果に基づいた仮説(課題)を立案し、立証するための定性的な調査(=現場に赴き組合員の生の声を拾うこと)がとても重要となります。とは言っても、すべての組合員に直接ヒアリングをすることは現実的に難しいことです。職場集会などの場を活用していくこととあわせて、まずは、小さい単位で活動を進捗させることをお勧めします。

 通常は調査結果の傾向が比較的良くなかった属性から現実的に対応可能な単位で対象を選定し、直接ヒアリングなどを行って仮説を立証していきますが、往々にしてネガティブで他責な発言しか出てこない場合が多く、改善活動の検討に頭を悩ませてしまいます。
 そこで、少し視点を変えて調査結果の良かった属性をヒアリング対象に選定し、他の属性では課題と思われている項目に対して、なぜその属性では良い傾向になっているのかを具体的行動レベルでヒアリングしていきます。そして、その属性の行動をモデル化して調査結果の悪かった対象に対してヒアリングを行っていくのです。
 そうすることで、最初はネガティブな発言に終始するでしょうが、その解決策として成功モデルを具体的に提示し、「その行動がなぜ今の職場でできないのか?」、また、「そもそも、そういった発想がなかったのか?」など、うまくいっていない原因をうまくいっている行動と比較しながら細かく確認していくことで、本質的な課題が明確になり打つべき対策も見えてきます。そして、小さい単位でその改善活動を実践し成功体験を横展開することで、上が決めた改善活動ではなく自分たちの仲間が実際に行って成功した改善活動となりますので、現実的で取り組み可能な活動として組合員は認識してくれます。
※もちろん、これら活動の経過を全組合員に都度紹介し、取り組みを認知させていくことの必要性は言うまでもありません。

 今回ご紹介した取り組みは改善の輪を徐々に拡げていく活動となりますので、時間のかかる取り組みですが、どこかのタイミングで誰かが始めなければ課題を改善することはできません。単年で区切った活動とするのではなく、複数年を見据えた中期的な活動として取り組んでいただければと思います。

 そして、微力ではありますが、我々もその仲間に入れていただきご支援させていただければ幸いです。


改めて問われる「日本的経営」の優位性
大川 守
2012/10/07
日本的経営の三種の神器

かのジェームズ・C・アベグレン氏(2007年5月没)が、著書「日本の経営」の中で、日本の経営が年功序列・終身雇用・企業別労働組合という、世界的に見ても珍しい制度・慣習を基盤にしていることを明かしたのは今から半世紀以上前(1958年)のことである。
後に「日本的経営の三種の神器」と呼ばれるようになったこれらの日本的雇用慣行は、日本経済の浮沈、さらにいえばグローバル社会における日本企業の躍進と混迷の変遷により評価そのものが変動しているように思える。
 わが国では「失われた20年」とも言われはじめている経済の低迷の中で、多くの企業が成果主義型賃金処遇制度を導入、早期退職制度を導入し恒常的にさえなりつつある。労働組合に至っては組織率18.5%(2011年)という低迷ぶりである。つまり「三種の神器」が有名無実化してきているといっても過言ではない。

「三種の神器」のメリット

メリットを時代背景から捉えると、高度経済成長期には圧倒的な労働力不足があり、消費者物価の上昇率も高かったため、各企業は労務政策として大量採用→長期雇用→均質化したマネジメントの必要性があった。働く側からも長期雇用や右肩上がり賃金で生活の安定・安心が約束されていた。産業も少品種大量生産や一括仕入れ大量販売の時代であり、大多数の労働者にとって働き方自体が「質より量」でもあった。
 一方で、この長期安定雇用システムはさらに特筆すべき成果を生み出した。それは短期的には成果を生み出しにくいとされる「基礎研究分野」や「生産管理システム」、「高水準の顧客サービス」などである。筆者の理解としては、長期雇用・中長期的業務評価により、各分野で「仕事の本質」をじっくり追求できる雇用慣行が成立していたという事実である。
 現在も世界的に高い競争力・水準を持つ「素材分野」、「部品」、「ものづくり品質」、「組立工程」、「各種サービス分野」などは、すべて個々の労働者の熟練と連携によって生み出されたものなのだ。

「日本的雇用」への批判

現代の企業活動が歴史的に見ても「激動の時代」にあることは疑いのないことであろう。技術の進歩、市場の変化、いわゆるグローバル経済などである。ビジネスの成功モデルも長期安定は稀で、短期間で乱高下する時代だ。こうなると私たちの働き方も変化対応が求められ、しかも短期間での成果を求められれば、「良いもの」よりも「売れるもの」を開発し、売りまくらなければならない。ここに「日本的雇用」との親和性が少なくなってきているのが現状ではなかろうか。しかも短期的視野の株主からは固定費でもある人件費の高位均衡には批判がつきまとう。自己資本比率が低く、かつ業績が低迷している企業の経営陣からすると、どうしても日本的雇用を維持しにくくなっている現実がある。

だからこそ「企業別労働組合」の強みを発揮せよ

もともと米国人のジェームズ・C・アベグレン氏が企業別労働組合を「日本的雇用」の優れた面として紹介していることは、とても示唆に富んでいる。その意図するところは「使用者と労働者が相互理解のもと協力する共存共栄の精神」にほかならない。先の終身雇用制度も原文では「ライフタイム・コミットメント」であり、コミットメントという言葉は約束・盟約・忠誠・一体化などという意味でもある。
 そもそもみなさんの企業は優秀な人材の宝庫です。しかし、残念ながらその能力を存分に発揮できていない人が存在したり、部門間で連携が取れないなどの問題も多いのではないでしょうか。
 これからの労働組合の役割は「人材育成」に尽きる。時代のニーズに合わせた知識や技術を自らが磨き、周囲や他部門とも円滑で良好なコミュニケーションを取れる「真のプロフェッショナル」を数多く輩出すること。そして長期雇用の中で企業理念を追求すべく、仕事の本質を追求できる「個」と「組織」を創造することこそ企業別労働組合の強みだと考えていただきたい。
喜び・悩みを共感できる人
池上 元規
2012/09/30
先日、某大学病院に行った時に掲示してあった『建学の精神』を偶然に見て、
労働組合にもあてはまるのではないかと感じましたので紹介します。
(病院には行きましたが、私の体はいたって健康です。ピンピンしています。
ご心配ありがとうございます)

            -建学の精神-
『病気を診ずして 病人を診よ』
私たちは病気の治療のみでなく、患者の不安や悩みなどを取り除き、常に患者
さんのための真の医療を考えています。
また、患者の悩みに共感することができる『医の心』を持つ医者と『看護の心』
を持つ看護師の養成をめざします。

私はこれを見て感銘を受けました。一般的に病院は顧客(患者)志向が薄いと言
われていますが、この『建学の精神』を見て病院に対する捉え方を改めようと思
いました。(実態はどうか分かりませんが・・・)

この『建学の精神』は、労働組合の役員にも同じことが言えるのではないでしょ
うか?


労働組合が、職場や組織の課題・問題を解決するのに一生懸命な例を見ますが、
真の問題解決は組合員の悩みに対して組合役員が共感することが重要だと思いま
す。
長時間労働問題、パワハラ問題、人事考課に対する不満、人間関係トラブル、組
合への不満などあらゆる問題に対して言えることでしょう。
組合役員の心構えとして「組合員の話に耳を傾け、相手の立場や背景をイメージ
して共感する心もって接することが大切」などの内容はよくあります。
でも実際は・・・
頭はわかっていても実践できないで困っているのが現実ではないでしょうか?


しかし、組合員の話を聴くことができる現場の組合役員をどれだけ育成するかで、
組合員からの信頼が大きく変わってくると思います。


現場の組合役員がまずは、自分の担当の組合員の顔と名前を一致させることなど、
現実にできることから始めてみてはいかがでしょうか。


定期大会に出席して感じたこと
荏本
2012/09/23
ある製造業労組の定期大会に出席する機会をいただきました。
大会という場は、"最高決議機関"としての重要性はもちろん、様々な意義や機能を備えていることを再認識しました。


【メッセージ発信の場】
執行委員長の挨拶は、代表者としての挨拶にとどまりません。
組合や企業の置かれている状況を冷静に見つめたうえで、リーダーとして今後の組織の方向性を言葉で照らし出します。
「今期、最も優先すべきこと」をはっきりと語ることで、定期大会そのものがメッセージ発信の最大の場であることを認識しました。
大会の模様は広報誌だけではなく、ホームページを通じて動画でも配信され、委員長の肉声は全組合員に届くようになっています。

【活動の中間確認(終点・基点)の場】
「活動報告」「方針案の説明」は、前期の成果と課題を明確にし、これから効果的にステップアップをしていくための具体的な中間確認です。
当組合は中期ビジョンを策定しており、定めたありたい姿に向けて着実に前進しているかをアンケート等の数値でも確認しています。

【組合と活動アピールの場】
"勝負の年"という文言を議案書にも大きくうたい、中期ビジョンおよび運動方針の遂行への意志を打ち出しています。
前述した委員長のメッセージも踏まえ、内外に向けた組合の姿勢のアピールです。
一例では、大会内で組織内議員の候補者を大いに盛り立てていることが挙げられます。
これは、地域に対してのアピールと同時に、組織内に対して選挙サポート活動へのアピールともなっています。

【職場活動促進の場】
大会の終盤、担当職場別の執行委員が一人ひとり壇上に立ち、今期取り組みへの決意表明をします。
「何をやっていくか」の説明だけではなく、職場の代表者としての気概・意気込みを見せることで、職場活動へのアクセルを踏み込みます。


みなさんの定期大会(最高決議機関)には、どんな意義や機能が備わっているでしょうか。
機関会議の中で位置づけを再確認し、発信する言葉、メッセージの打ち出し方、大会自体の進め方を
見直すことで、定期大会はより有意義な場となるかもしれません。


労働組合の人材育成の手法について
清水 典明
2012/09/16
毎年この時期になると、多くの組合から新任の組合役員育成の教育についての相談をいただきます。
組合役員の人材育成プランや教育体系を考える時、「職場での組合活動に実践できること」が最も重要だと考えています。皆さんも恐らく同じ考えかと思います。

その際に、組合役員の育成プランを考えるうえで、基本となる考え方を記載します。

●集合教育(off-JT)においては実際の活動に沿った階層別・役割別教育であること
例えば、本部執行役員であれば「活動の方向性・方針を考えるための考え方や専門知識」「後継者の育て方」、支部執行部であれば「リーダーシップ研修」、職場委員であれば「活動の動機付け・活動の進め方」「職場での問題解決手法」などなど‥。
さらに専門部で必要な知識やスキルを組み入れていくということになります。
階層別教育においては、役割が明確になっているということが前提となります。多くの組織では職場の繁忙などの理由で特に職場の役員の役割が明確になっていないことが多く(そのため機関紙の配布係のみの役割になっていたり)、まずは何を期待するのかを明確に発信することが重要だと考えます。

●実際の学びは「職場での活動」にある
集合教育(off-JT)で学んだことをどのような場面で活かすのかを設定し、実践し、振り返ることで成長を実感し、さらに足りない部分を補足するための学習の機会を用意することが重要だと考えています。
学習内容と現実問題との乖離を解消し、経験を通して自分自身で考え行動の変化を促すことになり、組織の活動のボトムアップへ繋がります。
とはいってもなかなか日々の活動においては振り返る機会を設けるのが難しい現状もあると思います。四半期・半期毎でも振り返りの場を設けることは有効だと考えます。

以上組合役員の人材育成について記載をしました。

さらに国際競争の激しさなどによる企業業績への貢献という観点から、組合役員の育成のみならず、組合員育成もより重要になってきていると考えます。
労働組合だからこそ取り組める中長期的な人材育成の手法を以下に記載します。

①業務のスキルに特化しない教育研修の開催
「働く意味について考える」「人生を考える(ライフデザイン)」「人間力育成」などなど‥
私の知っている組合では、組合役員をトレーナー(講師役)として育成し、講座を展開しています。組織内部に相談機能を設けられることと、長年続けることで、組織の文化となり有効な手法です。

②色々な人と語る場を設定する
レクレーション活動や懇親会などは、業務では話をする機会の無い人と人生観や仕事観を語り合ったり、仕事の工夫などを共有できる有効な人材育成の場だと考えます。

③他組織の人と交流する
多くの組合では、上部団体などを通じて組合役員同士の交流はしているかと思います。業種や地域を越えて、組合員同士が交流できる場を設定していけるのも私は労働組合の強みだと考えています。
イベントなどを通じて他の組織の人に触れることで多くの気付きがあり、組合員の育成に繋がるのではと思います。

労働組合の役員育成、組合員育成について記載してきましたが、他にも具体的な手法は多くあると思います。
今後も組合リーダーの皆さんと一緒に考えていきます。


若年層への取り組みについて
三橋 秀郎
2012/09/09
最近、よく相談を受け、悩まれているのが「入社3年次研修」や「レク活動」など
若年層への取り組みです。
『今まで実施してきているが、このままの内容で果たして良いのか』
『これから新たに始めたいと思うが、何をしていけば良いのか』
こんな声が多く聞かれます。

また、なぜ取り組まれているのか、もしくはなぜこれから始めようと思うのか理由を
聞いてみると大方が以下の2点です。
『若いうちから組合と接点を継続的に持たせることにより、組合への関心を高めたい、組合活動への理解を深めたい』
『若いうちから継続的に組合と繋がっていかないと、いざ組合役員を頼もうと思ってもやってくれない』

いずれにしても、その参加者の中から、次代を担うユニオンリーダーを見つけ、
育成していきたいという想いがあるようです。

そんな中、研修プログラムの一部として、よく弊社でご依頼いただいている内容は、
以下の通りです。

■被考課者セミナー
入社3年目から人事考課が始まるので、目標管理制度について正しく理解し、前向きに捉えてほしい
■人生羅針盤セミナー
お互いの価値感、人生観を共有することによって、これからの長い人生に対し、幅広い見解と目標を持てるような人材に育ってほしい
■働きがい向上セミナー
お互いの仕事感を共有することによって刺激を受け、ありたい姿を描くことによって、やりがいを持ってほしい

このように各組合によって、色々と想いをもって実施していると思いますが、
個人的には、次の3つの観点を持って実施していただくことをオススメします。

①集客しやすいテーマで実施するのでなく、目的を明確にし、それに沿った内容になっているか?
②組合活動(役員の活動)に興味を持ってもらえるエッセンスが入っているか?
③入社3、5、10年目研修のように継続性と各年代別研修間の内容は連動性を持たせているか?

皆さんの組合は、いかがでしょうか?

また、10月17日(水)に弊社 大阪支店にて「青年部活動について考える」をテーマに
ATGワークショップ(参加者同士の情報共有と意見、アイデア出しの場の提供)(無料)を
予定しております。
ご興味ある方は、ぜひ一度、覗きにきてみてください。

ビジョンに込めた「あこがれ」を追求する組合活動へ
吉川政信
2012/09/02
組織のあるべき姿やなすべき行動に関する基本的な考え方を示したものが「理念」や「ビジョン」と言われ多くの企業や組合でも活用している言葉である。そもそも理念とは漢語であるために日本人には馴染みにくいことばであり、漢語である理念を和語に翻訳すると「あこがれ」になるという。すなわち、理念とは組織運営上のあこがれということになる。あこがれるということは、理想とする事物や状態に強く心を引かれることであり、労組で例えるならば、経営陣や組合員、地域や社会を含めた活動領域における関係者が強く心を引かれる理想の状態を表現したものといえる。日本において組織の理念が注目されたのは明治期といわれている。長かった鎖国を解き、明治維新を終え、世界との貿易を通じて国際競争に勝つことが日本の財閥を中心とした命題でもあった。しかし、その最大の障害は人材不足であった。その当時、最も希少で貴重な資源は外国語を話すことができ、専門的な技術を有し、経営管理の手法を身につけた人材が必要となっていた。そのため企業は、高額な報酬を約束することで優れた従業員の応募を試みるが、その採用には苦労をした。その原因の一つに当時の高等教育を受けた者の多くは武士階層の人間であり、家訓を重んじる武士は報酬以外にその事業に賛同することが国や社会ためになるための大義名分が必要であったからだ。そこで企業は国や社会の理想の姿を社内外に発信したといわれている。このように、組織の理念は社会的理想を追い求める組織としてのあこがれで利己的な目的ではなく国や社会における貢献を示すものとして理解されてきた。時代が変わった現在、労組活動に求められる社会貢献活動への高まりやワークライフバランスの実現に向けた社会とのネットワーク活動を見ても、他者への貢献、社会への役割を追求したいという本質的な欲求が組織への貢献意欲に繋がるものだと感じる。

ここ数年、ビジョンを見直す労組が増えている。その背景にはグローバル化による国際競争の激化、製品やサービスが多様化する中での商品ライフサイクルも短縮化による開発体制の見直し、職場に目を向けると、人員削減のため従業員1人あたりの負荷が増大しながらも、効率化を進めなければならない厳しい職場環境、更には、職場での飲みニケーションが減少し喫煙室も撤去され、上司や同僚に仕事以外の悩みを相談することも困難になり、従業員の孤立が目立っている。少しネガティブな例を挙げたが、職場を訪問する中でよく聞く話である。少なくとも環境変化と新たな職場課題を打開すべく、組合員が一致団結してこの局面を乗り切るための希望とあこがれの持てる活動ビジョンを描く必要性を感じていることには変わりない。

では、ビジョンはどのように描き、描いたビジョンをどのように浸透させていくかを考えたい。ビジョンを策定し描いたビジョンを浸透させるためには、組合員一人ひとりがその言葉の意味を理解し、ビジョンと運動方針が連動する中でビジョン達成に向けて活動に組合員が参画する必要がある。そのためには、ビジョンを策定するプロセスにおいて核となるメンバーはより多くの職場役員、組合員との対話を重ね、一人ひとりの思いやあこがれをそのことばに込める努力が必要になる。次に、完成されたビジョンは達成に向け具体的な活動の展開フェーズに入る。その時ビジョン達成の計画書として位置づけられるのが運動方針である。浸透の経過を図る上でも年度毎に組合員を対象にビジョン浸透度を図るアンケートを実施し、より多くの職場役員、組合員を巻き込みながら、その結果を基に活動の振り返りと改善点を議論し次の運動方針へと反映していくことが、更なるビジョン浸透と組合員の行動変革へ繋げていくと考える。

~現場実行力を上げるための組合役員育成とは~
丸山由紀夫
2012/08/26
~実行力が高い組合役員育成とは~


皆さんの組合では、“役員のなり手がいない”“役員が育たない”“役員のモチベーションが低い”等の悩みはないだろか?今回は、このような悩みに対してどのように考え対処策を練っていくかについて述べていきたい。

以下、述べる内容は、様々な地方自治体で住民課題を解決するためのワークショップを開催している方とのインタビュー内容の要約である。

まずは、人を育てる教育においてのベースとなる基本設計部分である。領域は3つ『①コミュニケーション』『②クリエーション』『③ソリューション』がそれにあたる。それぞれの意味は、①は人と関わるフェーズ(言葉を通じてつながる)②は新たなものを生み出すフェーズ③は問題解決のフェーズの意味である。

具体的な例でいうと、①にはビジネスや論理的思考能力、対話等②は発想力・企画力③個別具体的な課題へのスキル(例:メンタルヘルスやイベントの進め方等)に該当する。

これらの領域を組合役員のそれぞれの階層(階層における果たすべき役割)において、バランスを組みかえながら学びを促進していくかだという。

例えば、組織リーダーとして発想を問われることが多い組合3役の場合は、おもに②のクリエーションにかかる領域を重点的に、現場に近い役員は③のソリューションに関する学びの場を多く設定するといった要領だ。

そして実行段階においては、"継続性"と"教え合う"この2点を絶えずチェックしながら進めていくことが肝要であるとのことだ。

“継続性”とは、研修当日はもちろん、その前後の仕掛け、特にフォロー研修までを一体化したカリキュラム構成である。ひらたくいえば、学習した内容を“振り返りをする場”を意図的に設けることにより生成的な学びにつなげていくのだ。

そして“教え合う”については『現場課題は現場の人のみが本当の解決策を知っている』という前提の考え方のもとに、講師から与えられる知識を切り口に、参加者同士が相互学びの場にしていくための仕掛けのことだ。各々の人が持っている知恵(暗黙知)を形式知(集合知)に変換していくための研修の進め方、そして、日常の場面においてもそれを進めるための仕掛けを入れていくことを意味する。

以下、本項のまとめではある
・教育設計において領域は3つ『①コミュニケーション』『②クリエーション』『③ソリューション』
・3つの学習領域を、組合役員のそれぞれの階層の目的において組みかえる
・教育の実施においては"継続性"と"教え合う"の2つの観点でチェック

次回私が寄稿する際には、“組合マインドを持った企業人を育てるために”の観点でさらに述べていきたいと思う。

労組主導の経営対策活動とは
室橋
2012/08/19
サービス・マネジメントの権威であるカール・アルブレヒトは、著書『なぜ、賢い人が集まると愚かな組織ができるのか』の中で、組織の知性を高める7つの条件が必要だとしています。

①わかりやすいビジョン
②全員を結ぶ一体感
③変わろうとする意志
④仕事への情熱
⑤足並みの揃った組織
⑥知識を広める仕組み
⑦「結果を出す」という心構え

「企業の業績は人間の頭脳の働き、士気、献身などに大きく左右され続け、人々の知力を結集し、活かし、より強める方法を身につけないかぎり手だてがない。
業績を高める最大の好機は、組織の知性を高めることであり、全員の知性をかぎりなく引き出していくことだ」と定義しています。

上記は、すべての組織運営に共通する考え方です。
自分たちの企業の存続発展を通して、雇用と賃金が守られ、世の中からも支持されて評価される会社にしていくという経営対策活動が求められています。
雇用と賃金を守るためにも、労組主導の経営対策活動が重要な時代になっています。




■今秋に公開セミナーを企画しました。
労組主導の経営対策活動を再考するうえで、お役に立てれば幸いです。
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これからの労働組合の経営対策活動
― 組合の使命「良い会社づくり」の実践法
 ・これまで(20世紀型)の労働組合の経営対策活動
 ・これまで(20世紀型)の組合活動の限界をもたらす要因
 ・これから(21世紀型)の労働組合の組合活動<戦略編>
 ・優れた企業の7つの条件(カール・アルブレヒト)のための労組主導の経営対策活動
 ・組織IQが高い組織(賢明な企業)


●仙台開催: 9月26日(水) 17:30~20:30
●札幌開催:10月17日(水) 17:30~20:30

 *詳細は弊社ホームページか、担当営業までお願いいたします。