ゆにおん・ネタ帳

2019年 - 2018年 - 2017年 - 2016年 - 2015年 - 2014年 - 2013年 - 2012年 - 2011年 - 2010年 - 2009年 - 2008年

2013年

違いは良さでもある
室橋
2013/10/20
― お互いの違いを認めたうえで、良さを生かしあう
私たちは『自分にとっての当たり前=相手にとっての当たり前』と思い込んでしまいがちです。そのため、相手との違いを感じたときについ、「なんで、わかってくれないの?」「理解されないのは相手のせい!」とストレスを抱えてしまいます。また、「私が我慢すればいいんだ」と気持ちを飲み込み、ますます相手とわかりあうことから遠ざかってしまうこともあります。



先日、グループで「気質*」について勉強する機会を設けました。
(*気質:筑波大学大学院の宗像恒次名誉教授によると、人は誰でも遺伝子レベルに由来する気質をもっている。遺伝子が異なれば気質も異なり、気質の違いは人それぞれの性格の違いをもたらす。遺伝子で決められた気質は生涯変わらない。変わらないからこそ、生かしていくことが大切)


気質を理解すると、『自分の強み・弱み・期待できること・期待できないこと』『相手の強み・弱み・期待できること・期待できないこと』がわかります。


「私が気にしすぎたり、心配しすぎたりしてしまうのは○○気質をもっているからなんだ」「彼は○○気質を持っているから、物事に強いこだわりがあるんだ」「彼女の責任感の強さは○○気質だからだね」…… なるほど~。


自分と気質が異なる人は異星人かと思うほど、ものの考え方や感じ方が異なるようです。「相手に期待できないこと」を期待してしまい、自分の期待通りにいかないことで、自分がストレスを抱えてしまいます。他者とのコミュニケーションにおいて、相手がどの気質をもっているのかを理解すれば、相手の強み、弱み、期待できること、期待できないことを想像することができます。それは、個別でのコミュニケーションを取るうえで、お互いにとっての前提になります。


『人それぞれが違っていて当然』『違いは良さでもある』。気質は自分のことだけではなく、周りの人たちを理解することにも役立ちます。気質を通じて、お互いの違いを認めあい、お互いに違いを受け入れ、助けあい、共感しあえる関係を築くことが大切です。



今回の勉強会で、グループ内に気質という共通言語が生まれ、お互いを大切にするコミュニケーションの基盤づくりができたのではないかと思います。



●前回のユニオンネタ帳「マシュマロ・プロジェクト」の体験学習でも、課題を成功させたチームは「リーダーシップをとる」「アイデアを出す」「サポート役にまわる」など役割分担がされていて、その役割分担も一人ひとりの気質の強みが生かされていました。

●気質については、ユニオンネタ帳「2013.8.11 他者と自分の違いを理解するということ」の記事も参考にしてください。


労働組合の活動による企業の優位性
松山晃久
2013/10/13
 今回は経営トップ層向けのレポート「日本企業の特徴 つながりによる優位性の構築(IBM Global CEO Study 2012)」を参考にして、組合活動でできることを考えてみたい。
 この調査は世界の企業、日本の企業トップに対して、どうすれば組織変革が進むかというテーマに対して、意識調査を元に構成されている。

 調査結果の概要及び結果の中から着目した内容を掲載する。この調査によると、組織変革のための成功の鍵は、組織をオープンにすることであると総括している。鍵となる幾つかの視点を元に、組合活動活性化を通じた企業組織活性化の取り組みを併記する。

 視点1)「組織のどこを変革するか」という質問に対する回答では、多かった順に1位「経営幹部の構成、スキル、責任」2位「社内でのコラボレーションの仕組み」3位「他社との提携・協業体制」4位「意思決定プロセス」となっている。
 これらのトップの戦略的課題に対して組合が貢献している活動を挙げると、「職場集会」が挙げられる。
第一線の組合員の知恵や課題を吸い上げ、職場を超えて横断的につながりを作る重要な場である。
またボトムアップ型の職場改善の提言や経営提言を通じて、局面での意思決定に横串を指すことで、企業トップの意思決定に対し、組合員が納得性を感じ、様々な経営施策の展開スピードを加速させているという見方ができる(平たく言えば、会社も上司も組合のこの活動に助けられている)。

 視点2)「社員にとって魅力的な組織とは」という質問に対する回答では、1位「イノベーションを実現する組織力」2位「共有される倫理観・価値観」3位「組織のミッション(存在意義)」となっている。
この戦略的課題に対して、組合が貢献している活動を挙げると、「労使協議における対話」や「組合ビジョン策定浸透活動」があげられる。
企業トップがどの地点を目指して様々な施策を展開しようとしているのか、組合が確認する労使協議の場(戦略一致・戦術対立)や職場オルグ活動を通じて、労使の価値観や存在意義を相互確認している。

 視点3)「成功する社員に求められる特性」という質問に対する回答では、1位「コミュニケーション能力」2位「新たな機会を探求する力」3位「創造性」4位「現状を打破する力」となっている。
さすが、名だたる企業のトップ層の求めることは、力強くもあり、自分がくぐってきたからかハードルも高い。
私たちj.unionにおいても組合役員、組合員に向けて、自律型人材に求める3つの特性として、①変化適応力②顧客価値提供力③コミュニケーション力を提示している。
 先ほど挙げた、コラボレーションしたり、価値観を共有するためには、ある程度共通の地点まで組織に属するメンバーの想いや考えを引き上げる必要があり、そのための礎になるのは、コニュニケーション能力ということになるのであろうか。しかしながら、日常の企業組織におけるコミュニケーションにおいても、効率・スピード重視のコミュニケーション能力が求められる一方で、対話というスピードを優先しないコミュニケーション能力が重要視される。この言葉が鍵であるなら、企業トップの求めるこのコミュニケーション能力の成分も分解してレポートしてくれたら、と一瞬思ったが、それを分解して、強化するのも私たち組合役員に求められる特性として前向きにとらえたい。

 最後に実際にj.unionと各労組が展開している内容について上記視点に沿って列挙する。皆さんの熱心な活動を推進する一助になれば幸いである。

 視点1)組織のどこを変革するか
「職場集会の活性化」
・上手な会議の進め方:ポジティブな意見を吸い上げ、組合員の知恵を引き出す方法
変化対応すべく、様々な経営施策を展開するが、組合員からは不満や不安の声が多くあがり、困っている職場リーダーが、どうすれば組合員に当事者意識を持ってもらい、前向きな議論に転化できるかを職場集会の段階に沿ってお伝えします(事前準備・当日の集会運営・職場集会後)

 視点2)社員にとって魅力的な組織づくり
「組合ビジョン策定浸透プログラム」
・目指す企業像・組合像・組合員像を、様々なセッションを通じ、過去から学び、現在と向き合い、未来を照らし出して魅力ある組合のありたい姿を形にしていきます。組織の存在意義を議論することで、組合活動の道筋を作っていくプログラム。
働きがいを考えるワークショップ
・議案書に必ず記されている、組合員の働きがいの創出について考える。自分に問いかけ、仲間から示唆を得て、働きがいの源泉は何かをみんなで掘り当てていく、わくわく感のあるワークショップ。
 
 視点3)成功する社員に求められる特性
「組合役員育成支援・組合員育成支援」
・求められる期待・役割や人材像に近づくための、組合役員向け基礎編(姿勢・やる気・態度)、応用編(実践スキル・組織運営)、専門編(特定の知識・スキル)、課題別、組合員向けセミナー、ワークショップの展開。

関心を持たれた役員の方はご一報ください。


感情マネジメントのススメ
中岡 祐子
2013/10/06
◆ ネガティブ感情とポジティブ感情 

「組合員のモチベーションをあげたい」とか「職場委員のやる気を出させたい」などの話はよく聞くが、「組合員の気持ちや感情を大事にしたい」という話は聞かない。
むしろ「辛いやしんどいなどの、気持ちや感情ばかり聴いてどうするの」との意見を頂戴する。
どちらも人の感情部分であるのに、前者のポジティブな感情は出したく、後者のネガティブな感情は引っ込めたいようだ。
実際、世の中で使われる台詞として「マイナスな言葉は使わない」という類のフレーズをよく耳にするし、経営学の中でも唯一扱われている感情は「モチベーション」である。
それ以外の感情は、職場では控えるという暗黙のルールがある。
そのためリスニングの研修をしていると、感情を忘れてしまったかのようなビジネスマンによくあう。
ネガティブな感情を抑えて、ポジティブな言葉だけを発していると人はモチベーションがあがるのだろうか? 
答えは否である。

◆ マイナス感情を抑える弊害

感情は人間の心の自然な反応である。だから感情を抑えるのは難しく、私たちは感情を抑えようとして、実際は行動を抑えることになる。
しかし強い感情を抑えようとすればするほど、かえって感情に振り回されることになる。
例えば一向に締め切りを守ってくれない同僚に腹をたてる。しかし職場で感情を出してはいけない、感情的な人だと思われたくない
という気持ちがあると、怒りを必死に抑える。
しかし怒りを抑えようとすると余計にイライラして、同僚に対しトゲのある言い方になってしまったり、他者の批判ばかりしたりということになる。
これでは人間関係にトラブルを起こしかねない。
 また時おり、無自覚に感情を抑えている人がいるが、これはこれで感情認知困難や解離状態になって、身体に不調が出てきたり、
余計な依存行動を身につけたりと、やっかいな問題を引き起こす。
もちろん、周りの期待に沿うために自分の感情を抑え続けた生活を続けると、うつリスクも高まる。

◆ 人の感情と行動

モチベーションの話に戻そう。そもそも1つの感情だけを取り上げて、どうこうしようとするのがおかしいのだ。
また、巷にはアンガーマネジメントなるものがあるが、怒り以外の感情のマネジメントをしないことが不思議でならない。
人間は様々な感情を持っているのだ。
部署に新しい業務が増えて、自分が担当になったとする。すると感情的には「抜擢されて嬉しい」「やってやるというやる気」というアクセル感情と同時に、
「ちゃんとできるかなという不安」「なんで自分だけなんだよという怒り」というブレーキ感情も発生する。
アクセルを踏みながらブレーキをかけるという行為は矛盾しているが、矛盾する気持ちがあるので、人は悩むのである。
これは人間として普通のことである。
そして行動は感情に左右される。両方の矛盾する気持ちを持ちつつも、やる気が一番強い感情であるなら、不安や怒りを抑え行動するであろうし、
不安な感情が一番強ければ、行動できずにさらに悩むであろう。

◆ 感情をマネジメントしよう

感情は抑えるのではなくマネジメントすることが重要である。それには自分の感情を無理に抑えようとせずに、自覚してあげることだ。
自分が怒っているとしたら、まずはそれを認めてあげて、なぜ怒っているか探ってみる。それが本来の要求だ。
それを相手に普通に伝えればよい。そうすれば人間関係も悪くならず、自分の要求を相手に伝えられ、相手もこちらの要求を受け止めやすくなる。
感情の話は、他人にも応用できる。相手の感情を傾聴して相手の要求を知れば、適切な支援ができるのだ。
メンタルヘルスにおけるラインケアがうまくいかないのは、相手が悩んでいるときに、事柄を聞き、事柄的な解決だけして感情を聴いてあげないからである。
感情を聴かないから相手が何を望んでいるのかわからず、とんちんかんなアドバイスをしてしまうことになる。
モチベーションについては、相手の不安や怒りというブレーキ感情を整理してあげれば、アクセルは以前より踏みやすく行動しやすくなるだろう。
共感には、相手の自己内省化を促す効果があるのだ。

かように感情というのは、人間の行動をひも解くキーとなる。ところが現場には、まだまだ「感情を聴くことによって問題解決するの?」
と前時代的な発言をするリーダーがいる。そのようなリーダーが部下の成長を阻み、モチベーションを低下させ、メンタル不調を助長させてしまうことにそろそろ気がついてほしい。
多様性の時代を迎えて、今までの通り一遍のマネジメントの仕方に限界がきている。研修などで感情マネジメントの話をすると、目をキラキラさせ一生懸命メモをとる受講生が増えている。
今こそ感情のマネジメントを始める時期である。


弱みを強みに
小林薫
2013/09/29
弊社j.unionでは、9月と3月に全社員を集めてミーティングを行っています。ミーティングを始めた当初は全社員が集まって目標設定を一斉に行うことが目的でした。その後、徐々に拠点が増えたことで、せっかく集まるのなら交流を主な目的にしてはどうかということになり、現在は、業務の情報交換がメインの目的になっています。全社員が一斉に集まることができるのは、規模的に小さい弊社の強みではないかと思います。

先日、テレビで「いすみ鉄道」のことが紹介されていました。いすみ鉄道は千葉県の第三セクターの鉄道事業者で、長年にわたって赤字経営を続けていましたが、2009年の社長交代を機に、訓練費を自己負担する運転士養成プランなど積極的な対策を行っています。象徴的なのは、ポスターに書かれている言葉『ここには「なにもない」があります』。「なにもない」を強みに変えてしまう発想の豊かさに関心しました。

内側から組織を見ると、できていない部分、ダメな部分ばかりが目立ち、強みなどあるのだろうかと考えてしまいがちです。でも意外とできていない部分の裏側に強みが隠れているのではないでしょうか。問題解決には、弱みと決めつける前に、活かす方策がないのか、そもそも本当に弱みなのかを、考えてみることも必要なのかもしれません。

夏の終わりに思うこと
藤栄 麻理子
2013/09/22
雨予報だったのが信じられないくらいに晴れた8月31日。
今年も夏の終わりを盛り上げる浅草サンバカーニバルが開催されました。
実は私も大学生のころから所属しているサンバサークルでパレードに出場しました
(と言ってもあのいわゆる「サンバ」な衣装ではありません!)。


夏の終わりの陽射し、声援や熱気、ゴール直後のスポーツドリンクのおいしさ、
そして何よりメンバーや観客のみなさんのとびっきりの笑顔。

卒業してしばらく経っても「やっぱり浅草サンバに出たい!」と思うのは、これらを味わいたいから。
でも、社会人になって味わえなくなったものがありました。


それは “浅草サウダーヂ”と我々が呼んでいるもの。

サウダーヂというのは「郷愁、懐かしさ、切なさ」などという意味をもつポルトガル語です。
浅草サンバに夏のすべてを費やした私たちは、浅草サンバ後のなんともいえない
ぽっかりとした感じ、燃え尽きた感じをそのように呼んでいました。

パレードの時間はたった40分ですが、それをつくるために1年近くの時間を準備に費やします。
私たちのチームは衣装もすべて手作りなので、夏になると練習と作業の毎日。
エアコンもない暑い部屋で、ひたすらに地味~に衣装と向き合います。


「一体なんのためにやってるんだろう…」
「私こんなに働いてるのに、なんでわかってくれないんだろう…」


そんな思いに駆られることもしばしば。
それでも、不思議と毎年やる気がわいてくるのは、
一緒に頑張る仲間がいて、「こういうパレードをつくろう!」という強い思いがあるからです。
こんな風に夏を、1年を過ごすからこそ当日感じる達成感、やり遂げたという満足感は格別の味。
浅草サウダーヂは一生懸命コミットしたからこそ味わえるごほうびのようなものです。
1年間をかけて活動に携われる、携わらなければならない現役生ならではの感覚は
もう味わえないんだなあと、毎年ちょっとさみしい思いをしています。


私が毎年サウダーヂを味わっていた9月。
たくさんの組合様で定期大会が行われる時期でもあります。

1年間の活動を振り返ると、いろいろな場面が目に浮かぶのではないでしょうか。
組合活動と浅草サンバを並べてしまうのは大変恐縮ですが、昔の私のように
「こんなに活動しているのに!」と歯がゆい思いをされた方もいらっしゃるのでは?
それでも歩み続けられるのは「組合員の幸せ」や「良い会社づくり」という大きな目的があるからでしょう。
この目的に向かって組合活動をつくり続け、来年は皆さんと一緒に
“組合活動サウダーヂ”を味わいたいなあと、夏の終わりに思うのでした。(ちょっと無理やりでしょうか)

7年先のオリンピック…、では7年前は?
渡邉秀一
2013/09/13

 先日、2020年の夏季オリンピック&パラリンピックが東京で開催されることになりました。
散々言われていますが、7年後の自分や世の中を想像された方もたくさんいらっしゃったと思い
ます。
同時に「被災地の復興状態」「原子力発電のあり方」「日本という国」「地球の状況」などと、
たくさんのことに思いをめぐらせたことと思います。

では、現在から7年前はどうだったでしょうか。
2006年の主な事柄を振り返ってみましょう。

もちろんiPhoneはまだ発売されておりません。(発表は翌年1月、発売は同6月でした。)
AKB48は6月にインディーズデビューなので一部のコアなファンを除き知名度はありませんでした。

 1月
  ・日本郵政株式会社が発足。
  ・ライブドアの堀江貴文社長が証券取引法違反容疑で逮捕。
 2月
  ・表参道ヒルズがオープン。
  ・トリノオリンピック女子フィギュアスケートで荒川静香が金メダル。「イナバウアー」
   は同年の流行語大賞を受賞。
 4月
  ・北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の横田早紀江さんが、ホワイトハウスの大統領執務
   室でブッシュ大統領と面会、拉致問題の解決のためアメリカ合衆国政府の支援を求める。
 6月
  ・FIFAワールドカップ™ドイツ大会の開幕。
  ・日本の老齢(65歳以上)人口率が世界最高、同時に年少(15歳以下)人口率が世界最低
   になった。
 8月
  ・第88回全国高等学校野球選手権大会の決勝戦で、斎藤佑樹(早実→北海道日本ハム)と
   田中将大(駒大苫小牧→東北楽天)の両投手の対決が注目を集めた。
 9月
  ・秋篠宮文仁親王に皇室では41年ぶりに男児が誕生、12日に悠仁と命名された。
  ・小泉純一郎の自民党総裁任期満了により、第21代自民党総裁に安倍晋三官房長官が就任。
   26日に第90代内閣総理大臣に指名され、安倍内閣が正式発足。(ちなみに2006年から現
   在まで小泉純一郎→安倍晋三→福田康夫→麻生太郎→鳩山由紀夫→菅直人→野田佳彦→
   安倍晋三とのべ8人の方が首相を歴任しております。)
 11月
  ・沖縄県知事選挙に仲井眞弘多が当選。
 12月
  ・そのまんま東が、宮崎県知事選挙への立候補を表明。
  ・サッダーム・フセイン元イラク大統領の死刑執行。
  ・今年の漢字が「命」に決定。

 いかがですか。
 「あれ?こんな前だったっけ!」とか「意外と最近だったんだなぁ」とか、項目によって感じ
方が異なると思います。しかし確実に言える事は、7年前とは世の中は大きく変化しているとい
うことです。

 私は組合様とのお付き合いで、主に調査を担当することが多いのですが、その際によく聞かれ
るのは、「経年変化を取りたいのですがどのくらいの頻度で調査をしたらよいのでしょう?」と
いうことです。
 上記のようにこの7年の間に政権交代が二度あり、なんと当時と同じ方が二度目の首相をして
いるというくらい「外的要因」も変化しています。
 この外的要因によって、政治、経済、生活も大きく変動しています。
 経済的な変動による部分が大きいですが、企業の業績を含め、働き方も変わってきています。

 私はこのような問いに関しては、「組合員の働き方が変わってきているなと思うときには毎年
でも調査をすべきですが、安定した中では2年から3年に一度でよいと思います。調査の無い年
にはトピック的な設問に、どうしても経年変化を見たい設問を合わせ、コンパクトな調査票での
実施がよいのでは。」というお勧めをしております。

 実際に調査はお金もパワーも必要です。
 それを使って実施する訳ですから、結果をその後の活動に活かし、意識や実態がどのように変
化したのか経過観察をしないとムダなものになってしまいます。
 成果の確認と反省をこめた振り返りは必要です。

 調査は実施しただけでは何も変わりません。

 自分は次回の東京オリンピックの頃は「アラ還」になります。



バカとハサミは使いよう
佐々木 務
2013/09/08
「バカッター」と呼ぶそうです。
Twitterで犯罪行為を自慢したり、問題発言を行うユーザーに対する蔑称です。

以前から使われていた言葉なのかも知れませんが、特に今夏にメディアでもこの言葉と
その問題行為が取り上げられる機会が多かったようです。
とりわけ飲食物を扱う店舗でのアルバイトの問題行動が話題となりました。
アイスケースの中に寝そべる、バイト先の冷蔵庫に入る、ピザ生地を顔に貼り付ける・・・。
その行為を堂々とTwitterに上げ、炎上騒動を呼び込んでしまうのです。

Twitterはその発言のしやすさや、一見すると仲間うちだけの閉鎖的なコミュニティーに
見えることから、若者が問題発言や犯罪行為を自慢するような書き込みが散見されます。
実際にはつぶやきはロックをかけていない限り全世界へと流れるものであり、
それを理解せずにつぶやくことで炎上の対象になってしまうのですが、思えばいつの時代も、
自分の犯罪まがいの悪行を、仲間うちに自慢したがるのが若者です。
若者の小さなコミュニティ内では、武勇伝や笑い話として語られ許されてきた行為が、
ネット上で他人の目にも触れれば、あっという間に許されない行為として炎上の対象に
なっていくのです。

スマートフォンとTwitterなどの気軽なSNSの爆発的な普及により、インターネットは
より身近で気軽な世界になりました。
面識の無い人間にも自らの情報を発信していく事が気軽にでき、直ぐに様々な反応を
得られる魅力で近年急激に発達したSNSですが、多くの反応を得たいがために、
言わばウケを狙った画像を投稿したいがため、本来は行わないような行動を取り、
それを投稿して楽しむという本末転倒な行動も多く見られるようになりました。

彼らの問題行動は、仲間うちでは目くじらを立てて騒ぐような事では無いという
感覚だったのでしょう。
現実の身近な小さなコミュニティでは許されていたものが、ネット上の多様な価値観の
人々の目に触れることによって、突如として許せない行為として糾弾される事があります。
Twitterのような気軽で身近な情報発信ツールは、今後益々広がっていくことでしょうから、
今後も「バカッター」と言われるような行為は増える事はあっても減ることは無いでしょう。

「バカとハサミは使いよう」と言いますが、ネットでのコミュニケーションは諸刃の剣です。
情報発信と情報収集の手段として、正しく活用すればこれほど心強いものは無いでしょう。
労働組合の活動でも、ビジネスの世界でも、今後ますます活用されていく事は間違いありません。
しかし、誤った使い方をすればこれほど恐ろしいものも無いと言えます。
ツールに振り回されないように、正しく理解し正しく付き合っていく事が必要です。

この夏、過ちを犯しアルバイトをクビになったり、損害賠償まで求められそうな「バカッター」
と呼ばれた若者たちも、自らのインターネットの使いようを反省し、立派な社会人として
立ち直ってくれる事を願うばかりです。


人間関係と労働組合
吉川 政信
2013/09/01
■人間関係と職場のモラール

職場の人間関係は、職務満足の大きな要素であり、働く人々の転職の理由として「仕事に特別な意味を感じられない」
「職場に将来性がない」などと並んで上位に位置する要素でもある。人は職場や仕事に対して、将来の安定、賃金、地位、
働きがいや達成感、人間関係などさまざまな要素を求めている。
一方、経営者側は従業員の企業への努力や貢献を期待している。
見方を変えると、従業員が求めている欲求を、経営者側が職場で仕事を通じて充足させることができるなら、従業員も
経営者側が求めている企業への努力や貢献を引き出すことができるということになる。
また、人間関係と職場のモラールについて、非公式な集団による影響についても押さえておく必要を感じる。職場では、
公式な組織以外に、同僚を中心とする非公式な集団(インフォーマル集団)が存在している。非公式な集団は職場の同僚を
中心として自然発生的に生じるものであるが、この集団の暗黙の規範が職場のモラール(やる気・士気)に影響すると考えられる。
例えば、朝9時から午後5時までの勤務であっても、多くの同僚が朝9時前に出勤し、9時には一斉に仕事がはじまる部署と、
9時になって皆が出勤してくる部署では、それぞれの部署の従業員の間に暗黙知の違いが存在する。
退社時間や仕事の仕方についても同様である。
また、同僚や先輩がやる気のない部署や会社では、新入社員や配置換えの従業員も職場の人間関係を友好に維持しようとすると、
仲間と同じように「適当にやる」といった態度にならざるをえない。このように、経営の目指すべき職場や方針とは違った次元で、
職場の従業員自らが職場の風土や雰囲気をつくりだすようになる。非公式集団の人間関係が仕事のモラールに与える問題についても考える必要がある。


■職場モラール向上への労組の貢献

このような状況の中で、経営の目指す方針を理解し、経営の成長と従業員のモラールを高めるために重要な役割を果たすのが労働組合の存在だと考える。
労働組合は公式組織ではあるが、会社のような役職や権限を重視するよりも、一人ひとりの組合員の声を重視し、人間関係を重視している面では非公式組織の持つ
人的ネットワークを大切する部分で似た要素を持っている。
更に、労働組合の活動は、組織のマネジメント体系(部門・部署)の枠を超えた情報共有や人間関係を構築することのできる組織でもある。このことは労組の運営が
民主的運営のもとに成り立っていることも影響している。
また、労働組合の活動目的には、健全な労使関係を通じて組合員の働きがい、働きやすい環境整備を行い、経営基盤強化を果たしていく考えもある。
労組の活動の一つに職場役員を中心に運営される職場懇談会やの労組の発行する機関誌、「ノミニケーション」といわれる飲み会の場など、
会社内の人間関係をより親密なものにする会社の施策にはない有効なコミュニケーション手段も得意とする組織である。
そのような人間関係を構築する場を通じて、自分や会社の成長について話し合ったり、経営施策の正しい理解や職場で発生する問題について、
職場の仲間と話し合う関係が、職場のモラールの向上となりやる気を引き出すことへ繋がるものだと思われる。
労働組合によって設定される活動の場が人間関係の促進と同時に個人と組織のモラール向上に導く重要なものだと考える。


■貢献意欲と人間関係

人間関係が良好でないと仕事も快適に行われないばかりか、効率が落ちることや、心身の健康にも影響することになる。
だとすれば、良好な人間関係を築く場を促進する労働組合の活動は、仕事の効率や生産性への貢献にも影響するといえる。
先輩や同僚との会社情報の共有や、自分が目指すキャリアについて語り合うことで貢献意欲が湧いたり、
厳しい職場環境においても同期の友人や仲間が救いになったりする面においては、
組合活動が組合員のキャリア思考の醸成やメンタルヘルス対策にも貢献しているといえる。


古書店巡りのアレゴリー
綱島 廣太郎
2013/08/25
「記録的」と呼ばれた猛暑と突如として降りだす豪雨に悩まされながら、私はいくつかの
知らない街を歩き続けるという夏季休暇を過ごしました。知らない街を歩くと言っても、
夏休みの旅行を楽しんでいたというわけではありません。転居先を探すために賃貸物件の
下見を続けていたのです。
幸いにして、条件にあった物件を見つけるという最大の目的を私は果たすことができまし
た。ただ、実はそこにはもうひとつの楽しみがありました。それは昔からの癖のようなも
ので、知らない街を歩くときに思わず探してしまう場所が私はあります。それは古書店で
す。

随分と古い記憶なので精確さには自信がないのですが、かつて思想家のヴァルター・ベン
ヤミンが興味深いことを述べていたことを覚えています。彼にとって、知らない街へ行っ
てその街の古書店を見つけることは、その街に自分がひとつの拠点を築くことなのだそう
です。
19世紀末、ベルリンのユダヤ人家庭に生まれたベンヤミンは、1930年代にフランスに亡
命し、パリの国立図書館へ足繁く通っていたと言われています。そんな彼にとって古書店
は知らない街の中であっても、自分の居場所として落ち着くことのできる空間であったの
ではないでしょうか。
もしもそうだったのだとすれば、その気持ちは私にもとてもよく理解できるものです。
なぜなら、私自身、これまで私が暮らした全ての土地で、お気に入りの古書店に通い続け
ることを通して、少しずつその街の住人になることを繰り返してきたからです。
それは行政的な意味で「住民」となることとは少し違うものです。見知らぬ街の中でどこ
か居場所を見つけるということは、おそらくもう少し人間的な何かなのだと思います。

世間では本格的な引っ越しシーズンはこれから始まると言われています。その大きな理由
のひとつには企業の人事異動も含まれています。つまり、それは住み慣れた土地を離れて、
新しい見知らぬ土地で暮らすということだけにはとどまらず、気心の知れた職場の仲間と
離れ、新しい職場で新しい人々と新しい関係を築き始めるということをも意味していると
言えるでしょう。
労働組合という組織が働く仲間が共に集うことによって成り立っているのだとすれば、そ
れは新しく迎える仲間へ居場所を提供するための組織でもあるとは言えないでしょうか。
新しく迎える仲間に声をかけ、相談に乗り、他の仲間との関係をつなぐというささやなか
な振る舞いが人々の居場所を築き、その中心にはいつも労働組合の職場役員たちがいる、
そんな日常の風景が労働運動の歴史の底辺には流れているのかもしれません。

しかし、それは現在もいまここにある風景だと言えるでしょうか。
再びベンヤミンの言葉を今度は少し精確に引用します。彼は「歴史の概念について」とい
う文章の中で次のように述べています。

「彼は顔を過去に向けている。私達であれば出来事の連鎖を眺めるところに、彼はただひ
とつ、破局のみを見るのだ。その破局は、ひっきりなしに瓦礫の上に瓦礫を積み重ねて、
それを彼の足元へ投げつけてくる。多分彼はそこに滞留して、死者たちを目覚めさせ、破
壊されたものを寄せ集めて組み立てていたのだろうが、しかし楽園から吹いてくる強風が
彼の翼にはらまれるばかりか、その風の勢いが激しいので、彼はもう翼を閉じることがで
きない」(野村修訳)

私は仕事柄、毎日のように労働組合の幹部役員の方々とお話する機会がありますが、職場
役員の育成に悩んでいない組織はないと言っても過言ではありません。その悩みはしばし
ば以前はあったはずの職場役員のリーダーシップを再び取り戻そうとする願望とともに語
られます。
私たちはどうしても過去を参照しながら生きる存在です。他方で、今日の労働組合を取り
巻く環境は激しい変化の中にあると言われています。過去を参照し、そこに立ち留まろう
としてみても、気がつけば見知らぬ状況の中へと投げ込まれてしまうという変化の中にあ
ると言ってもよいかもしれません。
その見知らぬ状況の中で労働組合の居場所、言い換えれば存在意義を新たに築くこと、こ
のことこそが職場役員の人材育成に賭けられているのではないでしょうか。見知らぬ場所
で居場所を築くことは、私たちの活動の拠点を築くことなのだから。


いったい何が問題なのか
伊東
2013/08/18
私たちは毎日のように、職場で、家庭で、至る所で起こる問題を解決しようとしています。
上司から売り上げ達成の為のプランを仕上げるよう指示されたり、妻から子どもの面倒を見るのは
結構だが自分の話し相手もして欲しいと頼まれたり(この問題はフィクションです)、
その範囲や重要度はさまざまです。

「問題解決」というフレーズを某検索サイトで調べると約 7,050,000 件がヒットするほどですので、
問題を解決することに関して、多くの人が頭を悩ませています。

しかし、いわゆる問題を抱えるたくさんのお客様と話し、その解決の為に多くの時間と労力を費やして
知恵を絞ってきた結果、
「どうやって問題を解決するか」の前に、まず「解決すべき本当の問題を発見する」必要が
あるのではないか?と強く思うようになりました。

あの手この手で現状を打破しようとするのですが、重要なのは「あの手」と「この手」どちらが有用か?を
議論する前に、そもそも打破しようとしている「現状」はいったい何が起きた結果なのか?を
正しく分析することであり、そこから「現状」をどのような状態にしたいのか、組織としてまとめることです。

いったい何が問題なのか明確化できていない状態から議論をスタートさせても、
立てられる対策は空虚で効果の低いものが多いはずです。皆さんのこれまでの対策はどうだったでしょうか?

ただ、よくある“対策会議”で何をすべきか議論しているときに、
「本当の問題はどこにあるのか、その問題を見つけるのが先決なのでは…」と発言しても、
それを口に出した途端まわりから「何を言っているの?」という顔をされるのがオチなのです。
(もしかしたら、ため息をつかれるかも知れません)

この時点で議論は「何をして対策活動とするか」という段階ですので、
一歩引いた「いったい何が問題なのか」をよく考えようと言われても、
話が後退したように感じられるからです。そして「自分には問題が何なのか、すでに良く分かっている!」と
思っている人も稀にいますので、「ホントにそうですか…?」とは言い出しにくいかもしれません。

したがって対策を考えるその前に、できる限り早いタイミングで、コア(核)となる問題はいったい何なのかを
把握しておく必要があります。


「発見された問題の質は、得られた解決策の質を予見させる」と
シカゴ大学の社会科学者ジェイコブ・ゲッツェルスは言いました。

皆さんも経営対策、組織対策、福祉対策といった、さまざまな対策活動を行っていることでしょう。
それらの対策活動は言い換えれば「起きている問題に対応し、あるべき姿へ進む活動」なのかと思いますが、
まずは「起きている問題」とはいったい何なのか?を根気強く追求するところから始めることをおすすめいたします。

私は日頃からそれを意識するため、以下のように自分に問いかけるよう心掛けています。
「どのような良い○○(組織、研修、機関紙、何でも可)にできるだろうか」
それが完全に明確になってから、「どうしたら良い○○にできるだろうか」と考えるのが正しい順序です。