ゆにおん・ネタ帳

ゆにおん・ネタ帳はリニューアルいたしました。

以降の記事は新ページでご覧ください。

https://www.j-union.com/idea/

全国3700ほどの労働組合とのお付き合いの中で、記憶に残るエピソードや、これは使えるといったネタをご紹介していくコーナーです。

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2016年

記録と記憶
渡邊祐
2016/12/25
ここ数年、周年事業を支援させていただく機会が増えています。
我々がご支援をさせていただく際、まず明確にすることが「誰のための、何のための周年事業か」ということです。

その組合が歩んできた歴史(事実)をまとめることは非常に意義深いことだと感じています。
先人たちの苦難の歴史があって今の賃金や労働条件が享受できていることを知ること。
決して今が当たり前ではないことを、これからの未来を創る一人ひとりが認識していなければ
現場が抱えるあらゆる課題を自分事として捉えることができずに結局は他責になってしまいます。

しかし、その時々で「なぜそのような判断を行ったのか」、事実の裏に隠された背景を伝えなければ
先人たちの想いまでをも受け継ぐことはできません。
組織をつくってきた諸先輩方が行ってきたすべての取り組みには意味があります。
それらを今の組合員、そしてまだ見ぬ将来の仲間に向けて遺していくことが周年事業の取り組みであると
様々な組合の周年事業をご支援させていただく中で強く感じるようになりました。

記念誌や周年映像を制作する際、現役世代の役員や組合員だけでなく、組合OBにもインタビューをさせて
いただくことがありますが、皆さん一様に「熱い想い」を持って組合活動を行っていたことを語られます。
それらの言霊を記録に残すことで、現役世代の記憶に残していく取り組みが労働組合が行う周年事業
ではないでしょうか。

時代は常に変化し続け、そのスピードも昔とは比べ物にならなくなっています。
また、組織や組合員一人ひとりが抱える課題も多様化し、一律の取り組みではすべての組合員が望む
理想の状態を実現することが困難な時代になりました。
だからこそ、先人たちの想いを一人ひとりが理解し、自らが何を行うべきか考え行動できる人材を育成する
ことが今の労働組合には求められています。
主体的な行動を促すことは非常に時間のかかることであり、また、動機づいていなければそれはやらされて
いるだけで終わってしまい、個と組織の成長にはつながりません。

永い歴史の中で組織を築き上げてきた人の想いを知り、今を生きる仲間の想いを知り、そして、自分たちが
描く理想の未来を知ることで、これからの自分にできることを考えるきっかけにする機会として、周年事業を
位置づけることが、人を育てることにつながると考えます。

その手段方法として、映像によって想いを共有するという取り組みを行う組合が増えています。
人の心を動かすということは非常に難しいことではありますが、映像にはその力があるように思います。
また、映像によって残された言霊はこれからの組織を創っていく仲間へと着実に受け継がれていきます。
記録からだけでは知ることのできない記憶に残す周年事業を考えてみてはいかがでしょうか?
親が元気なうちに
池上 元規
2016/12/18

今年の11月に実家に戻り父親の三回忌を終えた。
母は72歳。愛知の実家で一人暮らしをしている。
私も普段からできるだけ電話し、出張時には意識的に実家に立ち寄るようにしている。
今回の三回忌の帰省時にゆっくりと時間が取れたので、最近は何をしているかと母に尋ねた。
母は市が主催するカルチャースクールの太極拳、PC基礎、囲碁・将棋などに通い体や頭を使っているようだ。
また、今でも自宅でできる仕事もしているようで、
心も体も元気なことはとてもありがたい。意外と充実した時間を自分で作っていいて少し安心した。

2017年1月から育児介護休業法が改正されることも重なり、
育児・介護は労使で最もホットなテーマになっているようだ。
特に介護についてはこれから課題が顕在化されてくる。
厚生労働省の「介護保険事業状況報告(年報)」(平成24年度)の算出によると、
要介護認定されている人を年齢で見ると65歳~74歳は3%(473千人)、
75
歳以上は23%(348万9千人)となっている。75歳を超えると数字が上がり、
差は7倍になる。
今後の高齢化社会を考えると5年後、10年後、多くの組合員が介護の問題に直面することになるであろう。
今から介護離職の時代に備えて“介護離職ゼロ”と掲げ、「働き方改革」に取り組んでいる労組も増えてきている。
「働き方改革」は長時間労働問題や生産性の向上を主要課題として労使で取り組みをしているが、
介護に備えて取り組む意味合いも大きい。

私の母親も今は元気でいても、先を考えると備えや準備は必要になってくる。
そこで、厚生労働省ホームページより「親が元気なうちから把握しておくべきこと」(一部抜粋)を紹介したい。

◆質問:自分のご両親や介護にかかわることをどこまで知っていますか? 共有していますか?

□介護が必要になった場合、誰とどのように暮らしたいか

□子どもに介護してもらうことへの抵抗感の有無

□在宅介護サービスを利用するか

□介護施設に入居するか

□最期はどこで暮らしたいと思っているか

□延命治療を希望しているか

□親の1日、1週間の生活パターン

□高齢になって、生活上困っていることや不便に感じている場所

□親の経済状況(どれくらいの生活費で生活しているか、生活費を何でまかなっているかなど)

□食事のとり方

□耳のこえ方

□トイレ・排泄

□動く様子(歩き方、歩く速さ、つまずく、転ぶなど)

□物忘れの傾向(同じものを買い込んでいないかなど)・頻度

親の既往歴や血圧など

親の服用している薬(市販薬を含む)やサプリメント

□親のかかりつけ医

親の不安・悩み

□兄弟姉妹・配偶者の介護に対する考え方

□兄弟姉妹・配偶者の親との関係性

□兄弟姉妹・配偶者の健康状態

□兄弟姉妹・配偶者のそれぞれの家庭の状況(子育ての状況、他の要介護者の有無など)

□兄弟姉妹・配偶者の仕事の状況(勤務形態、転勤の有無、残業の有無、出張の頻度、勤務先の仕事と介護の両立支援制度など)


私もこの厚生労働省のホームページの質問項目を見てまだまだ全然、
把握・共有が足りず、準備やイメージが出来ていないことを再認識した。
介護は他人ごとではなく、これから自分の生活、仕事そして経済的な部分にも大きく影響を及ぼす可能性がある。
いまから家族と十分に話し合っておくことが今できることだ。

今年の年末には母親や姉夫婦と過ごす時間があるので、
元気なうちに明るく前向きに介護の話もしておきたい。

安全活動と現場力
荏本
2016/12/11

安全啓発活動のお手伝いをしている製造業労組の役員よりうかがったお話。

「安全な状態を当たり前とするために、会社は少なくないコストをかけている。
しかし、安全設備が技術的に進化し、リスクアセスメントの精度を高めると同時に、
それらに依存し過ぎてしまう現場作業者も出てくる」

通常業務中はほぼ完ぺきな安全状態でも、それに慣れた意識のままイレギュラーな状況になったとき、
事故が起きるリスクが急激に高まるそう。
皮肉にも、稀に発生する事故やヒヤリハットが最大の安全啓発となり、
「安全意識のネジを巻き直す」きっかけとなることも。
電子制御や機械による生産性・効率性に優れた安全対策だけではなく、
それらをオペレーションする現場作業者一人ひとりにきちんと目を向ける必要があるそうです。

良い製品・商品を作り続けるには、安全は「あって当たり前のもの」でなくてはなりません。
必要なのは、設備(ツール)・手法、企業文化・行動習慣・共通の価値観(企業理念)の確立と、
一時的でない持続的実践を生む"現場力"です。

現場力とは、こと安全の領域においては
「安全をすべての業務に優先させるべく、現場にいる皆が『今、自分ができること』をできる力」
と言いかえられないでしょうか。
人命に直に関わる安全への取り組みは、労使間、部門間、役職間などの隔たりは取っ払い、
「働く人にとっての掟」として全従業員が関わっていくべきだと考えます。

組合活動の指数化で活動を客観的に把握しよう
依藤 聡
【羊指数という数値】
昨年(2015年)は羊年だったこともあり、羊肉がテレビや雑誌で特集されたことが多く、実際にこれまで以上に食べた方も多かったのではないでしょうか。
私個人に関しては、この数年、羊料理を食べることが急激に増えています。
羊齧協会(ひつじかじりきょうかい)という団体が開催する羊肉をメインとした宴席に頻繁に出席しており、羊料理にありついているからですが、この団体の寄与もあってか、実際に羊肉の需要が増えているとのことです。
さて、この羊齧協会ですが、羊指数という面白い指数を公表しています。同協会のHPからの引用で指数の説明をします。

【羊指数の概要】
羊指数とは、下記3種類のデータを用いて日本での羊肉文化の盛り上がり状況を定量的に示す指標です。

① Web上での盛り上がり 株式会社Rettyが提供する羊に関する検索数、PV数などの各種データによって、消費者が羊肉について、どれぐらい関心を持っているのかを判断するデータです。「レビュー数」「店舗の解説の中での登場」など、数十項目のデータに基づいています。

② 羊肉の輸入状況 貿易統計によって、日本で羊肉がどれぐらい消費されているのかを判断するデータで、毎月把握することができます。

③ 国産羊の育成状況 国産めん羊統計によって、国産羊がどれぐらい育成されているのかを知るデータで、こちらは年ごとの把握となります。

つまり、①からは質的なデータ、②③からは統計による量的かつ客観的なデータに基づいて羊指数を算出しています。
詳しい算出の方法は割愛しますが、2015年7月の状況を1.0とし、以降、毎月どのように変化しているかを把握することで、羊肉に対するマインドや需要の変化を把握することができます。
羊肉普及を目的の一つとしている同協会としては、この指数が目的達成のための試金石とも言えます。
ちなみに、最新データである2016年10月度で2.61と1年3ヶ月で約2.6倍になっています。

【組合活動の指数化】
翻って、組合活動においても組合活動を指数化することは重要ではないでしょうか。
組合活動に限らず、数値目標は具体的なためモチベーションを持続しやすく、達成基準も明らかなので行動に移しやすいことが分かっています。
また、羊指数でも分かるように、基準時を設けることで基準時からどのように変化したかを判別することが非常に明瞭です。

言うまでもなく組合活動は多岐にわたっており、組合活動の総合的評価を肌感覚で把握することが難しいことは明らかです。
その一方で、多くの労働組合は調査活動によって多様なデータを把握しています。
また、職場集会や組合イベントの組合員の参加率、情宣物の発信数、HPの更新頻度といった量的かつ客観的なデータも把握することができます。

ただし、それらのデータを引っ張り出して一律に平均値を出すのではなく、重視している活動には重みづけをすることも重要です。
羊指数でも②③には重みづけをしていますが、①のWebでの検索数は流動的なので重点を軽くしています。
データの軽重を決めることはデータの精査につながります。
データの精査は指数の精度を高め、ひいては活動の峻別にも役立つことが考えられます。
理解しやすい数値なので、組合員にも理解されやすく、組合員からの関心も引きやすくなります。

たとえば、『ユニオン指数』というような固有の名称を指定すればさらに関心を引きやすいでしょう。
組合活動の指数化は指数にすべきデータを精査することに時間がかかるかもしれませんが、ここまで述べたようにメリットも多いです。
活動の棚卸を兼ねることもできますので、このこともメリットにつながります。
組合活動を活性化させるためにも活動の指数化をお勧めします。
「経験から学ぶ」役員育成
清水 典明
2016/11/27
先日、高校時代の友人と十数年ぶりに食事をする機会がありました。
メーカーに勤めており、福岡に出張の折に久々にということになり、昔話やお互いの現況など色々と話し、楽しい時間を過ごしました。
友人は入社以来、人事部で新卒の採用・人材育成・評価制度設計などの業務、海外勤務や管理職になり部下育成など環境変化や役割の増大など様々な経験をしてきたとのこと。
人材育成については、管理職などへの研修プログラムは準備するのだが、職場でのOJTについては管理職任せになり、効果があるのか‥という悩みがあるとのこと。
組合役員の育成ということでも共通することがあるんではないかと思います。

人の成長を決める要素について、70%は仕事経験、20%は他者の観察やアドバイスから、10%は本や研修からといった研究結果もあり、直接的な経験が大きな源泉であることはみなさんも仕事や組合活動で実感されていることだとは思います。
他者のアドバイスや研修を通じての情報は直接的な経験(行動・思考)に影響を与えるうえで重要になります。

経験から学んで成長することについて、『「経験学習」入門(松尾睦・ダイヤモンド社)』では、
「適切な『思い』と『つながり』を大切にし、『挑戦し、振り返り、楽しみながら』仕事をするとき、経験から多くのことを学ぶことができる」
と説明しています。
そのことを以下のようにモデル化しています。
①ストレッチ(挑戦する力:挑戦のための土台作り・課題設定)
②リフレクション(振り返る力:経験、行動を振り返る・内省)
③エンジョイメント(楽しむ力:意義、やりがいを見出す)
また、3つの要素を高める原動力となるのが、
・思い‥仕事をする上で大事にしている考え方や価値観:自分への思いと他者(顧客や職場のメンバー)への思いの融合
・つながり‥他者との関係性:本質的なフィードバックをもらえるような、多様で深い関係に基づく発達的なつながり
であると述べています。

組合役員育成について、教育体系の整備など相談をいただき、実践の場をイメージして必要な「知識」「スキル」を組み立てることがあります。
この階層の役員は職場集会の運営が重要な役割なので、その手法の研修‥ など。
直接的な経験の前の基礎知識の習得・役割の理解、定期的な情報の更新など研修は必要です。
同時に、直接的な経験を通じての人材育成において重要な、OJTの体制・方法についても検討・実践が必要です。
・日常の活動での目標、課題設定
・活動実践中、実践後に振り返ることを促す場の設定やフォロー(面談など)
・活動のやりがいを見出せるような周囲のはげましやアドバイス
など

非専従の職場の役員に対して業務負荷を考えて、執行部がメインで動いてなかなか業務移譲や人材育成が進まないといったことをよくお聞きします。
組合活動の活性化や組合活動を通じての人材育成をしていくためには、職場活動でのOJTを通じた経験から学べる体制を構築することが必要ではないかと考えます。
結果に意志の強さは関係ない
三橋 秀郎
2016/11/20

「すべての結果は行動の蓄積である」

「人生を変える行動科学セルフマネジメント」の著者 石田 淳 氏によると、

良い結果が出たのは良い行動の繰り返しである。強い意志があっても行動なきところに結果は生まれないと述べている。

では人は、なぜ人は行動に移すことができないのでしょうか?

著書の中で石田氏は、悪い結果はすぐに出ない。しかも必ず出るとは限らないからであると述べている。例えば、
ダイエットしたいと思っても、食べてもすぐ太らないので、今すぐ得られる美味しい結果に流される。
喫煙においても同様で、吸い続けてもすぐ健康を害さないので、今すぐの安堵感に流される。つまり、
人は意志の通りに行動できないので、意志で行動を変えようとしても無理があるのです。
だから、思い通りに変えるためには、まずは小さな具体的な行動の蓄積をして結果を変える必要があると述べています。


では、そのために何をすれば良いのでしょうか?

①具体的にどうなりたいか明確なビジョンを持つ

どうなりたいのかが具体的でないと心が充たされることもなく、何をすれば良いのかわかりません。
いつまでにどれぐらいどうなりたいのか明確にしておく必要がある。

②そのための小さな行動を設定する

達成のハードルを低くし、すぐに結果がだせるようにスタートし、ゴールの蓄積ができるようにする。
それによって達成感を感じれるようにする。

 

継続できないのは、達成のハードルが高く、いい結果がなかなか得られないために、自信喪失になるからです。

だから、毎日、無理なく、数値化できる行動を習慣化し、できそうだという思い(「自己効力感」)を持たせることが大事です。

 小さなステップでも確実な成功体験を積むことにより、「できた」と感じる回数が多くなることで自己効力感は増大します。

 

組合活動においても、現場の役員がやる気がない、動いてくれないという言葉をよく耳にしますが、自己効力感を高め、
達成感を感じるようにするためにも個々の具体的なビジョンを描かせ、それに向かって行動を起こせるように
スモールゴールを設定していくことが必要ではないでしょうか。
今後の組合活動の参考になれば幸いです。

インプット。
三浦卓也
2016/11/13

つい数日前、ひさびさにカラオケに行きまして。

近所に、素晴らしいカラオケを見つけたんです(笑)。
1ドリンクオーダーも、最低利用時間とかも、まったくない。
食べ物、飲み物、持ち込み自由。お水と氷はお好きにどうぞ。
昼間なら、平日でも、土日でも、2時間唄ってワンコインちょっと、という信じられない価格設定。
音も良いし、部屋もきれいだし、...etc.
こういう、顧客目線のお店がもっと増えれば...って、本題から逸れてるな(笑)。

歌うのがめちゃくちゃ好きでも、得意でもないので(なら、なぜカラオケにいく?)いつもそのとき思いついた歌を唄う程度です。
当然持ち曲なんてものもなく。なので、この日はリモコンを手にして、

「今年カラオケで唄われている曲ベスト100」

なんかを呼び出してみました。
それでもって、「お、なんかこの曲名と歌詞、知ってるな、確か歌番組で見たな。。」と見つけた曲を予約し、いざ曲が始まると。。。


サビしか、まともに唄えず。

いや、なんとなくメロディも、歌詞も、聴いたことあるんですが、歌い出しがわからないわ、字足らずになるわ、、、途中で心折れました・・・orz

なので口直し?に、高校生ぐらいのときに流行った曲を呼び出してみました。
(最近のカラオケ、年齢と何歳のとき、を入れると、その年のヒット曲出してくれる。超便利!)
それこそ◯十年も唄ってない、というか聴いてもいないのに、覚えてるもんですね。
歌詞も忘れてないし、メロディもわかるし、、と。

これ、、、考えてみれば、そりゃそうだよな、と。
今みたく、ネットもiPhoneもなく、お年玉で買ったカセットテープのウォークマンに、レンタルCDショップで借りたCDをダビングして、日々同じテープを延々と聞きまくって覚えてしまった曲と、なんとなくテレビやラジオでよく流れてて、なのでよく知ってる(と思ってた)曲じゃ、脳への刻まれ方も違うわけです(苦笑)。
きちんと「インプット」されたものって、◯十年たっても忘れないし、最近の情報は、頭に入っているようで、実はまるで留まっていないんだな、と改めて実感しました。


仕事でもなんでも、必要だから覚えたことや、繰り返し作業で覚えたことっていうのは、確かに経験値はあがるけれど、でも決して残る「インプット」ではない気がします。
やっぱり「インプット」っていうのは「好きで・覚えたい」情報を「納得いくまで」取り込んで、まとめて、消化して、脳に刻み込んだもので、だからこそ、ごく自然に自分の中から取り出すことができるし、◯十年たっても、褪せることなくそれができるものだと。

日々、目の前にあることをこなしていくだけだと(それも結構大変なことだし、十分努力だと思うんですが)それまでインプットしたモノを出していく一方になり、それはどんどん古くなりますし、いつか枯渇します。
それは仕事であっても、生活であっても、決していい状態ではないです。

自分自身への自信をつけるためにも、アウトプットをより良いものにするためにも、「質」と「量」の伴った「インプット」をする「時間」と「気持ち」を、常に自分の生活の中に作れるようにしていかねば、と改めて思いました。
 
ので、このままだと、カラオケで懐メロしか知らない(歌えない)寂しい人になりかねないので、流行りの曲もちゃーーんと「インプット」するよう、しばらく通勤時間は音楽に集中してみるか。。。

ん? 歌えなかった曲って?








EXILEの「Ti Amo」…
 
努力は、「裏切る」。
檜垣 沢男
2016/11/06
先日、研修講師として伺った組合で、偶然、懐かしい人に再会した。


「再会した」といっても、知り合いだったわけではない。
私がその「Mさん」に出会ったのは、「月刊陸上競技」という(マニアックな)雑誌の紙面である。


Mさんは、18年前の「全国高校駅伝」で全国制覇を果たしたT高校の優勝メンバーだ。
雑誌には、T高校の優勝までの軌跡が詳細に報じられていた。


潤沢な資金と設備を持ち、有力選手を全国から勧誘できる私立校が上位を占める高校長距離界にあって、
T高校は、「地元出身者」だけで構成された「普通の公立校」である。


T高校には、S先生という高校陸上界でも有名な監督がいた。
S先生は優勝インタビューで、、Mさんのことをこう語っている。

入学した頃、彼女は学年で一番遅い選手だった。
でも、強い選手たちを追いかけて、この3年間一生懸命練習をしてきた。
今日のような競り合いでの彼女の強さは、その積み重ねからくるのでしょう



当時は、陸上を始めてからまだ2年目の中学生。

地区の大会も突破できない「並以下」の選手だった私に、
未来への一筋の希望を抱かせてくれるニュースだった。


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私は、県内2番手の高校に進んだ。

毎年の夏には、県外の高校との合同合宿がある。
その中には、T高校との合宿もあった。


合宿では、早朝・昼・夕方と1日3回のトレーニングを行う。
4泊5日にわたる合宿期間の合計走行距離は、毎回、200kmを超える。
まさに、「走る」漬けの毎日だった。


そこでS先生が課す練習で最も「地獄」だったメニューに、
朝5時半から始まる「150m×100本(遅れたやつは、追加でさらに50本)」というものがある。


1本、2本、3本...

「100本目」を待ち遠しく思えば思うほど、
むしろ、それは遠のいていくように感じられた。


次第に私は、「目の前の一歩」に集中するようになった。

気がつくと、100本目のゴールラインがすぐそこに近づいていた。


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迎えた、高校生活最後の全国高校駅伝神奈川県予選。

そのスタートラインに立つまでに、
私が3年間で積み重ねた走行距離は、累計20,000kmに上った。


私が任されたのは、各校のエースが集まる最長区間、1区。

前の年も、その前の年も、序盤で出遅れての2位。
私が先頭に立たない限り、今年も優勝はない。


スタートから31分後、私は2区のKに襷を渡した。

だが、それより1分も先に、
ライバル校のエースは中継点を通過していた。


勝負は、私の区間で決まった。


その日を境に、私は「走る」ことをやめた。


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努力は、「裏切る」。


事実あの「20,000km」は、
当時追いかけていた「ゴール」にはつながらなかった。


でも、もしもその積み重ねを中途半端に終わらせていたら、
私は、次の人生を踏み出すことすらできなかったかもしれない。


先のことを考える余裕があるなら、
今、そこにある“目の前の一歩”に集中しなよ



14年前の「地獄」の記憶は、
壁に当たるたびに、そう私に教えてくれる。


研修後、Mさんはこう言って見送ってくれた。

毎年のお正月、みんなでS先生のところに集まるんです。
先生に伝えておきますね。“先生の練習をその後の糧にしている生徒が、他校にもいましたよ”って



Mさんとの「再会」は、
「努力は、たいていの場合、裏切る」ということ、
そして、「でもその積み重ねは、“どこかで何かの糧になる”」ということを、思い出させてくれた。


この日参加してくれた26人にとって、
私の研修なんて、きっと「目の前の一歩」でさえない。

それでも、これからの人生のどこかで、
何かの「糧」になるような時間であってほしいと思う。
今日の試合は、負けたら涙が出ますよ
服部 恵祐
2016/11/01
小学校2年生の息子が将棋にはまっている。

先日、小学生の参加者だけでも2,500名を誇る「子ども将棋大会」に参加した。

開会の挨拶で日本将棋連盟の方が、
「君たちは、毎日コンピュータ将棋を指していると思います。コンピュータとは1000回指しても決して涙はでません。でも、今日の試合は、負けたら涙が出ますよ。」とおっしゃった。

ヒトがヒトである理由がそこにある。

AIの時代に、ヒトが存在する理由もそこにあるのだろう。

将棋七冠のうち、竜王以外は全て永世称号を有する羽生善治三冠が最強のコンピューターと対戦できるプロ棋士を決める「叡王戦」(勝ち抜けば「電王戦」)に出場している。
遅かれ、早かれ、AI将棋に負ける時が訪れることは羽生三冠とてわかっているだろう。

AIの時代に単なる勝ち負けだけではない、ヒトが指す将棋の意味は何なのだろうか。

AIの時代に「ヒトが生きる」意味とは何か。

羽生三冠は、そのことを示そうとしているのかもしれない。

ヒトだからできることがある。

労働組合もヒトだからできるプロフェッショナルな仕事を創っていかなければならない。

AIの時代こそ、「ヒトが働く」意味が問われているのだから。
リーダーとはビジョンの体現者だ!
丸山由紀夫
2016/10/23
多くのユニオンリーダーは、現場でリーダーシップをどう発揮し、組織をありたい方向にどのようにまとめていくか、
そして、組合活動に対する組合員の興味関心をどう維持・高めていくかに悩んでいる。

今回はある組合の初代委員長を務められた方の活動例を通じ、この悩みにどう取り組んでいくか考えていきたい。

『組合役員は歩くビジョンの体現者でなければならない』これが、その委員長の口ぐせだった。
というのも、組合立ち上げ当初組合員から

・組合の設立目的がわからない
・組合活動に参加したくない
・組合費が高い…

不満とも組合に対する否定にも近いような意見が毎日組合へ寄せられていた。初代委員長はこのような組合員の問いに対して、
これからどのように組合活動を進めていくべきか、悩みに悩み抜いて出した一つの小さな結論が、この言葉であった。

組合の必要性や重要性を組合員に言っているだけではダメだ。職場にいる組合員が組合活動へ参画してもらうには、まずは、
組合委員長である“私”自らが、組合で掲げているビジョンと理念を実践しているその体現者(主体者)になり、現場で行動し、
ぶれずにやり抜く意思を示し続けるとの意味であった。

それからは、凡事徹底。数年間かけて日々職場を周り、愚痴や不満を言われ続けても、自らの組合活動に対する思いと覚悟を
言葉と実際の行動で示すとともに、各職場にいる一人ひとりの組合員へ、自ら声をかけ、彼らの声なき声を知る(知り抜く)こと
を続けていったのである。

すると、徐々にではあるが確実に、組合に対する組合員の反応が変化していったのである。そして、この委員長の取り組みを
始めてから数年後

・以前は誰一人参加が無かった職場集会。今はほぼ全員参加
・以前は組合イベントを開けば、組合費を返せと言われていたが、今は組合員とその家族も参加…

組合に対する組合員の見方が大きく変わったのである。あれだけあった設立当初の組合員の不満がうそのように。

◎組合員に、組合活動の意義を言い続け、自分にも言い(問い)続け、自ら実践していくこと

◎変えられないものに執着するのではなく、自分が出来る事をコツコツとやっていく”

この取り組み例は、少しでも組合活動を盛り上げていくヒントにはならないだろうか。

さきほどの初代委員長は、今では組合を降りられ、グループ子会社の役員になられていると聞く。

私はこの初代委員長の取り組みを、間近で見れたこと、そして微力ではあるが、伴奏者としてお手伝いが出来たことは、
今でも私自身の大きな宝物である。